美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「春信の時代」から「待乳山と隅田川」そして「清親と安治」「東京浪漫」へ

いくつか浮世絵の展覧会をみた。
それらをまとめたい。

春信のこんなにも大がかりな展覧会は初めて見た。
千葉市美術館の次はハルカスに来る鈴木春信展。
ボストン美術館から大量の名品が来たのだ。
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春信の描く女たちは個性的だ。無個性のようでいて、実ははっきりした個性がある。先人の誰とも似ていない。
ただ、海を渡った先に魂の双子のような画家がいた。
クラーナハの描く女たちと共通する凹凸の少ない体形。
春信の描く女は未成熟の美を体現する一方で、それを柔らかそうな着物で覆う。
ここでは春画の展示はない・・・ので、柔らかな着物を着た娘たちを見ることになる。
そして若衆もまた娘とほぼ同じ体形をみせている。
つるりとした身体。ぬめりを感じさせない身体。
そこに深い官能性を見出す。

最初に春信登場以前の絵師たちの作品が紹介される。
いちゃいちゃする男女を描いている。ただし役者絵もある。
役者絵でも艶めかしく見つめ合うカップルとして描かれている。

わたしは幕末のもっとエグみのある絵が好きなのだが、こちらにはそうしたものが少ない。
エグみがない分可愛いさがあるわけだ。
というよりもっとはっきり書くと、ここにあるものは一枚絵のイラストなのだ。
イラストもいいが、ついついわたしはその奥にあるドラマを目の当たりにしたくなる。
ただの嗜好の話。

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展示された一点一点全部にわたしはなんだかんだとメモをつけている。
それをここでは挙げない。
あまりに多くの言葉を記しているからだ。
それだけ書いてもまだ満ちてはいない。
ここでそれを再現しても、あの時の喜びは伝わらない。
やはり見なくてはならないのだ、自分の眼で。

芝居をモチーフにしたもの、実在の人気者を描いたもの、架空の恋人たち。
春信の筆致はいつも滑らかだ。
丁寧に焼成された磁器のような手触りを予想させる作品。

春信で好きな一枚絵を考える。
わたしが圧倒的に好きなのは夜を描いたものだった。
恋人たち、女同士が漆黒の中、柿をもいだり花に見られたりする絵。
この静かな官能性にときめいている。

春画のまねゑもんの冒頭一枚だけがある。
しかしその後の展開は出ていないので、知らない人が見ても意味は分からない。
ちょっと残念ではある。

千葉市美術館の凄いところは企画展や巡回展だけでなく、まず常設の豊饒さだと思う。
今回も「江戸美術の革命 -春信の時代」として同時代の京都画壇、南蘋画風、彩色本、そして近代の風俗版画まで網羅して展示している。
これだけでも十分凄いのだ。
だから千葉市美術館に行くときは最低2時間は絶対にいる。

建部綾足の本が出ていた。当時やってきたゾウさんを描いたものだと思う。真っ黒なゾウさん。
蕭白の虎に虚勢を張るような獅子、憮然とした虎。
橋口五葉の美人、小村雪岱の装幀本、フリッツ・カペラリの大正の日本の人々を描いた木版画。

いずれもとても魅力的な作品ばかりだった。
これらは10/23まで。

千葉から京成線と都営線で浅草に出た。
そこから歩いて初めて待乳山聖天へいった。
「剣客商売」の秋山大治郎はこのご近所の真崎稲荷の側に住んでいる。
時代小説でおなじみの待乳山である。
そしてここは大量の幕末浮世絵を所蔵していた。



10/4までの無料展示で多くのお客さんが来ていた。
30点ばかりの浮世絵と戦前の風景写真や資料なども出ていて、かなり楽しめる内容だった。
これまでここへは来たことはなかった。
いつもこうなのかは知らないが、こうした展示が多いのなら、今後も来てみたい。

この界隈と隅田川とをモチーフにした浮世絵を楽しむ。
三代豊国時代の隅田川と美人とを描いた三枚続や広重の江戸百、二代広重(後の茶箱広重)の幕末の隅田川、明治の隅田川を描く三代広重・・・明治の清親の絵もある。
江戸百の「真乳山」に現れる女性を有明楼の女将・お菊だという推論の紹介もあり、とても面白かった。
このお寺は大根をお供えにするところらしい。今度はゆっくりと拝みに行きたいと思った。


