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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大和文華館の日本漆工 

先日からツイッターで漆器がjapanか否かという議論が飛び交っていて、明確なところは今のわたしにはわからないままだ。
わたしはjapanと習ったように思うが、今は変わったのかもしれないので、何も反応しなかった。
で、今回の展覧会はその漆器が主人公なのである。
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副題を紹介する。。
「特別出陳 酒井抱一下絵・原羊遊斎蒔絵作品」
そう、二人のコラボ作品がずらりと並ぶのだ。
大和文華館所蔵の名品と特に抱一+羊遊斎のコラボ作品を楽しむ仕様になっている。
素晴らしい企画展だと思う。
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奈良時代から江戸時代までの漆器を大いに堪能した。

黒漆漆皮品 奈良  「漆皮」とは獣皮を湿らせて木型にはめ乾燥させたもの、素地にそれが浮いている。

黒漆八足机 室町  足は左右それぞれに四本ずつ。シカの足がモデルらしいが膝カックンされたように見えるなあ。

室町時代の根来塗がずらり。なかなか壮観。
お椀は入れ子構造で、合子が並ぶ。入子作りにした合子。引入合子。「挽入」ともいう。ヒキレと発音。

楪子(ちゃつ)もある。これは懐石道具の一つ。端反りで丸く浅い木皿に台つきのもの。
これに対し深い椀構造のものは豆子(ずつ)という。
詳しくはこちら

字自体はユズリハに子だが、この「子」は「ス」または「ツ」だから唐音になるのか。
しかしユズリハは和名か。………
本体だけでなく、言葉そのものにも関心がわきだすと、無限に楽しみが生まれる。

珍しいのが根来塗の茶杓。どう見ても「SWE1」のダース・モール…なんとなくこの茶杓振り回したくなってきた。いや実際にダース・モールは長いダブル=ブレード・ライトセーバーを武器にしてるし、あれに似てるのよねえ。

指樽がある。さしだる。これは箱型が特徴で、角樽・柳樽のブームに押されて地方に流れ、そちらでだけで生き延びたそう。
月桂冠のサイトに詳しい歴史がある。こちら

朱漆絵蓬莱文瓶子 江戸  蓬莱文なので鶴亀がいるが、鶴の足元にいる亀、なかなか怖い目つき。
これを見て小出楢重が珍しく日本画で蓬莱文を描いていたのを思い出したが、あの鶴と亀も妙な顔つきだった。
てっきり小出の趣味かと思ったが、もしかするとこれらと同じ理由なのかもしれない。

江戸時代のカラフルな漆器をみる。
彩漆絵波兎文盆  謡曲「竹生島」の「月海上に浮かんでは 兎も波を奔るか 面白の島の景色や」からの波兎。
これは本当に人気で、実に多くの作例がある。
ここのウサギは二羽いて、耳がやたらと長く、追いかけるウサギと見返るウサギとがいる。
仲良さそうで結構なことだ。
この日は近隣の小学生たちの合同校外学習日らしく、各々好きな作品をスケッチしていた。
丁度このウサギたちを模写する坊やがいて、なかなかうまいのには感心した。
「きみ、巧いな」とほめると照れていた。
絵はその後ショップの壁面に展示されていた。

彩漆絵瓜文盆  カラフルな瓜。重い色合いだが。緑の表面に黄色の葉っぱ。漆絵はやはり色が重くなるな。

彩漆絵薄鶉文盆  こちらの薄は黒線に黄色の露玉が光る。鶉は朱色で半ば背を見せているのも珍しい。

彩漆絵秋草蝶文盆  四羽の蝶が並んで降りてくる。銀の花へ向かって。

秀衡塗もあった。ここにあるのは黒地に朱・緑・黄色で大胆な絵を描き、更に金箔も使用という華やかなもの。
かつての黄金時代の名残というものを感じる。

津軽塗というのも初めて見た。これはとても手間のかかる工程を経て完成するそうだ。
卵白を使うというので、テンペラ画とは逆である。あちらは卵黄使用。
全卵を使うのが味の素で、キューピーは卵黄のみ。…マヨネーズの話。

