FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

展覧会に見る奈良のほとけたち

最近多忙と色々あって、なかなかブログを更新できなくなった。
今日は久しぶりに更新するつもりなのだが、リハビリがてら自分の救いも求めて、今年みた・見たい奈良のほとけの展覧会の紹介をまとめる。

・法徳寺の仏像 ―近代を旅した仏たち
イメージ (2180)
現在奈良国立博物館で開催中。
元々この融通念仏集のお寺に伝わる仏像ではなく、明治の廃仏毀釈やなんだかんだで奈良の寺外に流出した仏像などを、とあるコレクターが数十体まとめて、このお寺に寄贈したそうな。
「近代を旅した」とはそういうこと。
そう、これも仏難。しかしこの旅はよい帰結を見た。
南都の仏像群がこうして奈良に帰れたのはめでたい。

五髷の少年文殊の厳しくも凛々しいお顔。髪の括り方とそれがどこからの流れかもわかる構造なのもいい。
興福寺の千体仏のうち20体ばかりもこのコレクションに含まれていて、ずらりと並ぶ様は壮観。
コレクターの人はどう並べていたのだろう・・・

イメージ (2194)

四天王像も力強く、お地蔵さんも穏やかでよかった。

9/8まで。

なお現在奈良博の新館ではマニ教の宇宙図、聖者伝、天界図などが展示中。
展示終了したが、海龍王寺の毘沙門天、西大寺の吉野曼荼羅、可愛らしい雨寶童子像、追いかけっこする獅子を描いた戒体箱などもよかった。
イメージ (2195)
中央に蔵王権現


・奈良大和四寺のみほとけ
イメージ (2186)
東博本館で開催中。安倍文殊院、岡寺、室生寺、長谷寺から東博へお出まし。

長谷寺からは十一面観音像が。そう、長谷寺と言えばこちら。
縁起絵巻に由来が描かれているが、一本の樹から削りだされたというのが御本尊。

岡寺の義淵僧正坐像もある。古いもので8世紀だから実際の姿を伝えて作られたのではなかろうか。

奈良ではなく東京の、ただし東博と言う場、ここでは違和感もなかった。
イメージ (2187)


・奈良を観る なら観光記
奈良市美術館で開催された中に、国鉄が主催した「DISCOVER JAPAN」の宣伝に入江泰吉先生らが「奈良大和路」の仏像たちを写しだしたポスターがあった。それがほぼ全点展示されていた。
同じ仏でも写す角度・意図により、様々な表情をみせる。
イメージ (2173)
聖林寺 十一面観音像

中宮寺の弥勒菩薩半跏像も時代により名称が変わったりしている。
右から撮るか・左から撮るかにより表情も微妙に異なる。
興福寺の阿修羅像もそう。真正面、やや斜め、バストアップ、全身、接写…
全て表情が異なるのをみた。
このポスター群が一堂に会するのを見たのは初めてだったが、いつかもう一度見ることができるのだろうか…


・入江泰吉「ほとけさま」
イメージ (2190)
奈良市写真美術館9/7~10/30
まだ開催前である。もしかするとこの展示にも前掲のほとけ写真などがあるかもしれない。
秋の始まり頃に奈良を行くのもいいので、この展覧会にも行きたい。
最終日頃は丁度正倉院展も始まっているだろう。


・鎌倉時代の唐招提寺と戒律復興
イメージ (2188)
今年の春先に奈良博で開催された。お水取り展と同時期。
どうしても何も書けなかった。
イメージ (2189)

この背景、きれいだな…
イメージ (2193)


今度は奈良のお寺へ行こう。
スポンサーサイト



出光美術館「唐三彩 シルクロードの至宝」展をみる

出光美術館では「唐三彩 シルクロードの至宝」展が開催されている。
イメージ (2182)


最初に知った「シルクロード」は何か。
これはわたしの世代では間違いなくTVドラマ「西遊記」からだという人が多いのではないか。
ドラマの中で原作同様に三蔵法師御一行はシルクロードを旅する。
このドラマのOP曲はゴダイゴ「MonkeyMagic」で悟空の歌と言っていい。
ED曲は「ガンダーラ」である。
後年「ガンダーラ仏」を知るようになるまで、この未知の言葉の音感に不思議な魅力を感じていた。
歌詞がまた夢を見せてくれた。
「そこに行けばどんな夢も叶うというよ 誰も皆行きたがるがあまりに遠い」
「愛の国」「夢の国」「どこかにあるユートピア」としてのガンダーラに思いをはせ、三蔵法師御一行の面々が向かう先が天竺だということを忘れ、どこか遠い夢の国たるガンダーラへ向かって旅をしているような錯覚を懐いた。

