美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

2016.6月の記録

20160603 近代の日本画 五島美術館
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20160603 よみがえる仏の美 修理完成記念に寄せて 静嘉堂
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20160603 鏡の魔力 / 若き日の雪舟 根津美術館
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20160603 歌川広重 東海道五十三次と富士三十六景 浮世絵太田記念美術館
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20160603 中村不折の魅力 生誕150年記念 中村屋サロンの芸術家 新宿中村屋
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20160603 挿絵黄金時代の仕事 紀伊国屋
20160603 恐竜博2016 科学博物館
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20160603 黄金のアフガニスタン 守り抜かれたシルクロードの秘宝 東京国立博物館
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20160604 光琳とその後継者たち 畠山記念館
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20160604 メディチ家の至宝 ルネサンスのジュエリーと名画 東京都庭園美術館
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20160604 Revalue NIPPON Project 汐留ミュージアム
20160604 美の祝典 Ⅱ 水墨の壮美 出光美術館
20160604 シンデレラの世界 アメリカに渡ったシンデレラ・ストーリー 日比谷図書文化館
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20160604 ZAKKA雑貨 21-21designsight
20160604 広重ビビッド サントリー美術館
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20160604 俺たちの国芳 わたしの国貞 ブンカムラ
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20160605 谷崎潤一郎文学の着物を見る アンティーク着物と挿絵の饗宴 弥生美術館
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20160605 華宵の可愛い動物/大正時代の「かわいい」 弥生美術館

20160605 私がわたしであること 森家の女性たち 喜美子、志げ、茉莉、杏奴  森鴎外記念館
20160605 美をあふぐ 華麗なる巨匠たちの扇の世界 郵政博物館
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20160605 北大路魯山人 和食の天才 三井記念美術館
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20160605 川端康成コレクション 伝統とモダニズム 東京STギャラリー
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20160609 兵庫津 岡方会所 建築探訪
20160611 芸能衣裳の美 吉村ゆきそのの美意識 東大阪市民美術センター
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20160611 涼を呼ぶ美術 滝・鯉・龍 大和文華館
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20160611 和紙 近代和紙の誕生 奈良国立博物館
20160611 仏教美術 奈良国立博物館
20160618 森村泰昌 自画像の美術史 「私」と「わたし」が出会うとき 国立国際美術館
20160618 田中一光 国立国際美術館
20160618 コレクション展 ・肥前磁器の展開 ・異郷の空 ・源平物語絵 ・中国四大美人!?<明妃出塞図>を読み解く ・仏教美術 聖徳太子をめぐる美術 大阪市立美術館
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20160619 上島鳳山と大阪の絵師  泉屋博古館
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20160619 中国古代青銅器 泉屋博古館
20160619 文様ことはじめ 茶道具の文様と意匠 茶道資料館
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20160619 江戸の植物学 京都文化博物館
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20160625 ポンピドゥー・センター傑作展 ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで 東京都美術館
20160625 現実へのまなざし、夢へのつばさ 現代翻訳児童文学の半世紀 国際こども図書館
20160625 古代ギリシャ 東京国立博物館
20160625 東博 浮世絵 東京国立博物館
20160625 東博 古陶 東京国立博物館
20160625 東博 日本の絵画 東京国立博物館
20160625 東博 法隆寺館 東京国立博物館
20160625 東博 アジアの文物 東京国立博物館
20160625 ほほえみの御仏 二つの半跏思惟像 東京国立博物館
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20160626 中村不折 生誕150年記念 不折作品を中心に 書道博物館
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20160626 中国古代青銅器から仏像まで 書道博物館
20160626 ミケランジェロ ルネサンス建築の至宝 汐留ミュージアム
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20160626 美の祝典 Ⅲ 江戸絵画の華やぎ 出光美術館
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文様ことはじめ 茶道具の文様と意匠」

茶道資料館で可愛いものを見た。
「文様ことはじめ 茶道具の文様と意匠」である。
ふと気づけばまた会期が終了していた。
最近こうしたうっかりが多い。いい展覧会があればとりあえずツイッターで紹介するので、本格的に感想を挙げるときにはアララの手遅れということが近年多くなっていて、反省してはいる。

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チラシ表、トリミングが素敵だ。
綺麗なお菓子の取り合わせのようだと思う。
白菊、柳、七宝繋、月梅、利休梅、つぼつぼ、蔦の細道、雪輪、宝袋。
和の美意識を堪能する。

12か月花鳥図のうち7月 青梅 川端龍子  ここで龍子の絵を見るのは珍しい。予想もしていなかった。大きな絵ではない。薄墨の葉に3つばかりの青い梅の実が。
みずみずしさと清らかさがある。

同上 2月 梅花 龍子  おなかがオレンジ色の小鳥が薄紅梅をみつめる。蜜を吸うのだろうか。
この花の梅とあの実の梅とが同種かどうかは知らないが、こうして愛らしく咲く梅の花が散って、数か月後に身重になり、青梅を実らせる…なにか不思議な感じがする。

花筏蒔絵真塗手桶水指 9代中村宗哲  千家十職の塗師の中村宗哲。とても綺麗な文様。明治の蒔絵。

武蔵野画賛「萬里秋」 裏千家14代無限斎  どこか小村雪岱を思わせるような繊細な絵。

この無限斎の書いたもの・描いたものがいくつも並んでいた。
一行書「花」、菊画賛「無事是貴人」、桐木地菊置上蛤香合、蝙蝠画賛などなど。

紫交趾がある。明から清にかけてのものと16代永楽善五郎(即全)のものと。
華やかなやきもの。わたしはこの仲間にあたる法花がまた特に好きだ。
即全の明るくて華やかなやきものは他にもある。
金襴手、色絵雲錦、色絵紫鳳凰、山吹色の黄交趾・・・

11代善五郎(保全)では染付動物絵水指がいい。ゾウやラクダや鹿が描かれていた。

小倉山蒔絵硯箱 狩野伊川院栄信下絵・中山胡民  物語が文様になるのは伊勢や源氏だけではない。この水滴は紅葉だった。かいらしわ。

夕顔画賛 鹿都部真顔  うむ、瓢の花。

瓢箪の茶入れもある。千種有功好み。  今なら「いやげもの」に分類される瓢箪のグッズである。
千種有功(ちぐさ・ありこと)といえば学生の頃に見ていた唐詩選ぬきほに彼の翻訳和歌があった。
今も忘れない人。

源氏物語絵貝桶やその貝もある。大きく立派なハマグリ。
源氏物語絵貝香合は真葛長造の作。ここでこの人の展覧会があったのは20世紀の末だったかな。
この人の息子がにゃんこやカニが大活躍の貼り付けやきものの宮川香山。

亀香合と鶴香合が対になる。樂家の9代目と14代目の「合作」。いいねー、先人へのリスペクト。
猪と牛の香合は樂家13代目と4代清水六兵衛。
取り合わせは自由。楽しいよ。
20世紀になっても可愛い動物香合は続く。
白蔵主香合、虎香合などなど。

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古染付有馬筆香合 明代  天井部に人形がちょこんと座るのを、「有馬筆」のぴょこんと飛び出す人形に見立てての命名か。

染付一閑人水指 現代の作、二人が覗き込んでいる。5代三浦竹泉というヒトの。他に染付唐子水指もある。

鮎図 福田翠光  ミント色の水の中で泳ぐ二匹の鮎。この画家は知らないが、花鳥画がよかったようだ。
調べたらなかなか好ましい絵が多い。

蔵画賛 裏千家13代圓能斎 1923  「この蔵は千年万年云々」とある。どんっと蔵の絵。関東大震災の年だということを想う。
絵はその前なのか後なのか。

チラシにもある可愛いツボツボ波文茶碗は即全。下に青海波。可愛いな。ぽんぽんと利休梅が散る。リズミカルでいい。
近代のヒトらしい軽みが楽しい。

竜安寺蒔絵縁高  青海波に鴛鴦が浮かぶ。竜安寺蒔絵というものは今回初めて知った。いいなあ。高台寺蒔絵は知っているが、色々好みがあるわけだ。

最後に蔦の細道火入れ
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この省略化が素敵だ。

茶道資料館は本当に楽しい。次の企画展も楽しみだ。



東博で見た浮世絵 2016.5-6

毎日こうして少しずつ更新しているが、あくまでも自分の楽しみに過ぎない。
撮影の腕も悪いが、記憶と記録のためだから「ああ、あれを見たな」と思い出せたらそれでいいかな。

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新吉原大門口中之町浮絵根元 奥村政信  遊冶郎は笠で顔を隠して伺い歩く。

尾上菊五郎の舞子祇園お梶  鳥居清信IMGP0060_20160628154551c63.jpg
手彩色か。この祇園のお梶さんは池玉瀾の祖母。「東林」というお茶屋さんの女将で人気者。
池波正太郎「おとこの秘図」にもいい役で出てくる。

北斎の亀IMGP0061_20160628154553600.jpg
国芳の亀だとなんかやりそうだが、この亀は特に何もしでかしはしない。

鵙 小薊IMGP0062_2016062815455442e.jpg
「いすか」と「おにあざみ」 どちらも芝居に出てくるな、とふと思った。
「忠臣蔵」五段目勘平腹切。「イスカの嘴の食い違い」そう、このイスカはクチバシが合わない。
「鬼薊清吉」は「十六夜清心」の清心の後の名乗り。

子規 杜鵑花IMGP0063_20160628154617ff6.jpg
どちらも「ホトトギス」ですな。花はサツキらしい。ツツジやなくて。
時期的に五月らしい取り合わせ。
李白にこんな詩もある
蜀國曾聞子規鳥  蜀國曾て聞く子規の鳥
宣城還見杜鵑花  宣城還た見る杜鵑の花
一叫一迴腸一斷  一叫 一迴 腸一斷
三春三月憶三巴  三春 三月 三巴を憶ふ


次は広重
藤花に小禽 IMGP0064_20160628154619473.jpg
1990年「花と緑の万博」が大阪で開催されたとき、大阪市立美術館でロックフェラー・コレクションの花鳥画の浮世絵展が開催された。あれはいい内容だった。
こうした短冊形の絵が多かったが、江戸時代の人々は季節ごとに架け替えて、小さい花鳥画を楽しんだのだ。

江戸名所百人美女・御船蔵前 IMGP0065_20160628154620b3a.jpg
国貞ゑがく美女。
裾模様が楽しい。
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縁先美人図 柳川重信IMGP0067_201606281546234da.jpg
表装がなかなか好ましい。
わたしはけっこう表具も額縁も好きなのですよ。
肉筆画の裾。綺麗なあ。
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三囲神社の夕立  鳥居清長  三枚続き 
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ここは雪の日も嵐の日も舞台になるところ。

細部色々 雷さんの話し合い。
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次からは今の展示。
よしはらの躰 菱川師宣 台所の図 IMGP0279_20160628163023bd8.jpg

蛸とか色々あり。IMGP0278_20160628163021bbb.jpg

梅雨にぴったりの図も。
小野道風 春信 IMGP0280_20160628163044186.jpg
蛙のジャンプがなかなかいいぞ。

茶摘みも。IMGP0281_20160628163045090.jpg
窪俊満 これは宇治茶だが、世田谷の齋田記念館では江戸の茶摘みの絵があったように思う。

浴室脇の男女図  川又常正
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武家屋敷の二人。

大木の下の雨宿り 喜多川歌麿
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・・・いけませんなあ。IMGP0286_20160628163136f8f.jpg

また次も楽しみに出かけよう。

光琳没後300年記念 光琳とその後継者たち

既に終了したが畠山記念館で琳派を堪能した。
「光琳没後300年記念 光琳とその後継者たち」展である。
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ここで見る茶道具も琳派の絵もやきものも、すべて愛しい。

絵を見る。
蓮池水禽図 宗達  薄墨がまるで影を捉えたよう。薄い中にも濃淡があり、それがリズムを作る。鳥の静けさ。

小督局図 光琳  左に小督のわび住まい。そこには侍女も描かれている。馬が来る・・・
思えば小督の絵と言えばこのシーンだけしかないように思う。

禊図 光琳  昔男業平は何をしようと物語になるが、こんな禊をしても時間の無駄ですがな。どら焼きのようなカワラケもあり。
とはいえ手順はきちんと踏んでても当人の意思があれですからなあ。
それを証明するような光琳描く昔男のぽよんとした様子。ただ、でこっぱちの侍童がなかなか可愛い。

紫陽花百合図 乾山  白い花。薄く青が載る。鉄砲百合もいい。白だから清楚というわけでもないが、やはり清らかさが目に付く。
この表装、花丸で彩られていて可愛い。上下は縫い取り。

水草蜉蝣図 抱一  花菖蒲がのびる。薄墨のトンボとの関係性がいい。

前期には光琳の躑躅、抱一の夕顔に屋根の猫などの絵が出ていたようだ。

茶道具をみる。
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瀬戸茶入 銘・常盤 四点もの仕覆。いずれもええ感じ。

和歌懐紙 近衛家煕  墨痕淋漓。かっこいいな。予楽院。

結鉾香合 乾山  今年はじめの「春に想う 梅・椿・桜・桃」展にも出ていた。
可愛いからなあ。いつも愛される香合。img187.jpg

他にも黒楽「武蔵野」、銹絵染付笹文茶碗、銹絵松図茶器などがある。
色替りの土器皿、色絵牡丹文四方皿、色絵藤透鉢といった人気のやきものも並ぶので、にこにこ。

光琳の螺鈿が煌めく硯箱もあり、裏表に八つ橋図と秋草図が描かれた団扇も。
光琳の華やかさがいい。
彼の晩年の不遇は時代の嗜好の移り変わりなのだろうか。

光悦&宗達の人気コンビによる謡本も出ていた。豪奢な拵え。

光琳の白梅模様小袖貼付屏風を見ると、随分長らく小袖の大がかりな展覧会を見ていないなと思い出した。
京都文化博物館の常設で少々出ていたが、やはりわたしは寛文小袖が好きだ。
琳派の手描き小袖といえばプロデューサー光琳の手腕が光る話を思い出す。

四季花木図屏風 渡邊始興  百花が華やかに明るく描かれていて、とても好き。
金泥の躑躅、胡粉で盛り上がる菊と薄黄色の黄蜀葵、琵琶に蔦にアザミの荊、なずな、ユリ、甘草かキスゲ、わぁわぁと咲き乱れ、前面に押し出して、とてもいい。

守一の立葵図、伝・宗達の芥子図屏風まで、畠山記念館の琳派作品滞りなく並んでいた。

東博で見た日本の絵 2016.5-6 

今月はアタマと先週末と二度にわたり東博へ出かけて、展示替えを色々楽しんだ。
それで6/7から展示替えされたものと、それ以前のものとを取り混ぜて挙げる。

暑い時にはやっぱり滝。IMGP0032_20160628124255b2e.jpg

古代も日傘IMGP0034_20160628124257978.jpg

竹林に清流
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日本画家の旅。みんなで名所を描きました。
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本阿弥光甫の季節植物IMGP0045_201606281247383b0.jpg

楓が可愛い。IMGP0046_20160628124739691.jpg

景文 合歓木雀図IMGP0047_20160628124741fff.jpg

雀ちゃんIMGP0048_20160628125327c1b.jpg
こういう絵を見るとやっぱりキモチがなだらかになるよ。

蕪村、呉春、景文、それとやはり応挙とその一門。
四条円山派はいいなあ。

抱一の四季花鳥図巻。こういう絵を見るとやっぱりキモチが明るくなるよ。
琳派、いいなあ。特に洒脱さが加わった江戸琳派。
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毎回ありがとうございます。

こちらは現在展示中。

叭々鳥・鶺鴒図 如水宗淵  室町時代の水墨画も最近はとても好きになった。
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叭叭鳥のこの目つきがいいよね。IMGP0265_201606281453525da.jpg

列子・布袋図 森川許六  IMGP0271_20160628145354592.jpg

遊ぶ子供たち
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光琳の人物はゆるいかわいさはある。IMGP0276_201606281454146a3.jpg

最後に蕭白。IMGP0277_2016062814541647d.jpg
葡萄にリス。栗鼠の尻尾、細い。

また次もいいのを見せてくだされやー

1998年に見た展覧会と近代建築

ツイッターのタグで1998年に何をしてたの?というのがあり、データを見たらこれだけのお出かけ。
今から思うと数も少ないが、それだけにどんな内容だったか、はっきりと言えるな。
チラシが手元にあるのでこれも資料として活きてるし、日記にも詳しく書いてるからなあ。