鎌倉彫のよいのも並ぶ。
それで面白いことを知る。
合子だが桃山時代までは「ごうし」、それ以降の近世では「ごうす」と変化したそう。
ただ、わたしではその判例を調べきれない。辞典を見ても「ごうす、またはごうし」とあるのを見るばかり。
転換期が桃山時代以降の江戸初期なのは確かだろうが、何があったのか。
政治体制の変化と関係があるのか、鎖国とも関係があるのか。
知らないことが多く、まだまだ学ぶことも多い。

鎌倉彫手箪笥  扉の内側にも丁寧な仕事がされている。雲鶴文もみえる。金具は蝙蝠。吉祥文ですね、決して吸血鬼の手下ではない。
これには付属品として硯箱もついているが、そちらには釣り人や高士の姿が刻まれている。

可愛いのがある。
鎌倉彫水鳥文香合  ふっくらして目も大きい小鳥。見返り。
鎌倉彫螽斯文香合  こちらは螽斯そう、きりぎりす。
堆黒蟹文香合  これもお仲間。蟹と何かの植物。どういう取り合わせが定番なのだろう。芭蕉だろうか、菊だろうか。

今は新作はダメな象牙や玳瑁の加工品もある。
ダメでええねん、したらあかん。ゾウさんも亀やんも自然に死なせてあげたい。
その後のんならともかく、生きてるのを停止させるな、ヒトの欲で。

螺鈿も好きだが青貝細工も本当に好きだ。綺麗よなあ。
中に特に気に入ったのが現れる。
これですこれ。
銅板地螺鈿花鳥文説相箱 平安  ことりさんらのいる箱ね。
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螺鈿蒔絵花鳥文机 桃山  こちらは四季の小鳥がいる。

蒔絵の名品もずらり。
蒔絵蝶文鏡巣 室町  内部にヒラヒラと…

高台寺蒔絵も何点か。
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高台寺蒔絵に関して小村雪岱が随筆「日本橋檜物町」でいいことを書いている。
それを読んでから高台寺蒔絵を見るようになった。彼の影響下にあることをわるくは思わない。
というより、高台寺蒔絵がニガテだったので、その文を読んでから高台寺蒔絵の良さに気づけたということだ。
何事も先達は大事とかなんとか兼好法師だって言うたし。

蒔絵椿紫陽花文堤重 江戸  これも特に好きなもの。今回は紫陽花の面ではなく椿の面が出ていた。重箱の蓋には猩々の絵もある。一人で酒飲んでいた。
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蒔絵尾花蝶文折文箱 江戸  この箱の形態は「崩経箱」ともいうそうで、なるほど、こういう構造は他にも見ているが、そういう名称もあるのかと納得。
蝶も薄も繊細な絵柄でよろしい。江戸の美意識というもの。

蒔絵葡萄栗鼠文手箱 江戸  珍しく可愛らしく描かれた栗鼠。
鶉文の硯箱もあるがそちらはなかなかコワモテだった。

蒔絵阿亀文枕形根付 松翠 江戸  梶川家一門だという。梅、シイタケなどが描かれているのも面白い。

沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒 伝本阿弥光悦  ほんまに綺麗でかわいい。
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ふざけてるというかなんというか、是真の黒漆墨形根付もある。これはもうほんと、フェイクというよりフィギュアだな。

さて特別出陳:酒井抱一下絵・原羊遊斎蒔絵作品の特集。
竹製蒔絵椿柳文茶入 酒井抱一図案・原羊遊斎作
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実物は大して大きくないが、素晴らしい名品。
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蓋の所のこの椿絵も含まれた図案集も。1801年のノート。
絵もいいが、こうした図案のいいひとは後世にもいて、特に洋画家の浅井忠などは優れていた。ミュシャもそう。夢二もそう。非水もいる。
方向性は全然違うが、光琳、抱一の後の世にそうした人たちがいたのはやはり嬉しい。

草花蒔絵五つ組杯 大阪市立美術館  実によくてね。
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ほしいなあ。


面白いものもある。
枕形硯箱 1820年頃  なんと獏の絵。裏には萩。枕と言えば獏ということですな。夢枕獏。面白い。
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他にも春草やモミジ、秋草、菊桐がモチーフになったものも。
印籠に文刀、炉縁などなど。
羊遊斎は不昧公好みの作品も多く拵え、その後は抱一と組んで大ヒットした。
近世の工芸の美を大いに味わわせてくれたのだ。
ありがとう。