桜橋を渡り、少し行くと「すみだ郷土文化資料館」がある。
ここへは久しぶり。今回は「清親と安治」師弟の作品展である。
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先般練馬区美術館で清親の大掛かりな展覧会があったが、わりとこの師弟の絵を見る機会はあるように思う。
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というのは近年の「明治の浮世絵」展の開催が増えたからというのだけでなく、花小金井のがすミュージアムがわりとよく企画展で彼らの絵を出してくれるからだ。

彼らの絵は新しい表現を模索したものが多いが、一方で新しい明治の世にも生きる情緒を取り込んでもいる。
江戸から東京へと変わったものの、彼らがいた頃はまだ地続きの時代だったのだ。
駕籠から人力車に変わっても、行灯からランプに移っても、それでも人間性がそうそう変わったわけではないのだ。
絵を見ながらそのことを感じていた。


最後は郵政博物館。
すみだ郷土からすぐの交番で、本所吾妻橋から押上へ一駅乗るかorここからスカイツリーまで歩くかを検討した。
というのは行った日はまだ杖をついていたからである。そしてわたしは地下鉄のフリー券を持っているので、気軽に電車に乗れるのだ。
結果として本所吾妻橋から乗車した。なにしろスカイツリーの配置を考えると、郵政博物館は最果てなのだった。

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これは前後期入れ替えもある。
一部を除いて撮影可能。

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日本橋、丸ノ内界隈に建ち並び始めた西洋建築、橋などを描いた錦絵が出てきた。







本格的な西洋建築ではなく日本の棟梁たちが考え抜いた擬洋風の建造物。
急務で自前の建築家を育てようとした日本政府はお雇い外国人を招いた。
コンドルの薫陶を受けた第一世代が活躍する頃には、錦絵に描かれた建物はなくなろうとしていた…

チラシにもある通り夢二の美人画もでている。
こちらは明治の末以降のもの。
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鳥居言人の美人画もある。
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五葉
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深水
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綺麗なおねえさんばかり。

最後に面白い双六を見たのでそれも。
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明治の流行物たち。
活人画
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女学生の自転車
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「魔風恋風」以来、女子の自転車は憧れになったのだった。

いい展覧会をつづけさまに見て、とても楽しかった。

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古代の造形 ―モノづくり日本の原点

古代であろうが中世であろうが、現代にいたるまで技術は革新され続けなければならない。

三の丸尚蔵館へいった。
何をしているのか調べもせずに。
「古代の造形 ―モノづくり日本の原点」展だという。

銅鏡と銅鐸が半身ずつを見せている。
なんとなく右の銅鐸が物凄い笑いを浮かべているように見えた。
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・石の造形  石器から勾玉まで。
縄文時代の石の鏃、石槍の頃から使い手のその手に合うよう削がれてきた石。
古墳時代になり更に手が込んでゆく。

宇和奈辺陵から世に出た石製模造品がとても可愛い。
斧や鎌と言った実用品のミニチュアのようなもの。

勾玉が集まるのもいい。
赤も緑もある。とても可愛い。わたしは橿原考古学研究所付属博物館で今出来の勾玉を買った。
赤か緑、どちらの色にするかとても悩んだ。
今ここにこうして赤も緑も大きいのも小さいのも並ぶのを見て、嬉しくなった。

細長いものは管玉、それから丸玉、棗玉、平玉と形の違うものがそれぞれの地方の古墳に埋められていて、世に出て大事に守られて、今ここにある。
それを見るのが嬉しくないはずがない。

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・土の造形
古代の土の造形と言えば埴輪。なんといっても埴輪。須恵器が出ているがやはり埴輪。
鰭付円筒、朝顔形、靭形、女子頭部、囲い型、家形…

その埴輪の中で馬形の埴輪があった。完全な形のものではなく、頭部と胴の一部だけが残っていた。
それを元の形を思わせる配置で展示している。
倒れる馬のようにみえた。この馬はもう死んでしまっているが、笑っている。
そんな風に見えた。
眼の形は甘く優しく笑う。離れた胴はしっかりしている。
失った手足はどこへ消えたのか。土に還ったか、誰かが持ち去ったのか。
仁徳天皇陵から現れた馬の姿の埴輪。

同じところから犬の埴輪も出ている。こちらは番犬のようだった。鋭い眼をしている。釣りあがった眼は鋭い。

須恵器でヒトの形をするものがあった。
耳を隠しているように見えた。
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・金属の造形
銅鐸、銅矛、銅鏡…
龍が犬歯を剥いているような図柄の銅鏡もある。
馬具、飾り板、耳飾り。
この時代に装飾性が完成されて、それから今に至るまでこのセンスは効いているような気がした。

昭和20年に発掘して世に出た兜がある。
シコロもきちんと残っていた。連続性のある位置の鋲。
出土地不明のもの、福井、愛媛…
形が同じなのは中央政権が形成され伝達事項がきちんと末端まで行ったということなのだろうか。

明治の調査の際に仁徳天皇陵に入りスケッチをした人もいる。
淡彩の甲冑図だった。

・守り伝えられたもの
大事にされてきたものたち…

ここで大事にされてきて本当に良かった。

12/10まで。

「国宝」展第一期、間もなく終了!