19980121 綿業会館と淀屋橋本町界隈 建築探訪
19980124 大佛次郎生誕百年 近鉄アート館
19980124 ビスクドール ナンバ高島屋
19980124 西村龍介 大丸心斎橋
19980124 近代日本画に見る美人画名作展・福富コレクション ナビオ阪急
19980131 地下宮殿の遺宝 出光美術館
19980208 御用絵師の世界 ナンバ高島屋
19980218 レオノーラ・キャリントン アクティ大丸
19980218 旧甲子園ホテル・松山大学記念館 建築探訪
19980221 江戸の華・昭和の前衛 板橋市立美術館 西宮大谷美術館
19980221 手塚の実験アニメーション 手塚記念館
19980228 能装束と繍下絵 高島屋史料館
19980228 コートールド・コレクション ナンバ高島屋
19980301 からくり人形の世界-五世玉屋庄兵衛 京都大丸
19980305 絵すごろく-遊びの中のあこがれ 江戸東京博物館
19980305 常設 江戸東京博物館
19980306 すごろくと番付 新宿歴博
19980306 常設 新宿歴博
19980306 鞍馬天狗 弥生美術館
19980306 夢二の手紙の美 弥生美術館
19980306 水彩画 立原記念館
19980306 宇野千代 新宿三越
19980306 色鍋島 日本橋三越
19980307 目黒行人坂火事 消防博物館
19980307 二科展 松屋銀座
19980307 小出楢重の肖像 ブリヂストン美術館
19980307 蜂の巣 INAX 東京
19980311 龍谷大学・伝道院・飛雲閣・白書院 建築探訪
19980314 クリーブランド美-東洋美術 奈良国立博物館
19980314 お水取り 奈良国立博物館
19980314 ビアズリーと世紀末 奈良そごう
19980314 北大路魯山人 大丸心斎橋
19980314 道具の謎解き INAX 大阪
19980321 泉布観 建築探訪
19980321 アンコール・ワットとクメール1000年の美 大阪市立美術館
19980321 近世風俗画 大阪市立美術館
19980321 小杉放菴 (未睡) 出光美術館
19980321 秋野不矩 インドを描く 大丸心斎橋
19980328 大阪の近代建築写真 WTCミュージアム
19980401 聖アグネス教会・聖ハリストス教会 建築探訪
19980401 大阪の物故作家 大阪美術倶楽部
19980403 ムーミンと北欧の3人の絵本 大丸心斎橋
19980417 福田平八郎 ナンバ高島屋
19980425 内田清美・空海 大丸心斎橋
19980425 機械仕掛けのミクロコスモス・自動人形師ムットーニ キリンプラザ
19980429 開館記念・紙の世界 紙の博物館
19980429 常設 北区博物館
19980429 桜咲く 北区博物館
19980429 飛鳥山と渋沢栄一 渋沢資料館
19980430 旧古河邸 建築探訪
19980430 鴨下晁湖 弥生美術館
19980430 夢二恋愛模様 弥生美術館
19980430 近代美人画 弥生美術館
19980430 ピングー サンシャイン
19980430 ジュサブロー花の宴-戦国絵巻 日動キュリオ
19980501 常設 中野区歴民
19980501 三世豊國とその周辺 中野区歴民
19980501 江戸・明治 絵画の粋 中野区歴民
19980501 岡本文弥 深川江戸資料館
19980502 源氏絵と名品 五島美術館
19980502 国宝 静嘉堂
19980502 歌麿と深水 平木浮世絵財団
19980502 鼻煙壺とかぎたばこ入れ たばこと塩の博物館
19980503 常設 がす資料館
19980503 明治の美人画 がす資料館
19980504 氏家コレクション 浮世絵 鎌倉宝物館
19980504 女性の美 鏑木清方記念館
19980504 花柳章太郎の作品 国立劇場
19980504 サーカスと見世物 国立演芸場
19980509 和多守卑良の陶芸 ナンバ高島屋
19980509 文化勲章者の絵画 高島屋史料館
19980509 能衣装-厚板 高島屋史料館
19980513 奈良女子大・奈良聖公教会 建築探訪
19980513 常設 奈良女子大
19980523 平山郁夫 大丸心斎橋
19980523 大皿の時代 出光美術館
19980530 テイトギャラリー 兵庫県立近代美術館
19980530 MOA 黄金と雅 神戸市立博物館
19980530 英国ロマン派 元町大丸
19980531 秀吉と五右衛門 池田文庫
19980610 白吉兆翁・追想の茶 湯木美術館
19980610 中之島図書館・中央公会堂 建築探訪
19980613 めでたき装い・きもの カネボウ繊維美術館
19980624 春の一般公開と民具 鴻池新田会所
19980627 東山魁夷 信濃美術館 茨木市立川端康成文学館
19980627 白樺派が夢見た美術館 大山崎山荘
19980627 秀吉と豊国社宝 京都文化博物館
19980704 中国陶磁名品 萬野美術館
19980708 舞子ホテル 建築探訪
19980708 魯山人と半泥子 香雪美術館
19980711 館蔵・龍と虎-東洋美術のモチーフ 出光美術館
19980718 「こどものとも」 500号記念 兵庫県立近代美術館
19980718 小品 頴川美術館
19980720 花の器 逸翁美術館
19980724 中国陶磁 五島美術館
19980724 伊藤幾久造 弥生美術館
19980724 大正ハイカラ風俗 弥生美術館
19980725 ディアギレフとバレエ・リュッス セゾン
19980725 建築の20世紀 東京都現代美術館
19980801 咲くやナニワ津 全館常設 大阪市立美術館
19980808 野ばら村 ソニータワー
19980808 とびだす3D 自然 大丸心斎橋
19980809 ファンファン ピングー リーガロイヤルホテル
19980815 アールヌーボー・アールデコのガラス 神戸北野美術館
19980815 妖精の世界 元町大丸
19980815 紙と遊ぼう 立版古 芦屋市立美術博物館
19980815 小出楢重アトリエ 建築探訪
19980820 「仮面の男」衣装 北浜三越
19980826 住友銀行本店 建築探訪
19980829 マンガを彩るスターシステム 手塚記念館
19980829 タカラヅカを巡る出版文化 池田文庫
19980905 書の美 杉岡華邨 大丸心斎橋
19980910 神秘の形象イスファハン 並河萬里 大丸心斎橋
19980915 岡鹿之助 京都国立近代美術館
19980916 長樂館 建築探訪
19980919 工場見学 サントリー山崎蒸留所
19980919 松園・蕉園・成園・小坡・緋佐子 京都高島屋
19980923 ボローニャ絵本 西宮大谷美術館
19981003 大観と院展 足立美術館
19981003 河井と魯山人 足立美術館
19981004 工場見学 シマネワイナリー
19981017 ダイビル 建築探訪
19981017 須田剋太「街道をゆく・モンゴル紀行」 府立文化情報センター
19981023 パディントン 大丸心斎橋
19981023 ハビエル・マリスカル ビッグステップ
19981024 京の百年-まち・ひと・自然 京都市美術館
19981024 京都の工芸 1910-1940 京都国立近代美術館
19981024 東洋陶磁の展開 東洋陶磁美術館
19981107 秋の人形 宝鏡寺
19981107 交趾香合 茶道資料館
19981107 蒔絵と大名婚礼道具 高津古文化
19981107 常設 京都市考古資料館
19981107 孝夫から仁左衛門へ 襲名記念 京都高島屋
19981107 同志社大クラーク館 建築探訪
19981111 武田薬品・迎賓館 建築探訪
19981111 京大人文学部 建築探訪
19981111 豊原國周の世界 京都造形大学
19981114 和の意匠 大阪市立美術館
19981115 英国ドールハウス 梅田阪急
19981121 伊藤渓水 池田民俗資料館
19981121 グラフィックデザイナー 奥野英雄・菅井汲・田川 池田文庫
19981123 封印された南宋陶磁 東洋陶磁美術館
19981127 大正時代の文学 神奈川近代文学館
19981127 近藤東の詩世界 神奈川近代文学館
19981127 美術と演劇ロシアアバンギャルドと舞台芸術1900-1930 横浜美術館
19981127 航路アジアへ・鎖国前夜の東西交流 たばこと塩の博物館
19981127 アメリカの雑誌 ロゴスギャラリー
19981127 マンガの時代・手塚からエヴァまで 東京都現代美術館
19981128 松野一夫-昭和モダンボーイズ 弥生美術館
19981128 世紀末の夢 弥生美術館
19981128 文京・まち再発見・近代建築からのアプローチ 文京ふるさと歴史館
19981128 うさぎのくれた贈り物-南塚直子原画 テレパーク
19981128 浮世絵美人比べ ラ・ポーラ
19981128 銭湯 銀座ポケットパーク
19981205 パリの百年 京都市美術館
19981205 琳派 細見美術館
19981205 漱石・龍之介 思文閣美術館
19981209 奈良少年刑務所 建築探訪
19981209 桃山の美 出光美術館
19981212 マグマ大使とウルトラマン 手塚記念館
19981219 版画・たばこのある風景 たばこと塩の博物館
19981219 山名文夫 目黒美術館
19981219 着物の美 目黒雅叙園
19981220 写真芸術の時代-大正期の都市散策者たち 松濤美術館
19981220 色絵の伊万里 戸栗美術館
19981220 イメージという魔術 東京都写真美術館
19981220 仮想庭園 東京都写真美術館
19981220 影-写像としての世界 東京都写真美術館
19981220 ラブズボディ-ヌード写真の近代化 東京都写真美術館
19981220 河野通勢-大正リアリズム 東京STギャラリー


今も再現してほしい展覧会がいくつもあるよ。なくなったミュージアムもけっこう多い。
いつかこれらのチラシを挙げていきたいな。一言感想と共に。

東博で見た「鼠草紙」

御伽草子などをモチーフにした絵巻、絵本を見るのはたいへん楽しい。
物語が遁世譚などであっても。
子どもの頃に最初に意識して読んでいたのが「昔話」だったからかもしれない。

「鼠草紙」はサントリー美術館蔵の絵巻が有名だが、この物語自体人気だったので、多く作られている。
わたしは以前に篠山市立青山歴史村でも見ている。

今回、東博本のを見た。嬉しくてパチパチ撮影させていただいた。
普段より大きい画像にしているので、端が切れているが、全体を見るならクリックしてください。

婚礼の様子
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準備中
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ややこ(赤ちゃんのこと)だっこするママさん
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鼠の国の往来、座頭たちが急ぐ。犬にほえられる。
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鼠が擬人化されていて犬は犬のまま、というのは古今東西のお約束なのか。
ミッキーとプルートの関係。

幸せな頃
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湯船のお風呂を拵えてもらうのは贅沢だった時代。

しかし秘密は必ず暴かれる。
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姫よりもむしろ侍従の表情が凄い。

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相談する二人。もうこんな「悪縁」は切らねばならない。選択の余地はない。
異類婚で最後まで添い遂げるのは、まぁあんまりないですね。

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罠にかかり正体を現わす!

これが縁の終わり。
姫と侍従は速攻で人間界へ帰り、いい縁談に飛びついて、さっさと再婚。
世を儚んだ鼠の権守は出家。
まさかの天敵の大猫さんと共に修業に励む・・・

可哀想だが、どうにもならない。

東京で見かけた建物 2016.6

今回はハイカイを二度ばかりしたので色々みつけたものもある。

6/25
東博の写真は別項。

蔵前の可愛い建物
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6/26分の発見。
集合住宅かと思う。



入谷の鬼子母神のお隣。



ふと根岸の住宅街に入り込んだところ・・・


素敵だった。

書道博物館。












新橋駅の汐留口へ向かう所にステンドグラス。



東博本館を逍遥する

久しぶりに東博の本館を撮ってみようと思った。

天井など
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二階
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階段まわり
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一階
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壁面のモザイクタイル
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玄関まわり
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欄間ガラス
内側から
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外側から
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夜の水面
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本館正面
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また日のあるうちに外観を撮ろうと思う。

6月、二度目の東京ハイカイ録

珍しく一泊二日の東京ハイカイとなりました。
今回は主な目的地は東博。
うっかりしてのだが、東博の当別展「ほほえみの御仏」はたったの二十日間ばかりの展示で、自分が元々予定していた期間の前に終了なのですよ。
これはまずい。というわけで急遽6/25と26に出かけることにした。
今月は定宿ではなく別な宿をチェックする月なので、前回同様違う宿にした。

早朝に自転車で駅まで出て、阪急とJR乗り継いで7:03の新幹線に乗る。
寝てる間に東京につきましたがな。
そのまま上野へGO!
東博につくと、今回限りだろうが手荷物検査。
それを横目に先に都美へ。その方が合理的でしてな。
詳しい感想はそれぞれ後日。

ポンピドゥー・センター傑作展。
一年一作一作家の展示で1977年まで。
これはこれでわたしとしては去年の「大英博物館展─100のモノが語る世界の歴史」を思い出したよ。Best of Year ということだと思いながら見て回る。
それで一番よかったのはオルリー空港の飛行船格納庫の建築現場映像。ゴーモン社のフィルム。あんまりよくて40分くらい繰り返しみてしまった。
他にカンディンスキーのコマ絵。
こういうタイプの展示は結構好き。
作者の写真とその言葉を示すのもいいな。

なんだかんだで2時間近くいて、藝大食堂は休みなのでこども図書館へ。
ここで軽くお昼を食べてから三階の展示室へ。
20世紀翻訳文学。
最初にリザ・テツナー「黒い兄弟」上下巻が出ていた。そう、1995年のアニメ「ロミオの青い空」の原作ですね。アルフレド・・・
ミラノで煙突掃除夫として働かされる少年たちの物語。
懐かしいものから近年のラノベ風なものYAもの色々。
「クラバート」「闇との戦い」などがあるのでニコニコしてたら普段は忘れてたが常に脳裏にはある「アーノルドの激しい夏」などが出て来たよ。
そしてびっくりしたのは、近年はSFが壊滅状態でファンタジー全盛だとか。え!!!となったなあ。わたしなんぞはSFが好きだけどそうなのか・・・

さていよいよ東博。荷物チェックと空港のと同じチェックと。これはこれでいいと思うよ。
本館に荷物を預けて、先に平成館の「古代ギリシャ」展へ。
13時スタート。

集大成的な展示でしたわ。数が多いね。古代ギリシャというてもあちこちに国があるから、その国ごとに分けてるのもわかりやすくてよかった。
で、ミノス。蛸だよ蛸。タコだタコだ、たこたこたこ。
他の言葉が出ない。

あとはイルカがいいな。ギリシャ神話も関わってくるし。
出て休憩室に行くと聖闘士星矢の看板がある。
女子の皆さんキャーキャー騒ぐのだが、「あっ一輝兄さんがいない!」
そう、青銅の小僧どものうち兄さんがいないの。
「うろたえるなフジョシども!」とシオン並みにわたしもみんなを吹っ飛ばしたいが、そうもならず。
わたし小僧どもより黄金のお兄さんたちに会いたかったのよ…シクシク。
聖闘士星矢も30周年で何やら秋葉原でイベントがあるようだな。

法隆寺館へ。普段はここにはあまり足を運ばないなあ。しかし弥勒菩薩、半跏思惟像・・・
中宮寺さんと法隆寺・・・というわけでいそいそ。
正倉院よりまだ古いものなあ。
ずらりと居並ぶ仏たち。壮観。

1989年11月、当時法隆寺の宝物は今のような立派な建物ではないところで展示されていて、木曜の晴れの数時間のみ開館というキワドイ条件があった。
なんでも11月初頭は降雨が少ないというデータがあり(ラグビーの試合日程でそのように教わった)、わたしとしては晴れろ―晴れろ―と願いながら向かったのでした。
うまいこと中に入ったら、例のお釈迦様の生誕像。あれがいきなりキタので、なんだかぎょっとした。
飛鳥、白鳳は実は怖いのですよ…
そのことを思い出したよ。

東洋館も今回は地下から。そしてゾウ探しに身を入れた。ゾウ、ゾウ、ゾウ。
さっきはタコタコタコで今回はゾウゾウゾウ。

銅鼓をみたのも89年のその日が最初で、それ以前に既に諸星大二郎ファンだったので、逆にがっかりしたのを覚えている。孔子暗黒伝の文物がここにあるような感じでね。
しかし自分がどんどん中国青銅器にのめり込んでいったのは間違いなく諸星大二郎の導き。中国の歴史や物語への偏愛もそう。
そこから他へ手を伸ばしていったのだ。
そしてこの東洋館に来るたびにそのことを想う。

本館に入ったのは17時半か。
最初に「ほほえみの御仏」を拝観する。
二体が向かい合う位置にあり、それぞれの周囲を執意を込めて眺め歩く。
小さな発見が続き、喜びが重なる。
二体の御仏は互いを見ることもガラスの向こうのわたしたちを見ることもない。
しかし私たちになにかしら深い静けさを与えてくれる。
「ほほえみの御仏」にときめく。

本館をぐるぐるとまわり、最後にまた「ほほえみの御仏」を眺めて、建物を出る。
結局6時間半ばかりいたことになる。
毎年はムリでも二年に一度はこんな風に東博三昧の日を作りたいと思う。

上野御徒町まで出る。ドンレミーのお菓子を買うが、ここは空腹で来るとヤバイよな。
満腹しているので小さなバナナクレープを一つだけ。
そして地下鉄に乗って宿に入る。
この日は年に数度の早寝の日、おやすみなさい。
初日ここまで。

2日目、日曜。
良く寝ましたわ、わたしにしては。
それで快晴なのもいいね。
バスで上野まで送られて、そこから日陰もあるのを幸いに根岸へ。
町歩きをしないとみつからないものは多い。
いくつか興味深い建物をみつけた。
それや東上野のメトロ車両会社を見た。街中にいきなり線路なのでヲヲと思ったらそれで、なかなか興味深い様子でした。

わたしの歯の検診を頼んでる歯科医で使われているメーカーもあった。
ここかー。ちょっと入って見て新製品はどういったコンセプトで?とか、最新の治療・保護の方法は?とか尋ねたくなるのを我慢して立ち去る。
むむむ。そう、わたしは歯の手入れをするのが好きなの。

入谷で道を渡り、道路向こうに鬼子母神があるのを確認する。もうすぐ朝顔市もあるなあ。
随分前に行った時、提灯に永井豪の奉納のがあった。「手天童子」はじめ鬼のマンガが多いからね。
・・・と、そんな記憶も鮮明なのに、データ上ではわたしが朝顔市の時期に都内にいた記録がないぞ。おかしいな…市で絵葉書も買ってるから間違いないのに。
1990年代のある日かと思うのだが。
うーん、どう考えてもこれ以外ないな。
19930716 名品 太田記念浮世絵美術館
19930716 林唯一 弥生美術館
19930716 夢二版画・初期木版から婦人グラフまで 弥生美術館
19930717 常設 朝倉彫塑館
19930717 下町風俗展示館 建築探訪
19930717 常設 深川江戸資料館
19930718 常設 江戸東京博物館
19930718 日本画 松岡美術館
19930718 常設 花火資料館

そういえば今回は6/25と26だが、以前この日で都内にいたと言えばこちら。
19930624 春季名作 川端龍子館
19930624 立版古 INAX 東京
19930625 大正浪漫 下町風俗資料館
19930625 橘 小夢 弥生美術館
19930625 夢二・女性美の世界 弥生美術館
19930625 琳派扇子 太田記念浮世絵美術館
19930625 幕末の風刺画 たばこと塩の博物館
19930625 聖家族 高山辰雄 小川美術館
19930625 所蔵品 東京近代美術館
19930626 栖鳳と松園の周辺2 山種美術館

もう23年前か、早いなあ。

ひつこい(!)が、まだあった。
19990624 永井路子 鎌倉文学館
19990624 鎌倉文士たち 鎌倉文学館
19990624 水の物語-ヨーロッパ絵画に見る神話と象徴 神奈川県立近代美術館
19990624 幻の日本画・首藤コレクション 横浜そごう
19990625 中原淳一と「少女の友」 弥生美術館
19990625 夢二 旅情紀行 弥生美術館
19990625 旧岩崎邸 建築探訪
19990625 六代目尾上菊五郎 早稲田大学演劇博物館
19990625 新装・常設 早稲田大学演劇博物館
19990625 花組芝居ポスター 早稲田大学演劇博物館
19990625 パリ市立美術館 安田火災東郷青児美術館
19990626 常設 NHK放送博物館
19990626 暮らしの中の美・行事・遊・人々の生活 大倉集古館
19990626 常設 エビスビール記念館
19990626 よみがえる源平のロマン 目黒雅叙園