綺麗なものが多く集まる展覧会だった。
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茶の道にみちびかれ @中之島香雪美術館開館記念展3

中之島香雪美術館開館記念展も第三期に来た。
「茶の道にみちびかれ」として、茶道具関連の名品が並ぶ。
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村山龍平がいた時代は近代茶道のルネサンス期だと思う。その時期に彼がいてよかった。
同時代の大茶人は皆それこそ綺羅星。益田鈍翁をはじめ凄いメンバーがいて、彼らが第一期として小林逸翁らが第二期、その後も凄い茶人が続いて、明治から昭和半ばまでの半世紀以上、本当にとんでもなく茶道にとって素晴らしい時代となった。

良い道具というものはやはり「時代」によって見出される。その時代にいた人々の目によって見出されるのだ。
展示品の数々を見ながらそのようなことを考えた。

最初に現れたのは籠だった。桂籠花入、桃山時代のもの。桂川の漁業の人から利休、伝世して宗旦そして写しを7つも拵えた山田宗偏。魚籠から花入への転身。
これはなかなか血腥い逸話があり、赤穂浪士がこの籠を吉良の首と見せかけて風呂敷包みにし、高々と掲げながら行進したそう。
初めてこの籠をみたとき、人の首というのは魚籠でごまかせたり、スイカでも代用出来るんだと思ったものだ。
(スイカ…「ジャッカルの日」で殺し屋ジャッカルがスイカを木に吊り下げ、標的ドゴールの首に仮定して射撃訓練をした)

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1. 村山龍平主催の第三回十八会
この「十八会」というのは大阪の実業家18人の集まった茶会で村山が主催したそう。
大体茶会には面白い逸話があるもので、そのあたりの紹介が少しばかりあったが、もっと出ていればよかったのに。

龍泉窯 青磁刻花牡丹瑞果文壺 明代 15世紀  刻まれた花や実はふっくら。桃に霊芝に牡丹。釉薬も濃い目。

景徳鎮窯 五彩雲鶴文瓢形振出 明代 17世紀  小さくてしっかりしている。

伊賀 耳付花入 銘・慶雲 桃山時代  ああ、こういうのを「へうげもの」とかいうのかなあ。腹が押されて「ぐう」とか言いそうなやきもの。

神先紹和 木賊・蕨図屏風 1797頃  茶人の絵。これがよろしい。金地に木賊がずらずら並ぶ。その裏に銀地に蕨が並ぶそう。
わたしは特に背景に何もない地に横長に植物が並び続けるのが好きなの。

松村景文 箭竹図  前月のカレンダーに使われていた。いかにも清々しく優しく、夏の座敷にぴったり。
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2.壬生光悦会
茶人はいろいろ楽しい会を催す。

伝・光悦 日月図屏風 六曲一双  右に日・左に月。金地なのも時代だな。
そういえば銀の魅力が金に勝るようになったというか、銀の人気が高くなったのは化政期以降からかな。
抱一は銀の美を知っていた。

このとき使われたお道具が並ぶが、先のよりこちらの方がすっきりした良さを感じる。
やはり20年後の会だからかもしれない。


3.玄庵残茶会
こちらはわたし好みのものも多いな…
ひとさまの茶会の茶道具を見てどーのこーの言えるのも、後世の者の一得かもしれない。
なにしろその持ち主が現役ならば、到底見せてもらえることはなさそうだからだ。

備前 十角鉢 桃山時代  ああ見込みに「ぼた餅」4つ。可愛いな。

祥瑞捻文鉢のいいのがある。これはもう大体が好きだ。

薮内竹猗 千本松風炉先屏風 江戸-明治  こういう松が延々というのもいい。
この人は皇女和宮の茶道指南役を勤めていて、御降嫁の際にはその調度品の茶道具一式を誂えたそう。

あとはもう優品・名品がずらり。
贅沢な眺め。
乾山の色絵立葵文透鉢、光悦の黒樂あたりがたいへん好ましい。
そしてこれ。
回也香合
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瓢に絵付け。可愛いなあ。