10/3に開幕した特別展覧会「国宝」展の第一期目もいよいよ10/15で終わる。
第二期は10/17から10/29.
本当にきっちり2週間ずつの四期。
コンプリートもなかなか難しいから、行けるときに行く、というのも悪くない決断。
悔いなき選択をして、目前の「国宝」をたのしみましょう。

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このチラシでは伝・源頼朝像と金印だけは1期ではない。
左上の平等院の雲中供養菩薩は通期、宗達の風神雷神は1と2期。
永青文庫から時雨螺鈿蔵も来ているし、山形の土偶の女神もいる。
そして左下には青磁鳳凰耳花入「万声」が場を締める。

もう本当にどこを見ても全て国宝。
どっちを向いても国宝、どこまで行っても国宝。

チラシにいなかった相棒はこちら。
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宗達に始まり光琳、抱一、其一に到る風神雷神。
全ての祖ですな。始祖の巨人ならぬ始祖の風神雷神。

展示は三階から見て回るのだが、そこにはまず藤原為家筆による土左日記。
「学校で習ったなあ」とにっこり。

いちばん時代の古い国宝と言えばやっぱり土器。
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ドキドキしますなあ。
これだけ装飾過多の土器の時代が終わった後はあのシンプルな弥生式土器。

今回の展示でびっくりするのは雪舟が一気に六点も集まっていること。
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これはもう本当に今だけの愉しみ。

仏画も御釈迦様の復活する様子のが出ていた。
これは京博の常設でなじみの大きな絵。
法然、一遍の絵巻もあれば信貴山縁起、病草紙もある。
病草紙は「ふたなり」がトップバッターだった。眠るその顔の中途半端な美貌も興味深い。

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吉祥天女もおでまし。
何年ぶりの再会か、嬉しくなる。

そして龍村平蔵が辛苦の果てにようやく再現させた獅子狩文錦、その元のものが出ていた。
中学の時からずっと感動が続く。

中宮寺の天寿国繍帳もある。ああ、本当に何十年ぶりかの再会。
刺繍の不思議。思えば正倉院御物より更に百年以前のものなのだからなあ…

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甲冑も出てましたな。これは平安後期のもので備中赤木家伝来のもの。当初の姿をほぼとどめているとか。

仏像は河内の金剛寺から長らくここに仮住まいの大日如来さんらをはじめとして、東寺の兜跋毘沙門天立像、法隆寺の広目天、醍醐寺の虚空蔵菩薩などなどが。
運慶の仏像は東博に集合中です~

やきものも怠りなし!
三井からは志野茶碗 銘 卯花墻がきている。
萬野から相国寺へ移った玳玻天目もある。
遠くからでも一目でわかる愛らしいやきものたちよ、よぉおこしやす。

最後の最後までもう本当に国宝尽くし。
これはやっぱり凄いことですわ。
こんな機会がこの先もあるかと言えば、到底あるとは思えない。
やっぱりこの力の入った展覧会が開催されている間、どうにか四期とも見に行きたい。
欲望は募るばかり…

土日と残る二日間、行ける方はぜひとも!!

「少年ジャンプ 創刊から80年代、伝説のはじまり」展 その3

少年ジャンプの昔の作品の紹介が続く。パネル展示で名シーンなどを展示する
「トイレット博士」「ど根性ガエル」「侍ジャイアンツ」「荒野の少年イサム」「はだしのゲン」・・・懐かしい。

「ど根性ガエル」の最終回を知ったのは宝島社から出た「いきなり最終回」だった。
あのラストは予想外だった。ハッピーエンドだったし、あのラストだから後年TVCMでサラリーマンになった連中が出たりするわけだ。

「トイレット博士」では「七年殺し」という必殺技が面白かったが、あれは紹介されなかったのは惜しい。
両手を水平に伸ばし人差し指を立てて「天怒りて誰某を討つ・・・臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!七年殺し!」これで技を出してたな。

