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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ボローニャ絵本原画展

ボローニャ絵本原画展は西宮大谷記念美術館で開催されている。
‘78年に日本で最初に開催し、それから30年近く経っている。
西宮大谷記念美術館は阪神香櫨園にある。わたしはいつも阪急夙川から桜並木の夙川オアシスロードを歩いて、ちょっとした浮かれ気分で美術館へ向かう。
夙川といえば<夙川日記>のred-pepperさんだ。
お約束をして、一緒に歩いた。

ボローニャ絵本原画展は若手絵本作家の登竜門でもある。
でもそんなこと無関係に見る側には楽しい展覧会だ。
入り口に原画の巨大複製が建てられて、みんな記念撮影している。
ご機嫌さんです。06bolog.jpg


一時CG全盛になり絵本の面白味が減少した年があったが、今年はそうそう多くはない。
混合技法が増えたり、表現方法も多様になったりしていて、そうしたテクニックの部分を見るのも楽しい。
今年は92人の入選者がいたがそのうち日本人が27人も入選しているので、「おおお」だ。

その中でも特に私が気に入ったのは、今井彩乃の『チャッピィの家』。
わんこのチャッピィが住む場所を探して旅をしている。小鳥も一緒に旅をする。
犬のマンションの窓にはあごを乗っけてるわんこもいるが、ここは完売。
なかなかいい場所にも当らない。でもとうとうみつけた。
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そう、入り口の巨大複製の原画。
五枚一組でそんな物語が展開される。(本当はもっと長いのかもしれないが、この公募展にはその数だけで応募するのだ)

それからゾウさんのママと子ども。
これがとてもシンプルな絵柄で可愛いし、ママ象がとても立派なのだ。
ちょっと仔象が甘えすぎで将来心配なんだが。
いつもは緑色の象さんがライオンに、がおーがおーと攻められたとき、ママ象は真っ赤になって撃退してた。えらい。ママはえらい。やっぱりゾウさんはいいなー。
ところがうっかりこの作者の名前を忘れている。今度調べておこう。

たかいよしかずの『頭の上から世界を見渡せば』が楽しい。
この作家さんは確か去年かおとどしも楽しい作品をあげていた。
カバオくんの頭の上にはビルが建つ。へんな鳥もいる。チョーチンアンコーさんの頭の上にはお城が建っててツルも住んでる。落語の頭山みたいなのもいた。
なんだかとても楽しい。
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千葉三奈子『モカの不思議な一日』 珈琲のモカさんがあっちこっちを旅して、出会ったみんなに自分の珈琲をプレゼントする。img329-1.jpg

アンパンマンもびっくりだ。しかも減らないのが凄い。メルモちゃんのキャンデーを思い出す。
みんなおいしいモカを飲んでニコニコ。img328-1.jpg


柄澤容輔『とりの森』 ちょっと紅型を思い出した。それからアメリカかフランスの鳥の大移動の絵本のことも。これは面白い作品で、道を行く実体の鳥たちは黒く描かれるのに、その影がカラフルと言う逆転もあって、楽しかった。
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わたしがボローニャ絵本原画展を知ったのは、’80年頃だ。
図書館で俳優の米倉斉加年の絵本『多毛留』を手に取ったからだ。
この作品は’77年のボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞を受賞していた。(しかも米倉氏は二年連続受賞という栄冠を手にしている!!)そこから知って、とうとう’91年に西宮大谷に出かけたのだ。(因みに『多毛留』は’88年に手に入れていた)

地震の年以外は常にこの西宮大谷で開催され、やがて全国にも広がっていったが、ここに来るお客さんはみんな幸せそうに見える。
子供連れ、カップル、友人同士(少女たちからご年配の方々まで)、みんななんとなく幸せそう。img327-1.jpg

とてもいいことだと思う。

チェコのブラティスラバ国際絵本原画展もすばらしいが、このボローニャ絵本原画展はその性質上(なにしろ公募展なのだ)気合の入り方がすごい。中には気合が入りすぎている作品もあるのだが。

戦火に苦しむイラン、イラクといった国からもすばらしい作品が届いている。
特にイランは絵本大国でもあるのだが、政治情勢を考えれば物凄いことだと思うのだ。
平和を希求しながら、それを描かず自分のインスピレーションに基づいた作品を生み出す。
これは実は物凄いことだと思う。
とにかく中東が少しでもよい状況になって、すばらしい才能の開く様を見せてほしいとただただ願うばかりだ。

本国イタリアだけでなく、ドイツ、フランスからも素敵な作品が沢山入選している。
Kアンドレス(ドイツ)『わたしの家族』 女の子の編み物。へんな怪獣?がいっぱい。
雪の降る窓の下には百目ちゃん。右端には頭や鼻に杉かヒノキが生えた怪獣ちゃんがいる。
(花粉症にならへんのかな)
シュールで楽しい世界。
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赤頭巾を描いた作品にもドキッとした。
赤頭巾はまるでバイオハザードを扱うために着用する衣服のようで、狼は誘惑者ではなく淋しそうな相棒に見える。こんな赤ずきん、知らない。

それから人魚姫。 現代風に描かれているのを見ると、この物語が実は大変に官能的な作品でもあることに気づく。そういえば諸星大二郎も人魚姫を描いていた。私説魚類図鑑、早く単行本になれ。

蜘蛛が趙やトンボを誘惑する話も面白かったが、その技法にびっくりした。薄い布に糸で蜘蛛の巣を縫い取りしている。た・の・し・い??!
こういうのを見ると、わたしもやりたくなるんだよな。