ほかにも浮世絵がある。
いいものを見せて貰えてありがたい。

9/2まで。

花卉賞玩 琳派のデザインと花入の展開

時々チラシに呼ばれることがある。
このチラシを見たら、何としてでも湯木美術館に行かなくてはならなくなった。
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時間がなかったので、7日の昼に退社して出向いた。

「花卉賞玩」特に何も手を加えずとも一発変換した。
それだけでもいいな。

湯木美術館の所蔵する器は実際に使われている。
料理の盛り付け写真が壁面にパネル展示されているので、それを見て生唾を飲み込んでから展示室へ入る。
稀代の料理人・湯木貞一の手を・目を・美意識を常に思いながら作品を眺める。

銹絵春草文蓋茶碗 乾山焼  10客の内の1がある。二条丁子屋町時代のもの。
鉄釉に呉須で絵付け。蕨・菫・羊歯・土筆の絵。白泥に白濁釉。器の内外に生える(映える)春草たち。愛らしい。
この器を使い湯木さんは春若芋・隠元・椎茸の炊き合わせを盛り付けた。

色絵水仙透鉢 乾山焼  これも好きな器。乾山好いなあ、つくづく。
茶席で水仙の文様を使うときには「冬は白水仙・春は黄水仙」というきまりがあるそうだ。
いいことを学べた。つまりこの器は冬向けの物。

銹絵染付水仙の絵向付/銹絵染付松の絵向付 乾山焼  二つの◇型向付。灰色の化粧土を塗り、更に山形を二つ重ねた白化粧の上に鉄釉と染付で絵付け。

色絵秋草文敷瓦 乾山焼  けっこう大きいタイル。26x26x3cm 白と青で〇に・をつけた「光琳菊」が咲き乱れる様を表現。
これは茶席で使うもの。ステキだなあ。
…ふと思ったが、舶来ものが好きな小林一三だと、この敷瓦もマヨルカのものを使ったかもしれないな。

抱一の短冊がある。屠龍サインのもの。
 朝顔の 明日待たるる つぼみ数  
蔓の絡む細い棒と青い朝顔の絵が下に描かれている。

 梅一里 それから先は 波の音 
これもいい感じ。

銹絵染付楓之絵鉢 高橋道八  道八の息子の方である。灰青色の器の見込みいっぱいに銹絵と染付で描かれた楓が貼りついている。まるで子供が綺麗な葉っぱを集めて喜んでここに収めたかのような、素直な喜びと幸せがある。

名人は昭和初期から中期にも生きていた。
八代白井半七という写しの上手がいた。湯木さんはこの人に多くの写しを拵えさせたそう。
ここでは三つばかり。
色絵秋草文茶碗  萩と薄、そこに赤と金が散る。
雲錦手鉢  桜型の透かしが少々入る。胡粉が盛り上がるように白い花がふくらむ。
白梅図鉢  内に一輪、外には枝も。
箱書きに湯木さんの手で「八世之思い出」とある。
親しいひとへの追悼の想い。

チラシの中央に陣取る唐物の花卉が現れた。
唐物古銅桔梗口花入 明 14-15世紀 東山御物  耳は獣、胴に細かい文様。これはあの「真・猫侍」ともいうべき佐久間将監の所蔵品。足利義政―武野紹鴎―利休―佐久間将監。

古銅ソロリ花入 明 14-15世紀  これはとても細いもので以前からどんな花を生けたのか気になっている物。
ソロリは「徐」または「曽呂利」または「汰り」か。

砂張釣舟花入 東南アジア 15-16世紀  とても小ぶりな釣舟。12x10x7.7. 元は仏具だったらしいがどこに使ったのだろう。

古銅経筒花入 平安 12世紀  転用したものでだいぶ錆びついている。なかなか見どころの多い花入。

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少し面白い花入が並ぶ。 
古備前花入  片に立った波の文様が続く。
瓢花入 片桐石州  くりぬいたもの。
信楽蹲花入 銘・くたぶれ物  かなりゴワゴワ。
これの写しらしきものもある。
青交趾尺八花入 永楽即全  綺麗な青い釉薬…