「荒野の少年イサム」は近年になってから山川惣治の原作だと知ったが、なるほど今となっては納得ものだ。
西部劇に日本人が加わるマンガと言えばこれを嚆矢に「ガンフロンティア」「修羅の刻」の第四巻の話、「ヨコハマ物語」などがある。

「侍ジャイアンツ」も本編はほぼ未読だがアニメはよく見た。
とはいえわたしは虎党なので巨人には肩入れはぜっっったいにしないが。
ラストを知ったのは前掲の「いきなり最終回」から。
アニメと全く違うラストで、投げたまま大往生とはびっくりした。
この感想その1で挙げた「空のキャンパス」の二次創作マンガにもこの話が載っていた。
つまり「空のキャンパス」のラストも主人公が体操の素晴らしい演技を終えた直後、立ったまま絶命するのだ。
パロディはそこでこうなる。
「やだなー太一君、立ったまま死ぬなんて『侍ジャイアンツ』のマネじゃないのーっww」
・・・笑ったなあ。

「はだしのゲン」実は何度かリアルタイムに読んでいる。
広島弁を知ったのはここからだった。
わたしが見たのはゲンが枕経を読むバイトをしていたところ。
「げんくそわるい」と追い出される失敗の後、本当に枕経を頼まれるシーンが悲しかった。
この作品が少年ジャンプで連載された、ということが凄いと今は思う。

本宮ひろ志特集がある。
そう、本宮がいなくては少年ジャンプは大きくならなかった。
言い切るぞ、わたしは。
「男一匹ガキ大将」以降の作品群が少しずつ紹介されている。
「さわやか万太郎」「大ぼら一代」「硬派銀次郎」「やぶれかぶれ」などなど。
わたしは特に「大ぼら一代」と「硬派銀次郎」そしてその後継作「山崎銀次郎」が特に好きで本当に大好きで、今に至るまで本宮ファンであり続けている。
パネルでは「さわやか万太郎」が特に推されていた。
そう、万太郎のフィアンセの五月ちゃんが昔風の大和撫子で、今ではありえないし反発してしまうところもあるが、本宮御大の世界に自分が入り込むと、本当に健気で可愛くて、大事にしたくなる。
それに本宮世界の女たちはみんな主人公を立てつつも、彼に依存せず、自分もまた立派に生きようとする。
わたしがいちばん好きなのは銀ちゃんと結婚する高ちゃんこと高子と、プレイボーイ誌、ヤングジャンプ誌で連載された「俺の空」の一十三さん。
奥さんのもりたじゅんさんの造形とのコラボ。最高ですなあ。

話を戻す。「さわやか万太郎」についてはこのサイトさんがとてもいい紹介をしている。

「硬派銀次郎」は月刊ジャンプで連載されたが続編の「山崎銀次郎」は週刊の方で連載された。
その初登場の表紙が出ていて、わたしは嬉しくなった。
そう、覚えていますよー銀ちゃん。銀ちゃんが法被を着て口に何か紙を咥えながらこちらを見ている絵。
かっこよかったなあ、銀ちゃん。
このカッコよさにドキドキしていたのだ。
それはわたしだけではない。実際に銀ちゃんにドキドキして息子に銀次郎と付けた人も少なくない。野球選手にもいる。
そうだ、銀次郎だけではなく銀次に惹かれた人もいる。
「男一匹ガキ大将」の万吉の一の子分は片目の銀次だった。ここから伊藤銀次は名前をとったというし。
今でも「銀次」という名を聴くだけでドキドキする。

実はわたし本宮のたぶん唯一のムック本「熱血空間」を持っておりますのよ、ほほほほほ。
それにしても本宮マンガの熱さには本当にシビレた。
その御大のDNAを受け継ぐ作家たちの紹介も続く。

「アストロ球団」原作:遠崎史朗、作画:中島徳博。中島の意味不明なほどの熱さが来たね。
わたしは連載は読んでなくて文庫を揃えたクチだけど、中島が病に倒れるまで他の作品もかなり熱く読んでいたものです。
(「がくらん海峡」なんかもう好きすぎて…)
「リングにかけろ」に多大な影響を与えた作品で、わたしは「リンかけ」からこちらに読み進んだのですよ。
「朝太郎伝」も面白かったけど「アストロ球団」の意味不明な熱さはほんと、ジャンプ的だとしか言いようがない。