そうそうこの年は「元禄繚乱」をしていて、NHKで勘九郎(当時)の顔ハメしてあそんだのでした。
・・・今とほぼ変わらんな。

それでわたくしはですねえ鬼子母神前のウナギののだやの前を通りまして、ヨダレがわくぜと思いつつ、ようやく書道博物館へたどりつきました。
これまたいい展示で、新宿中村屋のそれと併せて見たらなおよろしいかと。
青銅器や瓦関係の古いのは開館当時の昭和11年のガラスケースに収められているので、低くて見づらいのが残念。

笹の雪にも一度行きたいと思いつつ、とりあえず新橋へ。
それで海鮮居酒屋系のランチをと。すると・・・


まあわたくしはマグロのメンチカツやおつくりをおいしくいただくばかりでした。

汐留ミュージアムでミケランジェロの建築家としての凄い才能を堪能した。
だけでなく、書簡とかから仕事関係への熱心で真面目な取り組み方などがはっきりと伝わってきて、これまで懐いていた天才というイメージだけでない、仕事熱心でまともなヒトだと認識したよ。
以前の展覧会でも食事のメニューや甥たちへの書簡などで「けっこう生活を真面目にしっかりしてるな」と思ったが、今回の展示でその好感度が上がる上がる。
やっぱり建築はね、堅固でないとダメ。だからそれを作り出す人に妙な隙があってはいかん。彫刻家、画家としては破天荒でもいい。
映像なども適宜よろしくあり、見ごたえのある展示だった。
これと庭園美術館の「メディチ家の至宝」展はセットにして観た方がいいよ。

最後に出光美術館。
「完結編・さらば伴大納言の巻」でしたな。人々の表情や仕草がいい。それに見る前のパネル予習がスゴくいい。あれがまた盛り上げてくれる。
設えがいいから、本体を楽しむだけでなく、記憶に残る展覧会になってましたなあ。
またこんな演出をお願いしたいわ。

他に屏風ね。近世風俗画のカラフル系。どれもこれもいい。
久しぶりに江戸名所屏風にも会えて嬉しい。わたしはここに描かれた人々の顔立ちがかなり好みなの。女も若衆も。チマチマみっしりカラフルで楽しい。
祇園祭礼図屏風、これに記憶がない。寺町通、堀川通、五条通、四条通がメインで堀川には京都所司代もある。位置を思いながら見る。京都所司代は今の平安女学院のお向かい。
前に入ったとき、フジバカマが咲いていたよ。

これで終わりで、お土産とかなんやかんや買うて新幹線。
ポカリのゼリー飲んだり寝たりしていたらあっという間に名古屋。
新大阪についたら6:20。
滋賀からえらい雨やんと思ったが、新大阪も雨が強い。
で、この日は夜だとタクシーで帰宅するが、この時間ではJR と阪急を乗り継ぐのがよいかと事前にきっぷを手配してたが、この雨ではなあ。
ふと、バスを思いだし北阪急ビルの乗り場へ向かうとバスいてた。乗り込む。ぎりぎり。6:30出発。
この方が安くて速いのだが、ただ一時間に一本なのでタイミングが合わないとあかんのですよ。のんびり座る。映画の予告編がバスで流れる。
ちょっと調べたら神戸線混乱してるみたい。使わなくてよかった。
R176入ったら雨がやんでるどころか道乾燥してるやん。
それでバス停降りたら雨なんてどこにも跡形もない。
自転車置き場でも何の名残りもない。
帰宅したら電車より早く着いた。いいタイミングでしたわ。
次は7月の三連休に出かけます。

「シンデレラの世界 かわたまさおコレクション」展

日比谷図書文化館で6/22まで「シンデレラの世界」展が開催されていた。
かわたまさお氏のコレクションで、副題が「アメリカに渡ったシンデレラ・ストーリー」である。
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ヨーロッパで生まれた物語が海を渡り新世界に着いた。
そこでは誰もが成功を夢見ていた。
そんな人々にとってシンデレラの物語は非常に受け入れやすいものなのだった。

19世紀から20世紀に刊行されたシンデレラの絵本や昔のアニメーションなどが展示されている。
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時代により好まれるスタイルが変わるのは当然のことながら、シンデレラの外観だけでなく性格もちょっとずつ変わってゆくのが興味深かった。

日々のつらい労働でも小動物らと仲良くなって仲間を作り、がんばるシンデレラ。
魔法使いのお婆さんの来訪以前に自分でも舞踏会へ出かけようと努力するシンデレラ。
少しずつヨーロッパの少女からアメリカの少女へと変わりゆくシンデレラ。
そして戦後生まれのわたしの手元にはヨーロッパ直輸入のではなく、アメリカ経由のシンデレラが来た。
今回の展示にも少しばかり紹介されているが、わたしが生まれてから最初に見たシンデレラの絵本はウォルト・ディズニーのこの絵本である。
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わたしが見たのは1954年に日本で刊行された本で、オジのものだった。
その本の細かなことを長く覚えていたわたしは、いつもこの本に再会したいと願っていた。
やがて1990年代のある日あるところでその本が貴重書として展示されているのを発見した。
S文庫の貴重書と言うことで後日紹介状を調えて、本を読むことが出来た。
とても嬉しかったことを忘れない。
やがて2001年、ウォルト・ディズニー生誕100年記念にこのシンデレラが復刻された。
どきどきしながら復刻された本を入手したが、その絵本にはわたしの好きなシーンが、肝心の1シーンが削除されていた。
大変残念だった。
だがさらに数年後、わたしは洋書を探してとうとうペーパーバック版の絵本を見つけ出し、そのシーンと再会した。
長い道のりだった。
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今でもわたしにとってのシンデレラはこのディズニーの絵本のシンデレラなのだ。

ところでこのディズニーのシンデレラではチェシャ猫の兄弟分みたいな肉付きのよい猫がニクタラシイ存在感を見せている。
ここでのシンデレラの味方はネズミたちである。
が、ネズミが味方と言うのは案外少なくて、アメリカの絵本では猫が友達と言うのがけっこう多かった。

展示コーナーではシンデレラの飼い猫の特集がされていた。絵本によって柄も種類も違う猫たちが集まったコーナーはなかなか壮観だった。
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それにしても実に多様なシンデレラがいる。
大変面白い。挫折はあっても必ずサクセスをつかむ。それがアメリカのシンデレラなのだ。

展示にはないが、日本でシンデレラをモチーフにした見事な短編小説が2編ある。
それを紹介したい。
1つは佐野洋子の「シンデレラ」で、これは継母の独白。ここではむしろ継母が気の毒な話になっている。
1つは岸田今日子「セニスィエンタの家」、スペイン語のシンデレラの意味で、非常に官能的でかつ無残な話である。
どちらの小説にも共通するのは、シンデレラの野望の深さ・強さである。
彼女たちは実家から出ていき、王子との幸福な結婚を勝ち取る。そして残された家族に無残な仕打ちをする。
日本の小説家による物語はアメリカ的ではないのだ。

英国から輸入された仕掛け絵本をアメリカ風に改変したものも展示されていた。
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こうしたところを見るのも面白い。

他に1930年代のアニメーションもあり、そのレトロさが魅力的だった。
様々な媒体にシンデレラは進出する。滲出、かもしれない。
レコード、ぬりえ、広告…

会場では再現されたドレスの展示もあり、また撮影コーナーもあった。
面白い展覧会だった。
シンデレラの物語はこの先もずっと生きるだろうと思った。

大正時代の「かわいい」

まもなく終了する「100年前に夢二が発信 大正時代の「かわいい」展   ~乙女がときめくデザイン&イラストを中心に~」についても少々挙げたい。
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先に3階の高畠華宵室に行く。
「華宵が描いた動物 愛しきペット」展開催中。
今は猫ブームだが、猫の他に犬、ウサギ、小鳥を飼う人も多い。そして抒情画でも少女の傍らにペットを配置する絵も少なくない。

ウサギの手を持ってダンスする女たち、「月夜の夢」、ダンサーとウサギの取り合わせは童謡「ウサギのダンス」がその方向性を決めたのだろうか。

鳥も多い。懐かしき九官鳥と少女の会話。今はあまり見なくなったが、昭和の頃は九官鳥を買う家も多く、必ず「おタケさん」という言葉を覚えさせようとしたものだ。

華宵本人は犬好きだったそうだ。

サル、ワニ、馬。中でも「日本少年」などでの仕事では少年がワニに乗ったり、白クマを撫でたりしている。

さて夢二。
弥生美術館のツイッターにも挙げられているが、こんな絵が出ていたらもう完全にやられる。



可愛い幼女の絵がある。「春のお山は」これだけでも愛らしい。
大正時代の「かわいい」は本当に可愛らしくて、見てゐるだけでもときめく喃。
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絵封筒、千代紙、半襟。夢二のグラフィックの才能の高さを改めて思い知る。
植物や小鳥などをモチーフするだけでなく、マッチなどもそこに加わり、どれを見てもキュンとなる。
ドクダミ(花の蕊が可愛い)、ユリ、ビワ。初夏の「かわいい」。
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千代紙も可愛くてならない。マッチ、傘のデザインは現代でも決して古びず・普遍的に可愛い。
双六も楽しい。
それからセノオ楽譜。特に童画風の可愛い絵が並ぶ。
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やはり夢二はグラフィック関係や童画方面が特にいい。
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抒情画もある。
夜の庭、ガーデンゲートにもたれる少女を描いた「明るい室」も出ている。青い夜の美。

真知子巻きの少女もいい。どこか薄幸そう。

世界の民話からの絵もある。
「白ゆきと紅ばらと熊」わたしはこの話がとても好きだったが、今から思うとけっこうアブナイ話ですな。

それからちょっと細面の「ぶちねこ」可愛いなあ。
こいつ、ほんまに可愛い。

美人画では初見の「一座の明星」がいい。
岩田専太郎旧蔵。楽屋でぼんやりする女。かなりの量の髪を後ろにまとめていて、華道家の安達瞳子さんのような感じ。赤い着物を着ていて、それが鏡台の前からこちらへ向くところを描く。
寺島紫明の「夕月」も芸人の娘が楽屋でぼんやりする図で時代も近い。

毎回楽しくコレクションをみているが、まだまだこのように新しい発見があり、懐かしい再会があるので、到底飽きる日は来そうにない。

次の展覧会も楽しみ。

奈良国立博物館でみたもの

奈良国立博物館で「和紙」展と名品選の「珠玉の仏教美術」を見た。
いい展示なのでそのことを少々。

補陀落山浄土図 南北朝時代 奈良・聖林寺  山上宮殿に観音らが寛ぐ。前には蓮池もあるが、黒い中に赤い花が咲いている模様である。太鼓橋が掛かり、踊るものが二人。山中のお堂には僧侶も2人ばかり。そして岸辺には到着した船がある。この船、あれか、補陀落渡海船ではないのか。ではこの乗組員は見事に観音浄土へたどり着いたことになるのか。うわーーー!
飛天が飛び、雷神もいる浄土。かなり多くの神仏がいた。なごやかな島。

千手観音像 平安時代  手が見えず、宝もよくあまり持たない。が、その背景にはたくさんの宝物・用具がある。

和紙展を見た眼で経巻を見ると、和紙の特性が印象に残る。
瑜伽師地論 巻第十六〈五月一日経〉 白さがふと目につく。綺麗。

大般若経〈安倍小水麻呂願経〉 埼玉・慈光寺  貞観13年(871)、楮で作られていて褐色。

法華経一品経 神力品第二十一 鎌倉時代 奈良・長谷寺  ピカピカ。金銀ピカピカ。

如意輪観音像 鎌倉時代  補陀落にいる、とある。え、そうなの?この浄土には滝、渓流、松に桜がある。

森の中で誰かが木のうねる根元で跪くなど、自然の中にいる様子を描くのは鎌倉時代の特徴らしい。

如意輪観音像 鎌倉時代 奈良・海龍王寺  岩に座る。スキンヘッドである。油彩画ぽい。密陀絵というわけではないが。

水月観音像 天庵妙受賛 鎌倉時代  しっとりとおちついた美を見せる。

白衣観音像 約翁徳倹賛 鎌倉時代  ゆったりと優しい。左下に善財童子がいて、手を伸ばす。

白衣観音像 明 奈良・談山神社  岩に凭れるくつろいだ様子の観音。美しい。考えをめぐらし中。

水月観音像 高麗 滋賀・聖衆来迎寺  肉色の仏。高麗仏画の美。左下に赤衣の童子。
やはり違うものだ・・・

三十三観音曼荼羅 室町時代 滋賀・観音正寺  下に聖徳太子16歳のみづら姿。裾は長く肩に降りる。後で調べたら、このお寺のサイトを見ると、「開基については人魚の伝説があり、聖徳太子が人魚の哀願によって寺を開いたと伝えられています。」とのこと。

観音経絵 鎌倉時代 石川・本土寺  二幅共にかなりの人出で、わたわたしている。岩山から落ちたり、殺されたりと殺伐系。

スゴイのが刺繡で出来た阿弥陀如来来迎図などなど。
中でもスゴイのがこちら。
刺繡法然上人絵伝 4幅 延宝5年(1677)大阪・一心寺  う、わーーー
ここは宗派関係なしに骨仏さんを十年ごとに拵えるお寺で、わたしもたまに法要などで出向くこともあるが、さすが所蔵品が違うな、と思った。
みどころをちょっとばかり。
1、強盗を迎え撃つ。母との別れ。
2.橋の上に立つ法然和尚の頭上には既に光の輪が。
3.仏と法然の間に光ネットワークつながるの図。法難もある。首を斬られてコロンと転がる人の次にいるのだ。
4.船でどこかへ。海中には鬼や溺れる人々など。岩場にも鬼。
最後は涅槃入り。来迎図。

土偶〔山形県杉沢遺跡出土〕  縄文時代    哲学的な蛙、のような顔。

さて「和紙 近代和紙の誕生」
高知県出身の吉井源太と言う人の奮迅ぶりが際立つ展覧会だった。
彼が誕生する以前の江戸期の和紙ものがある。
鹿島大明神の願文、秀吉のご朱印状、多武峰の御破裂目録など。




コピー紙、タイプ紙は昭和40年くらいまで海外輸出していたそうだ。

和紙、侮れないよなあ。

7/3まで。


「花と鳥の絵画」@根津美術館

昨日の続きの根津美術館
第5室「花と鳥の絵画」
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鶉図 伝 李安忠筆 1幅 絹本着色 中国・南宋時代 12−13世紀   国宝で元々は東山御物。わりと白い羽根のウズラ。よく肥えていて、美味しそうに見えなくもない。

梨花小禽図 伝 銭選筆 1幅 絹本着色 中国・元時代 13世紀   白い花が可憐。小鳥もいい。

梨花鳩図 伝 謝弘道筆 1幅 紙本着色 中国・元時代 13−14世紀   毛づくろいする鳩。
こうやってみれば、梨の白い花はこの当時とても愛されていたのだなあ。

蓮池水禽図 伝 黄筌筆 1幅 絹本着色 中国・元〜明時代 14世紀   枠の中に池があり水鳥がいる。そこでは水は豊か。外へ出ぬ代わりにそうして豊饒の時を過ごすのだ。

瓜虫図 呂敬甫筆 1幅 紙本着色 中国・明時代 14−15世紀   おお、瓜が。赤とんぼ、バッタ、そして蝶々。虫たちには虫たちなりの争いもあろうが、この絵だけを見ているとただただ静謐にして心地よい空間がある。

紫陽花水禽図 伝 徽宗筆 1幅 絹本着色 中国・明時代 15−16世紀   ガクアジサイ。徽宗皇帝の絵ではなくもっと後世のものではないかという。徽宗は猫の絵が好きだ。
この絵の中廻し、茶色の兎が見返りながら走り続ける連続パターン。可愛い。

柘榴叭々鳥図 伝 銭選筆 1幅 絹本着色 中国・明時代 16−17世紀   傷みかかっている実と二羽の叭叭鳥。自然の中での風景。

秋草図 銭維城筆 1巻 紙本着色 中国・清時代 18世紀  カラフル、たいへんカラフル。やや博物画風な趣がある。そして30種の秋草がえがかれる。

聴颿楼集宋元画冊 1冊 絹本着色ほか 中国・元〜清時代 14−18世紀   なんだか色々とドラマティックな場面が続く。
天を見上げる蛙がいる。なにやら哲学的な面持ちの蝦蟇である。
変わった蓮の絵もあれば、死んだ蝶々を運ぶ蟻の姿もある。薄い緑で描かれた山、端だけ墨の濃淡がみえる。

ここからは日本である。
芙蓉蟷螂図 伝 曾我宗丈筆 1幅 紙本着色 日本・室町時代 15世紀   ポーズをとる虫たち。カメラ目線の虫たちはピタリとポーズをキメる。

牡丹蝶図 伝 小栗宗湛筆 1幅 紙本着色 日本・室町時代 15−16世紀   飛ぶのはクロアゲハ。豪奢な美しさを見せる。

柳燕図 単庵智伝筆 1幅 紙本墨画 日本・室町時代 16世紀   二羽の元気そうな燕。可愛いな。

花鳥図 式部輝忠筆 2幅 紙本墨画 日本・室町時代 16世紀   右隻:子育て中の親鳥が虫を持ってくる。五羽の子供らが口を開けている。鶲、嬉しそう。椿と小鳥もいい。

梅四十雀図 狩野玉楽筆 1幅 紙本墨画 日本・室町時代 16世紀   紅梅にシジュウカラ。頬が白い。デート中かもれしない。

東洋、東アジアの中世の花鳥画を見ると心がとても鎮まる。
またこうした特集が見たい。

鏡の魔力 村上コレクションの古鏡 / 若き日の雪舟

根津美術館でシブい展覧会を見た。
コレクション展の「鏡の魔力 村上コレクションの古鏡」と特別企画展「若き日の雪舟」である。
根津は茶道具のコレクションのいいのも時季ごとにいいのを見せてくれるし、一室一室の内容が充実しているから、その部屋ごとに小さな企画展を楽しませていただいているようなものだ。
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さて古鏡。
今年初めに兵庫考古博物館で「千石コレクション」のモノスゴイとしか言いようのない古鏡を見た。あれだけのコレクションはなかなかない。
何しろ「夏」の時代の鏡があるし、唐代の非常に美麗な装飾が残るものまであるのだ。
その時の感想はこちら
まだびっくりしたのが自分の中に残っている。