扇面流図屏風 鈴木其一  モノクロの画像だが、現物はカラフル。
こちらは左。
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紅葉・紫式部・ひまわり・千鳥・菊・・・
右は富士・桜・梅・紫陽花・花菖蒲・伊勢絵(禊)などなど。

松梅に鶴図 渡辺始興  細い松を右手に寄せ、白梅が咲き、民家の屋根がのぞく。そして山の向こうからか鶴が来る。
昔の日本の風景だったのだろうなあ。

綺麗な香合がいくつか。
秋草蒔絵香合 黒に金の豪奢さは高台寺蒔絵。
交趾桜鯉香合 明 15-17世紀  下は黄色、上は緑と紫。すごい配色やなあ…
色絵冊子形香合 仁清窯  本の表紙には「若紫」の文字。愛らしい。
銹絵染付槍梅文香合 乾山焼  可愛いなあ。
絵唐津あやめ文香合 室町―江戸  くっきりとアヤメが一輪。

本当に香合は可愛い。

梅蓋物 長入 薄黄色のふっくら梅形鉢に☆型の蓋。こちらは深い緑。ガラス鉢でこんなのを持っているが、梅のふっくらさはガラスもやきものも共に素敵だ。

呉須赤絵写向付 永楽妙全  可愛いな。

呉須染付芙蓉手大皿 明 17世紀  アヒルvs鴨の絵がある。
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水指縁金ギヤマン四方  意外に大きい。パネル写真では車エビ・活霜降り鮑・粗削りのアスパラ・よりうにのあちゃら が盛り付けられていた。

ああ、とても満足した。
いいものを見て気分がいい。

8/12まで。 
   

「マカロニほうれん荘」原画展で流れていた曲を少しばかり集める

「マカロニほうれん荘」原画展ではずっとカッコいいハードロックが流れ続けていた。
これは作者による選曲ということで、直筆でラインナップが記されていた。

現代は欧米のロックは日本ではあまり聴かれなくなってしまったが、1980年代後半いや90年代初期あたりまではたいへん人気も高かった。
こんなわたしですらも80年代はMTVを熱心に聴いていたし、雑誌も読んだり、PVも見たりしていたのだ。
ウソのようなホントの話。

それでちょっとばかり再現をしたい。
今の世の中はyoutubeというありがたいものがあるので、それを集めてみる。

ブルーオイスターカルト 死神



ブルーオイスターカルト ETI


 
ヴァン・ヘイレン You Really Got Me



REOスピードワゴン Stillness of the Night  真夜中の誓い



Eagles - Lyin' Eyes



ナザレス ブロークンダウン エンジェル



Iron Maiden - The Trooper



Aerosmith Back In The Saddle


他にもとてもたくさんあるが、いちおうここまで。
これらの曲が流れる中で「マカロニほうれん荘」の原画を見るのはそれこそ、ロックだぜ!という感じがある。
是非体感してほしい。

「マカロニほうれん荘」原画展にゆく

とうとう見ることが出来た。
東京展の初日、大阪へ帰る時間を気にしながらわざわざ中野に飛んで行ったら、急遽整理券配布ということになっていて見ることが出来ず、それHPになかったやん…とすごすごと立ち去ることになった。

あれから少しの歳月が経ち、ついに大阪へも「マカロニほうれん荘」の原画展がきた。
誕生日の午後、わたしは昼から退社してあべのアンドへ出向き、気儘に原画展を堪能した。
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鴨川つばめ「マカロニほうれん荘」は1977-1979年に少年チャンピオンで連載していた。
当時のチャンピオン誌の面白さは凄かった。
がきデカ、ドカベン、ブラックジャック、エコエコアザラク、手っちゃん、花のよたろう、そしてこのマカロニほうれん荘。
小学生のわたしにはついていけないギャグも少なからずあったが、それにしても面白かった。

マカロニの新しいところはまず絵にあったと思う。
きんどーさんは見るからにギャグのキャラだが、トシちゃんは一見したところかなりのハンサムで、美形好きなわたしはときめいたのだが、それがいきなり口は◇、言動が突飛になる。いや、ハンサムなまま言動は変なのもある。
いきなり体型が変わるのはたがみよしひさが元祖のようにも思えるが、鴨川つばめの方が2年くらい早いかと思う。

