美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

梅雨なのでカエル。

空梅雨だと言われていたが、今日はもうたいへん雨。
梅雨前線働きすぎ。
ところで過ぎてしまったが、6月6日は「カエルの日」らしい。

カエルと言えばわたしはやっぱりこの1954年のソ連アニメーション「カエルになったお姫様」がベスト。

冷戦下ではあるが、初期のディズニー映画の影響を受けた作品で、その作画の美しさには息をのむ。
背景や小道具などの美麗さは帝政末期のイワン・ビリービンを思わせもする。

こちらは先般感想を挙げたウォルター・クレインの「カエルの王子様」
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本人が不本意なままにカエルにされる、という話は少なくない。
アンデルセン「沼の王の娘」もそうだ。
エジプトの王女が悪計により沼に沈められ、その沼の王の子どもを産む。
子どもは昼間は可愛らしい姿をしているが心は悪く、夜はカエルになるが、心は綺麗だという。
とても好きな物語だった。

カエルと言えば河鍋暁斎が大好きで、たくさんカエルの絵を残している。
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カエルの大名行列
ほかにもカエルの相撲大会などもある。

渡辺南岳 殿様蛙行列図屏風  こちらも同じく。
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そうそう宮沢賢治「カイロ団長」もカエルの話だったな。

カエルの絵本も数あるが、馬場のぼる「いまはむかし さかえるかえるのものがたり」は面白かった。
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松岡享子さんの言葉遊びがよく、馬場さんの絵と相俟って面白くてならない絵本に仕上がっている。

若冲の面壁九年なカエルもいい。
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わが国には二大カエルがいる。
一は藤城清治の生み出したケロヨン。
おとなになって、教文館で展覧会見るまで、ケロヨンが藤城さんの生み出したキャラだとは思いもしなかった。
びっくりしたなあ。
ケロヨンと友達のモグラのモグちゃんのハグ
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一は平面カエルのピョン吉。ど根性ガエルにはびっくりしたなあ。
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わたしはアニメの方しか知らなくて、マンガを読んだのは宝島社が刊行した「いきなり最終回」あれなのだよな。
人情もので面白かったわ。
今も人気あるものな。

やっぱりカエルはなんとなく可愛いな。

あっガマをハブしてた。
ここはやっぱり児雷也、天竺徳兵衛らの蝦蟇を挙げないとな。
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国芳には「がま手本ひょうきん蔵」という忠臣蔵のパロディもあります。

あと蝦蟇と言えば「仮面の忍者赤影」の金目教。これに帰依しない村人たちを巨大蝦蟇が襲う。
その蝦蟇は甲賀幻妖斎のあやつる蝦蟇なんだけど、ええ動きしてたなあ。

というわけでカエルはおしまい。
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紫陽花をみる

定宿の前の道路はこの時期は紫陽花であふれているので、いつからか遠出して紫陽花を見る、というのをやめてしまうようになった。
それで昨日・今日と都内にいて、今朝紫陽花見ようと表に出たが、その紫陽花がない。
少し北へ上がってもなかなかない。ようやくみつけたのはちょっとしぼみつつあるガクアジサイ。
丸玉の方のはない。おかしいなとまたまた歩いて歩いてようやくみつけたが、だいぶ萎れていた。
残念やな、ちょっと時季が遅れたみたい。
そやけど、そこから横に入るとまだまだ咲いていたのでよしとしよう。

で、昨日は横浜美術館に行き、日本画室をのぞくと見えたのがこちら。
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安田靫彦 窓
これ、なんで「窓」いうタイトルなのか長らくわかってなかったが、よくよく見れば、一種の錯視、トリックアートなわけで、花は外に咲いていて、窓際に空の花瓶があるのが、そこに紫陽花を生けたあるように見えるように描いてはるのです。
そう、靫彦にやられましたな。
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ガクアジサイが窓から顔を見せてる。
一枚板のええところに赤絵の水滴、青磁の透かしの筆立、文鎮はよう見たら犬みたいなもの。
ええ絵ですな。

それでちょっとした公園に行くと紫陽花はこんな感じにあったりする。
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紫峰 青梅の頃
山吹の葉と青紅葉がいっしょ。

子どもの頃はこっちの丸いのが好きだった。
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しかし大人になるほどガクアジサイの良さに惹かれるようになった。
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まあそうは言うてもこんな風に丸々してたら、やっぱり可愛いてしかたないと思いますな。
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紫陽花は絵もいいが工芸品になってもよろしい。
螺鈿でキラキラするのを見ると嬉しくなる。
琳派の紫陽花は絵でも螺鈿のようにキラキラ。
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抱一と雪佳
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俳画にも紫陽花のええのがあります。
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白い紫陽花も好き。明月院に行った時、雨上がりで無人で、という奇跡みたいな時間をもらいまして、堪能したなあ。
そのとき白い紫陽花がワイシャツみたいな白さで綺麗なと思ったなあ。
あれからなかなかそこまで白い紫陽花にはお目にかかってへん。
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溺れてしまいそうな紫陽花もある。
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蕩けてゆく…