「悪たれ巨人」高橋よしひろも本宮の弟子筋で、この作品はリトルリーグの話だった。絵はこの当時から変わっていない。
現在も続く「銀牙」シリーズが好きだが、このリトルリーグの話も妙に心に残っている。
ラスト、プロになった少年たちが現れるが、連載開始当時阪神の監督がブレーザーだったのが数年後もそのままだというのがおかしい、と学校で同級生が話していたのを忘れない。

少年ジャンプから「えっ!まさかこの人がデビューしたのか!!!」という作家がたまーにいる。
というか、この人の作品がよくあのジャンプに載ったな…と思うのである。
諸星大二郎が現れた。
「妖怪ハンター」シリーズの紹介がある。
わたしはこの作品をジャンプでリアルタイムに読んでいた。
そのあまりの面白さにショックを受けたのが小学生だったから、本当にこれも付き合いが長い。
ここではっきり書くと、無人島へ連れてゆく一冊はたぶん「暗黒神話」になると思う。
他にも多くの偏愛する作品がごまんとあるが、一冊だけというのならこうなるだろう。

今思ってもジャンプはある時期までは非常に実験性の高いところがあったのだなあ…
星野之宣、村上もとか、寺沢武一…彼らがジャンプ出身だというのが本当に凄い。

サーキットの狼 懐かしいなあ。スーパーカーブームの牽引役だったと思う。
今ちょっと調べたらなんとミュージアムが開設されていた。こちら
実際に作品に出てきたスーパーカーが集まっているというのにはびっくりである。

プレイボール ちばあきおは「キャプテン」を月刊で連載し、高校野球を週刊で連載した。地道で外連味のない、本当に息の長い作品で、真面目に高校野球をする少年たちはこの「プレイボール」と水島の「ドカベン」は必読書だと思う、というか、やっぱりみんな読んでいるのである。
現在、コージィ城倉により、ちばあきおテイストを崩すことなく続編が描かれている。

包丁人味平  グルメ漫画の元祖だと思う。わたしがリアルタイムに読んだのは肉のバラ糸崩しとか、気を失わせた魚の生け作りを水槽に入れて再び泳がせる辺り。
後年全編を読んでカレーの話を非常に面白く思った。色々と納得のゆく話だったのだ。

1,2のアッホ 出たー!懐かしい。カントクと定岡ちゃんの妙なギャグが面白かった。
ゲストに出てきたオージリー・ヒップバーンは最高でした。
他に忘れられないのがカントクが目が見えんとか言い出す話。常に丸い黒メガネのハゲ爺であるカントクがいよいよダメかと思って皆が惜別の言葉を贈っていると、「あっわし、眼を開けてなかった」というオチにはコケてしまったぞ。
コンタロウはその後ヤンジャンで「いっしょけんめいハジメくん」をヒットさせたが、ジャンプ愛読者賞に描いた読み切り短編の落ちぶれてゆくプロレスラーの物語が壮絶で、コンタロウのシリアスは背筋が寒くなるものだと思った…

ドーベルマン刑事 / ブラックエンジェルズ  二作が紹介されていた。ド迫力の暴力でしたなー。どちらも救いがない…
ドーベルマン刑事・加納の最期が悲痛でね…ブラックエンジェルズの展開にもちょっと驚いた。まさかこうなるか、と。
日常からディストピアへ移行したのにはほんとうにびっくりした。
望月あきら「狩人」みたいな感じと言うか「必殺仕事人」で行くのかと思ったらあれだからとんでもない展開でしたなー。

東大一直線  これも最初はニヒルさはあっても普通のギャグ漫画だったが、弓月光「エリート狂騒曲」と同様に最後は東大入学かと思っていたのだが、続編でヤンジャン連載の「東大快進撃」、あのラストの衝撃は非常に大きかった。
これは完全に続編の方が面白かった。
「括目せよ」と作者が何度も繰りかえす中、安田講堂の崩壊という幻影と主人公・東大通の崩落とが描かれているのは本当に凄かった。

コブラ  これもよくジャンプで連載したなと時々思う。何度読んでも飽きないし、定期的に再読する作品。アニメもよかった。
とにかく大人っぽくておしゃれでかっこよくて…スペオペ作品として最高だといつも思う。

リングにかけろ  わたしの人生において魂の底から熱狂した作品。三原順「はみだしっ子」の後に熱狂した。
実際、中学の3年間を「リンかけ」に捧げた。
今もジャンプ本誌から抜き取ったページを保存しているし、カラーページも大事にしている。
やっぱり面白いのは「影道」篇以降世界大会から蘇生してギリシャ12神vs世界連合Jr戦。
あまりに好きになりすぎて、こちらのアタマもおかしくなるくらいだった。
この作品にリアルタイムに出会え、共に燃えたことは本当に嬉しい。
続編もけっこう好きだ。