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第一話のカラーページ
自己紹介シーンだけでも面白かった。

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修整の痕すら見られない。


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きんどーちゃんもトシちゃんもそうじくんをいじるだけいじり倒すのだが、その不条理に対し、そうじ君は泣き寝入りするだけでなく、段々と受け入れてゆく。


女の子の可愛さというのもよかった。ファッショナブルで可愛らしい女の子を描く力が高いヒトだとその当時から思っていた。
江口寿史、鳥山明、そして鴨川つばめ。この三人が少年マンガにそんな少女を送り込んだのだ。

同時にこのページなどでわかるようにいきなり戦争ネタになるのが妙にすごかった。
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トシちゃんを慕うルミちゃんは面白いキャラで、「たまりませんわ」というのが口癖だった。そしてとてもノリがよく、この二人組の破天荒なギャグに平気で乗る。
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何故か人間花火となり「トシちゃんかんげきー!」と騒ぐまくるトシちゃんと隠れてしまったきんどーちゃん。
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不条理なギャグがとても多い。
いきなり事故、何故かロボット、そしてあっという間に葬式という流れ。
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こういう流れが面白くてならなかった。
一コマ一コマに連続性と不連続性があり、それが同居しているところに刺された。

大人になった今、このギャグにドキッとした。
当時はきちんとわかっていなかったと思う、「プリティベイビー」は知っていても。
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この目元を隠したハンサムな男性は童話作家であり、しかもトシちゃんの別な姿なのでもある。
トシちゃんはついに最後まで目元を隠しぬく。


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改めてこの絵を見てその修正のなさにびっくりした。
更にこの絵の中には様々な要素が描かれていることにも今になって気づいた。
中にはフェルナン・レジェやムンクらしいものまで。
単行本6巻か7巻に美術の話が出てきて、名画になにかしらいらないことを足すというギャグがあった。
それも今から思えばいいラインナップなので、それだけでも面白かった。

イラストを見る。
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カット絵が一つ一つかっこいい。


表紙絵にしてもこのセンス。どきっとした。
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戦中らしき時代のたぶん満州あたりのどこかの街角、そこにきんどーちゃんがいることの妙な面白さ。


こちらは中原淳一の戦後の画風な少女を配し、そこへちょっとレトロっぽい装いの三人の少女。
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そしてこんな表紙絵もある。原画にもびっくりしたが、雑誌掲載された版を挙げる。
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今見るとヤバイものばかり。
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このナースが自分で注射する絵はどうやら実際には使われなかったようである。
チャーリー・ブラウンなトシちゃんもいる…

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めちゃくちゃかっこいい。


画力の高さについて、このページを挙げる。
一コマ一コマを完璧に仕立てあげていることに、そして一切の修正がないことにもただただ驚く。
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最初のコマである。
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とても綺麗だと思う。そしてこの地形もここから推察できる。情景と情報がここに含まれている。


不謹慎と言うかけっこう残酷なのもある。
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この後の展開がけっこう衝撃的だったのだ。


なおこちらは「ほうれん荘」のモデルのアパート
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そして会場内ではハードロックが流れ続けていた。
その選曲は全て作者本人。
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ロック魂は絵に活きる。
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こちらは現在の絵。クレパスだろうか。
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下段はファンレターのスクラップである。
40年以上こうして大切に保管されていたのだ。

実際あの当時、クラスの男子たちはしょっちゅうマカロニの絵を描いていた。
キモチはとてもよくわかる。

またストーリーはあってなきが如くなものも多い一方で、7巻収録のそうじへの片思いからとんでもないいいがかりをつけ冤罪をかぶせる幼い少女の話があり、その時はきんどーちゃんもトシちゃんも擁護し、解決へ向かう働きを見せる。
とはいえ人情話はまずないように思う。そこがまたかっこよかったが、ときにこういう胸を刺す話があるのもすごかった。

今でも単行本は容易に手に入る。
ずっと刊行され続けているからだ。
すごいことだと思った。
数十年ぶりに間近に作品をみて、その面白さが新たにこちらを衝いた。
今でないとわからないニュアンスも多い。
また一から読みたい。

凄い原画展をありがとう、と言いたい。
8/26まで。ぜひ!
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