今回は村上コレクションである。根津に寄贈された鏡60点を展示している。
この村上さんは村上開明堂というバックミラーの国内シェアNO.1の会社社長さん。
2011年にも受贈記念展が開催されている。
わたしはネットを泳いでいるときに偶然こちらのサイトを見た。

とても丁寧な解説と拡大画像もあり、実はけっこうここで学ばせてもらった。
その実物が根津に寄贈され、ガラス越しとはいえ間近に見ることが出来たのだ。
とてもありがたい。
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羽状獣文地五山字文鏡 1面 青銅鋳製 中国・戦国時代 前3世紀
羽状獣文地四山字文鏡 1面 青銅鋳製 中国・戦国時代 前3世紀
「山」が5つまたは4つ、円の中にある。5つだと星形、4つだと対称になり面白い。

羽状獣文地四鳳鏡 1面 青銅鋳製 中国・戦国時代 前3世紀  ヨーロッパのカリグラファーのようだ。

雷文、草葉文、星雲文など魅力的な文様が多い。
とはいえ星雲文は連弧文なのでわたしにはわからない。

神仙騎馬画像鏡 1面 青銅鋳製 中国・後漢時代 2世紀  西王母、東王父がいる。この時代にはとても人気のある神。
西王母は桃の話などいろいろ絵になるが、東王父はセットでしか出てこないような気がする。

唐代の鏡はやはり華やか。天馬もいれば鳳凰、鴛鴦、雲龍文、獣などが躍動感あふれる様子で刻まれている。

貼金緑松石象嵌花唐草文鏡 1面 青銅鋳製貼金トルコ石象嵌 中国・唐時代 8世紀  チラシではわからないが、けっこう小さい。緑松石はトルコ石。可愛いなあ。

狻猊鸚鵡葡萄文鏡 1面 青銅鋳製 中国・唐時代 7世紀
海獣葡萄方鏡 1面 青銅鋳製 中国・唐時代 7世紀
ものすごく細密描写でびっくりした。

豢龍氏鏡 1面 青銅鋳製 中国・唐時代 7世紀  あ、「かんりゅうし」。文字が書いてあり、ところどころ読みとれる。

月宮図鏡 1面 青銅鋳製 中国・唐時代 8世紀  月宮図ということで杵つきウサギがいる。これは木の右側にいる。そして左に月へ逃げる女。
そうか、ウサギが右にいると左から月へ上れるわけか。

伯牙弾琴八花鏡 1面 青銅鋳製 中国・唐時代 8世紀 「真子飛霜」の四字がある。

孔子の逸話を示す鏡もある。
文様の変遷も見ることになり、とても興味深くその流れを追えた。
60枚ほどの古鏡を大いに楽しませてもらえたのは嬉しい。
いいコレクションですなあ。
根津美術館、これからもしばしばよろしくお願いします。

次には「若き日の雪舟」。
これは様々なミュージアムから借りてきたもので構成されていて、なかなかこんな充実した内容の展示には出会えない。
「拙宗等楊」→「雪舟等楊」という発見と確定があって、それでこの展覧会がある。

芦葉達磨図 拙宗等揚筆 竺心慶仙賛 1幅 紙本墨画 米国 スミス・カレッジ美術館蔵  初めての布教は失敗でした…

出山釈迦図 拙宗等揚筆 1幅 紙本墨画 岡山県立美術館蔵  甲高で爪長。

二枚の山水図、めちゃくちゃ細かい。
山水図 拙宗等揚筆 龍崗真圭賛 1幅 紙本墨画淡彩 京都国立博物館蔵
山水図 拙宗等揚筆 1幅 紙本墨画淡彩 根津美術館蔵
驢馬に乗る人や山など本当に細密。

四季山水図(春景・夏景) 雪舟等楊筆  4幅のうち「春」絹本墨画淡彩 東京国立博物館蔵  大きな岩が…ああ、胸がすくようだ。

四季山水図巻 雪舟等楊筆 1巻 紙本墨画淡彩 京都国立博物館蔵  小さく描かれた人々の暮らしが優しさをにじませて表現されている。
柳、田圃、流れ。心地よい邨だった。

涼しい心持になったところで二階へ上がる。
大好きな饕餮君たちに会う。
よくよく考えれば一つの身体に複数の生命体があるわけだが、乗っていると考えるべきか、共同生活とみるべきか。
…というようなことを考えながら青銅器たちに挨拶して歩いた。

企画室5の「花と鳥の絵画」は長くなるのでまた別項。

茶道具を見る。
今回は「雨中の茶の湯」
童子舟遊図 冷泉為恭筆 1幅 紙本墨書  網を持って元気よく働く子供。

手鑑 翰林秀葉 1帖 紙本墨書ほか 奈良〜江戸時代  「大聖武」から始まるスクラップブック…と言い切るのはいかんな。白河院、嵯峨帝、後小松天皇あたりのが出ている。

蓮葉形釜 1口 鉄 日本・江戸時代  何か見たことがあると思ったら、金田一耕助の愛用の帽子、あれにそっくり。

茶杓 共筒  佐久間将監作 1本 竹 日本・桃山〜江戸時代  変体仮名があるが読めない。元祖・猫オヤジの拵えたもの

祥瑞水玉文茶碗 景徳鎮窯 1口 施釉磁器 中国・明時代 17世紀  中に瓔珞文の連続。綺麗。

鉄絵鳥文茶碗 志賀 1口 施釉陶器 日本・江戸時代 18−19世紀  満足したような小鳥が可愛い。枇杷色と卵色の間のような肌。

赤楽百合形向付 楽宗入作 1口 施釉陶器 日本・江戸時代 17−18世紀  結構好き。

色々と楽しいものを見た。やはりここに来ると満足度が上がる。
7/10まで。

よみがえる仏の美 修理完成披露によせて

既に終わったが、やはり感想を挙げたい。
静嘉堂文庫美術館のリニューアルオープン展「よみがえる仏の美 修理完成披露によせて」、美術館のリニューアル、仏像の修理、みんなうまく行って良かった。
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普賢菩薩像 鎌倉  修理を施したのがどのあたりかはわからないが、綺麗な仏画だった。
頭上で踊る三人に、菩薩の膝あたりの截金の綺麗さに目を引かれた。

ずらりと並ぶ百万塔陀羅尼。40基・9枚。奈良時代に作られたもの。
壮観。元は法隆寺に所蔵されていたが、例の廃仏毀釈の影響で法隆寺も没落した時、岩崎家が助けたそうで、そのお礼に法隆寺から贈られたものだそう。

そしてその横に絵の具の綺麗な仏画が並ぶ。
東山御物だった羅漢図、とても綺麗な釈迦三尊図などなど。

高麗の仏画もいいのが集まる。
元から明の十王図もあるが、地獄は一定住みぞかし、ならぬとにかく多忙で大混雑中の様子。女も多いし、孔雀の扇もあるし、となんだかんだとカラフル。

摩利支天像とされているがもしかすると帝釈天かもしれないという図もあるが、どちらにしても端正。イノシシかガチョウがついていればわかる??

水月観音も珊瑚や小さい善財くんもいて賑やかだし、綺麗なベールがとても似合う。

日本の南北朝の仏画もとりどり。
弁才天、如意輪観音、千手観音28部衆、春日鹿曼荼羅・・・
五台山文殊菩薩は少年像で四人の眷属に守られている。

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そして河鍋暁斎が明治になって注文を受けて描いた「地獄極楽めぐり図」絵巻を久しぶりに堪能する。
日本橋の勝田五兵衛の娘で14歳で亡くなった田鶴の追善のために描かれたもの。
少女田鶴が仏さまに導かれて地獄極楽ツアーをする。
地獄は確かに恐ろしいけれど、極彩色で描かれた地獄もよくよく見れば案外面白いし、江戸の町と同じような賑やかさに満ちていて、猫の代わりに畜生道に堕ちた人がにゃあと口を開けて魚を食べたりしている。
少し前に死んだ役者の極楽興行もみれたし、亡者の家族にも再会、宴会にも読んでもらえたし…そして最後は極楽行きの汽車に乗ってご機嫌に雲の線路をゆくだった。
あの世もこの世も変わりのない賑やかさに、田鶴の亡魂も安寧、遺族も安堵という絵巻なのだった。

思えば年少の折に生首をスケッチしたり、ご維新の戦いで人死にを多く目の当たりにしたり、獄門に掛けられた人間の絵を描いたりする一方で、暁斎は心を病みもせず、痛快に生き抜いたのだ。

この展覧会のいいところは修復部分をどのようにしたかなどの情報をパネル展示し、長い絵巻の細部を見るためにと画面でスクロール出来る設えがされていること。
ありがたいなあ。

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最後、ロビーに出ると外光の入る場所に曜変天目と油滴天目の二碗が展示されていた。
外光を浴びてキラキラ煌めいている。
とても驚いた。

次の展覧会もとても楽しみ。

黄金のアフガニスタン 守り抜かれたシルクロードの秘宝

既に終了したが「黄金のアフガニスタン」展に二度行った。
二度も行って何も書けなかった。
これはやはり純粋に、見たものの美を讃えることが出来ない、という状況があったからだろう。
政治(戦争)によりその国の文化が失わされたりするような事態の中で、必死で守られてきた宝物。
ある意味、わたしのように政治的状況をあえて無視して美を讃える者には、なにも言う資格はない。
しかしそれでも言葉をかたちにしたい。いや、しなくてはならない。
どのような状況下であろうとも美は美であり、守られねばならぬからだ。

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このチラシを見るだけでも黄金に目が眩む。
黄金の牡羊。イメージ (30)物言いたげな眼をしている。

表慶館の美しい建物に展示された美しく尊い黄金の装身具と崇められた神々の像の破片。
ギリシャの神々だけでなく、ヒンズーの神、そしてブッダの彫刻もその国にはあったのだ。

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文化を壊すことはその国の存在価値を失わせ、民族を滅ぼすことでもある。
凄まじい迫害の中で、アフガニスタン国立博物館の職員たちは宝物を守り通したのだ。
21世紀の復活。
「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」
現在再建された国立博物館に掲げられている標語。
とても重いものだ。
そしてこの言葉はアフガニスタンだけのものではない。
平和であるはずの日本もまたこの言葉を強く刻み付けねばならない。

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5章に分かれて宝物が展示されている。
第1章 テペ・フロール
第2章 アイ・ハヌム
第3章 ティリヤ・テペ
第4章 ベグラム
第5章 アフガニスタン流出文化財
最後を除きすべてアフガニスタンの都市名である。
リストにはそこに副題が付き、それを見るだけでその都市の概要がわかる。

・テペ・フロール  メソポタミア文明とインダス文明をつなぐ謎の遺跡 
四千年前の文明の名残がそこにある。杯の断片などが展示されていた。ヒトは文化を持った時、酒を飲むようになったとしか思えない。
 
・アイ・ハヌム  アレクサンドロス大王の東征によって生まれたギリシャ都市
コリント式柱頭の部分が展示されている。石灰岩で出来たもの。石文化の美。パルメット文様を施したテラコッタ。
木象嵌、モザイクの美。古代ギリシャの美がここにある。

・ティリヤ・テペ  遊牧民の王族が眠る黄金の丘
ここに集まる装身具の愛らしさ・美しさには本当に心が弾み目が眩んだ。
花形のブローチにはトルコ石や真珠母貝が使われ、様々な小さな飾り板には全て細密の文様が刻み込まれてもいる。
表現された神々はギリシャの神々。ありとあらゆる装飾が集まっていた。

・ベグラム シルクロードの秘宝が集まったクシャーン朝の都
南アジアの大海を泳ぐ神話の魚・マカラ、その上に立つ女性の像。
崩れかけてはいるが、とても艶めかしいプロポーションをしている。これらは象牙で出来ている。
後宮女性の装飾板、門下に立つ女性の装飾板、こちらもすべて象牙。
凄まじく緻密な作業により生み出された文様の美。

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そして最後に日本で保護・管理されている「アフガニスタン流出文化財」が居並ぶ。
巨大なゼウス像の足先の断片。ブッダの様相を描いた土壁画。バーミヤンから助け出された仏たち。

他者の文化・文明を壊そうとするものたちをわたしは強く憎む。
これらは本当に良く生きながらえてくれたものだと感心するばかりだ。
だが、政情不安な状況ではいつまたどうなるか知れたものではない。
ああ、早く安寧の場を得てほしい…

いい展覧会だった。

2016年 大阪市立美術館のコレクション展を愉しむ 2

美術館の二階に上がり、この二つの展示を愉しんだ。
・中国四大美人!?<明妃出塞図>を読み解く
・仏教美術 聖徳太子をめぐる美術

まずこちら。
・中国四大美人!?<明妃出塞図>を読み解く
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このタイトルはちょっと失礼やな。何故に「!?」をつけるかな。

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後漢のと唐代の女子俑があった。
数百年の差があるのでファッションも雰囲気も全く異なる。
加彩 女子俑 後漢時代 両手は長い歳月の間に失われていた。膝をついて坐している。背後に回ると彼女の靴裏が見える。可愛い沓を履いている。
彼女の襟元にはまだ朱色が残る。ややうつむき加減のその顔には優しさと共に静かな意志の強さを感じる。

三彩 騎馬女子俑 唐時代  俑としては細めだがふっくら美人。スカーフをしてその先端を肩の後ろに回す。馬に乗ることも当時の婦女の楽しみの一つだった唐代。

様々なベルトのバックルが並ぶ。帯鉤。龍、獣面、渦文、雲気文、虎型など。
中に虎の上に乗る人を象ったものがあり、竜使いの拳竜氏(かんりゅうし)に準えて拳虎氏(かんこし)と呼びたい、と解説があった。そしてその字が「手」ではなく「豕」になっていた。
拳竜氏じたいは中国の史書に出ているようだが、わたしが最初にこの言葉を知った時は(けんりゅうし)とルビがふられていた。
・・・虎使いの一族か。なんかかっこいいな。

馬具もぞろぞろ。虎と鳥の形をしている。バックルも馬具も春秋戦国―前漢―後漢―南北朝のもの。
そして遼代の揃いの馬飾金具も出ていた。こちらは14個ある。

「単于和親」と刻まれた塼拓がある。前漢。ぜんう・わしん。単于は匈奴の君主の事。
「和親」については人名ではなく文字通りの意味だと思うのだが、興味深い論文を見つけたので参考までにあげておく。PDFである。こちら

いよいよこの絵。
明妃出塞図 宮素然 金時代 
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開かれているのは4組の人々。
とても風が強いようで、いずれも風の影響を強く受けている。
・先頭の二騎、風が特に強いようで馬の鬣も靡いている。馬たちは少し俯いている。
旗を持つが、その旗も強い風に負けそう。更に馬のそばに仔馬が寄り添っている。
・次に騎馬の王昭君と彼女愛用の琵琶を持ち、後ろを見返る侍女。このふたりは二度と戻れぬのだ。王昭君の馬は葦毛のいかにも駿馬。これはどういう意味を持つのだろう。色々なことを推測する。もう彼女の装束は匈奴風になっている。
・その後に続く一団のうち黒馬に乗るのが呼韓邪単于。王昭君を見て嬉しいのでニコニコなのか、好色そうな目つきをしている。
他の馬もいい馬でハナ白もいる。
・ラストには髭の男とやせた猟犬が続く。
「明妃初出云々」と五行詩があるが、いい字。詩編は二種あり文中の言葉の置き換えがあり、書体も変えている。
わたしとしては、彼女は匈奴の地で大事にされて案外幸せな生涯を送ったと思いたい。
窮屈で退屈で皇帝の訪いもない後宮にいて、将来の見通しも暗いのより、こちらの方がいい。とはいえ中華思想から言えば中国以外の土地に行かされた=それだけで不幸、といいたいのもわかる。
多くの人々は「不幸でいてほしい」と思うものなのだ。

門衛図画像石 後漢時代  可愛い浮彫。鳥らしきもの・豚とおぼしきもの・ハリネズミと見まがうものなどなどが刻まれているが、いずれもざっくりした形なのでアイシングしてクッキーにするのもいいかもしれない。

九成宮図 仇英 款 明時代  おお久しぶり。夏の宮殿とそこにいる人々の様子をロングで捉える。もくもく湧き立つ雲と緑の山々。岩から曲がって生える松。人々だけでなく馬もいる。婦女と幼児の姿がある。暑いときはここで執務。

青銅鏡がいくつか。古代のものは神や宇宙を表しているが、時代が下がるにつれて宗教的な意識が消えてゆく。
呉王伍子胥図画像鏡 後漢~三国時代 うわ、伍子胥が自殺するシーンを描いているとな。
・・・馬車がゆくのしかわからない。呉越の話。ここらあたりの話は好きなのだが、鏡にそんなのをつけられても困るなあ。

後は唐代の狻猊、海獣などをモチーフにした華やかな鏡がある。
そしてその鏡は女性の化粧道具となり、いよいよ華麗な装飾を施されてゆく
宝相華文の杯、鴛鴦文の簪なども共に展示されていた。

最後にこちら。
・仏教美術 聖徳太子をめぐる美術
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第一部 遣隋使のみたもの
北斉、隋、唐にかけての仏像を中心とした仏教美術がある。
隋の石造四面像が二つあるが、うちの一つの向かって左が半跏像だった。あとのサイドは皆立姿。

石造の仏像は工夫が凝らされている。背後にも手を抜かない。
ちゃんと飛天が飛んでいたり、獅子が待機していたり。

第二部 聖徳太子の生涯と太子信仰のひろがり

河内の叡福寺から絵巻形式の聖徳太子絵伝が来ている。
上・中・下巻が開かれていて、太子の年に起こった出来事を叙述する文章を書くのは、太子と同年齢の貴族男性だった。その辺りの事情は知らないが、ある種の願い事をこめての一大プロジェクトだったのかもしれない。
以下、概要。なお( )はそのときの担当者名。
16歳の厩戸皇子の状況から始まる。

16歳(飛鳥井中納言雅章)
春 父を見舞う。服装は平安朝で統一されている。皇子は袈裟をつけて佛に祈る。
秋 物部守屋と戦う。四天王像を並べた台の前で祈る。槍衾になる人もいる。馬も飛んで逃げる。

17歳(東園少将基賢)
春 新羅より仏舎利到着。工人らが緑の布に包んだ舎利塔を運んでくる。
  崇峻天皇に面会し、身の危険について言上。そのそばには刀を抜いた男が隙を伺う。