ここで車田御大のミニ特集があった。
「風魔の小次郎」「男坂」などが紹介されている。「雷鳴のザジ」はない。惜しい。「雷鳴のザジ」は伏線を張りすぎて回収できないまま終わってしまったが、面白かったのに。
今回知ったことだが早々と打ち切られた「男坂」を今御大はwebで再開しているそうな。
そうなのか。
どちらかというと御大の破天荒ぶりは「リンかけ」「聖闘士星矢」のような方がいいのだけど…

すすめ!パイレーツ / ストップ!ひぱりくん  前者のギャグはドタバタもので小さい楽しさがあった。
ひばりくんはかなり好きだったし、これがジャンプ連載されていたのが80年代の在り方だと思いもする。
しかし残念なことに江口が例の「白いワニがみえるー」とか言い出したのでどうも・・・
これも今から思えばひばりくんは男の娘というより・・・・・・・・
好きな作品だったなあ。

ホールイン1 金井たつおはこの後の「いずみちゃんグラフィティ」やヤンジャンに移ってからの「ロンリーロード」「ばぁじんロード」が特によかったが、とにかく可愛い絵の人だった。この作品も後半が面白かった。わたしの好きなキャラが後半になってから動き出し、話がそれで面白くなったということもある。
そうそう、師匠の「山崎銀次郎」終盤で、金井は高ちゃんに勘違いさせる女性キャラを描いていた。

テニスボーイ  明るいカッコ良さがあったなあ。途中で意味不明な必殺技がいっぱい出てきたが、それなしでも十分面白いテニスマンガだったと思うのだが・・・

紹介で思い出した作品も多い。
「4丁目の怪人君」「赤点教師梨本小鉄」とか。当時のわたしはあんまり関心がなかったが、それでもいくつかのシーンが蘇るところを見ると、やっぱり面白くは思っていたのだな。

銀牙 流れ星銀  熊犬という存在を知ったのもここからだったなあ。今では漫画ゴラクに連載の場を変えているが、本当に面白い。わたしは猫派だが高橋よしひろの犬マンガは好きで、銀牙シリーズはかなりたくさん集めた。
近年知ったことだが、銀牙は北欧では国民的な人気があるそうで、めでたいことだ。
今は「銀牙~THE LAST WARS~」が好評連載中。

漫画ゴラクは80年代のジャンプで活躍した作家さんがいい作品を連載している雑誌である。
今のわたしは少年ジャンプは「HUNTERxHUNTER」の掲載がある時以外は読まないが、ゴラクは毎号必ず読んでいるのだ…

ハイスクール奇面組  中学編からハイスクール編へと変わっても面白かった。ギャグではあるが、個別のキャラの家庭の事情などは案外シリアスで、身につまされることも多かった。とはいえあのラストはないやろ…

シェイプアップ乱 / ジャングルの王者ターちゃん  えっちだしげひんだし、でもところどころにいい話があるし…
むしろ少年ジャンプからあとの青年誌での「バンパイア」とかそちらの方が好きだ。

魔少年ビーティ  これが出たとき、「なんかちょっと違う人が出てきたな」と思ったことを覚えている。そしてその予感は大当たりした。

ジョジョの奇妙な冒険  リアルタイムでずーっと読み続けてきたのだなあ。無駄無駄無駄とは言われないだろうね。
リアルタイムに読んでて面白かったのはやっぱり承太郎の話までなのだが、あとのはコミックスになってまとめ読みしないと面白味がわからなくなってしまった。そしてまとめ読みするとやっぱりむちゃくちゃ面白いと思うのだ。

空のキャンパス / 神様はサウスポー どちらも感動ものだったが、その1にも書いた通り「空キャン」はけっこう二次創作で楽しませてもらって・・・いい話なんですよ、本当に。

きまぐれオレンジロード、ウイングマン…懐かしいというより、この時代だったことにもギョッとする。

激!極虎一家 / 魁!男塾  この泥臭さがまた好きで。「男塾」は今ではゴラクの週刊誌と別冊とでそれぞれ連載しているが、やっぱり「わしが男塾塾長江田島平八郎である!」のあの力強さがいいよなー。

