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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「江戸の戯画」 をたのしむ その2

お江戸の戯画が集まっている
まずは北斎から。
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ところでTVドラマ「必殺」シリーズに「富嶽百景殺し旅」というのがあり、旅する北斎が富嶽百景に込めてコロシの相手を描くというのがそのシステムだった。
小沢栄太郎が演じた北斎はふざけた爺で自ら「わしは葛飾ア北斎じゃー」と名乗っていた。
そう、あほくさい。
で、まさかの切り殺されで最終回。

第三章 北斎

シリーズ「鳥羽絵集会」はすべてベルギー王立美術歴史博物館所蔵品。
様々な生活シーンからチョイスされて北斎の鳥羽絵になった人々。
その「鳥羽絵」の特性として、人体表現が極端なところがある。
手足が思い切り細長く、顔は丸顔で目鼻も口もごく簡素。
北斎ぽいキャラでないのも「鳥羽絵」だから。

お稽古   清元あたりのか、女師匠も男弟子二人もえーかげん。
門付けの瞽女  三人ばかり来ているが、犬も一緒に合唱。
酒盛り  おやおや、ここの酒徳利の紋、さっきのごぜさんらが門付した店のやわ。因みに背後の屏風にも「鳥羽」の文字。
身づくろい   遊女たちの支度色々。絵は鳥羽絵カトゥーンだけど、行為はリアルやな。
魚頭観音 ベルギー王立美術歴史博物館


助六の股をくぐる男  芝居の通り。で、助六の下帯がべろーんと垂れている。
道成寺  花柄の着物の女が来たけれど、どうも中に何枚も着ているようにも見えないし、「鐘にうらみは数々ござる」ようでもない。喧嘩  どうやら痴情の縺れらしい。女の腕に「トバエ」と刺青が見えるのは洒落やな。
夫婦の団欒  ここの屏風にも「鳥羽」文字。夫婦のと言うより家族の。江戸の庶民はけっこう仲良く暮らしていた。

謎かけ戯画集シリーズも面白い。絵は鳥羽絵ではなく北斎キャラ。
鰻 「鰻とかけて」「ままならぬ恋路ととく」「心は さかれてのちに身を焦がす」…うまいな。
本蔵が娘  「さいの河原ととく」「心は 大石こいし」これまたうまいな。忠臣蔵な。

そして「北斎漫画」がずらり。これがとても楽しい。
ヒトだけでなくろくろっ首も仲間入り。

第四章 国芳
有名どころの絵がずらり。
好きなものが多かった。

猫飼好五十三疋  東海道の宿場駅がみんな猫ワードのあれ。大好き。
影絵や猫の当て字もある。役者絵のパロもぞろぞろ。

百色面相、妙名異相胸中五十三面シリーズは知らない。
まあ「尽くし」でもあるわけで、読むのにちょっと苦心しつつ読むと笑える。

蝦蟇手本ひやうきんぐらと化物忠臣蔵があった。
いやぁ、さすが忠臣蔵は何をしても面白い。

そして今回前期ただけだが、こんなのが出た。
金魚尽くしシリーズ+1
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ぼんぼん、いかだのり、すさのおのみこと、酒のざしき、にはかあめんぼう、まとい、玉や玉や、さらいとんび、百ものがたり。
そして画像右下は作者不詳の「けんじゅつ」
まあ金魚も色々あるわな。

それから大坂の 長谷川貞信「童戯狂画尽」シリーズがある。
ヒトコママンガ風にお芝居のパロ絵を描いている。
夏祭浪花鑑  カラスに売り物さらわれてる団七。
双蝶々曲輪日記  二人でおもちゃの蝶々を販売中。
祇園祭礼信仰記  ところてんを食べるキャラ達。

第五章 滑稽名所
広重の江戸vs一鶯斎芳梅の京阪。
面白かった。
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広重の元からの風景画の良さのところへかれの諧謔味が加わる。
とても楽しい。
江戸名所道化尽シリーズ。いいなあこういうのも。

一鶯斎芳梅「滑稽都名所」は京のあちこち。しかしそんなに笑えるわけではなく、おとなしい。
平野(神社)の花見、雪の龍安寺、立体起動で飛んでるような天狗のいる鞍馬山、芒の生える耳塚の前で笛を吹く男もいれば、清水の舞台を傘を差して飛ぶ娘もいる。

過剰な笑いが活きるのはやはり大坂だった。

天満市場  スイカがいっぱいコロコロコロコロ―
なにはばし  花火の火種が落ちてきて熱い熱い!!
大川すゝみ  モロに後ろの川へどんぶりと落ちる…
鬼子母善神  菜の花畑を行くのでくちゃい…
蛸の松   タヌキの化けたオバケ娘に脅かされる!
住吉  住吉っさんの反り橋からすってんころりん。
含粋亭芳豊 滑稽浪花名所 ざこば魚市  巨大な章魚に絞められる売人!!

ああ、どれもこれも楽しかった。

最後は幕末から明治に大活躍の暁斎。
第六章 暁斎

狂斎百図  フルカラーの明るい一枚絵の群衆図でいろんに楽しい様子が続く。

天竺渡来大評判 象の戯遊  働くゾウさん、色んなことをするのいいなあ。

イソップ物語を翻案したものもフルカラーで明治の絵の具を使っている。
伊蘇普物語之内 兎の身なげの話  着物のウサギ、警官は洋装、みんなで慌てて岸へ向かうと…そしてそこに無関係にぷっとい蛙たちが何匹もいて、一斉に池へ飛び込んで行った。
文章も結構口語文。

応需暁斎楽画 このシリーズも好き。
第一号 地獄の文明開化  地獄も大きく転換期を迎えたわけだがいろいろ大変らしい。
閻魔さまもシルクハット、奪衣婆もまさかのドレス姿。

第三号 化々学校     鬼たち、河童たち、それぞれ覚える言葉も違う。結構大変そう。
第四号 極楽の開化  こっちの方が地獄感つよいな…

河鍋暁斎 『狂斎画譜』 太田記念美術館  鯰を馬に三味線猫が富士の前を飛ぶ!
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この絵は拡大化されてもいた。

鳥獣戯画 猫又と狸(下絵) 河鍋暁斎記念美術館  前々から思うのがこの猫叉の顔、わたなべまさこのホラーに出てきそう。

下絵の蛙たち、ネズミたちも面白かった。

最後の最後まで楽しい絵尽くしで機嫌よく見て回れた。
こういう展覧会、いいなー。
本当に面白かった。

6/10まで。
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「江戸の戯画」 をたのしむ その1

大阪市立美術館で「江戸の戯画」展を大いに楽しんだ。
江戸時代の戯画ということで、江戸の浮世絵だけでなく大坂の耳鳥斎のゆるくてシビアな地獄シリーズ、幕末から明治の転換期にも強烈な笑いの精神を忘れなかった暁斎などなど面白い作品ばかり集めている.
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人間、泰平の世の中にあると退屈する。
退屈し続けるとダメになる。そこでお上がつまらん規制をかけてくる。
泰平の世に棲む日々に強い枷。
その枷を壊しはしないが、うまいこと骨抜きにする方法を庶民は見つけ出した。
その方法の一つに笑いがある。
どうもそんな気がしてならない。

まずはゆるい鳥羽絵から始まる。
第一章 鳥羽絵
鳥羽絵の由来については「鳥獣人物戯画」の筆者と伝えられる鳥羽僧正からとったというのが定説らしい。
全然違うが、奈良絵本という名称のことも考えると、日本人はこういうネーミングがうまいような気がする。
現代に至っても某小▲製薬の製品ネーミングなどにその名残が見受けられる。
…小林▲薬も大阪の企業だしなあ。
なにも気負わずに楽しむ。

第一章 鳥羽絵
大岡春卜の本が色々と出ていた。
『画本手鑑』 大阪府立中之島図書館/ 関西大学図書館
『軽筆鳥羽車』 大阪府立中之島図書館/ 千葉市美術館
『鳥羽絵三国志』  上 千葉市美術館
どれもこれもあほらしいヒトコマ漫画で、こういうのがまた面白い。
地獄の釜へジャンプ!とかシイタケが現れたり、変な浄瑠璃とか、意外にシュールなのもあったりで、にんまり。
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竹原春朝斎、長谷川光信といった作者らの「鳥羽絵」も楽しい。
ほぼラクガキぽいような絵柄なのも好ましい。

そしてこの章のラストには模写も出てくる。
安達真速 鳥獣人物戯画 甲巻(模本) 京都府(京都文化博物館管理) ウサギとカエルの相撲のシーン。
いい配置や。これで「鳥羽絵」の意味が通じる。

第二章 耳鳥斎
伊丹市立美術館でかれの展覧会が開催されたのはいいが、あほなわたしはよりによって最終日にしか行けず、図録は売り切れ、楽しいチケットは下半分切るから絵が切れてしまう、ということで何やら泣きたくなってしまった。
あまりに面白すぎたのでこれ以降はもう決してかれを忘れなくなり、ちょっとでも展示があれば行くようになった。
耳鳥斎。人生の半分以上は冗談だ、というのを見せてくれた作者。
「世界ハコレ一大戯場ナリ」
2005年の出会いについてはちょっとだけ書いている。
耳鳥斎!にヤラレタ
ところでこの人の呼び方は「にちょうさい」です。


出ました地獄シリーズ。
大阪歴博「幽霊・妖怪画大全集」にも耳鳥斎の「地獄」が出ていた。
「なにわユーモア画譜展 関西大学所蔵大坂画壇コレクションを中心に」にも関大所蔵の「別世界」の地獄が出ていた。
当時の感想はこちら

ほかにこの展覧会でも。当時の感想はこちら
三都画家くらべ 京、大坂をみて江戸を知る 2

そうそう「地獄絵ワンダーランド」展にも出ていたな。
みんなやっぱり耳鳥斎が好きなのだ。

地獄というてもすべては人の世の仕事・あり方に関係したもの。
亡者は責め苦を受けるというよりその道具となり、妙に楽しそう。
役者の地獄 「大根役者」は役者への侮辱語だが、亡者たちはニコニコと大根を咥えている。
揚弓屋の地獄は自分らが弓屋にされる亡者。
トントントンと切り刻まれるが楽しそうな亡者もいる。
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一事が万事こんな感じ。
そして責め苦を与えているはずの鬼たちはみんな至って淡々と作業をする。
まるで手作業のパートで働くおばさんたちのようでもある。
今回は全巻が開かれているので、普段はめったに見れない「地獄」もあった。予想以上にオヤオヤという感じで楽しい。
そしてこれまで耳鳥斎の作品だと認められてこなかった佐倉の歴博の地獄も彼のだと認定され、展示されていた。

耳鳥斎 四醒之図 高麗橋吉兆  寒山拾得と豊干禅師と虎と。縦長画面でみんな起きがけの様子。虎が特にかわいい。
本当は「四睡」だが、めざめたところ、というのがいい。

耳鳥斎版仮名手本忠臣蔵のはじまりはじまりーっ
ここはやはり芝居らしく「とーざい」で始めるべきかもしれないな。
キャラ分けがなかなか面白い。シンプルながら特性が出ている。
勘平も定九郎もそれぞれよくわかる。みんなやっぱり忠臣蔵好きだよなあ。わたしも大好き。

耳鳥斎 練物図 太田記念美術館  もの見んとタイトルだけ見てたら「…てんぷら?」と思うのが関西人。
練り物は関西では「てんぷら」ともいうのよ。
これはそうではない。練り歩く行列のこと。そしてその様子を眺める群衆。
練り歩きということさ。

耳鳥斎 梨園書画(下) 大阪歴史博物館/  『絵本水や空』上 大屋書房  これらはどちらもその当時の役者たちの似せ絵を耳鳥斎流に描いたものが集められている。シンプルな線ながら特徴が出ていて楽しい。
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耳鳥斎 『あらし小六過去物語』上・下 大阪府立中之島図書館  これは嵐小六という役者の追善物で、死んだ彼が地獄めぐりをするというもので、見てゆくと「おっどろきー」な閻魔さまとか、ふにゃふにゃの鬼などで、あくまでも楽しい。

耳鳥斎 『画本古鳥図賀比』中 大屋書房  オバケが出てきてコンニチハ。挙句は皆で百万遍の数珠繰りをする。効果があるかは知らない。
百万遍の数珠繰りをこんなに明るく描いているのを見るのは初めて。

この章の最後にはしとみ・かんげつの登場。
蔀関月 妖怪十二月絵巻 京都府(京都文化博物館管理)  よく練れた絵でカラフル。それで12ヶ月の月次ものを妖怪で行う。
楽しいなあ。

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長くなるのでここまで。
次はお江戸。




ありがとう 南蛮文化館

大阪の阪急の中津駅のごく近くに「南蛮文化館」がある。
年に二か月間だけの開館で5月と11月が開館期間。
今年は開館50周年らしく、わたしは久しぶりに訪ねた。
なにしろ年に2か月だけ、しかも一時館長さんのご都合で長いことお休みだったようなので、気にはしていたが、なかなか再訪できなかった。
そう、一度だけ行っている。
あれはいつだったかな、見たのは南蛮の大砲で、館長さんが自らご案内してくれはったなあ…などと追想はたやすいのだが、今回データを調べてびっくりした。
なんと25年も前だった!!つまり25年ぶりの再訪、これでゆくと次の訪問は今から25年後になるやないかい。←あかん。
正直、そんなに年月が開いていたとは思いもしなかった。
つまり、普段はここを忘れてはいたが、意識の底にはいつも活きているので、そんなに長い歳月が横たわっていたとは思わなかったということだ。