そして引き続いてNHKが壮大なドキュメント「シルクロード」を放映し、喜多郎の楽曲を世に贈った。

展覧会を見る間、ずっとこの曲が無限に脳内再生され続けていた。


出光美術館はシルクロードの遺物を集めた展覧会を何度か開催している。
特にシルクロードと位置づけずともイスラーム美術、コバルトブルーの世界、そしてシルクロードの宝物…
これらがきわめて魅力的な展覧会だったことは、何年経とうと忘れられない。

もう少し長い前書きが続く。

個人的にシルクロードへの愛着はそれだけにとどまらず、中学の教科書にあった大谷探検隊、初代龍村平蔵の獅子狩文錦復元の苦労話で頂点に達した。
更にそこへ神坂智子「シルクロード・シリーズ」の連載が始まり、丁度楼蘭から発掘された美女の話も加わって、中学生のわたしの中でシルクロードへの憧れが完全に形成された。
これは2020年になろうかと言う今日も変わることなく続いている。

こうした下地があるわたしがこの「唐三彩 シルクロードの至宝」展を見て、感激せずにいられようか。
展示を見る間ずっと、シルクロードに関するこれまで見てきたもの・読んできたもの・聞いていたものが脳内再生され続けていて、目に入るもの+過去映像+音楽が三位一体となって、大いに盛り上げてくれた。
洛陽の流行ものを象ったらしき明器であっても、それは活きてわたしに向かっている。

プロローグ 三彩への道
ここでは後漢時代から隋末唐初の緑釉のかかったものと、北斉から隋の白磁が並んでいる。

馬と御者 まだ汗血馬は来ず、地の馬がモデリングされているが、どうも馬と言うより河馬、つまりカバぽい体型である。
どっしりした体躯に太短い脚の馬は東アジア原産の馬だったはずだ。

後漢のわんこは可愛いのばかりだが、これまた愛らしいわんこだなあ。お座りしながらベロ出して「わんっ」。
可愛い喃…
前漢だと犬は闘犬または食事になったようだが、後漢だと可愛いわんこになるのだなあ。

籾倉 どこかで見たような形だと思ったら、これは水木しげる「悪魔くん」に現れた家獣ではないか。松下一郎の方の悪魔くん。
壁面には猿などが貼り付けてある。

隋の牛車と御者 大車輪である。実に大きな車輪。それが二輪。

この頃のラクダ像はどうも怖い顔つきである。

貼花文壺も唐初期には手間がかかるという理由で廃れてきたらしい。
そう、それをせずとも「唐三彩」が出てくるのだから。

イメージ (2185)

1. 唐三彩 シルクロードの至宝
一口に唐といっても初唐と盛唐とでは美の価値観も異なる。
女性もほっそりからふっくらが人気になった。
なのでフィギュアも造形が変わる。

チラシの女性は唐初のフィギュアらしい。頬は豊かだが、後のブームのふっくらさんではない。
何かを持つのだが、てっきり箜篌のようなハープ系かと思いきや、蓮だった。
蓮がぐんにゃりと女性の肩に張り付いている。

楽人像 座って笛を吹く美人さんは頭上に扇状のまとめ髪、頭頂にお団子二つの美人もいる。

女子像 少女の像は両サイドに丸くまとめたもので、これは初登場のレイア姫のと同じ髪型。
ショールは紺色。ショールなのかベストなのかは知らないが、よく似合っている。

いよいよふっくらさんが登場。
小鳥を指に止らせたご婦人。髪も豊か。

コートを着た鷹匠も。
そして男装する唐美人たち。
幞頭(ぼくとう)というかぶりものにコート、それに乗馬ズボン。
中には頭巾姿もいて、颯爽と男装する。
それら騎馬人物たちがずらりと並ぶ姿は壮観だった。
数段の階段を上り下りする特別な空間に、その一団の姿がある。
そしてそのそばには、沙漠をゆくラクダたちのシルエットを、異国的な地模様を背景にしたスクリーンが垂れる。
いい演出だ。