ろくでなしブルース  90年代かと思っていたが80年代から連載していたか。4コマの「ろくでなしぶるーちゅ」も面白かったなあ。
滋賀の出身の人だけに関西弁のニュアンスも絵に含まれていて、そのあたりがけっこう好きだった。

こちらは8月末まで開催されていたメトロでのジャンプスタンプラリー。
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そして全点制覇のご褒美のファイル。
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ショップも楽しかった。
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10/15でこの展覧会も終わるが、次は90年代ジャンプの展示がある。
「幽遊白書」「スラムダンク」「ヒカルの碁」の登場がとても楽しみ。

「少年ジャンプ 創刊から80年代、伝説のはじまり」展 その2

先日の続き。
その1はこちら

ジャンプ創世記の頃、「男一匹ガキ大将」と「ハレンチ学園」が世を席巻した。
特に「ハレンチ学園」が世に出たことで、今では信じられないほどの凄まじい衝撃が世間を騒がしたそうなが、これは日本の現代史のトピックの一つになっている。
さてわたしはリアルタイムには読んでいないが、単行本は案外読んでいる。とはいえそれもかなり後半の方で、ハレンチ大戦争の頃から読みだしたので、初期の機嫌よくワタワタしているのはほぼ知らない。
つまりわたしが見たのは教育委員会との全面戦争でキャラがどんどん死んでゆくところからだったのだ。
小1か小2だったと思う。そんな時に作品の主要人物の大半が「本当に」死ぬのを見たのだ。あれはもう完全に自分の中に根を下ろしていて、後年「伝説巨神イデオン」でキャラが全滅するのを見たときも、大して衝撃を受けることもなかった。いや、好きなキャラが死ぬのは今もつらいしせつないが、まあやっぱり人生の最初の方に見たのがあれだからなあ。尤もイデオンの場合、富野監督だからとしか言いようがないか。

ここでの展示も最初の明るくえっちな展開とキャラ紹介の次にはその大戦争がくる。
紹介はそこまでだった。
主役の山岸君の両親で精肉店を営む夫婦が死体を集めて売りさばこうとして間違って死ぬという続きがあるが、それはここには展示されない。
山岸君は何も知らず機嫌よく戦場に戻り「これは父ちゃんに似た肉、これは母ちゃんに似た肉」と言いながら両親の遺体をタダで仕入した肉として運んでゆくのだ。
随分昔に読んでかなりの時間が経つが、忘れていないのはやっぱり衝撃だったからだろう。
現在永井豪が「激マン」でも「ハレンチ学園」のことを描いたが、そこにはあの大騒動の顛末がメインとなっていた。

知らなかったことがある。
「高速エスパー」の連載が週刊誌になったばかりの頃にジャンプで連載されていたのだ。
松本零士の初期のヒット作の一つ。
わたしはマンガは読んでいないが特撮ドラマは大好きで今も時々♪バババババビューンと空を飛び~と主題歌を歌うことがある。
当時の絵はまだ「松本あきら」の絵だと言ってもいい。可愛らしい絵の頃。

「CITY HUNTER」の登場である。
原画と拡大パネルと映像とでカッコいいシーンとギャグとを同時に楽しませてくれる。
そう言えばよしながふみ「きのう何食べた?」は筧史朗と矢吹賢二のカップルの食生活を中心としたマンガだが、賢二は同じゲイカップルの友人・小日向と航に、シロさんは「三次元の冴羽獠」と惚気ていた。どこがというツッコミを躱して、賢二は史朗に獠を見てときめいている。

「CAT'S♥EYE」も共に展示されているが、始まった頃の方が好きだった。これは北条司のデビュー作だった。色々と古いことが思い出されてくる。
話が佳境に行くほどに後の作品の在り方も見えて来て、その点もまた興味深い作品。
アニメも面白く、歌もカッコよかったなあ。

わたしは元々ラブコメが好きではないのでちょっと身を引いて読んでいたが、こうした洒落てて大人っぽい作品が少年ジャンプに連載されていたのは、やっぱり妙に嬉しいことでもあった。
そう、わたしは「少年ジャンプ」そのものを愛していたのだ。

満を持して「キャプテン翼」が来た。
これに関してはもう本当に詳しく書けないほどのめりこんだ。
ここでの展示では当時のグッズも紹介されていて、今も手元にある下敷きなどが出ていた。
三杉君のアップの絵柄である。
今もグランドジャンプで連載していて読み続けているが、一旦離れてこうして接すると、また面白味が深まっていることに気付く。
中学生篇の頃から現在の絵柄に固定されたように思う。そして相変わらず元気で嬉しい。
みんな成長したが、原作には一切の官能性がないのもいい。
翼くんと早苗ちゃんの結婚も嬉しいことだ。
翼くんももうすぐ双子のパパになる。