今回出かけたのはこの新聞記事を見たから。
それで開館を知り、出向いた。

阪急中津駅自体は全然変わらないしこれまた人生2度目の下車なので、よけいに時間の推移がわからない。中津で人気のケーキ屋さんも見たが、この日はさらに遠出するのであきらめる。

前回もそうだがなまじ近いわりにわかりにくいので道に迷う。
しかしそこが大阪のよいところで、近くにいた人に尋ねると、わざわざその前まで連れて行ってくださった。ありがとうございます。
まあわたしもわりとそういうことをする方だな。

出ました南蛮文化館。



それが久しぶりに来たら本館前にギャラリーも出来ていたよ。けっこうなことですな。

で、しかもお得なことが。


ははは、ありがとう。

中庭にはポスターの展示と南蛮の鐘(普通にキリスト教会のあれ。)があり、そこらに可愛い石像も置かれている。
南蛮の鐘といえば「仮面の忍者 赤影」での「ギヤマンの鐘」を思い起こしたりハウプトマン「沈鐘」も浮かぶが、要するに裾広がりのあれ。
日本の鐘は「国家安康君臣豊楽」の銘のあるあれとか「獄門島」のとか「道成寺」のを思い浮かべればよろしい。

全然関係ないが、鶴屋南北の「桜姫東文章」では悪者の「釣鐘権助」に惹かれた桜姫は、彼の腕の釣鐘の刺青を忘れず、自分の二の腕にも同じものを小さく入れた。
後に姫君から落ちぶれて小塚っ原の女郎になった時、その刺青の小さいのが可愛いからと「風鈴お姫」と呼ばれて、人気者の女郎になる。

話を元に戻す。
いよいよ25年ぶりにここの展覧会へ。
前掲の新聞記事通り、コレクションはすべて今は亡き館長さんが集められたもので、今は二人の娘さんが守っておられるそう。
新しいものはないけれど、集めたものを楽しんでもらおうという気持ちはよく伝わる。
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「南蛮文化」ということで、キリスト教関連の例えば聖遺物入れ・聖母子像・桃山時代の螺鈿のキャビネットなどがある。

南蛮屏風もよいのがある。南蛮寺へ至る道はきちんと整備されているし、犬やヤギが一行にいる。ヤギはあれか乳用かな。
そういえば大分の府内には日本初のアルメイダ病院が作られたが、そこでは牛乳が供されたそうだ。
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中にスペイン辺りで作られたような聖人像があり、ザビエルらしいことを知った。
マカオに行ったとき、ザビエルの腕の骨を安置した教会があった。
神戸市立博物館にザビエルの肖像があるので、なんとなく親しみを感じてはいたが、あまりに遠い人なので全く実感がなかった。それがいきなり腕の骨なので、二次元の人がいきなり三次元化した気になったものだ。
そのザビエルの像である。
ザビエルがイエズス会の重鎮だとは知っているが、キリスト教世界でかれの位置がどのあたりにあるかは知らない。

聖母子像だけでなく義理の父子像もある。ヨゼフと幼子。
これを見ると武田泰淳「わが子キリスト」と中村光「聖☆おにいさん」を思い出す。
前者はマリア以上にキリストを熱烈に信ずるヨゼフの一人語り、後者はいろいろ思い悩むヨゼフ建設の社長さんである。

聖餅箱。この翻訳をした人の「餅」の認識とは、とたまに考える。
なにしろわたしの知る餅はふっくらふくらむ丸餅(関西人なので)か四角い餅かのどちらかで、これは膨らむことのないぺたんこのもので餅とは言えないのではないか。
いや待て、求肥餅もあれば韓国のトックも餅か。
聖餅箱とはオスチヤ(HOSTIA聖餐式に用いるパン)を納める箱、と他に螺鈿で綺麗にされた箱を持つ東慶寺は説明する。
パンはキリストの肉、ブドウ酒はキリストの血。
一度映画でそのオスチヤなるものを見たことがある。あれは何の映画だったか、口の中に何やら薄い丸いものを押し込んでいた。
味のことが気になるが、こうした儀式にそれを言うのはよくないのだろうなあ。

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隠れキリシタンのための像もあり、信仰心の深さというものを感じもする。
やきものもいろいろ。マジョリカの明るいものもあれば染付の綺麗なものもある。
高山右近関連の資料も少々。
それから長谷川路可の和少年たちの洋楽。

近代日本画の中から南蛮文化とキリスト教関係を描いた作品を集めれば、かなりの数になると思う。
真っ先に小山硬、その師匠の前田青邨、守屋多々志らの絵がいくつか浮かぶ。
実際2008年には府中市美術館の春恒例お江戸絵画祭の一環の「南蛮の夢 紅毛のまぼろし」展があった。当時の感想はこちら


南蛮といえば近藤ようこさんもいくつか作品を生んでいる。
「南蛮船」「異神変奏」の一篇など。

長筒、鉄砲があった。これを見ると前回館長さんが「長いでしょう」とお話しなさったことを思い出す。
そして雑賀衆のことなども想う。

南蛮文化は日本にも多く受け入れられた。
「松浦屏風」などでは長いキセルでたばこを楽しむ遊女もあり、ウンスンかるたで遊びもする。
風俗画はその時代の最先端を描こうとするものだから、それらが世に広まっていることもわかる。
ただ、ウンスンかるたは形を変えてしまうが。

そういえば清方に珍しく若衆が寝そべりながらウンスンかるたで遊ぶ絵があったが、あれはハマ美のコレクションだったかな。

様々なことを思いながらここを出る。また今度は秋か。行けたら行こう。
南蛮文化館は5/31まで開館。

そこから徒歩で梅田に出るのも楽しい。

2018年の庭園美術館 その2

つづき。
窓が多い。

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もうこんなガラスは作れない。


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小さなところにも精密なデザイン。
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なかなか上がれない場所へ行けたのも楽しい。


この部屋のこの照明を見る度いつも清朝の王女の豪奢な髪飾りを想う。
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窓の向こう、庭園にくつろぐ
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庭にもこのような滝があってもいいかもしれない。
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新館で開催中の鹿島茂コレクション・フランス絵本展から。


細部を嗜む。
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少年たち。
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何もかもかが素晴らしい…

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2018年の庭園美術館 その1

これまでここで何度か庭園美術館の写真を挙げてきたか、今回は「フランス絵本」展の開催に合わせての建物展示となっていた。
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なので今回撮ったものをすこしばかり挙げる。
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香水塔
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絵や壺の美
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いちばんアールデコな照明かもしれない。
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その部屋の調度品
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暖炉も部屋により変わる。
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食堂の美
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アールデコのファッション
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照明の美は大切だ。
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文様さまざま
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つづく

鹿島茂コレクション フランス絵本の世界

鹿島茂さんのフランス絵本コレクションを庭園美術館の新館で見た。
素敵な絵本ばかりなので本館で見るの
も素敵だろうと思いつつ、本館は本館で建物自体を味わう期間に入っていた。
それについてはまた別項。
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鹿島茂さんの凄いというか偉いところは展覧会をするために、新規に昔のいい本を買い集めることだと思う。
手持ちも凄いのに、更に購入するのはひとえに「観客を喜ばせたい」という気持ちがあるからに他ならない。
ありがたいとしか言いようがない。
今回はどうなのかちょっとわからないが、どちらにしろ莫大な数の絵本が展示されているのは確かで、わたしたち観客はただただそれを享受する。
享受するだけでは心苦しいので、鹿島さんにお礼の気持ちを懐いていることを伝えようと思う。

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木口木版、リトグラフの19世紀の絵本をみる。
丁度「子どものための」作品が生まれた時代の絵本である。
ギュスタヴ・ドレの絵による「ペロー童話」「ラ・フォンテーヌ寓話」などは親しみがある。

ヴェルヌのSF作品もいい。ユゴー、エクトル・マローも現れた。
今日では古典的な児童文学の大作として活きる本たち。
わたしなども子供向けの「ああ無情」に感動し、「レ・ミゼラブル」でひっくり返ったクチである。

P.J.スタール「リリちゃん」シリーズがある。絵はロレンツ・フルリック。二頭身半くらいの子供たちが精密に描かれている。
多色凸版の作品も並び、子どものための本がどんどん多様な表現法を獲得してゆくのをしる。

モンヴェルの特集コーナーもある。オシャレで可愛いな。

やがて20世紀になり、雑誌の時代が来た。21世紀の衰退を想像できない豊饒な時代。
オフセット印刷の時代。

バジャバン・ラビエの動物たち。実はこういう絵本が好きだ。
小粋な「外国の絵本」という感じがある。動物たちのいろんな話であり、動物たちに仮託しての話もあるが、絵がとにかくいい。

そしてゾウのババール登場。
1930年代なのだなあ。とても可愛くておしゃれ。
今はアニメにもなっている。


ババール大好き。

ナタリー・パラン描くジャンヌ・ダルク絵本を見る。
綺麗な絵でジャンヌの生涯が綴られる。最後の処刑まで。
後で調べて知ってびっくりしたが、「バーバ・ヤガー」の人か。
あの絵とジャンヌの絵とが結びかないな。

他にも素敵な絵本がたくさんあった。
いい絵本をいっぱい見せてくれた鹿島茂さんありがとうと言いたい。
最後には撮影コーナーもある。




楽しい展覧会だった。6/12まで。

チャペック兄弟と子供の世界

松濤美術館で「チャペック兄弟と子供の世界」展をみた。
カレル・チャペックは弟で、兄はヨゼフ・チャペック。
そうと知る前に既に作品に触れていた、という作家兄弟である。
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ヨゼフはカレルの童話「長い長いお医者さんの話」の挿絵を担当していた。
そうと知り、「ああ!」となるわけだ。

ヨゼフの描いた絵を見る。
子供をテーマにした作品が多い。
キュビズムの画家なので、面白い線を選んでいる。
しかし子供の可愛さがそこに現れる。
「子供の世界」というタイトル通り、様々な子供の絵がある。
決して明るい情景のものばかりではなく、貧しい子供もいればどことなくせつない子供もいる。

彼らのいた時代を考える、プラハという土地のことを考える
そうしたことを踏まえたうえで作品と対峙する。
何も思わずに絵に対していい時とよくない時とがある。
この展示は後者のほうだ。
兄弟は弟が先に亡くなり、兄は終戦の年に死ぬ。
抑圧された時代・政権下の中でのこの愛らしい絵は、時代を踏み越えて現代へつながっている。

わたしはヨゼフもカレルも作品を通してしか知らないが、展覧会に来るとほかの情報も入ってくる。
例えばヨゼフは身体が弱く徴兵は無理だったことや、カレルの愛犬「ダーシェンカ」がテリアだということ。
ほかにもナチスに対し最後まで反対したことなど。

それらを踏まえながら、改めて作品と向き合う。
しかし作品にはその影響は見いだせないのが、実は物凄いことだと思う。
同時代のドイツのエーリッヒ・ケストナーの作品もそうだが、チャペック兄弟も暗澹たる思いを政権に対し、時代に対し抱いていたろうが、それを作品には見せない。しかも決して迎合することもなく、自分の世界を守る。
心の本当の強さというものを見た、と思った。

絵はどれも皆とても可愛らしい。シンプルなラインで的確な表現。
そこへ至るまでに削ぎ落してゆくものたち。

ヨゼフの絵とカレルの文で形となった物語のいくつかをみる。
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カレル・チャペック『ふしぎ猫プドレンカ』 猫らしいなあ。可愛いわ。
愛犬を描いた『ダーシェンカ』も可愛くてならない。
わたしは犬種をよく知らないので洋犬だなくらいしかわからない。しかし可愛いのはわかる。

『こいぬとこねこは愉快な仲間』 
可愛さとはシンプルな線の中にある、と思ってしまう絵。
機嫌の良い線描がとてもいい。

『ダーシェンカ』 愛犬家のキモチがわかる気がする。
猫と犬とでは相手への対し方・愛し方は異なるが、共通するものは「大事にしたい」ということだ。

世界各国で展開される彼らの本も見た。
その中で中国語版が面白かった。
『こいぬとこねこ』だが『猫的小英雄』で一言も「犬」「狗」がない。表紙絵は顔の下半分のみ。
これはこれで面白すぎる。

『長い長いお医者さんの話』18052601.jpg
はこうして見てみると中野好夫の訳なのか。
中野は好きな訳者だ。
英米文学が主なヒトなので、本当の訳は別なヒトだとしても、文章として形にするのは中野が行ったのだろう。
今は新訳もあるそうだがわたしはこれでいいよ。

兄弟は弟が先に亡くなり、兄は強制収容所で亡くなった。
酷い時代に亡くなったこと、それを忘れてはならないのだった。

5/27まで。

「名作誕生 つながる日本美術」後期を見た

東博「名作誕生 つながる日本美術」後期を見たのでそのことを少々。
こちらも展示替えしたものを主に。
とはいえ、例によって自分勝手な妄想で変なことしか書いていないのだが。