まだ盛りのところがあるなら行きたいと思う。

二つの近代絵画展を見て回ってから

先ごろ「道を尋ねて何かに出会う」のブログの方でふたつの展覧会の感想を挙げた。

「マティスとルオー 手紙が明かす二人の秘密」@汐留ミュージアム
「拝啓ルノワール先生 梅原龍三郎が出会った西洋美術」@あべのハルカス

どちらも温かな人間関係が活きていたことを教わったが、絵画だけでなく手紙や随想がとても印象に残った。
それで面白いのは関東と関西のチラシの違いに、アプローチの違い。
「拝啓ルノワール先生」展の場合を挙げる。
関西では「梅原龍三郎が出会った西洋美術」
関東では「梅原龍三郎に息づく師の教え」
それぞれの副題の違いが面白くもある。
つまりこの副題を踏まえて作品を見ると、違う面が見えてきたりもするのではないだろうか。

わたしはこの四人…ルノワール、梅原、マティス、ルオーでは最初はルノワールが好きで、次に梅原が好きになり、そしてマティスに来た。ルオーはそこまで好きになっていないが、汐留ミュージアム、出光美術館で見る内に段々と馴染んできて、大昔に比べると、随分近くに来たように思う。

多くの日本人が西洋絵画を愛するようになったのは、やはり白樺派の紹介があってのことだと思う。
黒田や浅井忠らが熱心に広めたが、それは描く側を育てるところまでだった気がする。
鑑賞し、愉しむのはやはり白樺派が「白樺」で紹介し、大原美術館が軌道に乗ったあたりからだと勝手に思っている。
年代的なことをきちんと調べて書けばいいが、別に私は美術史家ではないのでエエ加減な思い込みを書いている。

日本人はルノワールとセザンヌとのファンに二分されていた。
現在はもうそこまで印象派に淫する若い人は少ないが、現在のある世代以上は確実にそうだった。
そして彼らに影響を受けた日本の洋画家も大勢いて、特にセザンヌに傾倒した人々は「セザニスト」となり「セザニスム」を広めた。
代表として安井曾太郎がいるが、その安井の「ライバル」が「ルノワールの弟子」梅原なのだ。
その梅原と安井が長らく日本洋画界を牽引した。
二大巨匠。だがもう一人須田国太郎が加わると三羽烏ということになる。

ところで梅原は絵だけでなく筆も立つ人で「天衣無縫」という名著もある。
このことについて戸板康二が面白いことを書いていた。
日本の洋画家には筆の立つ人が多いという話である。
確かに中川一政などもエッセイストとしても一流だった。
夭折した村山槐多には怪奇小説「悪魔の舌」がある。
有島生馬もエッセイだけでなく小説「蝙蝠の如く」があるが、生馬の場合は兄が有島武郎、弟に里見弴もいることから、元々文才に恵まれていたとも言える。

その梅原が亡くなった時のことを覚えているが、いい一生だったなあとあの当時感嘆した。
あれからだいぶ時がたったが、今も梅原の作品は生きていて、大勢を魅了する。
それを思ってもやっぱり梅原は素晴らしく豪勢な人生を送ったと思う。

展示の中に自画像や「ナルシス」などがあったが、梅原はややハレマブタながら立派な顔で、しかも若いうちから自信家なので態度も堂々としている。
女に対する当り方は違うが、谷崎潤一郎と共通するものをたまに感じることもある。
梅原は若い頃、京劇の大輪の華・梅蘭芳に自らをなぞらえて「梅原龍」メイ・グァンロンと名乗って俳優もいいな、と言ったそうだ。
ただ、彼の俳優志望は北京時代以前のフランスの頃からなので、その頃ならなんと名乗ったことだろう。


マティスとルオーがモロー先生の弟子だったのは本当に良かったと思う。
この二つの展覧会では「先生」というキーワードも活きているが、ルノワール先生はあくまでも梅原が私淑しての名称であり、学校という枠組みの中での呼び名ではない。
学校の先生ということでモローが二人を指導したわけだが、モロー教室の輝くような卒業生を見ると、本当にこの人はすごい先生だったのだと感心する。
モローは区分すると「象徴派」の一人となるが、自分の世界を守りつつ、弟子たちには一切それを強いず、それぞれの個性を伸ばす手助けをした。時には公的な支援もした。そしてルオーへの愛情はやさしく、スゴイ作家になりそうでもカネには困りそうだとみるや、自分の美術館の館長に据えた。
こういう所を見ると、本当にマティスもルオーもモロー教室の生徒でいてよかったなあとよそながら喜ぶ。