18歳(裏松左中将資清)
使節を三方に送り、それぞれの民情をチェックした報告を聞く。にこにこするみづら頭。

中巻。
27歳(伯中納言雅喬)
春 青野に柳もある。馬と太子。その先に草摘みをする少女。膳大娘である。
絵自体、近代的な構図である。新興大和絵よりも更に新しい絵という感じ。松篁さん、守屋多々志らが描きそうな雰囲気。
秋 甲斐の国より黒駒が。そばには青衣の舎人がいる。彼が馬丁になる調子丸(調子麻呂)。
山岸凉子「日出処の天子」ファンとしてはかなり嬉しい。
その調子丸、黒駒共々雲に乗り富士山をゆく。
また、新羅から孔雀が届き、にこにこ。

28歳(廣橋前宰相綏光)
春 百済から駱駝、驢馬、羊、白雉が贈られてきた。白雉は縁側にいる。ラクダは馬にしか見えない。
クダラカララクダ。いいなー。羊は茶色と白の二匹でニコニコ。青衣の調子丸もニコニコ。

下巻
35歳(伏見兵部卿宮貞清)
勝曼経の講義。このシーンが上掲の絵。建物の外には千仏の顔が浮かび、蓮華辮が降りしきる。カラフルな幡が室内に連なる。男も女も皆が感激している。

36歳(一乗院宮尊覚)
夏 小野妹子を遣隋使として送る。妹子、衡山へ。その山の案内図が描かれていて、異時同時図としても機能する。
達磨大師のようなのが洞内にいる。鳳凰が飛ぶ。雉もいる。達磨大師と話す妹子。達磨、雲に乗り去る。
ところでこの山は調べたら道教の聖地らしい。神農がここで薬草を採ったとかなんとか。

37歳(西園寺前大納言実晴)
夢殿にこもり、魂を衡山へ飛ばす聖徳太子。一人ではなく五百人の従者共々、青竜に乗る。
百済の僧たちは聖徳太子の前世が衡山の比丘の一人だと告げる。喜ぶ太子。

絵も綺麗、書もいい、展開もいい、と結構な絵巻でございました。

太子孝養像が二枚。どちらも鎌倉時代。
みづらに赤いリボン、赤い袍に袈裟懸けの立ち姿と、室内で屏風前に立ち、むっとしている顔。後者は香雪美術館で現在展示中のそれとよく似ているようで、どうやら原本があるらしい。とはいえそれは不明。

童形像もある。みづらを結う美少年。そしてその左右に傘蓋を持つ童と燭台を持つ童がいて、三人共に穏やかに愛らしい。
これは磯長陵に見に行く様子を、あえて少年姿で表現したもの。
自分のお墓を見に行く美少年。なんだかカッコいいが怖いぞ。

推古天皇像 土佐光芳 1726  上畳に座した唐風の女王。緑の着物に紺の袈裟懸け。

見立てものもある。
唐人物図なのだがそれを聖徳太子だと伝える。馬上豊かな美少年。髪は後ろへひとまとめ。

摂政像もあり、もみあげまで描かれている。その前には生命感のある四天王。

刺繍製の摂政像と2王子図 1686  糸がキラキラ、王子たちもキラキラ美少年。

金銅菩薩立像 飛鳥時代  止利派の仏像だそうだ。両手を前に差し出し、そこに宝珠。

木造女神坐像(伝・聖徳太子像) 平安時代  見たことがあると思ったら、モディリアニが傾倒したアフリカの彫刻と、それを元にした「カリアティード」風裸婦像、あれによく似ているのだ。

ニンニンの印を結んだ大日如来像、柄香炉も三本ばかり、そして聖徳太子をモチーフにした絵柄の煙管筒などもあった。

大阪市立美術館のコレクションは、本当に奥が深い。
面白かった。

6/26まで。


2016年 大阪市立美術館のコレクション展を愉しむ 1

大阪市立美術館のコレクション展を大いに愉しんだ。
あまりに楽しすぎて耽溺しすぎて、とうとう後の予定が全て壊れてしまった。
たまに熱中するとこんなことにもなる。
しかし後悔することはない。
いい展示を見て溺れるのは決して悪くはないことだ。

さて何を見たかと言うとこの5つの展示である。
・肥前磁器の展開
・異郷の空
・源平物語絵
・中国四大美人!?<明妃出塞図>を読み解く
・仏教美術 聖徳太子をめぐる美術
いずれも深く深くに溺れてしまった。
陶然となると当然ながら感想も長引く。二つに分ける。

初見もあれば嬉しい再会もあり、以前に感想を挙げたものもあればその当時はスルーしていたものもある。
非常に主体的な眼でしかものを見ないので、感想が重なることも仕方がない。
そこがシロートの傲慢な愉しみ方かもしれない。

今回の展覧会で見たもののうち過去にここで感想を挙げているもの
2009.12のコレクション展でみたもの・・・明妃と狻猊双鸞唐草文八稜鏡と常盤と九成宮。

2011.8「色鍋島・藍鍋島」展

常盤と鏡は2015.1にも見ている。

それ以前も見ているが、当時はネットにデビューしていない。
さて、好きなことを書こう。

・肥前磁器の展開
リストはこちらpdfです。

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初期伊万里様式の有田焼から始まる。
染付吹墨 雲兎文皿  これなどは今もあちこちで目にする人気のもので、雲の下の跳ねる兎が可愛い。

染付 葡萄文皿  手描きの葡萄がなにやらイラストを転写したような巧さがある。

染付 花卉文皿  円の端の一部にだけ花がある。こういう配置というのは意外と現代風に思える。

白磁線刻 蕪文皿  素朴な可愛さがいい。

古九谷様式の有田焼も並ぶ。

色絵 楼閣山水図皿  いかにも古九谷風な色合いが映える。

色絵 唐花唐草文皿   これもいいなあ。縁は白で見込みは赤に白抜き。

柿右衛門様式もいい。
色絵 草花文八角猪口  乳白色の肌の上につつましく花が咲き、八面ずつ違う様相を見せる。

色絵 双鶴文皿  朱の鶴、青の鶴、向かい合って飛ぶ。
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こんなのもある。
青磁染付 流水兎図輪花皿  リアルな筋肉質の兎が二羽飛び交う。とはいえ、なんとなくきゃりーぱみゅぱみゅ「にんじゃりばんばん」のPVを思い出した。あんな感じの動きをしそう。

他に金襴手の華やかなものも多数。獅子と鳳凰が妙なコンビプレーを見せてもいる。
おかしいのはこれ。
色絵 唐花文変形皿 有田焼 松ヶ谷手  どう見ても楕円型の池の縁に三匹のカエルが上半身を水から出しているように・・・もっと言うと、お風呂に入る三匹のカエルが♪ババンババンバンバンはぁービバノンノンしている。

そしていよいよ鍋島の登場。
初期、盛期、後期の名品がずらりと並び、将に壮観。
初期で特にいいのが二つ。
色絵 芥子図木瓜形皿  これは初見だと思う。木瓜形は縦長で、その中に首をかしげた白芥子が咲いている。金継ぎが何本か走るのがまるで草のようだった。

青磁染付 大根図皿  葉っぱが青磁で地は染付。イキイキとおいしそうな大根に見える。

後期は絵画的な図像になる。
染付 老松図皿
染付 飛龍波涛図皿 どちらもとても力強い。

盛期がやはり好きなものが非常に多い。
色絵 蒲公英図皿  花自体は紅い。葉っぱの傷み具合がとてもうまく表現されている。

染付 椿樹図縁皿  これは好きな絵柄で色絵のものが最愛だが、青だけの染付もいい。
愛らしさについついこちらもニンマリしてしまう。

青磁色絵 山帰莱図縁皿  この絵柄の皿はこれしか知らない。しかも青磁色絵で。類品を見たことがない。植物の蔓とふくらんだ実とが可愛い。
大昔のディズニーの絵本「シンデレラ」の南瓜のようなのだった。

青磁染付 青海波椿繋文皿  これも本当に可愛くて、わたしも椿の仲間に入れてほしいと思ったりするくらいだ。いいなあ。

最後に面白いものを見た。後期鍋島で不思議な絵柄のもの。
染付 雲居楓橘懸橋図皿  左に橘、右に楓の木があり、その間に橋が架けられている。
カササギがいずとも、楓と橘の恋は成就しそうでした。

・異郷の空
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こちらは海外に出かけた洋画家たちの作品。
主に滞欧作。行ったきりになる洋画家もいる反面、行ってもさっさと帰る人もあれば、別件で渡欧し、そこで画家になる修業を始めた人もいる。様々な道。
そうそう、絵の修業地の大半はフランスだけど、イタリー、スペインに行く人もあり、アメリカに行ってその地にの人になる画家も少なくはない。

カンヌ風景 梅原龍三郎 1962  もう老大家と言われる年頃の作だが、やはり大きな力を感じる。色はぼやけているところもあるが、夕日か朝日かが光を放ち、町と林がしっかりしているところはさすが。

オンフルール港 児玉幸雄  やや厚塗りで港の様子と町を描く。田村孝之介の弟子にしては厚塗りですなあ。

ロンバール通り 荻須高徳  ちょっと下から見上げた町の一隅。俯瞰して眺める建物。

知らない画家の作品が二枚並ぶ。どちらも赤茶色に覆われている。1956年。
桜井悦というヒトで、お気の毒にこれらの絵を描いた直後に若くして病気のせいで筆を断ったそうだ。
巴里風景(バステイユ)、旗のある風景(セーヌ河畔)
どちらものびやかな風景だった。

風景 岡鹿之助 1951  シックな配色である。道の先が開き、そこに一軒の時計と鐘楼を持つ建物が建つ。辺りには少しの木々がある。青緑の空と薄い雲と。平面的な美しさが静謐さとなる。綺麗な色で構築された世界。印象的な一枚。

ブルターニュの風景 森田恒友 1915  チラシ。セザンヌ風な背景処理。働く女と羊たち。

白衣の少女 岡田三郎助 1901  白のヴェールをかぶり手袋も白い。そしてその膝には聖書がある。これは堅信礼を受ける日の正装ではないだろうか。

壺を持つ女 百武兼行 1881  顔だち、服装は百武の他の絵の女たちとよく似ているので、もしかするとモデルも同じ人なのかもしれない。ただ、この女はもしかするとジプシーかもしれない。眉間にぽっちりがつき、耳にピアスがある。

ポンペイ壁画自由模写 梅原 1912  まだ24歳の梅原。ポンペイの壁画を模写したのはとてもいいことだと思う。梅原の豊饒さはローマ時代のそれを思わせるから。
ここではどの壁画を模写したのかわたしにはわからない。
岩に立つ女と、ヘルメスを思わせるような羽根つきのサンダルの男がその女の腕を上げている。彼の手はそうしてこの女に触れながら、もう片方の手には殺した女の生首が提げられている。メデュウサかもしれないが、蛇はどこにも見えない。

第一回ヒュウザン会油絵展覧会ポスター 清宮彬 1912  このポスターは新規購入らしい。木版画。フジタのような前髪をした、南の島の裸の男がブドウ、リンゴなどを載せたフルーツ皿を持つ。
皿と言うより、これの正式名は知らない、日本でいえば高坏みたいなものよ。
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・源平物語絵
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源平合戦図がメインではないが、両家の関わりを示す作品が集められていた。

一ノ谷合戦図屏風 伝 土佐光元 2曲1隻 室町時代  動きが激しい。刀を抜いて走る・馬の首をめぐらす・攻防の激しさが絵になっていた。

平家物語図押絵貼屏風 6曲1双 江戸時代17世紀  12シーンそれぞれに物語がある。絵自体も丁寧でいい。
・館の屋根の上で天狗たちが騒ぐ・黄瀬川の兄弟の出会い・富士川の戦い(水鳥の飛び立ち)・敦盛と熊谷・与一、そして最後は大原御幸。こういうのを絵解きするのも面白そうだ。

鞍馬僧正谷  鈴木松年(1848-1918) 6曲1双 1891  力強い。この絵師は赤穂で回顧展があったのを見た。
こちら
歴史稗史から選んだ情景を力強く描くのが多い。
大天狗、烏天狗たちから鍛えられる遮那王義経。熱心に虎の巻を見て勉強中。
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二重瞼の凛々しい少年。明治から戦前までの少年雑誌に現れるタイプの顔だち。

義経牟礼高松  小室翠雲(1874-1945) 1幅  1902  高松、波打ち際、義経が名馬・太夫黒に乗っている。この馬を奉納することになるのだが。・・・ただのおっちゃんである。

少壮義家 菊池契月(1879-1955) 戦前  素敵な白い顔。乗るのも白馬。穏やかな源義家。美男。やはり契月はいい。

伏見常盤絵巻 室町
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久しぶり。今回は幸せな頃の一家団欒図から始まる。清水詣で。橋を渡る母子、犬の散歩の人と行きあい。雪中をさまよう。
元は絵本だったのを絵巻にされたそうだ。

源平合戦の故地を紹介する名所図会などが並ぶ。

住吉名勝図絵・4 1794  判官松というのがあったのだな。何かと言えばそこで義経らが一休みしたとかなんとか。

摂津名所図会・7 1796  布引の滝で清盛一行が例の雷に遭うシーン。
・9  三草山、義経軍が民家を焼いて通り過ぎる…

伊勢参宮名所図会・1 1797  清盛楠。本当は息子の重盛ゆかりの楠。東向きの楠の西を遮る枝を切ったという話らしいが、いつしか清盛楠と呼ばれるようになったとか。
これはあれか、ヤクルトのキャラ・つば九郎がツバメなのに「キチペン」=鬼畜ペンギンと呼ばれるのと同じか。←ちがう。
・4  粟津合戦図。今井四郎兼平の最期の図。田で馬の足がとられた為に。

ここまでみんな寛政年間の本。寛政年間といえばわたしの中では「鼻紙写楽」だな。
まだ若い写楽が試行錯誤しているところ。

播磨名所巡覧図絵・1 1804(文化元年) わたしが先日訪ねた兵庫津の話。「築島」。松王少年が多くの人柱の代わりに自分が馬に乗りざふざぶと海へ入る図。
本当は清盛は人柱をさせぬためにお札を沈めたというが、得てして大悪人風に仕立て上げられる。

続く。

大阪市立美術館の外観・内装を少々

コレクション展を見に行った。
少々観客も少なかったので、建物を撮影した。

外観はカメラで。
正面玄関
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窓の様子
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向かって左
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屋根の瓦をみる。
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元はレストラン榴樹のあったところ。
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2006年の窓の様子
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その日に見た外観
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こちらは慶沢園からの長め。2014春の頃。



秋、ハルカスから遠望



内側だが、ちょっと写真が少ない。
今度また撮りに行く



階段 少しばかり色ガラスが映る。



先月の分のがちょっと出てこないのでまた今度。

川端康成コレクション 伝統とモダニズム

東京ステーションギャラリーで開催中の「川端康成コレクション 伝統とモダニズム」展を見た。
川端と日本画家との交流をテーマにした展覧会も少なくない。
彼のコレクションもこれまで数度見ている。
素晴らしい内容である。
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わたしのブログで主だったところと言えばこの二つの展覧会の感想がある。
いずれも当時の感想へリンク付。
「川端康成と東山魁夷」京都文化博物館 

「大和し美し 川端康成と安田靭彦」千葉市美術館

それで魁夷、靫彦らの展覧会を追想しつつ、川端のあの眼が観たもの・愉しんだものをわたしも後追いしようと思う。

1.川端コレクション モダニズムへの憧憬
村上肥出夫という画家は今回初めて知った。1933年生まれの人で放浪の中で絵を描き、一時期とても人気があったとか。厚塗りで、とにかく厚塗りで、わたしらは形のわからない絵が二点。川端のなくなる少し前の絵がある。画家の最新作をリアルタイムで購入していたのだ。
キャナル・グランデと カモメの二点は本当に厚塗りだった。
この画家はお気の毒に火事が元で精神に異常をきたしてしまったそうだ。
それでもう今では描けないそうだが、もし、ということをいくつも考えてしまう。

ベル・串田 センチメンタル・ジャニー ―神と共に 1967 こちらもリアルタイムの現代アートである。三彩風な色合い。ノートルダムだろうか。

草間彌生もある。こちらは1950年代のだが、川端は同時代の人の作品を観て、買う人なのだ。

昔の友人の古賀春江の絵がいくつも並ぶ。
シュールなものから童画風なものまでいろいろ。
名を挙げるとクレー風なものから初山滋風なものまで。
茨木の川端記念室で見て以来20年ぶりの「孔雀」もあった。
構図は当時必死でメモったので忘れてはいないが、配色が記憶のそれとは全く違った。
緑色の羽根、低木の薔薇など。
古賀春江のいい絵をかなり持っているのだ。

ルノワール、ピカソの絵もある。前者はスケッチ、後者は新古典主義の頃の小品。
どちらもやさしげな女性図である。

ロダンの彫刻が二つ。女の手とユゴー像である。
前者はチラシのそれ。
「ただ見てゐる」
しかし川端の視る眼はやはり恐ろしく、更には彼の作中での「手」の存在価値を思うと、妄想はいくらでも膨らむ。
谷崎は足フェチだが、川端は手への執着が深いように思う。
そして谷崎の小説は笑えるが、川端のそれは笑うところが一つもない。

魁夷のいい絵を見て歩く。キモチが和む。
薬物中毒の治癒への見舞品にと描かれた絵もある。それが後に「古都」に使われたそうだ。
そういえば「古都」でも薬物中毒になった男が出てきた。ただ、その男が川端と同一化というとそうでもなさそうである。

梅原の桃、中澤弘光の舞妓、劉生の南画風な麗子におまつらしき絵もある。
猪熊のクレパスによるモダンな女の像、岩崎勝平の式根島の島娘などなど。
熊谷守一の蟻がいいアクセントになった。

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2.川端文学、文壇デビュー
パネル展示されていた「掌の小説」のいくつかを読む。
正直きもちよくない。

実はわたしは子供の頃、親から「川端、谷崎、乱歩、三島は読むな」と戒められた。
しかしその頃すでに谷崎と乱歩は読んでいたので手遅れ。
三島は文章が自分に合わずパス、川端はあの眼が怖くてとうとう高校まで本当に読まずに来た。
高校の教科書に「掌の小説」の一篇が入っていて、それでやっと読んだのだ。
あと、川端記念室の展覧会で小磯良平の「古都」の挿絵を見に行き、そこで「古都」を読んだくらい。
今思えば「浅草紅団」「眠れる美女」などは非常にわたし好みなのだが、いまだに読まないでいる。

ここではフラレた相手の書簡の紹介もある。…やっぱりいやですわ。
そういえば後の川端の愛人が川端のために歯を全部抜いた、という話を思い出した。とても怖い。
極論すれば、えろとブキミの大家ですな。
同じく官能を追及してても谷崎には滑稽さがある分救われる。