始まりが仏様なのもある意味怖いような感じがある。
何がかといえば仏の立ち並ぶ隙間を抜けてゆくわけで、動かないのはわかっているけれど、見られているような感覚がある。
その見られているというのは直に像に見られているのではなく、像を通じて仏の国から監視されている、そんな心持になるのだ。
中途半端な信仰心というか畏怖の念があることでそんなことを考えてしまう。
しかもそこにいるのが薬師如来だから、見られているのなら縋ってもいいだろうかと思いもするのだ。

紺紙金字観普賢経 1巻 平安時代 承安2年(1172)福岡・善導寺  見返しのゾウさんが可愛くてね。

扇面法華経冊子 1帖 平安時代 12世紀 東京国立博物館  女人きらきら。四点がパネル展示されていたがそれぞれいい感じ。

普賢菩薩像 1幅 鎌倉時代 13世紀 東京・静嘉堂文庫美術館  ゾウさんの頭冠に三体の踊る仏が。そして絵の中央に残る截金の美。

普賢十羅刹女像が二点。
根津美術館のには少年も描かれ、奈良博は色鮮やかで、手前の女が赤子をだっこしつつ笑顔を見せているのがよくわかる。

雪舟をみる。
天橋立図 雪舟等楊筆 1幅 室町時代 15世紀 京都国立博物館  途中で途切れているところも描かれている。
室町のころと平成の今とは違うのだが、それでもどこか親しさを感じる。遊覧船ではなくなにやらカトンボのような舟も行き交う。

唐土勝景図巻 伝雪舟等楊筆 1巻 室町時代 15世紀 京都国立博物館  高名な金山龍遊寺がある。島全部がお寺の。調べると面白いことが書いてあるのをみつけた。
「唐の時代に「金山寺」と改称され、明の時代には「龍遊寺」、清代には「江天禅寺」と、寺名は転々とした」
つまりこの絵はやはり明代なのだということか。
それから川はずっと続く。揚子江だからな。

成相寺参詣曼荼羅 1幅 室町時代 16世紀 京都・成相寺  天橋立のところのお寺。
わたしも行きましたよ。ごーーーーんーーー という鐘の音は聴けなかったが。
この全体の稚拙さがよくてね。日月が出ているが、それでどうという感じもあまりない。
だが、なんだかここのお寺の良さというものを感じるのだ。
上手い雪舟の絵とこの素朴な絵とが並ぶのも決して悪くはない。

宗達の扇面散貼付屏風も様々な種類があるが、今期は出光美術館のが出ていた。
白木蓮、白葵、朝顔、白百合…綺麗。
工房のか、もう一点出ていてそちらには桔梗、女郎花、朝顔、平治の乱?兜の緒を締める兵…

物語図屏風 伝・宗達 九博  斑牛が左端にいる。牛車から解かれているらしい。そして牛飼い少年は轅にもたれて眠る。
どこかの屋敷の門前の状況なのだが、何の物語なのだろうか。
調べようとしたが、図録を先に見てしまった。それによると物語が何かは不明なようだ。
ただし構図は西行物語辺りからの転用らしい。

蔦細道図屏風 伝・宗達 烏丸光広賛 相国寺  以前萬野コレクションだったころ、この作品はDMの絵ハガキになってわたしの元へ来たことがある。それを思い出して泣けてきた…シンプルでシャープでしかも豪華な屏風。

蔦細道図屏風 深江芦舟 東博  やたらと槇の木が多い。槇はこの道に多いのか?いや、他の人のここの峠の絵にはなかった気がする。

乾山の色絵龍田川文透彫鉢が岡田美術館から来ていた。やはり綺麗だ。

富士と三保の松原の屏風が三点ある。
雪舟のは清見寺もプラスされている。清見といえばやっぱり清見オレンジだな。しかしこの当時はまだ生まれてないか。
それで雪舟の富士はどうも日本の山というより中国の山に見えるのね。
中国絵画に学んだから当然なのだろうけど、こうしたときにそれを思いもする。

山雪は左に富士、右に三保の松原で、距離感があるのを実感する。何年前かの世界遺産決定の時、富士はすんなりだが、三保の松原の価値を外国は認めなかったよなあ。しかし三保の松原がなくてはやはりあかんのよ。そのことをこうした絵画を見ても強く思うわけです。

最後は蕭白。これはもう殆ど異界・魔界。不穏な白富士。爆発の日も近そう。そう、活火山なのが一時停止中。そして付近の岩や山がみんな「うしおととら」の「字伏」に見えたり、巨人の巨大な歯並びに見えたり。とはいえ左の富士より右のほうがいいのも確か。
虹も出ていて墨絵だが妙に明るく感じるし、もくもくな雲もいい。
こうしたところに「やっぱり蕭白いいよね」という感じが生まれる。

渡辺始興の吉野山図屏風がある。これは初めて見たと思う。けっこうな賑やかさを感じる。
そして今回も乾山と道八のいいお茶碗の競演。

さて今回も蓮池コーナーは本当によかった。全体の中でたぶんここが一番好き。
気持ちいい。見に行った日が暑かったからかもしれないが、しかしそうでなくても蓮はいい。

縁先美人として3点の登場。
住吉如慶の伊勢絵巻には桔梗が良く咲くシーンが。
作者不詳の見立て河内越え図はもう本当に色っぽくて。そこらにいるのもみんなかっこいい。江戸時代のイケてる人々なんだなあ。
そして最後に近世風俗画の縁先美人。瓜実顔で(今「瓜実顔」なんていうてもわかるのかな)髪をたらし、素敵な小袖をまとっている。

さて彦根屏風。今回の図録表紙にも登場。
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描かれた人々たちにある種の親近感を抱くようになったのは、間違いなく近藤ようこさんのおかげ。
彼女の単行本「美しの首」がなければ、「雨は降るとも」「月は東に昴は西に」を知らないままなら、この近世風俗画に描かれている人々は遠い人々のままだったのだ。
ここにも「名作誕生 つながる日本美術」を実感する。

ところでこの屏風は彦根博物館の中でなら、フラッシュなしで撮影可能。
以前の様子はこちら。
彦根博物館 春の名品

これに合わせて全体の構造がよく似た細見美術館の男女遊楽図屏風も出ている。
締め付けの厳しい体制が始まる前の、ほんの一時の享楽。

好ましい展覧会だった。5/27まで。

百花繚乱列島 江戸諸国絵師めぐり 展示替え分見て回りの巻

5/20までの千葉市美術館「百花繚乱列島 江戸諸国絵師めぐり」の後期にギリギリ行けた。
今回は展示替えされた作品にのみしぼって書く。
前期はこちら
「百花繚乱列島 -江戸諸国絵師めぐりー」 その1


地域性はもうすっとばそう。
以前によかったものは今回もよかった。
波響の「カスべ」も東東洋の「ウ・サギ」たちも元気そうで何より。

東東洋 常盤雪行図 江戸時代(18-19世紀) 仙台市博物館  亀田兵治コレクション  どっしりした女性が立派に立ち尽くす姿。上の男の子二人の手を握り、胸には布巻の赤子。笠はやや小さめ。上の子らはお揃いの小さな袴を穿く。
「どこへ行こう」といった目ではなく、強い意志を秘めた目をしていた。

菅井梅関 千壑萬峰図 文政6年(1823) 東北歴史博物館  岩山が空のそばで連々と続く。

白雲 会津津川冬景図巻 享和元年(1801)頃 歸空庵   シーンごとに説明がある。雪山と川と村だけかもしれないが、そこに生きる人々がいるのを示す。

岸駒 真虎図 天明4-文化5年(1784-1808)  このトラはまた手足の先が可愛いし、爪も牙も可愛いし、麿眉に近い白い眉が可愛いし、ポーズもよくて、ああ、猫の親分やなあという感じがした。ついついメモに小さく虎の絵を描いてしまったよ。

立原杏所 花木図(宜男清齢図) 文政期(1818-30)頃 嬉遊会コレクション  枝ぶりが面白い。廿という字に似た枝に太湖石、バラという中国風な絵。そこへ小鳥が。

小泉斐 月下弾琴図 江戸時代(19世紀) 栃木県立博物館  建物が池に突き出している。その縁側で足をぶらぶら。足裏は水にはつかないが水は近い。気持ちいい状態で夜空を仰ぐ。空の月は描かれないが水面に月が浮かぶ。竹さやさや。ご機嫌で琴を弾く。

小泉斐 『富岳写真』 弘化3年(1846) 栃木県立博物館  3シーン出ていた。
・一合目木立夜 掘っ立て小屋のようなのが道の両側にあり、人の往来もある。鬱蒼とした林が広がり、空は青暗い。線が見えるからか、まんが日本昔ばなしに出てきそうな情景である。いい感じ。
・山頂とその手前もある。なかなかリアルなというか、実感のあるいい感じの見物衆。
なんというか、70年代後半から80年代半ばまでの、旅行ガイドブックのイラストでの案内みたいな感じがする。

戸田忠翰 雪竹兎図 寛政8年(1796) 板橋区立美術館  おおお???雪持ち竹の下、白いうさぎが三羽頭を寄せる。みんな黒目なのも珍しい。ウサギだから可愛い、というのもなく、なんとはなしに悪の枢機卿たちが集まって陰謀を企てているかのように見える。

椿椿山 日光道中真景図巻稿 文政12年(1829) 栃木県立博物館  日光に行ったことがないので描かれた日光にかつてこんなところがあったのか、と面白く見るわけですよ。
淵もうねっているし、この淵とはどこなんだとか、神祖廟て今もあるのかとか、滝もよく流れるがこれは裏見の滝なのかどうか、寂光滝というのもあるのか…などなど。

鍬形蕙斎(北尾政美) 東都繁昌図巻 享和3年(1803) 千葉市美術館 西谷コレクション
  好きな作品。花見でいちゃつくシーンではなく、日本橋の雑魚場を見るのが楽しい。
三年ぶりの再会。活気があって楽しそうで大好き。いろんな魚もあるしね。
かつては「聖代奇勝」というタイトルもついていたが、どうなったのだろう。
以前にこれについて書いたのをそのまま挙げておこう。絵もあるので。
「文人画再発見!」/「明治神宮の名宝」

鍬形恵斎 東都繁盛図巻 210年前のお江戸の繁盛ぶりが描かれている。
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橋のこちら側では特ににぎやかな雑魚場の様子が描かれている。
実にいろんな魚がある。よくよく見れば深海魚にしか見えないのもいる。
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実際、この絵の通り多くの魚が売り買いされ、大金が飛び交ったろう。犬もいるし交渉する人もいる。


谷文晁 西遊画紀行帖 江戸時代(18-19世紀) 板橋区立美術館  燧岳に10/18。虹も出ている。絵日記ですなあ。

歌川広重 江戸近郊図 江戸時代(19世紀) 板橋区立美術館  描表装に富士と鶴というめでたいもの。さらにその中に手前に松と奥に田畑で江戸の郊外、全体がうまい構想になっている。

山本梅逸 畳泉密竹図 弘化-嘉永期(1844-54)頃 名古屋市博物館  墨絵。シーンとしている。この人の絵は彩色が好きだがこうした墨絵もいいな。

山本梅逸 桜図 弘化2年(1845)以前 愛知県陶磁美術館  今回改めて知ったのだが、この絵は蜂須賀家へ養子に行った弟と兄との優しい交流の中で生まれたものらしい。

田中訥言 百花百草図屏風 江戸時代(19世紀) 徳川美術館  金地に皺を入れた紙に輪郭線なしの花の姿を描きこむ。春蘭、土筆、菜の花、タンポポに始まり芥子にキスゲにガマの穂、最後は烏瓜と水仙。こういうのもいいな。
ところで解説によると、この頃訥言は絵の前倒し金を使い切って放蕩三昧だったそうな。

沼田月斎 鎌倉江戸道中図巻 文化10年(1813) 板橋区立美術館  鈴ヶ森から羽田の海へ。品川の東海寺まで描かれている。跳ねるタイもいて元気そうな海浜とその周辺。

森高雅(玉僊) 雪中若菜摘図 江戸時代(19世紀) 名古屋市博物館  貴女とおつきの少女と。なかなかきれいな貴女。

松平乘完 秋叢嚢露図 江戸時代(18世紀)  クロアゲハ、朝顔にトンボ、葵にアブ。雀もいる。こうした和やかな絵は東アジアの楽園のようだ。

増山雪斎 虫豸帖(春・夏) 文化4-9年(1807-12)頃 東京国立博物館  蝶のページとバッタ類のページ。クロアゲハ、モンシロチョウ、モンキチョウ、コオロギ、イナゴ、キリギリス…リアルな絵やなあ。これこそ府中市美術館「リアル」に出てもいいかも?いや、あれはリアルを目指そうとしてすっころんだ作品を集めたというべきかもしれないから、これはあかんか。

そして今回も紀楳亭えがく大津絵見立て忠臣蔵、ウ・サギ・ウサギの三社図の可愛いのを見る。

前回書かなかった・前回とは少し違う感想も少々加える。
岡田米山人 松閣夜談図 文化9年(1812)  アジア特有の湿気を感じる、植物相。カラッとしたところがなく、皮膚には潤いがあるが、髪はあかんわになるあの湿気。
そこで誰かと夜のおしゃべり。