パネルでフィギュアたちの発掘現場写真が紹介されていた。
騎馬だけでなく単独で牛や馬のフィギュアもいっぱいあった。

イメージ (2184)

ふくよかで愛らしい万年壺、三足盤などが「三彩」に彩られている。
それだけではなく、龍耳瓶も碗も可愛らしい枕もある。
小さな枕の用途は筆写時の肘枕だという説もある。
唐から奈良に来て、大安寺から掘り出された枕達。


・シルクロードの宝物 様々な明器と装身具
可愛らしい仕草を見せる獅子像、銀製鍍金の鴛鴦文簪、非常に細密の小さな杯など、綺麗でかわいいものが並んでいた。
こうした丁寧なつくりのもとを見てつくづくこの時代の豊かさを想った。

イメージ (2183)

2.伝統と革新の融合 唐三彩の諸相

紀元前ころから大体紀元後の数百年の間に作られ、土の中で長く眠ったことで色と組織が変性したガラス。
東地中海で生まれたそれらがここにある。

唐三彩を離れ、褐色・緑・藍色に染まったやきものもある。
白地の多い三彩もあり、変化に富んでいる。

トルコのリュトン、イラクの水瓶、エキゾチックなものたち。
中国の南北朝時代のサハリもある。ここでは「響銅」と表記されていて、その語感・音感にときめく。
しかも「王子形」ともついている。この王子は中央アジアの王子ではなく、我が国の聖徳太子のことだった。
そう、厩戸王子。法隆寺伝来品なのでそう呼ばれるそうだ。

・ミニチュア明器の世界
死後の世界でもまた楽しい暮らしを続けてほしい。
その願いを受けて愛らしいミニチュアが作られた。

小さくて愛らしいものばかりで構成されている。
その中で猿笛といって猿の顔面の笛があるのには笑った。

3.遼三彩とペルシア三彩
唐が廃れ遼が台頭し、遼は唐文化の継承者だという。

以前、遼の遺宝を集めた展覧会をいくつか見たが、唐文化へのリスペクトと共に自民族の嗜好・志向・思考が打ち出された表現だと思えた。
当時の感想。
宋と遼・金・西夏のやきもの
中国王朝の至宝
契丹 草原の王朝 美しき三人のプリンセス
ペルシアはこちら
ペルシャのきらめき

ここで面白かったのはまさかの人魚形水中ならぬ人魚形水注。
海から遠く離れた草原の民が何故人魚!?
口を開けた双髷の人魚。あーちょっとびっくりした。

ペルシア三彩は当然ながら今のイラン、9-10世紀の遺物。
ペルシアと言うだけでエキゾティックな想像と憧れに満ち満ちた夢の国。
ここの吉祥文様を描いたものが正倉院の宝物として伝わるのも素敵だ。

多彩釉線刻花文様  4つばかり並ぶがみんなヒマワリのようなはっきりした花が二重に咲いている風だった。
人物文はなかった。

・エピローグ 三彩スタイルの系譜

金時代の三彩は色彩がやや薄く、その色合いが好みのものが多い。
うすめの緑とオレンジという取り合わせも明るくていい。
蓮が黄色で表現されたものもある。
牡丹文枕は欲しい。

久しぶりに法花牡丹文梅瓶が出ていた。肩のあたりの瓔珞文がネックレスのような瓶。裾にはラマ式蓮弁。胴には蝶々もいる。
sun426.jpg

もしかしたらこの展覧会以来の再会かも。
当時の感想
出光美術館の「花鳥の美」

法花花卉文象耳瓶 一対の瓶、本当にゾウさんがついている。みんなで四頭。耳がわりにびろんびろん。
こちらはやや薄めの紫に青の線。白花が綺麗。

明末期の緑釉香合が可愛い。鴨と鸚哥と。どちらもうずくまり。

さて懐古的な造形もよくした清朝。
三彩蓮葉形水滴  中に小さい蟹が貼りついているのがアクセント。

三彩扇形皿 これも可愛いなあ。

日本でも三彩を拵えている。
源内焼と九州の長与焼のが出ていた。
長与焼の碗と壺が可愛い。いいサイズなのだよなあ。


今回、画像が大きいのはやはりその嬉しさの表れ。
ぜひとも本物を見に行ってほしい。
8/25まで。

福徳円満を求めて 中国 元・明時代の華やかな工芸

例によってやることが遅いので、終了したばかりの大和文華館「福徳円満を求めて 中国 元・明時代の華やかな工芸」展の感想を挙げる。
あくまでも自分の記憶と記録の為だから遅くとも挙げることに意義があるんだ、と言い訳する。
ほんまに会期中に挙げてたら、もしかするとちょっとでも集客のお手伝いになったかもしれんのだが、それが出来ない。
いい展覧会だけに申し訳ない。