面白かったのは浅草のチラシやバンフなど。
「エロの夕べ」おお、浅草らしくていいな。カジノフォーリー、初音館のビラ、美少女・諏訪子根自子の紹介記事、花やしきの案内MAP、熊娘の見世物…
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これは古い昔の絵ハガキだったそうだ。ネットで拾った。

3.川端コレクション 伝統美への憧憬

可愛らしい鳥の埴輪、にっと笑う縄文娘…なとなど。
またアフガニスタンでみつけた白塗りのきれいなガンダーラ風の仏頭。
朝鮮の民画に明の絵師の絵、それから黒田辰秋の漆芸品。
わたしは特に螺鈿ものにときめいた。

池大雅と蕪村の競演「十便図」がある。
期間によりページ替え。
京文博で見たときの記憶が蘇る。
可愛くていいなあ、二人とも。

4.川端文学「雪国」以降

明恵上人の「夢記」の断片、ノーベル賞のグッズ色々。
魯山人のやきもの、愛用の織部で鷺のいる硯などなど。
むしろ素朴な美しさがある。

川端の著作の装幀、口絵などの作品が集まっている。
古径「千羽鶴」装幀原画、杉山寧はその挿絵、山本丘人「山の音」装幀、岡鹿之助「舞姫」、そして勅使河原霞「女であること」。
靫彦による全集装幀もすばらしい。
本当に贅沢だ。

巡回があるのかどうかは知らないが、今回もこうしてみることが出来てよかった。
6/19まで。




京都ハリストス正教会に行った

中京区にある京都ハリストス教会にでかけた。
ロシア正教会である。IMGP0221_201606011242358ba.jpg

ご近所さんと調和している。IMGP0219_20160601124232ea9.jpg

外観
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改修されたあとに来たのだ。

やはりこの塔がいい。IMGP0210_20160601123724f5d.jpg

細かいところを挙げる。
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窓枠の下の飾り。

ガラスもロシア的な配色のものが。IMGP0213_201606011237289ae.jpg

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玄関からちらりと。IMGP0205_2016060112360736f.jpg

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綺麗になってよかった。IMGP0204_2016060112360714d.jpg

ネギ坊主のアタマIMGP0214_2016060112421115c.jpg

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窓を外から。
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好きだなあ。

中は現在撮影禁止。
リーフレットをいただけるのでそれを参照にも。
イコンは山下りん。

それからこちらは1998年に出かけて内部撮影させていただいた古いものを少々。
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秋には恒例の非公開寺院の公開、あれに参加するそうな。
いい建物、素敵なイコンに会えるイベント。

耽美・華麗・悪魔主義 谷崎潤一郎文学の着物をみる ~アンティーク着物と挿絵の饗宴~

弥生美術館の今期の展覧会は「耽美・華麗・悪魔主義 谷崎潤一郎文学の着物をみる ~アンティーク着物と挿絵の饗宴~」ということで、開催するまでにクラウドファンディングで資金を集めたところ、予定の倍近い金額が集まったようである。
詳しいことはこちら。映像もある。

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展覧会では谷崎の10の作品を選び、彼の文が表現する着物の様子と、その作品の挿絵と、そして描かれた着物を<再現>したものが見られる。
アンティーク着物コーディネーターの大野らふ氏という方の手で作中に現れるのと同じ・類似の着物が集められ、マネキンがそれらを装い、作品世界を立体化していた。

「細雪」から展示が始まる。
東京とは違う、京阪神の好みの派手な着物、みるだけでわくわくする。
レトロモダンな着物と小物。帯留にしてもモダンで明るくて可愛い。
紹介された本文を読んでも生粋の上方人であるわたしには納得のゆくことが多い。
着物を着る生活をしていなくとも、共感することがとても多いのだ。
渋い江戸小紋より派手な友禅などの方が好き。
こういうアプローチの仕方をされた「細雪」、親しみがわいてくる。

挿絵は小倉遊亀さんのが出ていた。ただし1970年刊行のだから、その当時の着物の絵。
小説はこれより20年以前どころか戦前が舞台なので30-40年前の流行が正しい。
ご自分も着物を着られる方だから遊亀さんはあえて今の着物に替えられたのかもしれないな、などと想像する。

口絵挿絵は他に1966年版が田村孝之介。田村の挿絵はシンプルだが要を掴んでいるところがとても好ましい。
・阪急芦屋川駅ホームにいる三人の姉妹の華やかさ、妙子のモダンな洋装には当世流の狐の襟巻がつく。
・リアルな道修町のその町並み。これは「春琴抄」でもそうだが、大阪だけの街並みだったので、よその人にはなかなかわからない。尤も今はほぼ壊滅状態なので現代の大阪人も本当にはわからない。
「コニシ」さんの黒いお屋敷、あれが活きているだけでもありがたい。
これで思い出したが、戦前に「春琴抄」を映画化するとき、小村雪岱がその装置でえらく苦労したという話がある。川越から東京に暮らした雪岱は上方の古い家の構造が理解できなかったそうで、靱あたりに残る旧家を見てやっと納得がいったそうだ。
・田村描く幸子はえらくべっぴんさんである。
水害の後のシーンなどもいい。
田村孝之介の挿絵のついた里見弴の小説を持っているが、ちょっと今そのタイトルが出てこない。里見弴と志賀直哉がモデルのちょっとばかりBL風なところのある作品で、「君と私」ではない方の。あの挿絵もとてもよかった。

次に「肉塊」
これはわたしは未読。挿絵は田中良。妖艶な挿絵がとても魅力的。
チャイナドレスを着た女。彼女は白人である。
この挿絵は作家・坂本葵さんのHPで少しばかり見ることが出来る。
田中良といえば「第二の接吻」がとてもいい。

着物はチラシのこれ。主人公の妻のものから。
パールの長いネックレスを掛けて着る着物。それにふさわしく孔雀の柄に薔薇の帯留。
豪奢な着物。

文中に現れる妖艶なグレンドレンの美貌、それにそぐうのは高価なビロードコート、絢爛たる刺繍のチャイナドレス。姿を消すときの彼女は闇を纏うている。
貞淑な民子もまた映画の撮影のために人魚となり王女となる。その艶やかな姿。
豪奢な挿絵にふさわしく、並ぶ着物も大正ロマンに満ち満ちたもの。

いよいよ「痴人の愛」
一番に思い出すのは岩田専太郎の「りべらる」あたりに出た口絵。ナオミが譲治を馬にして部屋を歩くあの絵。
あの絵でナオミの着る水玉の着物と同じようなものがそこにあった。
赤と黒の市松格子の兵児帯を前で締めている。

トンビがあった。インバネス・コートである。作中でナオミが海岸で若い男たちと遊んでいるときにかぶっていたコート。
彼女は裸身にコートをかぶっていた。そして笑いながら譲治にぱっと前をはだけて見せるのだ。・・・かっこいいな。
それでカッとなったのか逆上したのか、譲治は
「俺に恥をかかせたな、淫売、ぢごく!」と罵るが、ナオミは気にも留めない。

この時代でもまだ「ぢごく」が(それを意味するのが)通っていたのだ。
南北の「四谷怪談」に按摩・宅悦が経営する地獄宿が出てくる。
この言葉は南北のいた時代に通用していたが、「痴人の愛」の時代でもその言葉はあの意味のまま通じていたのだなあ。
しかしこれは江戸・東京だけの話だろうか。上方では通用したのだろうか。
ちょっとばかり気になる。

写真がある。モデルとなったせい子がホテルの前で笑っている。苦楽園。思えば近いところだ。明治末に鞄の町・豊岡で生まれて、欧米でもブームになった籠のバスケットをもって笑っている。この写真は初見だが、今見ても日本人離れした容子である。

「神と人と人間」、「黒白」中川修三の挿絵、「友田と松永の話」田中比佐良の挿絵、
これまでの展示でも見ていない作品たち。
モガのカッコイイ姿。そして「刺青」、「お才と巳之助」の男を惑わす女たち。
「富美子の足」では国貞の絵本の絵を使うている。

「蓼喰ふ蟲」でた。小出楢重の挿絵は非常に魅力的で、これに触発されて谷崎も当初の計画を変えたという。
こちらのサイトでいくつかの挿絵が見られる。

おいしそうな朝食。トースト用の食パンを挟む器材、ケーキもウエハースもマカロンもなにもかも。
これで思い出すのが小出の随筆にある神戸の洋菓子屋・ユーハイムでの彼のおやつ。
昭和初期に芦屋で洋風の生活をしていた、それがこうしたところに現れる。ステキ。

「猫と庄造と二人のおんな」・・・きましたね。
谷崎は深刻な話であってもどこかしら面白い。これは人間の滑稽さと言うか、大阪弁でいう「あほらしさ」のつまった話で、しかもちょっと身につまされもするのだ。
この男もまた谷崎のある一面・事情がモデルになっている。
芦屋の谷崎記念館には実際に谷崎が滝愛していたペルちゃんという猫の剥製がある。
それについては以前このブログで書いている。こちら

安井曾太郎の表紙絵のほか、1970年に出たときには先般ハマ美で回顧展のあった中島清之の挿絵がついている。
「夏菊」には佐野繁次郎の挿絵。

松子さんのと同じ着物が出ている。
レトロモダン。とてもしなやかでステキ。青、白、抹茶色の交差する文様を見ていると、先般の「俺たちの国芳、わたしの国貞」展でみた国貞の役者絵の背景処理を思い出すのだった。

「台所太平記」、ここで田中翼コレクションでも見た着物を思い出す。

「秘密」女装の男と上海帰りの女と、というのだけでもときめくな。
「月の囁き」には華宵の挿絵もついている。

ここで松子さんのドレス姿の写真があった。和装姿しか知らないから新鮮な感じがある。
「春琴抄」のコーナーで実際に触れる着物が支度されていた。そぉっと触れてみて、布の感触を楽しんだ。
アンティーク着物、いいなあ。
そうそう、アンティーク着物と言えば去年泉屋分館でもいい展覧会を見た。感想はこちら


展示された着物の華やかで派手で明るくて愛らしい様子に、観客みんなわくわくしている。
わたしだけでなく、来た皆さんがときめいているのがよくわかる。
これまでなかった、文学から見た装いの展覧会。
装いから見る文学、そして挿絵。

キモチが昂揚する展覧会だった。ありがとう、弥生美術館。
6/26まで。

北大路魯山人の美 和食の天才

三井記念美術館で開催中の「北大路魯山人の美 和食の天才」展を愉しんだ。
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魯山人の展覧会は毎年どこかで開催されているのでよく見るのだが、それでも作品の前に立つと「をを」とか「ああ」と感嘆の声を挙げてしまう。
今回は足立美術館のコレクションを中心にしたもので、そこに個人蔵のや近代美術館に収まるものが来る。
作品数が多いうえに、所蔵家が秘蔵せず見せてくれるおかげで、われわれは魯山人のやきものや他の作品を(見るだけとはいえ)楽しめるのだ。

使うためのものを拵えた以上、それにじかに触れる権利も持たず、食器として使うこともなく、単純に<観る>だけの観客に対し、あの世で魯山人はどう思っていることか。
純粋芸術として観るしか出来ない観客は、作った魯山人が目をつぶっているのをいいことに、彼の拵えたやきものなり漆器なりをみては、無限の妄想に耽り続けるのだった。

足立美術館の魯山人コレクションと言えば1994年2月の奈良そごう美術館と、1998年に足立に行ったのを始まりに、何度か見ている。
他のコレクションも少なからず見ている。
だが、場所が変わり設えが変わると新しい気持ちになる。
知識だけは持ったまま、魯山人のやきものの前に立ち、今回も感嘆の声を挙げよう。

前後期ともども観たので感想はまたがる。
青織部籠形花器  これなどは「昔々の新規な」織部かと思うくらいで、織部に対し魯山人がいかに打ち込んだかが伝わってくる気がする。緑色の筋の綺麗な。
やはりこの花器には和の花、それも桔梗か鉄線のようなものがいいのではないかと思いもする。

紅志野あやめ八寸  花を文様にしても磁器と陶器の違いは大きい。陶器には文様に対してある種のゆるさがあると思う。そして陶器の文様はそのゆるさが魅力なのだと思う。

志野若草文四方平向  ここにどのような料理を入れるか。妄想が広がり始める。
「吉兆」の湯木貞一さんが拵えたものを捉えた写真をパネルにして、湯木美術館はそれを壁面展示する。そのときに料理の載る器に目が行き、なるほどこれにはあれかと学ぶ。
実践することは出来ないものの、学ぶことは自由だ。
記憶に残る料理をここに載せてみようとわたしの眼と脳は動き、ヨダレを止めるのに苦労する。

織部俎板盤  外国の国旗のように左上に別なコマ枠がある。そこに葉っぱ柄。後は青緑。海の色のよう。揺らぐ水面の下。岸の草が見える。そんな盤。

銀三彩輪花透鉢  とても綺麗だと思った。砕いたドロップの欠片を銀色の陶肌のあちらこちらに埋め込んで焼いたのかと思った。透かし部分も可愛い。これ一つだけでお菓子の家のようだ。透かしだけを見ていると浜辺にいるような気にもなる。
だがその銀の肌。まるで錦のような手触りがあるのではないかと想うのだ。

織部蟹絵平鉢  黒いカニは生きている証拠。ざわざわと動き回りそうなカニの絵がそこにある。三枚の少しずつ違うカニたち。
赤く茹でた松葉ガニを置くか、いっそ大きなエビを置いてやろうか、いやいや昔話に合わせて柿をそこに・・・

わたしが妄想に灼かれている間、第一室を行く他の人もまた右往左往右顧左眄しつつ妄想に耽っていたに違いない、と確信している。

第二室には絵瀬戸草虫文壺がある。北村美術館ほまれの壺。秋草文と北村では呼ばれている。草の合間合間にバッタがいる。可愛い。いい音色が聴こえてきそうだ。
そういえば日本、中国、朝鮮では虫の声に静かな喜びを感じるが、西欧ではその楽しみがないという。脳の問題だと言うが、わたしは東洋の人に生まれてよかったと思うのだ。
バッタやキリギリスやコオロギやマツムシ、スズムシ・・・優しい気持ちになる。

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敦井美術館からも来ていた。
染付花鳥花瓶 叭叭鳥か、目つきの悪いカプがいる。瓶口は襟のカラーのよう。

南画風な牡丹文の鉢もある。ああこれは東近美のか。工芸館で見たのかもしれない。

色絵金彩龍田川向付 乾山のとよく似た感じなのでお手本にしたのかも。形は紅葉で下部に水の流れ。こういうのは季節限定だが、だからこそ魅力的。

武蔵野図屏風 紀尾井町福田家 金銀泥。虫もたくさんいる。露も葉に止まる。リーンリーンと虫の音が聴こえてきそうな屏風。夜に使いたい。

織部風誰ケ袖向付 これも秋の草と露をイメージしているのか。どこか辻が花を思い出させる。

世田谷美術館の塩田コレクションからも名品が来ている。
織部桶鉢 白砂青松、この桶鉢に豊かな自然がある。

織部長板鉢 いくつか並んでいる。それぞれ趣向を凝らした構図。中に抽象的なものもある。またはヒマラヤスギの林に集まりつつある鳥たちの様子を写したようにも見える。
ぞれぞれ好きな風に見ていると、様々な物語が勝手に生成されてくる。

蕪絵乗益椀 黒漆に赤の蕪絵。村上豊が描きそうなあえて線を崩したような蕪。
親しみやすい。尤もここに蕪を描いた以上は、何をここによそうか、それが問題だ。

チラシにあるのは一閑塗日月椀。可愛い。銀が綺麗な色で出ている。
そういえば千家十職の一閑張の飛来一閑さん、女性当主としてご夫婦でがんばってはるのを思い出した。ここのご先祖さんが日本にこの技術を伝えなければこれはなかったのだなあ。

妄想がムクムクと湧き出してくる。

糸目菊絵碗 黒地に茶色で大きく菊を描いたからかウナギのかば焼きを思い出させてくれるやないの。わたしはまむし(ウナギを中に入れてご飯でまぶすからマムシという)がいちばん好き。

長閑塗瓢文椀 これはもうカツ丼がいい。ヨダレが湧いてくるわ。わたしはオオバでカツをくるんだのがいいな。

銀地色ねじ文大平椀 ケチャップ色のねじ文が並ぶ。中は意外と茶葉色。ははぁ、そう来たか。

箸枕も色々。色違いのお魚のが可愛い。やっぱり箸枕は可愛いのがいいな。わたしも色々集めたけれど、箸枕って小さなやきものの中では最愛やな。

椿文鉢、雲錦文鉢がいくつか。これはもうサイズも色々作られているし、金彩のがあったり、雲錦だと割合が違うのもあったりと、無限にヴァリエーションは広がるなあと思ったものだ。
今回はそんなに巨大なのは出ていないが、あれはどこだったか、最大級の椿文大鉢を見たときはビックリした。チラシで見たときはどこかの庭園に置かれていて、それが可愛いなと思ったら、西大寺の茶事の回し飲みに使えそうな大鉢だったのでびっくりしたのだ。
それにしても雲錦文も椿文も何に使うのがベストなのだろう。

九谷焼風なやきものもいい。
再び三度のカニ絵もいい、銀彩にドロップの欠片が鏤められたような鉢もいい、好きなものがどんどん増えてゆく。

金網フェンス状の文様を見せる皿もあれば、鉄絵の土瓶もある。大きなアワビ型の鉢も伊賀とは思えないほど好みの釉薬のかかり方を見せているし、釦が膨らんだような織部土瓶も可愛い。

やきものたちを並べたのを描いた飾り棚図屏風、これが朝鮮の民画のような面白さがあるのもいい。

わたしが好きなのはつり燈籠と鉄製透置行灯。どちらもとても情緒あふれる透かしが入った照明器具。
菊花らしき透かしの入った釣行燈、武蔵野を思い出させる秋草と月の置行燈。
欲しいのは屏風とこれら。

楽しい展覧会は6/26まで。

涼を呼ぶ美術 ―滝・鯉・龍―

大和文華館に涼を求めに行った。
何しろ出かけた日は32度だった。空梅雨かと思いながらじわじわと暑さにやられ、門にたどり着いた時にはベロの一枚や二枚くらい口外に出ていそうだった。
四季折々の植物を楽しませてくれる文華苑も花はなく緑一色、なのにツモれないみたいな状況で、日傘差しながらふらふら歩き、ようよう建物の中に入った。
ああしんど。