月岡雪鼎 筒井筒図 安永7-天明6年(1778-86)頃 東京国立博物館  ここの井戸はあれだ丸い井戸やわ。円筒形のね。イメージ的に四角く組んだのが筒井筒かなと思ったが、これもありなのか。
それで井戸について調べだすと、それこそ深い深い話になるのでやめておく。

松好斎半兵衛 『絵本二葉葵』 寛政10年(1798) 千葉市美術館 ラヴィッツコレクション  「伊勢音頭」の「二見が浦の場」の絵がある。着流しの貢ともめてる連中。間もなく朝日が出るので「ヤレ嬉しや」となる寸前。

廣瀬臺山 龍眠居士山荘図 江戸時代(18−19世紀) 東京国立博物館  濃密な空間を青緑と朱で構成。山は青々と紅葉とが同居する。

淵上旭江 五畿七道図帖(山陽奇勝之図・ 西海奇勝之図・東海奇勝之図) 寛政8年(1796)序 岡山県立美術館  駿河、吉原の富士山、筑波山、香取神宮、隅田川、播磨滝野、壇之浦、錦帯橋、坊津、呼子、桜島、稲佐山…観光名所ですなあ。こういうのを見て「行こう」と思う人も少なくないはず。

沖一峨 花鳥図 江戸時代(19世紀) 板橋区立美術館  □、〇、六角形、文琳型の枠内に濃い絵が。

今回も細川林谷のお絵描きが楽しい。戸隠山中、九頭龍の様子も可愛い。

渡辺秀詮 虎図 江戸時代(18−19世紀) 千葉市美術館  ああ、やっぱり可愛いなあ。

というわけで楽しい展覧会でした。
自分の記憶と記録のために終わった後でもこうして書いておくのでした。

大阪市立美術館コレクション展「洋画と日本の風土」

うかつなことにこの展示も終わっていた。
しかし終わっていたといってもなかったわけではないので、やっぱりこうして感想を書く。
大阪市立美術館コレクション展「洋画と日本の風土」

先日ツイッターで近代日本洋画の人気のなさについて上がっていて、この30年近い間の展示の推移について自分でも思い当たることがあった。
バブル崩壊後もミュージアム機能のないところで良い展覧会があり、そこで多くの近代日本画、近代日本洋画を見て育った。
わたしは近代日本洋画ファンなので、この現状に改めて衝かれた。
一体いつからこんなにも近代日本洋画の立場が悪くなったのだろう。わたしにはわからない。しかし21世紀に入ってからなのは間違いないのだ。
だから少しでも近代日本洋画のよい展示があれば見に行くようにし、小さい感想を細々と書くことにしている。
 
裸婦 岡田三郎助 (1869‐1939)不詳(明治時代)  背中を向けた裸婦が寝そべる。その背景色には柔らかな鶯餡色とそれを包むように卵色が使われている。ある意味この裸婦は卵の中の裸婦だともいえる。

風神 長原孝太郎 (1864‐1930)1910年  この絵の現物を見るのは初めてだが、絵ハガキを随分前にここで購入しているので、なんだかなじみ深い気がする。
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明治の洋画を学んだ人がフレスコが風な表現で裸体の風の神様を描く。琳派の風の神様とは全く違う、人型の神様。

素焼 満谷国四郎 (1874‐1936)1916年(大正5)  サボテンがニョキニョキ生えるくらいの乾燥したところ。地も空も乾燥している。暑いのでか半裸の人々がいる。麦わら帽子もかぶっているので古代ではない。素焼き、テラコッタ。赤子を抱っこする人もいる。
ああ、満谷の回顧展が見たいなあ。大原美術館で見たが、もっともっと…

水泳選手M・I 嬢 田川寛一 (1900‐88)1931年  この絵はしばしば見ている。階段の踊り場にいて下を見る長身の娘さん。スカートは赤白の縞々。ショートカットの元気そうな人。

武者小路実篤像 椿貞雄 (1896‐1957)1922年  師匠譲りの「首狩り族」。手に花を一輪持つ武者小路実篤。

辻愛造 (1895-1964)の対になるいい絵がある。
京祇園祭所見 1928年  中央の提灯には「ひだり入」の文字が。舞妓さんも見ている。紺色の夜空。ああ、行きたくなるね。

道頓堀薄暮 1929年  輸入たばこの看板がある。森永のネオンも。賑やかな道頓堀。ミント色の夜。楽しそうやなあ。

辻愛造は大阪の風景画というか情景を情緒豊かに描く画家で、この人の描いた関西あちこちを見るのは楽しくてならない。

野と子供 中川紀元 (1892‐1972)1932年  大きい絵で左側に虫網を持つ少年を描き、右手にはカラーの白い花も咲く。

行水 鍋井克之 (1888-1969) 1936年  花にあふれた庭でたらいを出した丸髷のおかみさんが気持ちよさそう。アジサイのころ。蒸し暑いものねえ。

海岸にて(香住)林重義 (1896‐1944)1932年  香住といえばカニですがな。三人の漁師さんが立ち話。その足元にはカニ蟹かにカニ蟹かに…ああ、冬になれば香住に行きたくなるのは大阪人の宿命。

婦人像 国枝金三 (1886-1943) 1932年(昭和7)  素敵な椅子に赤シマの半襟のモダンな女が座る。この時代のことだから羽織は長い。かっこいい女。

東安市場(北京)島村三七雄 (1904-78)1941年(昭和16)   釣った眼の女が店番をするのだが、その伸ばした腕の置き方などがマネの描いた「フォリ-・ベルジェ-ルのバー」にそっくりなので、それを引用したのかもしれない。

牡丹園(当麻)辻愛造 (1895-1964)1936年(昭和11)  一面牡丹である。右奥に塔がみえる。白い空の下。いい色合い。
当麻寺へ遊んだことを思い出す。

場末の町の夕暮(十三附近)鍋井克之 (1888-1969)1961年  怒られますよ、このタイトル。…昭和の真ん中頃の空気感がリアル。
めし屋、電柱、橋、長い建物…今はだいぶ変わったんだが…

ざぼん 曽宮一念 (1893-1994)1936年(昭和11)  左のが半分カット、断面図。右は丸々している。皮は黄色く中身は朱色。種がリアル。
曽宮の絵を見るといつも鈴木信太郎の言葉が蘇る。ある種のグロ好みの話である。たとえばここではタネの描写などにそうした鈴木の言う指摘したものを見ることができる。

芍薬 林重義 (1896‐1944)不詳(昭和前期)  綺麗な花を文人画の染付瓶に。昭和の日本人の好む一枚だと思う。わたしも好きだ。

いい絵が多く、楽しかった。


2018.5月の東京ハイカイ録 その3

5/19急遽日帰り東京ハイカイ敢行しました。
日帰りの時は新幹線の三連席Cを取ることにしている。
荷物もそんなにないので棚に上げなくて済むから。
で、行きも帰りもそれで、気軽に往来したのでした。

わたしは最近千葉に行くときは本八幡から京成八幡に乗り換えるのが通例で、今回もそれ。
持ってるお得なカードは地下鉄全線使えるからこれがいいなと。それで京成からはスイカを使うのね。
でもこのルートはわたしだけのらしく、案内表示には全然出ないな。
ただ、千葉中央からの方が千葉市美術館が近いからこれがわたしにはとてもいいんだよなあ。

というわけで「諸国絵師めぐり」の後期を見る。そんなにたくさんの展示替えがあるわけではないが、はるばる来る甲斐のある眺めでしたなー。
例によって感想はもういつになるか知れたもんではないが、見れてよかったよ。
感謝するしかないよ。

で、同じ路線で都内へ向かう最中に今日から中野で「マカロニほうれん荘」原画展があるのを知り、急遽中野へ向かったけれど、これがいきなりの大繁盛で(当然か)整理券発行。しかしそれをお知らせしてなかったから、あぶれた人もとても多かった。
諦めたわ。


まあ狭いところだからな。

しかし同じフロアの某所でまさかの買い物ができたのはよかった。
転んでもただでは起きない、というやつかね。

池袋へ。
東武百貨店美術画廊で「乱歩先生とわたし」展をみる。
桑原聖美さんの作品を見るのが主目的だけど、多くの絵師の皆さんの作品がとてもよくてね。
パノラマ島が可愛かったり、建石さんのカラフルな絵を見たり、洋風なお顔の「人でなしの恋」の人形を見たりと、面白く回りましたわ。

最後は上野の東博「名作誕生」後期へ。
けっこういい感じに混んでたよ。
それで今回は思ったほど集客が良くなかったとも聞いていて、心配してたのです。
そんなこと思いながら舟木本を見ていると、そばの母子会話が耳に入ってきた。
ご年配のお母さんは洛中洛外図にも詳しいが娘さんは初見らしい。
ただ、娘さんの観察眼がいい。
その感想をよそながら聞いて、思いついたことがある。
もう遅いけど、この展覧会は対話可能にして、 どれがいい、これがいい、とか知らない同士が話し合いの場をもうけても良かったのではないかと。
映画でも「絶叫上映会」があるように、これはむしろ「対話展覧会」にしたらよかったかもしれない…
まあ難しいけれどね。

外に出たらこんなんおった。


ううーむ…

浮世絵と日本画だけはしっかり見てから帰ります。
次は6/10前後。紫陽花も満開かな。

版の美 浮世絵と新版画 その2

明治の版画と新版画とを集めた。
なんかもう変な写真ばかりになったが、他でなかなか見ない絵が多いので、記憶と記録のために敢えて挙げる。

清親の明治の版画を見る。
日清戦争の図や日本名勝図会などがかっこいい。
なので日清戦争の際には兵たちの様子を描いた絵も多い。

で、江戸の花火。


前までは何も思わなかったけど、これはあれだ、超大型巨人の出現と同じですわな…
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周囲、危険。。。


亀戸藤
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今もそうだけど、かつてはより愛されていたろう。


ここからは子供遊び絵シリーズなどで有名な宮川春汀。
こちらはわたしが持ってる絵本から。


妹が幼稚園の時に毎月貰う本のシリーズの一冊が彼の絵を集めたものだったのだ。


そしてこれ。子供風俗 かずひろい
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どういうゲームなのかはよくわからない。

こちらは影絵遊び
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尾形月耕 婦人風俗尽 閑家の雪   
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武内桂舟 佳人読書
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繊細な表現がいいなあ。
明治の女学生を描いて人気があった人だけにきれいだ。


物語の口絵なのだと思うが、さて何の?
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井上安治の風景画を見る。
二重橋 軽快に馬がゆく。
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京橋 ついつい「あの辺りに今は警察博物館が、とかこちらには新しく経ったあれがとか、そんなことをついつい。
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ところで京橋の欄干の擬宝珠ちいえば杉浦日向子「百物語」に怖い話があったな…


小田廣延 「京都安川町」と紹介されてるけど、宮川町の間違いだと思う。有名な花街です。
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高橋弘明 社頭の雪 朱塗りと白雪の対比
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高橋弘明 ながし  昭和初期の新内流し。「鶴八鶴次郎」を思い出すね。
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土屋光逸がいくつもある。今はなき礫川浮世絵美術館での回顧展があったのが2009年。
小林清親と土屋光逸展 当時の感想はこちら

二重橋 
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四谷荒木横丁
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この子らは東京なので「半玉」というのだったかな。

舞子の浜 月下の舞子の海のきらきら。
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ああ、きれい。
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東京風景 日比谷の月  公園の池の様子がいい。
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祇園の夜桜 こちらは円山公園のあの桜。
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こちらは三溪園
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この「版の美」シリーズは続くので、次の展示も楽しみ。
今度はカメラを持って行こう。

版の美 浮世絵と新版画 その1

茅ヶ崎市美術館の「版の美」シリーズ1「浮世絵と新版画」を見た。
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既に終了した。
これからのラインナップはこちら
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遠いが行かなくてはな。
99年から長くかかった「日本の版画」シリーズのようなゆたかな展覧会になるような気がする。

見終えてから撮影可能だと知り、しまったーとなり、またしつこく見て歩いた。
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歌川国明 仮名手本忠臣蔵 1862 大序から十二段目までが並ぶ。役者絵でもある。
やっぱり忠臣蔵はいいな。

歌川国輝 室町の雪 1853  どうやら田舎源氏の光氏たちらしい。腰元たちは子を遊ばせたり光氏に暖かな召し物を着せようとする。

三世豊国(国貞)弁天小僧菊之助 1860  これは国貞が五世菊五郎が弁天小僧をすればこんな感じかなと描いたもので、それがあまりに良すぎて黙阿弥がこの絵から芝居を書いたというもの。
実際この色気にときめく。綺麗な刺青を若い肌に占めさせて、傍らに刀を突き立てながら無下に酒を飲む。
この絵は横溝正史「蔵の中」でも登場する。この絵の刺青に興奮した聾唖の姉が美少年の弟に針を刺そうとするのだ。

さてこちらはその五人男。
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明治の浮世絵を見る。
三世国貞 希臘歴史経国美談 主従邂逅の場 1891  川上音二郎が「ペロピダス」役で雪の日に「レオンけと再会する様子が描かれている。
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どうもこの二人があれなのかとか考えてしまうよな…