イメージ (2176)

今回は大阪市立美術館、白鶴美術館からも名品が来ていた。
数年前、関西で中国文物・書画を有する名だたる美術館の連合的な展覧会があったが、こうして相互に融通しあうのはまことによいなあ。
今、しょーむない政権のせいで近隣国と政治的に上手いこといってないが、東アジアの美術の素晴らしさを今こそ再認識しないといけないと思う。

イメージ (2166)

チラシの中央の爽やか系お兄さんは白鶴の五彩武人図有蓋壺のひと。
これに関しては以前に詳しく絵の内容についてかいた。
転用する。
五彩武人図有蓋壺 出ました、好きな壺。
明代のこれを見ると、それより時代の古い北宋が舞台の水滸伝を想ったりする。
今回丁寧に眺めましたわ。
チラシにある位置を正面として、身分のある人の前で武人二人が演武を見せる。周囲には文武官。彼らをじっくりと観察した。
正面から向かって右へ逆時計回りにみてゆく。
・椅子に座る武官の獅子噛みバックル、その獅子にも睫毛があり、この獅子は左側で行われている演武を見ようと横目になっている。
・そこからずーっと行くと、城壁らしきものが見えてくる。三段くらいの段差のあるやぐら状のものが整然と並ぶのが遠目にわかる。
・正面の真後ろ。白馬を御す人はターバンを巻いて目が鋭い。胡人かもしれない。彼らを先導する若者は旗を持ち、なにやら嬉しそう。その若者の被り物には山鳥の羽が一本ささる。蛮夷の将兵のようでもある。
イタリアのベルサリエーリはワサワサとつけていたな。
・どんどん兵が増えてゆく。やがて正面の向って左辺りに来ると、衛兵らしきものがいるが、その手にしている棒先の斧の背には龍が噛みついている。
龍もまた演武が気になるような顔をしている。
・壺の下段の青獅子たちは時計回りに走りながら後ろを見ている。みんな睫毛が長くて、のんきそうな顔つき。

そう、このお兄さんは「彼らを先導する若者は旗を持ち、なにやら嬉しそう。その若者の被り物には山鳥の羽が一本ささる。」の人。この山鳥の羽のことをなんというか知った。
「鶡冠」 鶡=山鳥(カツ)や雉の羽根つける冠。
そうなのか、ほほー。

景徳鎮の釉裏紅の艶やかな瓶や鉢が並ぶ。
雲鶴に鳳凰の図様の下にラマ式蓮弁の連続文があったり、色が変わって黄色と薄きみどりになったものや、魅力的な玉壺春もここに並んでいたりする。
やきものの美は一様ではないのだ。

法花菖蒲文鉢がある。これは初見。この大和文華館の所蔵品と言うことだが、見た記憶がない。
案外大きい。青地に白花、葉紫。削ぎにはオモダカも咲く。わたしは法花が好きなので嬉しい。

五彩の龍文はここにある分は皆「大明萬歴年製」の銘が入る。
めでたい柄だけに中には更に宝珠、巻物が加わるものもある。
龍の爪は五本。皇帝の龍である。
ウサギと鶴の取り合わせもある。可愛い。

赤絵で面白いのは角鉢で、外側のざくろの絵だがヘルメスの杖状になっていた。
これは意図したものではなく偶然なのだろうが、上部に羽を付けたら完全にそれなので、ちょっと面白かった。
尤もヘルメスの杖は蛇が絡んであの形なのだったか。

古染付、祥瑞の良いのが並ぶのを見ると、この暑い日に気持ちよくなる。白に青のとりあわせはやっぱり涼やかだ。
富士山型の鉢の見込みに山岳風景、栗鼠と山査子、網目に魚、桔梗型香合。この香合は安政二年の型物香合番付で前頭を務めていた。
古染付の次世代が祥瑞だが、その後はもうそろそろメイド・イン・ジャパンの染付が世に広まるころか。