話が先走ってしまった。
展示をみているとあの当時の熱狂とのめりこみが蘇ってくる。
好きなキャラはやっぱり30数年後の今も好きだ。
わたしが完全にフジョシになったのはやっぱりここからだろう。
(当時はその言葉もないが)
尤もそれ以前から色々な作品のカップリングにときめいていたが、実は友人らと二次創作を始めたのはこの時期で、別ジャンルからこっちへ来たのが1985年の七夕だった。
もう本当に今に至るまで「ただのフジョシ」なのである。
いまも手元に大量の「キャプ翼」の薄い本が・・・。

色んな技があったなあ。どう考えても「なんでやねん」なものも多いが、この作品を見て育った少年たちから後のJリーグが生まれたことを思うと胸が熱くなる。
世界中に「キャプテン翼」のファンがいる現在、本当に素晴らしい作品がここで連載されて良かった。
そうそう思い出した。
「なにーっ!」これだよこれ。
「キャプテン翼」といえば「なにーっ!」。はっはっはっ、好きなことが無限に溢れ出してくる。

「聖闘士星矢」が来た。
黄金聖闘士のフィギュアがずらりと並ぶのもいい。
背後に星座が・・・
そう、わたしも青銅より黄金のお兄さんたちが好き。
今もそう。これにも本当に薄い本やオンラインで…あわわ。
作品としては「ハーデス篇」がやっぱり最高なのだが、とにかくあれだ「うろたえるな小僧ども!」とシオン様が青銅の小僧どもを宙へ放り投げるシーンを始め、さすが車田御大、とうなるのが多い。

ところでこちらは1984年の13号。今も手元に残している唯一の完全なジャンプ。
あとはバラバラにして好きなシーンやページだけ抜き取りとかしているのだ。
この号は本当に面白かった。
イメージ (371)
「聖闘士星矢」だけでなく、他の作品もみんな素晴らしい。
「銀牙」の最終回が載るのもこの号。
「銀牙」といえば今も銀の孫のシリウスやオリオンが活躍している。
これはまた後に。

「キン肉マン」のコーナーで何か肉色のものが見えた。
諸星大二郎「肉色の誕生」や寺沢武一「コブラ」のあれこれを思い出したが、近寄ると大量のキン消しだった!
なんとこの展覧会のために改めて型を起こして30000個を拵えたそうだ。
びっくりしたなあ・・・
そして超人たちの紹介がずらり。
戦ってそれから仲間になる、というのがジャンプだもんなあ。
超人たちそれぞれに性格や過去があり、そこがまた面白かったな。
「ウルフマン」は千代ノ富士がモデルで、アニメ化されるとき千代に遠慮して「リキシマン」になったそうだが、千代は面白がっていたそうだ。
そうそう、千代と言えば「ジョジョ」の第三部冒頭に承太郎が留置所にいるとき、どこからか持ち込んだラジオで聴いていたのが千代ノ富士の取り組みだった。

マッスルドッキングの立像があり、それにも驚いた。本当によく・・・拵えているなあ。

今もまだ連載しているように錯覚してしまうのが「こち亀」。
もう終わったなんて嘘みたい。
長い話なのでどう展示するのかと思ったら、楽しい双六形式になっていた。
町の描写もいい。看板や貼紙がリアル。
わたしが東京の下町歩きが好きになったのは間違いなく「こち亀」のおかげ。
ちなみに鎌倉が好きになったのは立原正秋と西岸良平の力。
思えばわたしも随分古くからの読者だ。
秋本治になる前の「山止たつひこ」時代から読んでるからなあ…

鳥山明作品登場。
Drスランプとドラゴンボール。この登場は衝撃だったなあ。
ジャンプでこんなに可愛らしい絵を見ると思わなかった。
Drスランプは楽しいマンガだったし、この作品から男性の短髪の良さがマンガ界にも浸透したように思う。
最初則巻千兵衛さんはアフロ?のようなアタマだったがすっきりカットしてよくなり、それから町でもそんな男性を見かけるようになった。
「ブレードランナー」のハリソン・フォードより先の話。

「天下一武道会」の映像が流れてる。迫力があるよ。
わたしは亀仙人さんがジャッキー・チュンの顔を見せて申し込む辺りの展開が結構好き。

ながくなったので今回はここまで。
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