三世国貞 歌舞伎座新狂言 高時 1902  活歴もの。九代目団十郎の高時が烏天狗に弄られるシーン。「天王寺の妖霊星をば見ばや」のシーン。烏天狗役の役者たちの尖りマスクが可愛い。

今回初めて知ったが、川上音二郎は九代目さんを尊敬し、彼が茅ヶ崎の別邸で亡くなった時には葬式の世話をしたそうだ。
九代目の茅ヶ崎の資料はまた別項に挙げるが、彼はここへは元気な時もよく来ていたそうで、一等席に座を占めると車内で大好きなハムサンドを食べていたという。預かっていた後の六代目菊五郎と彦三郎兄弟にもそれを食べさせていたそうだ。
楽しい列車の旅だが、修行自体は猛烈というか苛烈だったそうだ。しかしその薫陶を受けて名人になるのだから、六代目は生涯九代目を尊敬し続けた。

三世豊国 浮世道中 膝栗毛の内 二川宿旅店 1854  弥次喜多の失敗もの。干してあるものや提灯をおばけだと思い込んで大騒動。
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四世豊国 八犬伝 芳流閣上図 1854  国芳、芳年のこれはよく見ているが、他の絵師のはあまり知らないな。
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国周 姫比花雄栗実記 1862  「小栗実記」の方から。わたしが最初に見た「小栗」の芝居は三世猿之助の「当世流小栗判官」でこの「小栗実記」を元にしたもの。説経節のとはまた違う。
照手姫が小栗を土車で運ぶのは同じだか、実記は最後までつれてゆく。
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熊野大権現。滝は那智滝か。奴三千助が待機。
土車の男を曳く女に滝、というと「箱根霊験」を思い出すが、綯交ぜにしているのかもしれないな。


役に扮した役者たちを集めたシリーズがあるが、この並びは面白い。







続く

吉田謙吉「満洲風俗・1934年」

既に終了したがJCIIフォトサロンの吉田謙吉の「満洲風俗・1934年」展はたいへん魅力的な展覧会だった。
考現学で活躍した吉田謙吉はその「目」を以て満州の人々の姿を追った。
決して「王道楽土」に住まうニコニコ住民をとったのではない、リアルな住民のリアルな様子をリアルにとらえている。
記録写真としてとても有意義な撮影である。

1934年といえば満州事変の後、リットン調査団が世界に報告した後の状況である。
この年は久世光彦が乱歩失踪をモチーフに「一九三四年冬 乱歩」の舞台にした年であり、名建築と誉れ高い蒲郡ホテルと明治生命館と築地本願寺が出来た年である。
そして展覧会関係でいえばこの年の三月に愛新覚羅溥儀が皇帝になり、十月には満州を疾走する特急あじあ号が大連・新京間で運転を開始した。

出来たばかりの満州という「国家」へ吉田は撮影に行ったのだ。
「国家」をではなく、その「国内」に住まう人々を写したのが、今回の展示作品である。
どういう理由でかは知らないが、残された写真はみんなとても小さいサイズで、たまに大きく引き伸ばしたパネル展示もあったが、基本は小さいものばかりである。受付ではそのためにルーペの貸し出しを行っていた。3.5cm x 2.5cmである。
きちんとそうした説明もあったが、感想ノートを読むと老人が吠えてる一文があり、ちょっと苦く笑った。

今回、チラシも何も手に入れられず、千代田区の広報からこれらを得た。
拡大化すると画像が荒くなったが、吉田の手書き文字も読める。
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吉田謙吉は8月7日午後に神戸港を出港する。日満連絡船「扶桑丸」での旅である。
関係ないがわたしの誕生日である。司馬遼太郎、藤田元治、野比のび太も同じ仲間である。
当時の客船の優美さについてはここで詳しく書かないが、本当に素晴らしい。わたしはかれら客船がとても好きで、のちに軍に徴用され沈没したことを想うと胸が痛くなり、日本郵船博物館にあるかれらの沈没地とその日時が記されたものと往時の姿を写したものとが刻まれた墓碑を見るだけで胸を衝かれる。今も思い出すだけで涙がにじむ。

さすが考現学の徒・吉田の観察眼は鋭く、同乗する人々の様子を細かに記していた。
「浴衣よりアッパッパッが多い」といったことも他ではあまり見ない。
アッパッパッは小篠綾子をモデルにしたドラマ「カーネーション」で全国区になったが、関西の古い夏着で、今も着る人は大体高齢者である。しかしこの当時はそうでもなく、若い女でも着てはいた。ハワイのムームーとはまた違う。

8/12朝到着、写真を見ると白テープがすごい。そうだ、この頃はみんなテープを投げた。
…今もか。
奉天へ。様々なエピソードがあるが、びっくりなのは捨て子を拾ってしまった話。その子はどうなったかは知らない。
城壁周囲の「泥棒市場」へ行く。たいへんにぎやか。中国人だけでなくアジア人の雑多な市場はどの時代でも大抵活気がある。あかんのは現代日本か。
芝居も見に行き、客席を写している。京劇である。たいへんな興奮と人気である。
演者はわからない。梅蘭芳ではなさそうだが。

こういうのを見ると映画「さらば、わが愛 覇王別姫」を思い出す。
京劇だけでなく地方の崑劇などもあるが、奉天辺りの芝居は何だったのだろう。
ところで京劇は北京オペラとも呼ばれていて、「Mバタフライ」でフランスの外交官のジェレミー・アイアンズは舞台を見ながら陶然とした様子を見せた。

各地にあるヤマトホテルだが、奉天のそれは駅に併設されているそうで、現在も3つ星ホテル遼寧賓館として存続しているらしい。
1910年建造の素敵な建物をロングで捉える。

町は人力車が行き交っている。吉田によると人力車は奉天が一番いいらしい。大連のより。
構造が違うそうだが、その辺りは説明を読んでもわからない。なにしろ現物を知らないからなあ、わたしは。連続アーチがなかなかいい。
中国の人力車といえば生島治郎「黄土の奔流」で主人公・紅真吾の専用人力車夫・飯桶(ウェイドン)は力持で、街中を力強く走っていた。
後にかれは紅から人力車をもらい、旅先で知り合った嫁さんをその人力車で養うことになる。

ライカを使う吉田。この時代のライカの性能は素晴らしかった。
このJCIIフォトサロンと縁の深い名取洋之助もライカのおかげで活きた。
ライカにはわたしも憧れがある。

大陸浪人という言葉がある。
日本人で大陸に渡り、その地で何をしているのかよくわからないが、もう内地に帰れない・帰らない男たちである。
薄天鬼という髭を伸ばした人の和装写真がある。書割が背景なのかそれとも実写か、バルコニーにいるようだ。素敵な洋館に見える。
かれを知らないので調べると馬賊だった。
もっと調べると本名は薄益三といい、「天鬼将軍」と呼ばれていた。
そして1925年には「蒙古横断」というドキュメント映画を製作しているようだ。
日本人で馬賊の頭目といえば「夕日と拳銃」のモデル伊達順之助、「狼の星座」のモデル小日向白郎を思い出すが、この人もそうなのだ。

新京へ。
そうそう、ATOKは「シンキン」と打ってもこの地名を出してはくれない。

いい電柱がある。目立つ電柱。国都建設局の塔からの眺め。…つまり何もない。
遠くに何かがある。ああ、関東軍司令部か。これだけは立派。
あとはすべて工事中。1934年の新京。1945年には何もかも終わる。

新京西公園 柳が大きい。楊と書くべきか。柳絮の時季。
そしてこの公園のベンチを見て村上もとか「龍 RON」のあるシーンが蘇る。
田鶴ていのもとへ弟の戦死公報が入る。ていは深い悲しみに掴まれる。
そこへ久しぶりに妻子の元へ戻ってこれた龍が現れる。
このシーンはここをモデルにしたのに違いない。

伸びゆく忠魂碑。これも1945年以降はどうなったことか。
なにもかもが幻の国。

哈爾濱へ向かう線路。コーリャン畑が続く。
ロシア人が多い。列車にもロシア語。
シベリア鉄道ではないが、ロシア語で列車と言うとすぐに「さらばシベリア鉄道」が蘇る。

哈爾濱へ。8/18到着。
哈爾濱はとてもおしゃれな街で、これも村上もとか「フイチン再見」で描かれている。
ロシア人のいた街なのだ。キタイスカヤ街のおしゃれさはわたしも以前から資料などで見聞きしている。
店舗にはロシア語の表記もたくさん。

アジアホテルの内部写真がある。ベッドとテーブル。それだけだがおしゃれである。
華やかなキタイスカヤ街。

駅に上がる旗を見る。上が満州・下がソ連の染め分け。
1917年のロシア革命で白軍派の人々や貴族たちは大勢亡命した。
新京の建国大学の学生も日本・朝鮮・ロシア・モンゴル・中国の出自の青年がいた。
安彦良和「虹色のトロッキー」が脳裏に浮かぶ。
彼らは皆仲が良かった。先年、生き残りの方が取材を受けているのをみた。

吉田の考現学ノートも出ている。さすが詳しく記されていた。
衣服のちがいなどについても。銀座での調査を思い出す。
色々と考察する吉田。
1940年のアサヒカメラに考現学ノートが出ている。

電車の窓から顔を出す少女の写真。
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可愛い。

キタイスカヤ街の風景写真を見る。
額縁屋の扇が素敵だ。ロシア風な建物もたくさんある。
白ロシアの子と満人の子とが仲良くするスナップショット。
だが、ロシア人から活気がなくなっている。

素敵な街並みだが、19時になると閉店である。上海とは違うのだ。カフェも素敵だが夜は早い。
哈爾濱駅にはネオンがキラキラ。「安居樂業 大満州國」とある。
そうだ、ここで伊藤博文が安重根に暗殺されたのだったな。
安は安彦良和「天の血脈」にも現れる。

ソーダ水の店があった。クワズではなくソーダ水である。
喫煙する女、公園でデートする人、買い物する人…
「上海から来た女」の頽廃とは無縁な様子である。

ロシア風寺院の五本の尖塔。アスピリンの看板。アスピリンは上海の外灘でも見た。
ただしロシア語。そして哈爾濱の「中華街」。面白い現象だな、これは。
フーチャデンと呼ばれる中華街。「平安シネマ」では何が上映されているのか。
「粉紅色的夢」というタイトルが見えた。
調べると蔡楚性という監督の作品のようだ。

つべに主題歌の動画があった。

吉田は撫順にも向かう。すごいな、としか言いようがない。
「平康里」へも向かう。一流どころを取材している。
この名称も高校の頃から知ってはいたが写真で見るのは初めてである。
なおこちらのブログのルポが詳しい。

たいへん面白い展示だった。
名古屋市美術館の「異郷のモダニズム 満州写真全史」展と共に重要な展覧会だと思う。
当時の感想はこちら

「役者絵の世界 化政期の名優たち」

浮世絵のいい展覧会をいくつも見たが、なかなか感想を挙げられないまま閉幕した展覧会も少なくない。

国立劇場伝統芸能情報館では「役者絵の世界 化政期の名優たち」展を開催している。
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化政期は大南北の活躍した時代であり、北斎も豊国も国貞もいて、特に歌川派はいい芝居絵・役者絵を多く世に送った。
この20年で国芳の面白味が大きくクローズアップされ、兄弟子の国貞はようやく近年に大きな展覧会も開催されるようになったが、まだまだその魅力は全開してはいない。
国貞は多作すぎると言われたが、とにかく芝居絵のいいのを描きまくった。
本当の舞台に基づいた作品もあれば、お客が望むであろう絵を役者にはめて描くことも少なくなく、逆にその絵があまりによくて、そこから新作の芝居が生まれもした。

化政期は特に作者側・役者側に名優が多く、わたしなども浮世絵が本当に好きになったのはこの時代の芝居絵を見てからだった。
それだけに<国貞ゑがく>いい絵を見るのは楽しくてならない。
なおこの<国貞ゑがく>とは鏡花の短編小説の題であり、そこには国貞の芝居絵のよいのが争いの種として現れるのだ。

今回、悲痛なことにリストも何もない。あるのはチラシと英文の簡易な案内リーフくらいである。
そのために筆写に努めたが、それを完全にここで写し起こすことは出来ない。
なのでタイトルや年度や役者名に間違いがあるかもしれないが、もうそのことはスルーする。

展示を見る。
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まずは化政期の名優紹介である。
五世岩井半四郎、五世松本幸四郎、三世坂東三津五郎、三世尾上菊五郎、七世市川團十郎、三世中村歌右衛門、この六名がクローズアップされている。
実際、彼らはスーパースターとして化政期に大活躍する。
国貞の麗筆が本人たちの様子を魅力的に描き出し、数多の芝居絵が生まれた。


・1812.8 二世豊国 曽我 (タイトルなど、書写の文字が読めないのと二世はまだこの時期活動してないのでどうも間違いらしい) 
五世半四郎(待宵)白抜き千鳥柄の着物、七世団十郎(天日坊)、三世関三十郎(近江の小藤太) 天日坊の抜いた鞘の端を握る小藤太
天一坊の話を基にしたものらしい。華やかさと緊迫感がある。