宇佐八幡宮境内から出土したと伝わる元の青白磁の壺が見事だった。これは首なしだが青銅器の尊と同じ型のもので、復古的と言うか懐古的なやきもの。
それが首なしになるとまた感じが変わって面白い。

白磁黒釉印花雲竜文鉢 ガワは別にいいのだが、内側ではえらく修羅場な図様である。

大阪市立美術館から豆彩四果文鉢がきていた。桃がとてもかわいい。
白鶴からは青花花鳥獣文六角大壺  これは吉祥文で「爵禄封侯」と中国語で同音の「雀鹿蜂猴」の登場する絵柄。

さて久しぶりに清水裂。めでたい動物がいっぱい。
img848.jpg

細部を見よう
イメージ (2175)
めでたいですな。梅の花というのはまことによいものです。

ところでなんで「清水裂」というのかというと解説によると「茶の湯で紺地に梅に鳥の取り合わせを言う」とあるが、以前別な説明も見たように思うので、いつか調べなくては。

イメージ (2178)

赤絵ケイチョウ形銚子 この字は出なかった。ケイチョウの意味は鴛鴦に似た鳥の名前らしい。派手な色合いである。
こんな字。イメージ (2181)

堆朱、堆黒、存星、螺鈿、灑金といった工芸の名品を見る。
螺鈿山水人物文座屏
イメージ (2169)
丁寧なつくりだなあ。

白鶴の盒子には傀儡を見る母子も刻まれていた。
猿回しと猿たちの図の螺鈿は大阪市立美術館。チラシの下の。
猿たちの顔が…
イメージ (2177)
搾取されてるよなあ。

灑金はサイキンと読む。日本の蒔絵の梨地と大体同じらしい。そそぐ・きんと言うほどの意味があるようだ、字を調べたところ。

次回はどうにか早めに挙げたいと思う。

2019.8月の東京ハイカイ録

今回の東京ハイカイはちょいと変則的なことになった。既にここでも記しているようにうちの母親の具合が良い日と悪い日があり、特に夏の間はほぼアウト。
それでもまあ一泊位ならなんとかなるなと思って出かけたものの、心配になって電話したら丸一日連絡がつかない。翌朝9時半にようやく連絡がつくと「高熱で寝込んでいた」という。なので予定より4時間早い帰阪となった。
結局帰宅したら洗濯していたというビックリな展開だったのだが、まあ家に意味不明な老人がいると怖いということですね。

さてわたくしの東京ハイカイ(一体いつまで続けられることやら)ですが、とにかく暑いのと台風の後なのとで、色々とたいへんな心持で出ていったのですが、お盆の最中の新幹線なので普段とらない席になりました。
つまりA席。東京へ向かうときはいつも通路側なのでこれはちょっと新鮮だった。
特に田舎の風景に関心がないわたくしですけど、天竜川をみたり、知らないトンネルを見るのは面白かったよ。
そのトンネルは新幹線に対し斜めな位置にあり、電車のものだと思うが、緑が濃かったからもしかすると廃線なのかもしれない。
品川区に入っても、この位置から大井町が見えるのかと知ったり、ここにこんなプールがあるのかと思ったり。

ところで今回は現地についてから自分の立てたルートがまずいというかイマイチだと気づいた。
いつものより少し遅めの新幹線なので東京に着くのが10時前、ロッカーで不慣れな人が手間取るのを手伝ったりその場を仕切ったりで結局いつもより30分も遅れたのだ。
どうにもならんこの仕切り屋・世話焼き体質…

日本橋駅へは丸善から地下に潜るのだが、その丸善で好ましい黒猫グッズを見て色々悩んだのも時間をかからせることになった。
実は変なことを言うが、大昔からわたしが丸善で何か雑貨を買うとトラブルに巻き込まれるというジンクスがある。
本はそうはならないが、どんな小さな雑貨・文具でもそうなるし、大阪・京都・東京と関係なしなので、ここの売り上げに関与できなくなった。
本は大丈夫なのになあ…1980年代からそうなので、筋金入りのトラブルメーカーだ。←自慢するな。

要するに上野から行動するのをやめて、三井記念美術館から動き始めたらよかったという話です。
ついうっかりここを後回しにしたおかげで色々つまらんミスがついて回ったよ。

三井行ってから上野に出たらよかったがそれに気づいたときには西洋美術館にいましたね。そしてここは大量の人が。チケット買うだけで20分待ちやてか。
幸いなことにチケットがございますんで中へ入りますがな。