梅原がルノワール先生の法事のために久しぶりに渡仏した時、その集まりでファラオのコスプレをしていたマティスに出会い、もっと前から会いたかったねと言われた話が好きだ。
「法事」と軽く書いたが、キリスト教のそれは何をするのか知らんが、コスプレをする人もいる、というのがなかなか興味深くもある。
亡き人をしのぶだけでないのは、主催者がジャン・ルノワールだからか??
こうした集まりはとても映画的だと思うのだ。

どちらの展覧会も
20世紀初頭の美術の世界をわたしたちのもとへ近づけてくれる展覧会だったように思う。

ティツィアーノの描く膚から思い出すこと

先日、東京都美術館で「ティツィアーノとヴェネツィア派」展を見た。
その感想はこちら
そこでも書いているのだが、ティツィアーノ描く女の膚の艶めかしさ・張りは本当に素晴らしい。

以前に見てきたティツィアーノの絵のうち、このブログで挙げているのは大まかなところでこの二つの展覧会。
・ウルビーノのヴィーナスを観て (2008/05/07) 感想はこちら
・カポディモンテ美術館展 (2010/07/25) 感想はこちら
ウフィツィ美術館で見たときもティツィアーノの女たちの膚にくらくらした。
今回の展覧会のコピーにも既にそのことが示されている。
「バラ色の女神の誘惑。」
バラ色の膚を称えている。

ゆったりした美人の広がる膚。触り心地の良さそうな肌。
よく肌の滑らかさは日本人のそれが第一だと言うが、それは湿潤な気候あってのことで、ヴェネツィアあたりの気候から考えると、やっぱりこの艶めかしい膚の表現というものは凄いのではないか。

彼がどのように絵の具を塗り重ねたのかは知らない。
しかし膚の美しさを出すためにはたいへんな辛苦があったろう。

これで思い出すのが水野英子と北島洋子の合作である「赤い肖像画」という1978年の作品。
「花とゆめ」に読み切り掲載された。
わたしもはるか昔の記憶なので細かいことは忘れたが、ある画家が貴婦人の肖像画を描くために自分と付き合いのある女の血をもらう。その血を使わねば貴婦人の肌の美しさは表現されないと画家は考えたのだ。
それで貴婦人は実物以上に美しく描かれるのだが、嫉妬と絶望と怒りから女が絵を切り裂いたとき、貴婦人もまた斃れる。
そして男はまた別な道を行くのだ。
今ちょっと調べると京都国際マンガミュージアムにも花とゆめの掲載号が所蔵されているようだ。
合作ものなので単行本化ができなかった、という話は水野英子展が弥生美術館で開催されたとき、美術館を通じて水野先生からお答えをいただいている。

膚を描く、ということは大変な労力である。
望月玲子「ヴァルダ―迷宮の貴婦人」もまた膚の美を描くために血が使われ、更に愛憎故に貴婦人に呪いをかけた画家の執念が貴婦人を吸血鬼にする、という恐ろしい話だった。

どちらも外国が舞台の物語となっている。
日本で膚の美を再現するために辛苦する話は知らない。
しかし、人の膚ではなくやきものの膚への執着について書かれたものならいくつか知っている。
また、谷崎潤一郎の小説にはしばしば延々と膚の美について書かれている箇所がある。
芸術家の執着。
そんなことをティツィアーノの描く女の膚を見ながら思い出した。

陶板で見るシカゴ美術館所蔵名品 

大阪市の地下街には様々な面白い場所がある。
2004年、大阪市と姉妹都市のシカゴにある「シカゴ美術館」の所蔵する名品数十点を陶板にして、大阪市の四つ橋線・なんば駅近くにシカゴギャラリーなるものをこしらえ、道行く人々に楽しんでもらおうとした。
この場所は昔でいう国鉄の湊町とも近く、こうして地下が出来て綺麗になった。

陶板は素晴らしい出来で、日本の技能はまさに賞賛に値する。
陶板と言えば大塚国際美術館、陶板名画の庭が有名だが、大阪では無料でこちらのシカゴギャラリーと、クリスタ長堀の東方面で浪花百景が楽しめるようになっている。

とりあえず写真撮影したので、ちょっとばかり楽しんでください。
なおタイトルと作者名はあえて書かないままにしている。

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日本人好みの選択だと思う。

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中にはこのように三連展示も。
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再び三連。

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撮影もまずいなりにきちんと画像が捉えられたのはよかった。
歩きながらあちこちの柱や壁面を撮るのも楽しかった。
よければシカゴギャラリーに実際に出向いてみてください。

追記2017.4.30撮影
日本橋でもみかけた。
コローとルノワール
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