・1819.4 車引 国貞 笠を脱ぐ梅王丸と桜丸。左から三世菊五郎(桜丸)、二世関三十郎(梅王丸)、三世三津五郎(松王丸)
さぞやよかったろうなあ、この名場面。松王丸にはこの後「寺子屋」があるから彼が主演のようにも見えるが、三つ子の長男は梅王丸なのだ。松王丸は次男なので親の跡を継げず、牛飼の舎人として時平のところに就職したのである。

・1836.7 四谷怪談・隠亡堀の場 森田座 国芳 
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おどろおどろしい様子がいいなあ。やっぱりいついかなる時も「四谷怪談」は素晴らしく、いい。卒塔婆でナマズを押さえているが、そのナマズの顔がビッグコミックのマークであってもおかしくはないような、ファンキーさを見せている。
右端には伊右衛門に父や娘を殺され零落したお弓がいるが、彼女のそばにはお岩さんの使い魔とでもいうべきネズミも現れ、陰火も燃えている。

ところで国枝史郎に「隠亡堀」という短編があり、前半はまさにこの芝居そのままなのだが、まさかのラストが待ち受けている。こういうのもアリかもしれない。

今回、何のリストもないので手書きしたわけだが、書いてる時もこうして打ち込むのも手間がかかるので、困っている。

四天王御江戸鏑
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順礼 実は 渡辺綱 / [3代目] 坂東 三津五郎 盗賊袴垂 / [7代目] 市川 團十郎 六部 実は 良門 / [5代目] 松本 幸四郎
このように役名・役者名を引っ張ってこれるのはいいが、そうでない場合は手うちなのでちょっと泣く。

1815.7 男作女吉原 おとこだていつもよしわら スゴイ読ませ方だよな。男作で男伊達はわかるけど、「いつも」はどれなんだ??「作」がそこにかかるのか??
中身は「夏祭」の書き換えらしい。三日月の夜、捕物の最中の屋根の上、左から一寸徳兵衛が三世梅幸、中 団七九郎兵衛が三世三津五郎、右は同心・助松主計の三世歌右衛門。歌右衛門の懐には「上」と書いた封書が見える。そう、上意。公式な逮捕状。

絵本合法衢 豊国 百性左五右衛門娘およね / [5代目] 岩井 半四郎 立場の太平次 / [7代目] 市川 團十郎
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今の仁左衛門丈はこのお役を一世一代の仕納めにしはったなあ。
かれは南北芝居にピッタリの役者やなあ。

この時代の芝居は現代では本当には演じ切れていない、というのを八世三津五郎と武智鐡二の対談集「芸十夜」で読んだ。
三津五郎による話だった。南北の芝居にはそのリアルタイムの洒落や流行物が入るから余計その点が難しいのかもしれない。
だが、人間の表現のエグミは現代以上ではある。
先に現代では云々と書いたが、一方で前掲の仁左衛門丈のように上方出身でありながら南北芝居を活きる役者もいる。
このことからわたしは時々勝手な考えを持つのだが、南北の後に黙阿弥と言う凄いのが現れた。
かれは明治の世も生きた。
現代の東京の役者は黙阿弥と地続きなので、それがために南北芝居を演じきれないのではないか。
だが仁左衛門丈にしろ玉三郎状にしろそうではない。
だから南北の世界の住人になれるのではないかと思う。

それにしてもわたしなどは大南北の芝居が好きで仕方ない。
悪い奴は本当に悪くかっこよく、みじめな者は生きてる間は悲惨なままで、死んでからようやく威力を得るという不条理さがたまらない。

鼻高幸四郎や「オレはなんていい男だろう」と嘯く三世菊五郎、奢侈のあまり江戸追放を喰らう七世団十郎、江戸の男前代表の三世三津五郎、「カネル役者」の称号を得た三世歌右衛門、可愛らしさこの上ない半四郎、それに関三十郎ら数多の綺羅星・名優のいた化政期。
とんでもなくカッコいい時代ではないか。

もう全部は書ききれないのであきらめるが、他にもいい絵がたくさん出ていた。
今回アンケートにもリストくださいと言うことを記したが、本当に残念だ。

江戸両国涼みの図 役者たちが勢ぞろいという空想の絵である。
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イメージ (959)誰が誰かはあまりわからないが。

最後にこの企画に合わせていくつかの芝居のガラシーンの上映があった。
わたしは「砂村隠亡堀」の場を見た。三年ほど前の上演である。
お弓・おまきが零落し堀で野宿する。それでも米を炊こうとしているその土手の上では釣りに来た伊右衛門が、その母と再会する。母は伊右衛門のために彼は死んだということにしようと卒塔婆を持っている。
そして高家の書付を息子に渡し、去ってゆく。
また川に浸かり直助は鰻とりをしている。
三者の様子が上中下で見られるが、彼らがそれぞれ関係性を見出すと、途端に被害者が現れる。
情景は前掲の絵とよく似ている。
伊右衛門は「首が飛んでも動いて見せるわ」と嘯き、現れたお岩さんの遺体を突き放す。
そして暗闘(だんまり)で人々が動き回る。

やっばり面白くて仕方なかった。
次からはいよいよ「悪」の浮世絵が登場する。

谷内六郎「週刊新潮表紙絵」と人形作家・熊谷達子の仕事

久しぶりに横須賀美術館へ行った。
主な目的は浮世絵と近代日本画での「集え!英雄豪傑たち浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち 」展だが、ここには谷内六郎の展示室がある。
わたしが子どもの頃の「週刊新潮」の表紙はこの人が担当し、亡くなると甥の谷内こうたが担当していたように思う。
今も昔もこの雑誌は新聞で見出しを見るのが大好きなので、中身にあまり関心はないが、それでも表紙絵の可愛らしさには惹かれていて、作者の名前を憶えていた。

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昭和半ばまでの子どもたちや家族のありふれた様子を描いたようにみせつつ、ファンタジックな情景を描いている。
それも大半は子供の幻想・夢想という形での表現として。
だから見ていて「ああ、そうそう」と同意もする。

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週刊新潮での仕事にはコラムもついていた。
一枚一枚の絵にコラムがあり、その一文は時に追憶を記したものであり、文明批評にもなり、幻想を文字にしたものにもなっていた。

1981年に谷内六郎は亡くなるのだが、ノスタルジックな情景を描くのは晩年まで変わらず、そのために37年後の今これらの作品を見ても、案外古くは感じないのだ。少なくとも70年代半ばからは既にレトロな雰囲気を持っていたように思う。

今回のテーマはこちら「いつも、いっしょ 家族の存在」
家族との様子を子どもを主体にして描いている。
「家族」…
ここには展示されていないが、映画「鬼畜」のポスターが谷内六郎だということを改めて思い出す。
可愛らしい絵なのだが、その絵はこの映画の為に作られたものなのか・それとも以前からの絵を流用したのか。
そのことはわたしにはわからないが、あの無残な映画に谷内の絵を使うところが、たまらなく怖かった。

少し前に谷内六郎ベスト10を選んだそうだ。
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わたしの好きな作品も入っていた。
そう、こちら。
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白狐が電話ボックスで誰かと電話中。
外の暗い道には姉弟。
淋しく不安な夜の道。
しかも雨まで降っている。

童画では夜の絵がとても好きだが、谷内作品も童画の範疇に入れてよいのかどうかはわからない。

特集展示があった。
谷内の妻・熊谷達子の仕事の紹介である。
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彼女は飯沢匡らと共に人形芝居に関わり、可愛らしい人形を制作していた。
中学の頃から人形造りに打ち込んでいた達子は紹介にある通り、凸版印刷の絵本を何冊も手掛けている。
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二次元作品を絵本にするのと、三次元の立体作品を撮影したものを絵本にするのとでは、やはりヴィジュアル的な違いがある。
この人の作品ではないが、松谷みよ子「モモちゃん」シリーズの単行本表紙絵は全て人形によるもので、それがとても好きだった。
質感の確かさが感じられるというのもある。
熊谷達子の人形にもその「質感」があり、この絵本がもし今もすぐに手に入るのなら欲しいと思った。

面白い逸話がいくつか紹介されていた。
「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の家は本当にお菓子で拵えたそうだ。
実際の写真を見て「ああ、おいしそうだな」と思い、某社のビスケットを想起したのだが、どうもそれは間違いではなかったようだ。
しかし強いライトを当てるとチョコは溶けてしまうし…たいへんだったろうなあ。

谷内だけでなく熊谷達子の仕事も見ることが出来てとてもよかった。

貝人の博物館の古写真

今現在のところ閉館がちだが、夙川の浜の方の西宮菊池貝類館もあるが、かつて平瀬貝類博物館と言う素敵な博物館があった。
今この建物か残っていれば重文だったように思う。
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日本の貝のコレクターたちの父たる平瀬。素晴らしい。

内部の様子。
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チラシも拵えていた。
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なかなか素敵だ。
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…今なら貝はどこで見ることができるのだろう。

「ニッポン貝人列伝 ―時代をつくった貝コレクション-」をみる

世の中には実に色々な趣味・愉しみ・興味を持つ人々がいる。
また彼らのコレクションを合わせて展示しようとする人もいる。
そしてそれを楽しむ人もいる。

LIXILギャラリーの東京で「ニッポン貝人列伝 ―時代をつくった貝コレクション-」をみる。
大阪ではもう終了した。
うかうかしているとこれだからあかんのだが、幸いなことにINAXの昔からここは巡回がある。
今回は大阪から始まり東京へ巡回したので、京橋へ出向いた。

ところで「怪人」ならぬ「貝人」は十人いた。
内訳についてはサイトに詳しい。

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山村八重子 麗人貝人。日本初の女性コレクターとして、珍しい地域に行って自ら採集にいそしんだそうだ。


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西宮にある菊池貝類館の創始者であり、西宮回生病院の院長でもあった。
先年旧病院を見学したが、西宮回生病院 の玄関そばにも巨大な貝が展示されていた。


さて順不同に展示中の貝を紹介する。
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ノートもいい。
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研究熱心である。
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こんなのも拵えていた。
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売り物としての貝の標本もある。可愛い。
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貝はやっぱり可愛い。

2018年の百段階段

以前からここでも百段階段の紹介をしている。
目黒雅叙園 百段階段 その1
今回は「猫都の国宝」展で撮った時のものを集めた。

天井画
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漁樵の間の木彫彩色
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日本画家たちの力量が発揮される
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階段
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暑い時に食べたいね
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清方の間
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繊細な工芸
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百段階段の創設頃の様子
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エレベーターの螺鈿獅子
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やはり素晴らしい木彫。
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次もいい展覧会の時に行きたい。

猫都の国宝展



もう終わってしまったが、とてもたのしい展覧会だった。
雅叙園の百段階段が猫たちに占領されたのだ。様々な猫たちに会うのが楽しみで出かけた。

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猫仏の壇


猫のいる涅槃図
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綺麗なおねえさんの前で。
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あくびしよう
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キメてます。
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名画に猫
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お姉さんたちの声が聞こえるようだ。
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明治のおもちゃ絵の猫
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…グーフィー的な???
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郷土人形の猫
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大仏次郎コレクションから。
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いろんなおもちゃ猫がいるもんだ
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遊園地、いいなあ。
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はしもとみおさんの猫。撫でたいよ…
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ああ、耽溺ならぬにゃん溺したわー。
猫充完璧。

またいつかこんな展覧会が見たいわ…

「悪」を演る ―落語と講談ー

六月からこんなテーマの展覧会が各館で開催される。
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そのうちの1つ国立演芸場だけは先行して「悪」の展覧会を開催している。

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「左の高頬に」黒子があることで正体のバレるお数寄屋坊主河内山宗俊と将軍のご落胤を騙る天一坊。
どちらも江戸に実在した人物をモデルにし、講談や歌舞伎になった。

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歌舞伎や文楽で悪人は散々見ているし、講談もそれらと深いつながりがあるから不思議にも思わないが、江戸落語に「悪」が登場するとは思いもしなかった。
まあどれを「悪」と見做すかにもよるか。

明治の作品として世に出たものがいろいろあるようで、浮世絵も国周のがある。
そして講談の速記本。
嶋鵆沖白浪しまちどりおきのしらなみ 「島抜け」の大阪屋花鳥のことが紹介されているが、あれはまた別な話だと思っていた。
わたしは歌舞伎の方しか知らなかったが、そうなのか。
これは登場人物全員が元は盗賊で弁天お照という女がかまぼこ型の指輪をはめているのが物語のキーの一つになる。
七世梅幸はこの芝居の時、指輪を忘れて舞台に出たことがあり、焦ったと書いている。
大阪屋花鳥は「半七」にも書かれているし、魔木子がマンガにもしている。

牡丹燈籠  これはどこに悪人が?と思ったらお峰と伴蔵のことを「悪」とみなしていた。うーん…まあ金で転ぶ夫婦だったからなあ。

天保六歌撰 これに河内山が出る。そういえば大和和紀の描いた「河内山」を読んだのが最初だったな。「悪に強きは善にもと」とか「とんだ処へ北村大善」などなど河内山の清々しいまでの悪っぷりがかっこよかった。