鉛の兵隊。せつない物語。これはCGだったが、油彩のような表現でとてもよかった。
原作のせつなさが胸に思い浮かぶような絵柄だった。

台湾や韓国の昔話を描いた作品が、それぞれの国の文化を示していて、興味深く思った。
つまり虎が女の子を食べようとして、ネズミに阻止される作品があったのだが、その使われた色彩などに我々の意識にある<中華文化>とか<朝鮮文化>を感じるわけなのだ。
これは面白いことだった。
韓国の作家による両班の婚礼から葬儀までを描いた作品もそうだった。

韓国で思い出した。以前『風の丘を越えて 西便制』というパンソリを描いた名作映画の中で、廃れゆく大道芸の一つ・飾り絵文字が出ていた。
つまり<松>という漢字を絵の松や鶴や亀で飾るのだ。きれいなものだった。
それとは違うが、日本には<葦手>というものもある。歌などを絵の中にはめ込むものだ。
今回、文字でその動物を描くものがあった。
ウサギはlapan、クマは熊、象はelephant、の文字で描かれている。楽しいな?♪
これはもしかすると、教育にもいいのかもしれない・・・
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実はコケそうになった作品がある。
この文字絵の隣に韓国の葬儀などの作品があり、その隣にいきなりふくろうと両腕に木製の手ばたきをつけた人物の、リアリズム作品が並んでいた。
なんなんだ、この並べ方は??。
笑ったら悪いが、おかしくて仕方なくなった。ああ苦しい。
キュレーターさん、カンニンしてや・・・私、アバラ打撲中で笑うと響くのよ・・・

他にも多く見るべき作品が多い。
イスラームのラスター彩や本に現れるような人物たちを変わった技法でプリンティングしたものもあった。染色もあった。
意味のわからないものもあれば、ウルトラリアリズムもあった。

ブラティスラバでグランプリを受賞したイランのゴルドゥズィヤンの特集もある。
子どものセーターに欲しいような明るい派手派手な色彩。
甥っ子に着せたい。でもチビなのでアンパンマンがいちばん好きだからダメかもしれない。
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とても楽しい展覧会だった。
毎年秋の始めの、わたしの楽しみ。
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コメント
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2006/09/17(日) 21:46 | | #[ 編集]
はじめまして!
私もこのまえの日曜に台風にもめげずに出かけました。おまけに棟方志功展にもハシゴして、もうすっかり足が棒になってしまったんですが、幸せな一日でした。
棟方志功展では、なぜか桃をかじっている女の子と宝珠を持った男の子の絵の前で目頭が熱くなりました。こんなことは初めてです。

で、押しかけトラバさせていただきましたが…相性が悪いみたいで受け付けてくれませんでした。
てなわけで自分の名前にリンクしてますので、よろしければ私の記事も読んでやってください。
2006/09/20(水) 02:12 | URL | よろづ屋TOM #SHLDkvn6[ 編集]
はじめましてTOMさん

ボローニャの後に棟方志功というのが結構多いみたいですね。
いい回り方だ・・・
ボローニャの絵本展、毎年とても楽しみです。
今からそちらへ遊びに行きます~~
2006/09/20(水) 23:40 | URL | 遊行 #-[ 編集]
あれからもう5日も経つなんて、早いな~と思いながら、その間の遊行さんの気合の入ったブログに圧倒されています。
どこの会場でも、ひとつ、ひとつ丁寧にご覧になっている遊行さんも印象的でした。楽しかったですね。
2006/09/21(木) 10:26 | URL | red_pepper #-[ 編集]
red_pepper さん こんにちは
あちこち引っ張りまわってすみませんでしたねー
お疲れさまでした。
また何か機会があれば、とはいえそのときは詰め込み出ないコースで廻りましょう。
2006/09/21(木) 13:10 | URL | 遊行 #-[ 編集]
七恵さん、コメントありがとうございました!
棟方志功展でせしめたチラシで知ったのですが、梅田の大丸では『赤ずきんちゃん展』もやってたようです。これも気になります。
でもさすがにもう我が短足は限界でしたが…もうすぐルーブル展も来るし、忙しいことです。

そうそう、『頭の上から世界を見渡せば』の絵を見て思ったのは、あれ、15センチ角くらいの柄タイルにしたら売れるだろうなあ、ってことです。お風呂とかキッチンにすごく合いそうな気がしませんか?
2006/09/21(木) 23:58 | URL | よろづ屋TOM #SHLDkvn6[ 編集]
TOMさん こんにちは
絵タイルは子供さんも大喜びだと思います。
去年かおとどしにもいい作品を出されてて、それが丁度そんな感じでした。
ところで映画ブログ凄いですね。
わたしは最近の映画より昔の映画が好きなのですが、そちらで探すのに時間がかかりそうです。
2006/09/22(金) 12:43 | URL | 遊行 #-[ 編集]
映画ブログ、お褒めにあずかり光栄です!
ホントは私もすごく影響を受けた50年代、60年代の映画をもっともっと紹介したいのですが、なかなか私がオススメしたい(または解説できるだけ詳しい)作品がなかなか全国区で放映されないのです。
関西ローカルでは結構やってるんですけどねえ。

まあ、レンタルで観てちょ、でもいいんでしょうが、やはり衛星あたりで来週観られる、って方がとっつきやすいかな、と思ってつい先送りになっています。
う~ん、やはりチョットずつでもオールドシネマの紹介もがんばってみますね。
まあ、新作映画でも気になる作品がある場合、もしかしたら拙作ブログがなにかの参考になればよいのですが。
であであ。
2006/09/23(土) 00:47 | URL | よろづ屋TOM #SHLDkvn6[ 編集]
トラックバック失礼致します。
2006/10/28(土) 21:24 | URL | toshiki #emXmKJzE[ 編集]
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