それで「涼を呼ぶ美術」を見ようとおもうわけです。
副題が「滝・鯉・龍」とあるからこれは吉祥やなと。登竜門の故事を思い出し・・・もせず、早速展示室に入った。
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妙見菩薩図像 鎌倉 個人蔵の横長の墨書き。真ん中に妙見菩薩(北極星=北辰)がいて、四本腕で上2本の掌には日月、下2本で筆と巻物を持っている。これは過去帳らしい。
おお、ある意味デスノート。その妙見さんが龍の上に立っている図。傍らにはゆるふんの鬼、小さ目の眷属がいて、指示待ち状態。
その妙見さんを中心に向かって右隣りには円内に囲まれて菩薩、左は頭に数匹の蛇をつけた、これまた巻物手にするおやじ。ええと、この神仏は誰に当たるのだったか。
「暗黒神話」を思い出そうとしているわたし・・・
そうそう、妙見さんといえば、わたしには能勢の妙見山が親しい。滝もあるし、お江戸の妙見講では水垢離もしたようだし、やはり水と親しい存在なのだと庶民レベルで実感しているのだった。

白磁蟠龍博山炉 隋―唐 久しぶりに見ると、2匹の龍が巻いていたのか。胴体に手を当てて身を起こそうとしているらしい。
白磁というよりセメントをかぶせてそのまま素焼きにしたような感じである。

請雨経曼荼羅 室町 大阪市美術館蔵 2シーンが出ている。どちらも波間に佛や竜王などが。永禄十年(1567)には成立していたようだ。
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けっこう可愛い感じもある。波間に沈むる、ではなく波間に浮かび上がるという様子。
干乾びては困るので雨乞い。それは民間レベルの祈祷ではなく国家レベルのもの。拝んだのに雨が降らないのは為政者に穢れがあるから・・・といったことをちょっと思い出した。

川の流れが大事な絵巻が2点出ていた。
長谷寺縁起絵巻 江戸後期  つい先般もよそでいいのを見た。人気の縁起絵巻。ダイナミックだしなあ。こちらは文字も比較的読みやすい。
継体天皇11年に洪水が起きて、近江の霊木が流されてくるという事態が出来。絵は素朴でむしろ室町風かな。木に蓮が咲いている。寄生木ではなく霊木の証拠。
その流される霊木の行方を見守る神仏の眷属たち。風神雷神も固唾をのむ。
やがて木が止まったのは大津。そこでなんと70年も停滞。何も知らん大津の里人は「こらええわ」で伐ろうとしてはタタリを受けてぐんにゃり。
「霊木です、仏像彫刻用です」とは記されていないからなあ。
見守るだけの神仏も言うてやればいいのに沈黙。
注意喚起の義務を怠った・・・とは言えない事情もあるか。
でもようやくみんな納得して木を曳く。エイコラエイ。
出ているのはここまで。

道成寺縁起絵巻 江戸後期 こちらは以前から見ているここのとは別物ではないかな。
絵が違う。
必死のパッチで逃げる安珍。追いかける清姫。まだ物語の最中なのに既に「清姫草履塚」が建っている不思議。蛇身というより龍ですな、そちらに変身して川を渡る。
「八幡山」とは一体・・・近江、宇都宮にその名があるほか、京王沿線の駅、明大ラグビー部のグラウンドがある地。
さて道成寺に駆け込む安珍。話を聞く僧侶の内、一人は安珍レベルの白面だが、あとはどうでもいい感じで、そのみんなで必死で重たい鐘を動かして中へ隠す。
ここまで。

ガラスケースの中に可愛い小さなやきものが居並ぶ。青木木米の赤絵龍文盃、明代のそれもあれば五彩双龍文小壺、合子、清の紫釉雨龍盃などなど。
最後のは紫釉がガラスのように見え、その下の支え部分が絡み合う木の根のようだった。
こうした愛らしいものを集めたのを見るのは楽しい。

今回はやっぱり暑いので水墨画が気持ちいい。
とはいえ季節はずれの雪や白梅図を見ても今のキモチとしてはあんまり清々しくない。

雪村の花鳥図屏風は初見。白梅の下の木や岩に叭叭鳥、川辺に鴛鴦、鴨、鶺鴒も飛んでくる右隻。左は体をくねらせて降りてくる鷺や、何かを見ているその仲間。柳には燕、飛んでゆくのも燕、小さな白い腹を見せるのも愛らしい。蓮には蝶々。

竜ではやはり涼しくならなかったが、滝や墨絵の花鳥画では気持ちも凪いで来るようだ。
伝・狩野元信の奔湍図、瀑布図あたりで耳の後ろ位が涼しくなってくる。
他に狩野派の叭叭鳥も可愛い。

そして応挙登場。
これが本当にいっぺんに涼しくなる絵。

応挙 双鯉図 泉屋博古館 おみやげに。チラシより本物はもっと色が薄く涼しい。
これをみると鏡花「高野聖」で若い僧が山を下りてきて、滝の前で再会した親仁の持つ鯉を思い出す。
「鱗は金色なる、溌剌として尾の動きそうな、鮮しい、その丈三尺ばかりなのを、顋に藁を通して、ぶらりと提げていた」
これですな。

渡邊南岳鯉図 黒川古文化研究所 モノクロだが画像がある。鱗も生き生きと三匹とも元気そうで、しかもとても涼やか。松の幹も鱗。

ああ、やっと涼しくなった。さすが応挙先生とその弟子。
この絵は黒川家で天神祭のときに出された屏風。古い大阪の商家にはそうした風習もあったのだ。
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紅型衣裳が四点並ぶ。ここには六点あるそうで、そのうちの四着。縹色地、黄地、などの上に明るい花柄や小鳥などの意匠。暑い地でも元気に暮らすためにはこれくらい明るい色調のものを見にまとわないと。

鎌倉彫、堆黒、漆絵といった手の込んだものがいくつも並ぶ。
カニのモチーフ、見返る小鳥図、一つ目親仁にしか見えない達磨大師の葦葉乗り、波乗り兎・・・民芸調のナマズ顔の魚の盆もある。

薩摩切子もある。細かい切子で見るからに涼しげな鉢、藍色の綺麗な色、赤のもいい。
オランダの萌黄色ガラスも可愛い。金彩で花卉文が施され、緑と金の絡み合う様子がいい。
他にも飴色ガラスに蝶々、東インド会社の帆船が刻まれたガラスなどなど。

他に応挙の絵が三点。
席画会で描かれたか、即興的な線のタラ図、この軸の上下には刺繍で白桔梗。
八景図を換骨奪胎した四季山水図屏風、日本的な情緒が漂い、特に白砂青松の様子が素晴らしい。蕪村ではないがのたりのたりの海とその向こうの白帆・・・いいなあ。
雪に立つ鴨カプもいい。

南岳 殿様蛙行列図屏風 大名行列を蛙で戯画化。いつみても面白い。赤ススキの隙間をゆく行列。

キモチよくなって館外へ出るとやはり暑い。庭園を下りてゆくが、アジサイもササユリもなかった。
珍しく本当に緑一色。

次回も楽しみに出かけよう。7/3まで。

児島善三郎と独立美術協会

福岡県立美術館に行ったのはここだけでしか開催しない印象派展を見るためだったが、コレクション展があまりによくて、そちらに夢中になってしまった。
題して「児島善三郎と独立美術協会」展である。
わたしの大好きな内容だった。

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児島の回顧展はだいぶ前に府中市美術館で開催された。当時の感想はこちら
非常によい内容で、特に留学から帰国後の風景画の伸びやかさとその彩色の佳さに強い好印象をうけた。
今回の展示もそのときを彷彿とさせてくれる。

初期作品のうち身近な人をモデルにした絵がいい。
姉や妻が美しく、さらにその人のうちにある感情までも表出させている。

やがて留学すると白人女性の絵が現れるが、彼女らはいずれも丸顔で表現される。
1920年代、日本では丸顔が流行っていた。世界もそれにあわせたのか、それとも単に児島が丸顔の白人女性が好きなのかはわからない。

孔雀の扇を持つ裸婦、ロシヤの女、くしけずる女、みんな丸顔で、いかにも児島の絵の女なのである。

南仏で描いた「赤い屋根」はメキシコ時代のフジタのようでもある。後年の明るい色彩とは違う、抑えたというより抑圧されたような色だった。

運河 濃い緑がいい。水面に映る建物もはっきりする。

児島は「日本的油絵」とは何かと考え、探求に勤しんだ。
少し年長の小出楢重もまた日本的油絵について深く考え、試行錯誤した。
やがて児島は明るい彩色で日本的な風土を再構築した。

松の描き分けがなされた絵が並ぶ・
松が枝、代々木の原、初台風景などである。
それぞれ全てに松が描かれ、その松がみんな違う形を見せている。表現方法を変えて、そこに松を現出させていた。
とても面白い試みだった。
どれがいいかはその時の状況によると思う。

そして独立美術協会に出た絵はみんなとても明るい。

箱根 山がどーーーんと大きく描かれ、明るくきれいな色で構成されている。山だけでなく周囲全体がきれいな色なのだ。見ているだけで胸がすくような気がする。

蓮花 かれは生涯に知られている限り二点しか蓮を描かなかったそうだ。その一。かなり大きく描かれた蓮。デフォルメされた形の蓮が存在感を示す。

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虞美人草 明るい緑を背景色に赤や白の花が機嫌よく開く。

戦後になると児島はますます明るいいい絵を生み出す。
ここでは花の絵がずらりと並ぶ。
児島の花は世評も高かった。
それは同時代の作家・今東光の小説の中でも語られている。

アネモネ、小菊、早春(梅)、赤絵の壷にバラ・・・
静物画もくっきりした輪郭でリンゴ、ブドウ、ナシ、ポットが描かれる。溌剌とした精神性を感じる静物画である。

決して静かな世界ではないが、希望が満ちてくる明るさのある絵が並ぶのは素晴らしい。

絶筆の一つ「花」もよかった。赤絵の瓶にいけられた花だが、瓶はまだキチンとは描かれていない。しかし赤絵だろうと予想は出来る。

ほかの絵でも赤絵の瓶の良さが目立つ。
ファンキーな獅子や小さな花などの描かれた赤絵。

とても素晴らしいコレクションにときめいた。

そして独立美術協会の作家たちの絵が並ぶ。
中でもやはり林武はいい。

藤崎真 子供と猫 黒猫をだっこする。それだけでもとてもいい。

1992年の60回に出た絵などはもう昔の独立らしくはないがそれはそれでいい。

次には「日本の印象派」として黒田清輝、岡田三郎助、坂本繁二郎、藤島武二、和田英作らの絵が並ぶ。
いずれも構図よりなにより色彩がとても綺麗に見えた。
薄紫、バラ色、草色…
柳瀬正夢の点描風景まであり、見どころの多い内容だった。

9/1まで。

美をあふぐ 華麗なる巨匠たちの扇の世界

郵政博物館の企画展が最近とてもアグレッシブだと思う。
以前のていぱーくの時は「知る人ぞ知る」的な感じがしたし、来る人は来たらよいですよ的な雰囲気だったのが、今はハッキリといいのをするから見においで!と呼んでくる。それでポスターやチラシを見るとこれがもう、そそるそそる。
はずせないミュージアムになったと思う。
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前回は芭蕉の俳句にあわせた日本画の切手の原画。
今回は贈呈用の日本画の扇の原画。

「美をあふぐ 華麗なる巨匠たちの扇の世界」展
あふぐはaoguと発音する。扇ぐという漢字になる。
扇はそれ自体で本体の意味と行動を示す。

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1918年から2000年までの原画と扇子が並ぶ。1965年から1990年まで制作が中断されていたそうだ。
長い年月である。しかし制作は再開された。
原画が既に失われたものもある。また男物・女物と作家により担当分けもしている。

映丘 長柄の銚子を持つ女官 1918 原画はもうなく女物の扇のみ残る。映丘らしい大和絵風の優美な絵。
この年には素明も描いたそうだが現物も原画も失われている。資料もなく、彼の名だけが残る。

一年に二種拵えるのだがやはり失われたものは多い。
1923年までの原画は全てなくなっている。

龍子 逆富士 1921 W型ですな、富士山。こんな小さなものでも龍子は大きなものを描く。

清方 牡丹 1921 わたしもほしい・・・

関雪、松園、不折、秀畝らの扇が並ぶ。毎年いただいた人は嬉しかったろうなあ。

栖鳳は1926年に金魚、あやめの扇を描いた。やはり原画はいい。男物、女物それぞれを担当。

今ではその作品を見ることもなかなかない長野草風、小村翠雲の絵もある。

蓬春 うつぎ 1934 花のみシンプルに描く。可愛らしい。

古径 まんま 1935 縦長の草花「赤のまんま」である。緑の葉っぱが盛ん。
これを見ると鏡花の辞世の句「露草や 赤のまんまも なつかしき」をおもいだすのだ。

渓仙 あじさい 1936 きれいでいいな。

戦時中も扇作りは続いた。
多くの画家たちがいい絵を生み出している。
南風のツバメ、小虎のばら、華楊のせきれい・・・
洋画の木村荘八も椿を描く。三岸節子は花を。
休止前には朝倉摂も描いていた。

やがて再開した1991年には遊亀の桔梗の扇が世に出た。
92年には90歳の松篁さんの矢車草がある。
その後も平山郁夫、魁夷、佐藤太清、高山辰雄、奥田元宋ら大家の絵が続いた。

扇は基本的に涼しさを呼び込むものである。
あまり描き込みすぎたり濃い色を使いすぎては暑苦しい。
余白の美を楽しませてくれるようなものがよいと思う。

最後に加山又造の桔梗と撫子を描いた「初秋」の扇を見る。深くは描き込まず色も塗り覆うわけではない。
構図もいい。
こうしたときに又造さんが祇園祭で毎年団扇絵を描き続けていたことを思い出すのだ。

ほかにも小画帖などがあり、洋画家の長原孝太郎の松竹梅に宝珠、草風の黄櫨と四十雀が紹介されていた。

あとはかんぽの昔のポスターや証書なども展示されていて、珍しいものを見せてもらったように思う。

6/26まで。

近代の日本画@ 五島美術館

五島美術館蔵の近代日本画展を見に行った。
古美術もいいが、近代日本画はわたしにとっては格別の愉しみがある。

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これまで五島美術館で見てきた近代日本画の展覧会の感想はこちら。
2015.6.15
2013.6.17
2006.6.7

再会もあれば忘れているものもあり、楽しく見た。

寿老図 荒木寛畝  白梅の下、竹杖を持ち腰には瓢、手には巻物。ヒトの生命の起源を書いた巻物だろうか。ほっぺたのふくよかな鹿がいる。

寒山拾得 寺崎広業  わーいわーい そんな声が聞こえてきそうな二人である。

蘇東坡 広業  笠の内にレース??がついて日よけになっているらしい。高下駄まで履いて。ううむ、古代のヒトとは思えん。

慈悲薬王 小川芋銭  何か元ネタがあるのか。カッパが狐の後ろに回って…これはカッパの妙薬を塗ってあげようとするのかな。

観音 大観  ををを、初見だが、これはもう昭和エロティシズムとでもいうような。大正5年というとみんなが大正ロマンしている頃だな、この観音さんは綺麗な青い髪にイヤリングもしていて、目鼻もやさしく、目元に艶があふれている。
クラブのママさんみたい。もしくは昭和のマダム。

達磨 大観  薄黄色の着物を着て面壁中。

舟子 下村観山  久しぶり。対もので左に水中に半ば水没中しつつある舟子。いくつも円形脱毛症が見受けられる。これはそれまでの長い年月ずっと自分の思想を理解し、継いでくれる人を渇望してきたからかもしれない。
右は彼から後を託された人で、こちらの方が老人。

焚火 玉堂  これも好きな絵。山の中で女たちが仕事を一休みしてパチパチ。

四手網 玉堂  実はこの絵を見るまでこの四手網と言う名をずっと知らなかった。四手網はわりに多くの画題になっているがなかなかかっこいいのだ。

上臈の図 松園  麿眉の上品な美人。御納戸色の着物、白菊簪、いずれも優美。この絵は五島の刊行した「近代の日本画」表紙にトリミングされて使われている。

聖徳太子図 吉川霊華  珍しくカラフル。とはいえおじさまの聖徳太子像

阿弥陀来迎図 木村武山  このヒトも優れた色彩感覚だと思う。今でいうパステルカラーの配色で甘くはなりすぎないものの綺麗な薄めの色を集めているのがいい。

不動明王図 武山  これも顔つきは怖いものの綺麗な配色。コンガラもセイタカも可愛い。セイタカは親方同様牙を出している。コンガラはおかっぱさん。

夏のひととき 広業  ぱっ と明るくなるような絵。夏と言うてももう秋草が顔を出している。
このお姉さんは東博の編み物する少女の姉か、彼女の後身かもしれない。
涼やかな着物で帯もいい感じ。朝顔たちがしたしげに床几にまといつく。
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虫売り 伊藤小坡  ある日、虫を売る女。この絵はこの幅だけは他にもあるが、ここには対幅があり、そこではコぢもらが喜んでいる図が描かれている。

雪 清方  この絵も久しぶり。傘を差して小走りの様子。明治の女の姿。

紅葉を焚く 清方  優雅な行為。ここでは黄櫨色に小菊の着物の婦人が小さな土瓶をかけている。いい色の着物。

菊慈童 靫彦  完全に小さな男の子。可愛いなあ。小さなお団子2つを頭に。淋しい暮らしでも菊たちが見守ってくれている。
葉っぱを持つ幼子。もう人界へは2度とも戻れない。

聖徳太子御影 靫彦  上部に天蓋。その下に16歳の太子が半跏しつつ巻物を見る。

粧い 青邨  戦支度をする武士。白髪染めをし、鏡でチェックする。美意識と見栄と意気地がある。

武将拝朝図 龍子  平安末期の武将のような様子で、白馬を曳いている。鼻筋の通った綺麗な顔の武士がやや伏し目で黙ってそこにいる。とても清々しい。

梅 太田聴雨  左側の白梅を見る二人の古代中国女性。唐代ではなく漢代の女たちのようだ。
珍しい古代美人図。

棟方志功の例の釈迦十大弟子+の文殊図があったこの版画シリーズもここにあったのか。

観音像 志功  やまと絵。ぽっちゃり豊かな美人。

他に大観の富士山のシリーズが並ぶ。

宇野雪村の文房具コレクションも数多く出ていた。
蘭亭硯、蓬莱硯といった物語性の強いものや素材の美しいものを丁寧に刻したものなどがある。
七香図墨もいい。梅、ジャスミン、きんもくせい、水仙などの七種の花を集めた図の墨。