女盗賊・鬼神のお松 愛した男のために強盗をするお松。今回物語を初めて詳しく知った。
亡くなった宗十郎の声が今も耳に残る。
彼女と石川五右衛門、児雷也の三人が日本三大盗賊らしい。

展示資料 クリックすると拡大します。
あまりにお面が怖くて…
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ところで講談師たちも紹介されていた。錦絵でスターとして描かれている。
安達吟行の絵。
その中に神田伯山もいる。
講談師で好男子の伯山。

小さい展示だか、「悪」の皮きりにはいいと思う。
7/22まで。

「リアル 最大の奇抜 後期を楽しむ

既に終了したが府中市美術館「リアル 最大の奇抜」展の後期の感想を記す。
前期の感想はこちら


始まりはやはりここから。
森狙仙 群獣図巻  展開場面は変わっている。とはいえ前期の動物群とどこか呼応する構図なのも面白い。
モモンガかムササビらしきものがいる。鼻のアタマはピンクで健康そう。その隣にはよく肥えたウサギが二匹と、逆方向へ向かうキツネのしっぽがほわほわ。
そして前期のドヤな熊に呼応するのがここでは猪。とはいえ足元には可愛いウリ坊が二匹。こちらは親のドヤ顔にも知らん顔。
トボケの牛、羚羊らしき奴、ひそかに鳥を食べてる狼の雌とそれを見守る雄、麿眉のわんこも猛獣の仲間入り、かゆいかゆいのライオンとむっとした豹はカプ。
逃げる鹿に最後は猿で〆。白猿の手には青柿がある。食べれるかどうかは知らん。

呉春 雨中鹿図  雨、右横顔を見せる鹿。目を閉じる白鹿。その顔は雨を楽しむ女のようだった。

森狙仙 紅葉に鹿図  こちらはその隣にいる鹿ップルで若くて可愛い。この二頭がその横顔を見ているような配置。

織田瑟々 忠則桜八幡太郎旗桜上野白桜三交図  タイトルだけ見ればまるで歴史画のようだが「桜狂い」の彼女がそんなものを描くわけもなく、これらは桜の名前なのだそう。つまり忠則桜・八幡太郎旗桜・上野白桜の三種を同時に描いている。花も枝も葉もみんな少しずつ違うが、どれがどれかはわたしにはわからなかった。

岸駒 花鳥図 敦賀市立博物館  小鳥が寄ってくる。百合に似たキスゲらしき花もある。季節は初夏だろうか。

張月樵 長春孔雀図 滋賀県立琵琶湖文化館  物凄く堂々たる孔雀。羽根がとにかくすごくしっかり描かれていた。「リアル」とはこういうことかもしれない。
写実ではなく。

堀江友声 鯉図  周囲には白萩、白躑躅、シャガ、それから紫の小さい花。
ふっくらした鯉がよく動く。…ムマサウな鯉。

亜欧堂田善 花下遊楽図  品川沖を見る山手の人々。ああここはと見当がつく。茣蓙を敷いて小さな宴をするひともいて、その傍らには犬もいる。汀には漁村もある。
「品川から見る海もごついのう」ではないが、確かに品川からの海も広い。

小泉斐 黒羽城周辺景観図 大田原市黒羽芭蕉の館  文政8年、公命により描く。横広の絵。山々、農地、村、川の流れ。右手の松がいい。

長谷川雪堤 浅草雪景図 立花家史料館  雪はやんで、浅草寺の屋根を白く染め、周囲一帯を身動きできぬようにする。空はグラデーションを見せ、広々と続くのを予感させる。いまだ月が出ていた。

矢野良勝 全国名勝図巻 熊本県立美術館  北関東から東北。今回は日光華厳の滝とうらみの滝が出ている。うらみの滝はともかく、華厳の滝はゴォゴォと響いていそうである。
  
宋紫岡 花籠図  上から釣られた籠はむしろ筵に似る。百花がこぼれる。桃、ザクロ、葡萄、枇杷もつまった籠も。そしてそれらの下には青銅の唐獅子が笑っている。

岸竹堂 華厳滝図 敦賀市立博物館  でかっ!見上げる滝。ああ、すごいなあ…

岸竹堂 月下狸図 広島県立美術館  横広顔の狸。身を低めて歩く。この様子がリアル。あたりに注意を払う野生動物らしさ。淡彩なのがいい。

狩野探信 花卉草虫図  明るい群青地に赤い芥子、白菊、緑の葉、蝶。熊路地に金の唐草文様の中回し。とても目立って素敵な掛け軸だった。

片山楊谷 蜃気楼図 渡辺美術館  白く巨大なハマグリからぬはーっと吐かれた気が塔を見せる。床も市松模様、天井には向き合う鯱、人々も小さくいる。

土方稲嶺 東方朔図  傍らの朱卓に桃。誰かと話しているような東方朔。手には巻物。
賛があり、そこには「東方氏呼之狂人」。ただ、この「狂人」がどの意味で使われているかは考えねばならない。武帝に仕え、けむに巻くことも得意だった彼をどうみなしたかで意味が変わってくる。

亜欧堂田善 少女愛犬図  ぎゃっ!凄い前歯!これ元々はフランシス・コーツ原画・ジェームズ・ワトソン版画「ミス・ラッセルズ」を筆で模写したものなのだが、原作と違ってやたらと前歯が巨大化している。びっくりしたぞ…

太田洞玉 神農図 府中市美術館  髭がほわほわ。柏のケープも可愛い。手には薬草。お爺さんアイドルな感じだな。
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祇園井特 美人図  出ました、これだわこれ。やっぱりある程度の「グロ味」を井特には求めてしまうかな。
簪は星かな?金平糖のようで可愛い。
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北鼎如蓮 鯉図 摘水軒記念文化振興財団  北斎の鯉をカバーした。躍る鯉。

原在中 夏雲多奇峰図  めりめりした雲と青々した山は点描、隷書体のタイトル入り。

宋紫岡 鯉図  左幅は滝上り、右幅は流れ、水中の鯉も。

葛飾北斎 雪中鷲図 摘水軒記念文化振興財団  出たよ、ドヤ顔の鷲!この口元のムニッとしたところが好き。

葛蛇玉 鯉図  動きのある絵で、ジャンプしたのがまた水中へ向かう。葉っぱは柏か?落ちてゆくのは鯉の動きにつれてのことか。

黒田稲皐 千匹鯉図 鳥取県立博物館  群てるねー。染色風で帯によさそうな。

小泉斐 鮎図  翡翠に狙われている鮎たち。しかし一匹だけは果敢にも?無謀にも?ぱしっと跳ねて見せる。

本多猗蘭 蓮鷺図  この蓮は若冲の影響受けてるのかな。鷺は二羽とも小さい。

片山楊谷 虎図  白みの強い虎。髭は金色。

東燕斎寛志 美人嗔焔図 熊本県立美術館(今西コレクション)  どこかのお座敷の様子。室内で語り合う二人に苛立つ女。相当怒っているようだ。とにかく室内の影に向かい、怖い眼を向けている。

島田元旦 紫式部清少納言図 鳥取県立博物館寄託  「香炉峰」してるところ。そしてその上部には山が描かれる。なんだか雄大になったなー

渕上旭江 真景図帖  「青緑山水画法」に基づいて描いているのだが、どうもみんな一緒に見えてしまって…
描かれているのは以下の通り。
・丹波・但馬鷹浜・投入堂・日御碕・石見・赤間が関(今の下関)・雑賀・五色浜・明石・美作山中・備前・備後阿武門・音戸の瀬戸・周防の象鼻・土佐龍串・五色浜・阿波鳴門・台形の山のある屋島…
 
亜欧堂田善 陸奥国石川郡大隈滝芭蕉翁碑之図(『青かげ』挿絵) 府中市美術館

土方稲嶺 雨竹風竹図  坏は雨中半分顔をのぞかて。

そして最後のコーナーでは再び司馬江漢と応挙あつめ。

司馬江漢 犬に木蓮図 府中市美術館寄託  耳垂れ犬。木蓮を見上げている。

司馬江漢 相州江之島児淵図 府中市美術館  ここを見る度に「桜姫東文章」冒頭の僧・清玄と稚児・白菊丸の心中失敗を思い出すのだ。

円山応挙 虎皮写生図 本間美術館  これは随分前の応挙展の時に見た以来か。
リアルを追及するとこうなるのか。

円山応挙 竜虎図  墨の濃淡で龍は暴れるだけ、虎は見てるだけ。

円山応挙 鼬図(山形県指定文化財) 本間美術館  一匹の廻りには宇野稽古したまが一番たくさんみえる。

円山応挙 雪中残柿猿図  上下で互いに柿を狙う猿たち。箱に封じられ年だが。

円山応挙 鯉魚図  ソリャーッッッと掛け声が聴こえてきそう。

円山応挙 竜門図 京都国立博物館  この絵は三度目。最初は大阪市美の応挙展、それから香雪美術館の応挙展。
真ん中の龍だけが激しい流れの中、這い上がってゆく。
いい絵だ…
こちらに画像がある。  
円山応挙展 前期 /岸竹堂と今尾景年

また来年もその次も来よう。
とても面白かった。

さよなら藤田美術館のお蔵 その5

お庭篇の続き。

裏へ回る。
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もう一つのお茶室
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石碑
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いいお茶室IMGP0162_20180509014021a6e.jpg


もう見れなくなるのか。
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塀を見る。
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この位置からも見えた。
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長らくありがとう。
また違う形になって会いましょう。

さよなら藤田美術館のお蔵 その4

今回はお庭である。
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と、このようにこんもりしていたようだ。
今はそこまではないものの、いい庭なのは確か。

この美術館のというより、藤田男爵の所有していたこの一帯は音楽家の貴志康一ゆかりの地でもある。
現代では貴志康一は遠い存在かもしれないが、たとえば甲南高校には彼の資料室もあり、芦屋市立美術博物館にはかれの邸のステンドグラスが保管されている。
また今は東京におられる毛利眞人さんが貴志康一の顕彰に務めている。
交響曲「仏陀」「日本組曲」などは芦屋で聴いたが、今の世にもっと愛聴されてもいいと思っている。

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そういえばこの塔は元はどこのだったろう?


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この燈籠に関しては以前に尋ねたことがある。像を供出したため台座だけが残り、そこへこれを載せたそうだ。

戦災からはこの建物は逃れたが、色々あったのだなあ。
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先の塔と台座の位置関係。
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茶室
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そこへ向かうまでの道
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元は六地蔵だったのだろうか。
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茶室の内部
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続く。

2018.5月の東京ハイカイ録 その2

5/5子どもの日。
早朝からNHKのインタビュー番組みる。
諌山先生出演。日田市へもやっぱり一度行きたいな。
物語はクライマックスへ向かっている。
マーレ編はしかしいよいよ緊迫し続ける…

予定通り動く。
大分くたびれた大人になったというか、大人になるべきところが子供のままという不全さを抱えて生きているわけですが、それとは別にやっぱりこどもの日は嬉しい気分になるな。

茅ヶ崎につきました。
遠いけど完全に寝てたから感覚がないな。
南口から徒歩数分で茅ヶ崎市美術館。一本違う筋を通り、途中修正。
以前に来たのは藤間家の所蔵浮世絵展。
当時の感想はこちら
藤間家所蔵 文人名主由縁浮世絵

五年ぶりか。
歳月人を待たないぜ。

まさかの撮影可能。終わり際に気づき、回り直し。時間がかかるわ。
いい展覧会でした。浮世絵と新版画。いいものたくさん。
とはいえ、ややこしそうなおじさんに絡まれそうになったので避ける。
逃げるにしかずよ。

時間調整してたが、まあいいかで20分早く出たら結局乗り換えがうまくいき、バスの遅刻もあって早めに横須賀美術館へ到着。



こちらは英雄豪傑を集めてる。主に浮世絵と野口哲哉さんのフィギュア。
今回なんとガイドキャラも野口さんの制作。



常設の朝井閑右衛門や谷内六郎を見てから走水神社へ。
なんでも今ではパワスポらしい。どういうわけでかな。
弟橘姫の入水と姫の形見が見つかったのがここだったかな。
確認すると、やっぱりここだった。
自其入幸、渡走水海之時、其渡神興浪、廻船不得進渡。爾其后・名弟橘比賣命白之「妾、易御子而入海中。御子者、所遣之政遂、應覆奏。」將入海時、以菅疊八重・皮疊八重・絁疊八重、敷于波上而、下坐其上。於是、其暴浪自伏、御船得進。爾其后歌曰、
佐泥佐斯 佐賀牟能袁怒邇 毛由流肥能 本那迦邇多知弖 斗比斯岐美波母
故七日之後、其后御櫛、依于海邊。乃取其櫛、作御陵而治置也。

どうもあれだわ、今回開店を待ったお店がよくなかったわ。そない美味しうなかったというのがまぁあれだし、ちょっと汚れてたし。
お刺身をティッシュで拭いたのはわたしも初めてよ。次からはどこで食べるか、考えてしまうよなあ。

そのまま宿へ向かうが、時間が19時半に最寄り駅になるので、東博がいくら21時まで延長開館でも今回はあかんな。残念。
スーパーで柏餅を買い、フロントの仲良しさんにお裾分けして、一旦寝落ち。
22時過ぎに起きだして端午の節句のもう一つの行事へ。
そう、菖蒲湯な。前から行きたかった銭湯へ向かうと、いいタイミングでしたな。
気持ちよくつかったけど、ここの電気湯が今までの中でいちばん肩によかった。
もらったヤクルトも飲んで、機嫌よく宿へ着くと既に日付が変わっていた。
まあいいさ。
三日目終わり。

いよいよ最終日。
送迎バス乗って東京駅のいつものロッカーに荷物をぎゅう詰めして、それからおでかけ。
まずは目黒へ。今日は基本山手線で動く。
目黒雅叙園の送迎バスを待つ。昔、美術館があるころにはバスも何もなく根性入れて歩き続けたなあ…
「猫都の国宝」展が楽しくてね。
建物も撮れるけど今回は猫メイン。
それからバスで戻り歩いて庭園美術館へ。
こちらも今回は建物撮影可能。
アールデコの館と昭和の竜宮城とがほぼ同時代に建てられた目黒。
不思議よなあ…




庭園美術館では建物を撮影したり、鹿島先生のフランスの絵本コレクションを堪能したり。

恵比寿から山種美術館へ行く道はいつもの道なのだけど、どういうわけか目が回った。
あんまり暑いのに何もしていなかったためかもしれない。
歩いても歩いてもたどりつかない気がした。
真っ直ぐな道なのにおかしい。
それで立ち止まったらPapasの辺りで、見上げると巨大なあれがみえた。
好きなカプのことを考えて、それでもうちょっとがんばった。




五月に桜が咲く場所といえばどこかあったはずだが、思い出せない。
信州なのか北海道なのか。

渋谷にゆくが、相変わらずの歩きにくさで嫌になるが仕方ない。
ようよう松濤美術館へ着く。
チャペック兄弟の展覧会。とてもいい原画が少なくなかった。
こういうのを見ていたい。

銀座まで出た。松屋に入り「ウォーリーを探せ」…やりましたがな、
みつけることがやりやすいのとどう考えても無理やーなのを楽しむ。

帰りもポイントのグリーン車。混雑に巻き込まれなかったの助かる。
新大阪からはタクシーだが、これまた物凄い行列が出来ていた。

ああ、なんだか凄いものを見たなあ
いいハイカイでした。

2018.5月の東京ハイカイ録 その1

GW後半を東京で過ごしたわたくしです。
遊行する、というのも口幅ったいので(名乗りはどうやねん)ハイカイすると申しておるわけですが、今回もまた歩き倒し、遊び倒してぐったりです。
展覧会の個別の感想はまた後日に挙げますが、とりあえずどこで何してたかのアウトラインをば…

わたくしは近年新幹線で往来するようになりましてな。
以前は飛行機でしたが今は新幹線、その回数が多いのでEXICのお世話になり、快適な乗り降りになってます。
ほんであれだ、このポイント特典というのが通常の指定席料金でグリーン車に乗れるという。
で、わたしは往来共にグリーン車に乗りましたのよ。久しぶりに。
広々。しかも空いてる。申し訳ない、余裕も余裕で気楽にいくわたくしの耳に目にお知らせが飛び込んでくる。
曰く「東京駅はホームが大混雑で品川でも可能な方は品川下車を」とのこと。
ええーと思ううちに東京、さてそれからどう下車しよう・ロッカーいつものが満杯ならと不安ばかり抱えてホームにつくと、それがグリーン車のお力、空いてましたわ。それでいつものロッカーもゆとり。いつもの時間と同じように動き出せたのは、やっぱりグリーン車のお力。ポイントが溜まっててよかった。

大手町から乗り継いで府中へ。大雨とかどこ行った?
日傘にはできない傘を持って歩きましたがな、わたし。
府中市美術館江戸絵画祭り「リアル」面白かった。前期よかったが、後期も面白かった。
千葉市美の「うまいもんめぐり」共々「凄いわ」としか言いようのない内容ですわ。
5/6までやったけど、これも自分の記録と記憶のために延々と書く予定。

帰りは東府中から乗って、九段下経由の半蔵門へ。出来たばかりの真如苑運営の「半蔵門ミュージアム」に向かいましたよ。
ここ、こんなにいいのに無料でいいのかしら。
まあ難を言えば監視員がとても多くて緊張するくらいかな。
そんであれだ、駅の真上というか出口の真上なのに階段だけというのはやはりちょっと惜しいな。

出てすぐの日本カメラ博物館の隣のビルのJCIIギャラリーで考現学のカメラマン・吉田謙吉の撮った1934年の満州写真を見る。
芸術写真ではなく記録写真であり、そこに住まう人々を捉えたもの。小さいのでルーペを借りて眺める。
ショップを見たら以前に購入した名取洋之助の写真集があった。そうか、ここから出た分か。
それで名取の撮った?メッキ―さんかな?のドイツの写真の絵ハガキを購入。

次に向かったのは国立劇場方面。まずは演芸場。そこで講談や落語で語られた悪党の話を見る。
これは来月の太田浮世絵や東洋文庫など数館で開催する「江戸の悪」の一つ。
お面が怖かったなあ…

国立劇場伝統芸能情報館。化政期の芝居絵。いい内容だけにリストなしは痛い。しかも英文・中文・ハングルの案内はあるので、英文をもらい、そこに色々書くしかないがな。
もっとどうにかしてほしいなあ。

最後にサントリー美術館。
清朝のガラス。不透明ガラスが人気の国、玉のイメージだね。
撮影可能ポイントへ行くと、並べ方があまりに良すぎて唸る。
さすがサントリー。

定宿についてから明日のイベントの準備をする。
そう、スパコミの中のオンリーの壁博に行くのだよ。
読んでる方、ググらなくていいですよ。
いやむしろググるな。やめろ、危険。
という感じ。
それで仲良しさんに色々教わり、明日に備えたのであった。

二日目
西大島へ。日本科学未来館行きのバスを待つ。お仲間さんがかなり多い。
静岡から来たという18歳の少女と仲良くなり、一緒に行くことになる。
ジャンルは別なのでついてからは別行動だが、色々話して楽しく過ごす。
混んではいるがバスに乗れてビッグサイトへ。待機場所で1時間ばかり待つ。
やがて入場で少女とは別れたが、お互いにわくわくする気持ちを共有したのはよかったなー。

好きなサークルさんの薄い本もたくさん買えたし、作家さんとお話も出来て嬉しい。
皆さん「ご遠慮なく感想を送って下さるとありがたいです」と仰る。
そうなのか…わたしは読むの面倒だろうなと思ってなるべくスルーしてきたのだが。
でもそういうことならやはり何か書いてみよう。

撤退してバスで門仲へ向かうが、座っていたがやたらと辰巳辺りから老人が乗り込んでくるので席を譲ったが、東京はやっぱりあんまり席を譲ったりしないからか、感謝されはしたな。まあ車内で譲ったのはわたしとそれに触発されたもう一人だけで、あとはみんな買ったばかりの本を読むのに夢中で身動きもしなかったな。

ようやく門仲につき、森下に出たらネットでは営業中とありながらもやっぱりカトレアはお休み。
93年以来一度も買えた試がない。
もう無縁と思った方がいいかもしれない。

宿に戻りちょっとクールダウンしてから銀座へ。
lixilギャラリーで貝人列伝を大いに楽しむ。
貝は奥深いのう…

さて約束の時間が来ました。
「瞼がハレて小沢●郎」なヒトと待ち合わせたが、いたのは似ても似つかぬ美人ではないか。
「お姉ちゃんのうそつき!」
楽しくお話をして、いただきものも受け取りました、ありがとうございます。
あほなわたしは「おかきまき」を忘れてたのでした…

お別れした後はわたくしスカイツリーへ。
「あしたのジョー」原画展。これがたいへんよかったなあ。
連載開始から50年!らしいが、やっぱり素晴らしい…!

スカイツリーでご飯食べながら反芻する。
次にはヒルズへ。
森アーツで90年代ジャンプ展。
気合が入りまくる。
とにかくこの時代は「スラムダンク」「幽遊白書」この二作に尽きるのだよなあ、わたし。
やっぱり素晴らしかった。

この日は一日中マンガに関わる日でした。




さよなら藤田美術館のお蔵 その3

今まで全く入ったことのない場所へ向かう。
収蔵庫、である。
あるのはわかっていたがどこか知らなかった。
そしてそれは大抵の場合、想像もつかない近さにある。

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階段を上がるわけにはいかなかった。
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しかし明るいのだ。
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何がある?なにかある。


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内部の網とかそういうの展示室とあまり違いはない。




廊下へ
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出口。
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次はお庭。
つづく

さよなら藤田美術館のお蔵 その2

二階へ上がった。
窓の取っ手である。
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天井の構造も違う。
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古の写真
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わりとこの写真は気に入っている。
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窓の外を見る。
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さよならお蔵の二階。
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つづく

さよなら藤田美術館のお蔵 その1

藤田美術館が全面的に建て替えをするので、これまでの展示室にはもう二度と会えなくなる。
ということで、過日開催されたお蔵見学会に出かけた。

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独特の面白さのある空間だったなあ。

玄関辺り
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開館当時の写真

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廊下の果てには素敵なドアがある。
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部屋の様子
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天井は一階と二階と構造が違う。
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わかりにくいかもしれないが、綺麗なガラス。


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二階へ。
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味のある階段だなあ…

つづく。

アニメーションにみる日本建築ージブリの立体建造物展よりー

全国巡回した「ジブリの立体建造物」展のよりぬきヴァージョンが竹中大工道具館で5/6まで開催中。
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建築関連の展示はこれまでにもあったが、ジブリのあの展覧会をここで開催するのか、と少し不安に思ったが、来てみて色々と納得する。
こちらはあべのハルカスでのチラシ。
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「ポニョ」の家もあればラピュタもあると言った風に色々出ている。
しかし竹中大工道具館では
・千と千尋の神隠し
・風立ちぬ
・もののけ姫
・となりのトトロ
・かぐや姫の物語
これらをピックアップして取り上げている。
更に、ここの常設展示品とリンクした紹介もあり、それがここで行う強みとなっている。

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ジブリ以前の頃から高畑・宮崎お二人の作品での背景の美術、そして建造物の素晴らしさにときめき続けてきた。
ハイジのアルムおんじの家、フランクフルトのゼーゼマン邸、冬に住まうようにした廃教会。
コナンのハイハーバー、インダストリアの三角塔、地下の収容所の様子。
カリオストロの城の時計塔、城の地下、最後に現れるローマ時代の遺跡群。
ナウシカの居城、地下の植物室、原作マンガでの建物の描写も素晴らしい。
時には物語以上に建造物やその空間に魅せられてきた。

「風立ちぬ」 昔の商店の看板のなども細かく描かれていた。ここにある絵を見てもとても丁寧にその時代の空気を再現しているようにも思われる。
展示がなかったのは残念だが、菜穂子の滞在していたホテルもとても素敵だった。

「かぐ姫の物語」 藤森照信先生の解説がある。
かぐや姫のおかげで裕福になった夫婦が都に求めた屋敷の図面や説明がある。
寝殿造りについてのわかりやすい解説などである。

「千と千尋の神隠し」 これはもうにぎやかな建築好きには嬉しくてならない「油屋」がある。
モデルとして目黒雅叙園、止善館、唐破風の銭湯などがあるが、もう本当にどこを見ても魅力的なので、とても楽しい。
模型もある。あの怪しい町も細部まで再現されていた。
イメージ (934)
どこからみても本当に愉しめる油屋の、その精巧な模型。
わたしは華やかな店舗の裏側も大好き。
あの階段とかね。

それからこの温泉の違い色々とか。
イメージ (931)
ボイラーの所の無数にあるような棚とか抽斗とか最高に好きなんだよな。
しかもそれがどこかに通じる通路とか素晴らしすぎて泣けた。

折り上げ格天井も見ごたえあった。
物語よりなによりあの「油屋」を延々と楽しみたいとよく思った。


「もののけ姫」
タタラ場の様子が出ていた。
藤森先生の解説がまた面白くて、納得したり色々。
とはいえ、ここの建造物はやっぱりこれに尽きるか。
作品世界では森の描写が最高だった。
緑だけで数十色の詩色彩設定をしていたし。


「となりのトトロ」
草壁家の再現があった。座ってみると実感がわく。
和洋折衷のなかなかいい家で、暮らしやすそう。
そしてあの誰も上がらない二階。あれを見て、自分の曾祖母の家を想った。
繁華街に近いところにあるのに、しーーーんとしている空間。
あれとここは似ている。

草壁家の家の図面を見ながらこれまで自分が見てきた近代建築の個人の家を色々思い出した。
そしてこの家の構造のあれこれを考えた。
そうした楽しみに寄り添い、いい導きをしてくれるのが実は竹中大工道具館の仕事だった。

木造の建物の、その使われた木材や他の木材の薄い薄いカンナ削りのヒラヒラを実際に手に取れるのだ。
みんな木によって全然違う。
檜、杉、松、桜、楠、ヒバ…ああ、心地よい。そして何より良い香り…

この企画展を見終えた後は地下に降りて竹中大工道具館の素晴らしい所蔵品を楽しんだり、或いはワークショップに参加するのもいい。
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