印もあるが中に村井吉兵衛の妻の印もあった。1922年の印。

岡本太郎の彫像のようなミミズクの文鎮もある。トルコ石らしい。

名箋というノート風便箋もいい。透かし入りのものや色の綺麗なものなど。

河井寛次郎の白磁瓶もあって、大満足だった。

6/19まで。

広重ヲ楽シム ―原コレクション、太田コレクション、平木コレクションから

広重の展覧会が今年あちこちで開催されている。
どこもみんないい作品が出ている。
とにかく摺りの綺麗な原コレクションの「広重ビビッド」展、太田美術館での五十三次と富士三十六景、美術館えきでも五十三次のいいのを見せてもらった。
五十三次と江戸百とは知らぬ者もない連作物ではあるが、五十三次は一種だけでないので、比較も出来たり新発見もちょっとあったりで楽しい。
また、恒例のホテルオークラのアートコレクション展、今年は「旅への憧れ、愛しの風景-マルケ、魁夷、広重の見た世界-」展として広重が現れるようだ。

永谷園のおかげで昭和の子供らはほぼみんな五十三次を知っていると思う。
わたしなどは家にミニマッチ箱サイズのそれが勢ぞろいしている。
しかも父が三冊揃いの画集を持っていたので、ほんの子供の頃から広重には馴染んでいる。
自分から好きになったのは国芳、国貞だが、それ以前から好きなのは広重だ。
広重の絵と十返舎一九の膝栗毛が混ざり合い、そこに双六まで絡んできて、
江戸時代の風景画=広重がいちばん!!
のキモチがある。
だからどことも純粋な鑑賞を・・・要するに機嫌よく見歩いて、楽しんだ。

サントリー美術館で展示中の原コレクションの原さんは凄まじく綺麗な色の摺りを集めていて、特に今回が初公開となる「六十余州名所図会」は摺り立てほやほやのような鮮やかな色合いをみせていた。
やや赤色が強いなと思ったのは全く褪色していないせい。
本当に色が濃くて、深い色浅い色の違いがはっきりしている。
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嬉しいのは多くの作品に現在地の写真や紹介があること。はっきりとしない所などは地図だけの案内だが。
こうした比較がいよいよ親愛感を呼び起こすのだ。

ところで「六十余州」と言えばわたしはすぐに黙阿弥の芝居「白波五人男」の名乗りを思い出す。
「六十余州に隠れのねえ賊徒の張本・日本駄右衛門」
これですな。
全国津々浦々・・・

さて60以上のクニということだが、作品は69か所+目次絵で70点。この目次絵は全部の絵を購入した人だけに贈られる特典ポイントもので、描かれた地の四季それぞれの分類があったりするなかなかのスグレモノ。

始まりは山城の嵐山、次に大和の龍田川、そして河内の枚方男山と続く。
この男山は石清水八幡宮のあるところで、絵は川を挟んだ向かいの天王山辺りからの眺めらしい。そしてその地は大山崎で、サントリーの工場があるところ。
現在なら工場の屋上からの眺めを描いてもわるくない。
向かいへは高槻―枚方間でバスが頻発しているので、そう遠くない。
尤も「枚方男山」とあるが、実際には枚方から即男山へ行けるわけではないのだが。
(今なら枚方の図としてひらパーの絵があってもいいかもしれない)

伊賀上野は鍵屋の辻。これも今の人ではわからないかもしれない。荒木又右衛門の助太刀とか言うても??かもなあ。
ただし伊賀=忍者の里という認識は遠く海外にも知られているから、現代版ならニンジャの絵が描かれるかもしれない。

甲斐の猿橋は北斎の絵がよく知られていると思う。紅葉が赤く色づいた風景。
江の島の岩屋、琵琶湖の石山寺、養老の滝といった有名な地もある。

飛騨の籠わたし これはあれだ、メテオラなんかと同じで<ごくシンプルな>ロープ・ウェイ・・・つまり綱で籠をくくったのをその綱をたぐって・・・おお、こわ。
水上勉の小説にもそんなのがあったなあ。

播磨 舞子の浜 松林が描かれている。基本、変わらない。ただし今は明石大橋や色々と施設が集められた舞子公園があるのだが。
松ぼっくりがコロコロ転がるのが可愛い。

能登金剛、天橋立、厳島祭礼図。今の眼で見ても遊びに行きたくなる。

備後阿武山観音堂 これは巴水も描いていた。巴水は「昭和の広重」と謳われだが、本人は喜んではいない。なお「大正の広重」は鳥瞰図の吉田初三郎。
今はこの観音どうもないらしい。

土佐の一本釣りは広重の時代でも普通の漁法のようだ。青柳裕介を思い出す。

長崎の稲佐山もいい。見ていると久しぶりに行きたくなる。94年、84年に行ったきり長崎には出かけていない。今の目で長崎を見に行きたい。

ベロ藍の見事な出の阿波の鳴門、桜咲く桜島、いずれも綺麗な絵と構図。
そして必ずしも正確ではないものの「画」として見事な風景画が少なくない。
情報と美意識とで再構築される風景。
われわれは広重の描いた風景画を見て、その土地に愛情を懐きもするのだ。

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階段の下のフロアでは「幻のシリーズ」として北斎の「千絵の海」や富嶽三十六景、諸国名橋奇覧、国芳の東都名所などが出ている。
「千絵の海」は初めて見たように思う。これは日本各地の漁業に従事する人々の姿などが描かれている。

宮戸川長縄 隅田川の対岸に∧∧∧∧∧と並ぶ「お舟蔵」。
その宮戸川て何かというと「現在の隅田川のうち、浅草周辺流域の旧称である」とか。それで宮戸座の意味がわたしにもわかった。浅草公園裏にあった小芝居の劇場、ここから「田圃の太夫」こと沢村源之助、尾上多賀之丞らが出てきたのだ。

総州利根川 四手網の漁船。この四手網は昔の「水曜ロードショー」のOPを思い出させてくれる。諏訪湖のほとりで本物を見たこともある。

甲州火振 夜の漁法。まんが日本昔ばなしで見たような気がするなあ。
子どもの頃にあの番組を見ていて本当に良かった、と思うのは浮世絵を見ているときだ。

富嶽もいい色のものばかりで、すごいコレクションだと改めて思う。橋も瀧巡りもいいなあ。
国芳の東都名所は風景もさることながら、アホ面さらした人々やちょっとしたところが面白い。それらがイキイキした色で出ているので、今出来のようにも見える。
「天童広重」と呼ばれる肉筆画もある。みんなやっぱり広重の風景が好きなのだ。

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最後に江戸百。前後期で分かれていて、どちらも大いに楽しめたのは重畳。

それにしても「広重ビビッド」とは巧いタイトルだ。6/12まで。

次はこちらも前後期の浮世絵太田記念美術館の「東海道五十三次と富士三十六景」展。
ここでも原コレクションが出ている。
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肉筆画を見る。
待乳山雪中月夜之景 淡彩でしぃんとした情景をえがく。二つ並びの聖天さん。嘉永年間の絵なのだが、もう二つくらい後の時代のものにも見える。

高輪茶屋美人図 団七格子の女。高輪は二十六夜待ちなどをする名所。

播磨室之津 中世から江戸時代まではにぎわった港町だというが、今は昔の話。ここでは七隻の船が入っている。

ほかにも雪の渡し場、渡月橋などがあるが、いずれも版画と違い静謐な雰囲気がある。

そして五十三次は保永堂版から始まる。
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原コレクションのと太田コレクションの色の対比などが出来るように設えられていた。
こういうのも面白い。
意図的に色を変えて時間の違いを生み出した吉田博を思い出す。
かれのような実験精神はないとは思うが、それでも変更があるのは初版と二版目とを比較したことによるのかもしれない。
これについては絵本作家の吉田稔美さんから興味深い示唆を受けた。
最初に摺ったものは色鮮やかだが、二摺りめはより作者の意図が反映されたようになるのかもしれない、という話である。
わたしのようなシロートではわからないことでも、印刷芸術である絵本を拵える作家の目から見れば、色々な発見があるのだ。

富士三十六景は北斎の富嶽三十六景への対抗心もあって、という解説を読んだが、影響を受けているところもいくつか見られるので、そんな後塵を拝するようなのはやめてもよかったのに、と思った。千鳥が飛んでゆく駿河の薩田あたりの様子。これがちょっと北斎風。

「モチーフの再構築」というのがいいと思う。なにもリアリズムがよいのではない。
恣意的な行為には感情が伴い、絵にはしばしば抒情が生まれる。

伊勢二見が浦 ああ、書割の世界ではこれらは一つの光景だが、ここにも・・・
上総黒戸の浦 「畔戸」という町。五大力船がある。五大力か。ときめくな。
「江戸を中心に関東近辺の海運に用いられた海川両用の廻船の事」という。

とても好きな一点が出ていた。
木曾路之山川 大きな深い山とその裾を走る川と降り続く雪。絵の構図がよく、そしてこの静けさがよく、抒情も深く、見事な絵。
ただ、わたしがこれまで見てきた中では中右コレクションのそれがいちばん好ましい色を見せていた。

他に行書・隷書の五十三次がいくつか出ていた。
いずれもリズムのいい、明るい作品群である。
6/26まで。

最後に平木コレクションの保永堂初摺でたどる東海道五十三次。
春先に美術館えきで見た分である。
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こちらも濃い色のものが多く、惹きこまれる。
宿場などで建て込む家々の様子や、のびやかな田園、林の様子を見れば、そこに住まう人々の暮らしが見えてくるようだ。

この展示は初摺と後摺とを同時に並べて見せてもいた。
切りこみ方が違うとまた新しく楽しみが増す。

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原コレクション、太田コレクション、平木コレクション…いいものばかりを見せてもらえ、楽しく見歩けてよかった。
もうすっかり東海道や江戸のあちらこちら、そして木曾や日本国中を歩き旅したような気がする。

広重、やはりいいなあ。

近代大阪職人(アルチザン)図鑑―ものづくりのものがたり

武士の世が終わった時、生活に困窮したのは下級武士だけではない。
文明開化=西洋化だった時代、とにかく和物一切合財が否定された。
江戸文化を否定したのは政権を取った連中で、そんなのが中央に躍り出たからパラダイムシフトも強烈だった。
寺は壊される、廃刀令で刀関係は全滅、能狂言も茶の湯もアウト、機械化推進で手仕事激減、狩野派一旦全滅・・・という状況になった。
代々の仕事、技術、技能を捨てて全然無関係な職種についたが、それを職業選択の自由というわけにはいかなかった。
職人にとってはえらいこっちゃの時代になったのである。
が、雌伏十余年、職人たちの仕事が来た。

「大阪歴史博物館開館15周年記念特別展 近代大阪職人(アルチザン)図鑑―ものづくりのものがたり」展はその職人たちの反骨精神から生まれた精緻極まる作品を集めに集めた展覧会なのだった。
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大坂から大阪へ変わっても長らくこの地の人間はオカミ、当局と言ったものを嫌って生きてきた。町人文化が発達し、上に鬱陶しい存在がなかったので合理的精神が育まれた。
そしてその大阪に造幣局が置かれ、その仕事に旧幕時代に刀作りに携わった職人たちが当たった。
紙幣は東京で、硬貨は大阪で。

とはいえ、それで職人黄金時代が来たわけではない。
以下、歴博のサイトから。
「明治維新以後の工芸界は東京を中心に発展を遂げ、国内外で高い評価を受けるようになります。しかしその一方、中央から離れた大阪での作り手や作品の中には、十分に世に知られないままのものが少なくありません。」
要するに高い技術を持っていたが全国に名をとどろかすこともなく、気の毒に現在ではほぼ知られていない職人たちの、その高い技術力を平成の世に送り出してくれたわけです。

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プロローグ 根付の国
現在、根付のいいのを見ようと思えば東博で2ケ所、浮世絵室と高円宮様のコレクションのある貴賓室、芦屋の俵美術館、京都の清宗根付館、などが常設されている。
この大阪歴博、清水三年坂美術館にも良いものがあるが、すぐに観れるかどうかはわからない。
なにしろ煙管で煙草を吸うというのをやめたのだし、印籠を持って旅をするのもなくなっていった。
ただ、文化として根付への愛情が活きるようで、ケータイにはストラップがついた。

牡丹。獅子、百合根、タコツボに蟹…根付は小さい存在ではあるが、凝りに凝った構造をみせる。
ここにあるものも素晴らしかった。
そして製作者に懐玉斎正次という職人がいるのだが、このヒトは物凄い技能者なのに「知名度が低い」と解説に表記されていた。

1.人体表現をめぐるアルチザン
チラシに燦然と輝く骸骨などの作品。

大阪は医学の中心地だったという。緒方洪庵の適塾を想っても納得の話である。
整骨医らが人体骨格の標本などを拵えた。
一体20か月かかったそうである。とてもよく出来ている。
これを見て思い出すのが横溝正史「面影草紙」である。
まさにこの明治の話で、人体模型が大阪の道修町あたりの薬種舗で扱われているが、中に本物の人骨があり、しかもそれが…
という怪異譚というより人の心の恐ろしさを描いている短編である。
わたしはこれを読んで大阪の人体模型のことを知ったのだった。
作中では日露戦争の後の頃の話だが、やがて島津製作所が専売になったと書いてある。
そのあたりのことはわたしは知らない。

資料に、明治9年新町の人形師・大江伊兵衛が木製の人体模型を拵えたとある。現存しないが素晴らしい作りだったろう。
今日になって調べたのだが「大阪病院の人体模型 : 高橋正純訳「紙塑人体解剖譜」と大江伊兵衛の木製人体模型」という論文を書いた人もある。
この大江は大江巳之助と縁のあるひとではないかと思うのだが、調べる時間がない。

松本喜三郎の池坊の生人形の首部分があった。これだけだったが、とても嬉しい。
わたしは松本喜三郎の生人形が好きで、わざわざ熊本まで見に行ったくらいなのだ。
尤もその展覧会が翌月にここへ来たときはがっくりした。
ネットの発達していない時代の話である。

安本亀八の山村流の踊りで今も使われる三つ面があった。
亀八も熊本の職人で、この二人が生人形作りの最大のマイスターだった。

随分昔のINAXギャラリーで「上方くだりの細工見世物」展で初めて見たときの衝撃は、今も身に残る。

他に人形作家・平田郷陽の所蔵だった御殿女中の生人形もある。これは中谷翫古の作。
見世物番付もある。松本喜三郎、安田亀八の名が燦然と輝く。
幕末、肥後から大坂に出てきた彼らの拵えものが大評判になり、「上方下り」として浅草奥山に出向き、お江戸の人々の心を鷲掴みにしたのだった。

引き札がある。双六形式。やっぱりわたしは芝居のビラでもそうだが双六形式のものが一番面白く思う。
ここにあるのは大江山の話。足柄山、戻り橋、市原野といった頼光と四天王各人が経験した戦いを織り込んだ双六である。

入れ歯もある。入れ歯は柳生宗矩の昔は柘植製だったそうだ。水木しげる「東西奇っ怪紳士録」にも入歯師の男の話がある。
歯科技工士の巧い人が大阪にいるという話もあるし、やはりこうした技能は形を変えて今も活きているのだろう。

2.流転する刀工と造幣局のアルチザン
冒頭に書いたように廃刀令のおかげで路頭に迷った職人はゴマンとおったわけです。
彼らの希望が大阪に灯りました。造幣局です。

引き札がある。刀剣ステキ売買所のチラシ。ステキというても「素敵♪」ではなく、どうやらステッキのステキである。
要するに仕込み杖なのだ。
明治半ば頃、仕込み杖を持ち歩いた人の話も多い。
その時代を舞台にした上村一夫「修羅雪姫」のヒロイン・鹿島雪は愛用の傘の柄に刀を仕込んでいた。

刀も何振りかある。月山貞一の作刀。この人の名はわたしのように「とうらぶ」と無縁のものでもなんとなく知っている。
逸見東洋の刀もあるが、この人は家業をやめてから彫金家になり、造幣局に出仕した。
仕込み杖や堆朱盆、香合などが清水三年坂美術館と林原美術館にあり、それらが並ぶ。

桜井正次という刀工は有栖宮が庇護ししたそうだ。「舞子」という刀が東博から来ている。
この宮様は大正の頃に廃絶されたそうだから、その後はどうなったのだろう。

さて造幣局の仕事。大阪のモノスゴイ技術力の結集を目の当たりにする。

加納夏雄の図案帖もある。
四分一の銀で拵えた精緻な香炉や、是真派+後藤一乗+海野勝珉らのコラボ作品など、目を瞠るものばかり。
こんな技能集団で硬貨を拵えていたのか。偽造しにくいのも当然だったのだ。

3.アルチザンの「道」
根付や籠などがある中、自在置物が目を惹いた。

穐山竹林斎という住吉の粉浜の人が龍の自在置物を拵えている。白龍と黒龍と。チラシの上部「ARTISAN」のロゴのすぐ下でうねっているあの龍。凄い構造である。

正阿弥勝義の花瓶、川島甚兵衛の綴織、龍村平蔵の古代裂複製品・・・
素晴らしいものが次々と続く。
龍村平蔵への尊敬の念についてはしばしばこのブログ上で挙げているので今は書かないが、本当に素晴らしい。

芝山細工の素晴らしいのもある。
大阪歴博のツイートにその紹介があった。



やっぱりこういうのを見ると絶対に行かないとあかんでしょう。

藪名山の薩摩焼もずらり。
こちらは前身の大阪市立博物館で随分前に展覧会があったのを思い出す。

青貝細工のいいのもある。ほんと、素晴らしい。

芝川照吉らを生んだ芝川家がまた立派な仕事をしていた。高麗橋のあたりで「紙製漆器」を販売していたそうだ。
やがて立ち行かなくなったそうだが。

茶道具のいいのもある。時代も下がって逸翁小林一三好みのものを拵える職人の仕事も出ていた。
真っ向からのウサギ絵の香合、♪模様の香合など。

上田耕甫がミミズクの絵を描いたのもある。可愛いなあ。

まだまだいいものがずらりとある。目が眩むような展覧会だった。
最後にこれは展覧会のチケット。
イメージ (80)

昔の博覧会のチケットを模している。楽しいわ。
いつかこの第二弾の展覧会も期待している。

あとわたしは昔懐かしい「せともの祭」のつくりものの写真資料本を手に入れた。
とても嬉しかった。
いつか紹介しようと思う。
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