松方コレクションの素晴らしさについてはまた書けたら後日詳細を挙げます。
数年前神戸市立博物館でも開催されたけど、あの時も内覧会にまで行ったのに書けずじまいだった苦い記憶が蘇る…
まあとりあえず言うたら展示方法がヨーロッパの美術館方式で、壁面上部のが見づらいということと、固めて配置した連作物がどれがとれかわからんという。
まあしかし名品がたんまり。見知った絵や彫刻だけでなく初見がかなりあって、それがまさかの「国立西洋美術館寄託」とかそんなのなので、いつか所蔵品室で見れるかなと期待。

台風の影響でゴアテックス履いたのが失敗で足が速くも痛くなる。サンダルにした方が良かったかな。
そんなこと思いながら今度はフィンランドの女性画家たちの作品展を見に行くと、4年前に藝大美術館でみたヘレン・シャルフベックの作品がたくさん。
ぱちぱち撮ったので、今度四年前のときのブログにプラスして挙げ直してもいいな。
というのはヘレンも自身の作品を数十年後にセルフカバーしてるから、それに倣おう。


さて昼ご飯をどうしようかと思いながら博物館へ向かう。こんな天気なら何か買ってきてベンチで食べでもさほど暑苦しくもなかったのに読めなかった。
仕方ない。それで結局子ども図書館で食べたよ。庭を見るカウンターにいたら、突然上から大きめの水滴がコップに直撃!!!びっくりした。入るもんやなあ。
ひえー

東博でちょっと展示を見てから時間の都合で三国志展の再訪はあきらめて、再びパンダ橋へ。
そう、最近わたしはこのルートなの。
そんで三井記念美術館で「日本の素朴絵」後期展示を楽しむ。前後期共々大変よろしい。
図録も可愛い。前回購入したままあえて開いていないが、数日内にはなんとか感想をまとめて挙げたい。
日本の素朴絵は楽しい。
こういうのが面白く感じられるのはやはり府中市美術館の毎年春の恒例・江戸絵画祭での啓蒙が功を奏していると思う。
巧い絵だけがよいのではないのよ。そういうことさ。

車内で見たもの

わたしは「修羅の刻」の中でも特に鬼一と、この狛彦・虎彦の双子譚が好きすぎるのよ。

駅構内で見たもの


次に出光へ向かう。
これでつくづく思うのは、この日は西洋・東博・三井・出光なんだけど、電車のルートやランチの選択を考えれば、三井・西洋・東博・出光でもよかったわけです。そしたら日比谷線一本で出光へ行けた。
まあ尤もこの日の夜間に森へ行くというのがあるからこその、この時間帯。

「唐三彩」をみる。
作品もいいが演出もよく、喜多郎「シルクロード」がアタマの中で再生中。
フィギュアたちの美、三彩の壺たちのよさ。
唐、遼、ペルシャの三彩。
思えばシルクロードの美を味わわせてくれたのは出光美術館大阪が最初だったのかもしれない。

急にマクドの揚げたアップルパイが食べたくなったが、あれは季節限定なのか、それともここにたまたまないのか知らんが、入った店舗になかったのは無念。
(のちに調べたら他の店舗にはある模様)
それでちょっと一時しのぎにして六本木へ。

進撃の巨人展ファイナル。
知らなかった、まさかの最後の室内以外は全撮影可能とは。
撮り倒したわ。あらためてこの「美しき残酷な世界」へのときめきが高まる。
映像がまた素晴らしい。アニメではなく、原画をピックアップしてエレンとライナーの進撃vs鎧の戦いを迫力いっぱいに動かし、見せてくれたわ。
ネームまで展示されてる…
エルヴィンがネームでもやたらはっきり眉毛だったりするし、リヴァイがやはり可愛いし。

そういえば最新刊のラストの嘘予告マンガ、みんなハンジのせいでゾンビになってたけど、リヴァイさんエルヴィン先生に噛まれてたな。エルリ尊い。

ショップでファイルなど購入し、カフェでリヴァイの紅茶とデザートを頼んだが、紅茶はよくなかったな。これは淹れ方の問題と砂糖の問題かな。
紅茶好きの兵長に叱られるぞ。


定宿でぐったり。しかし荷物ってさ、宿に行く前までロッカーに入れてて、宿で一晩の間だけおいて、あとまたロッカーなので、なにやら申し訳ないような。

翌日、ようやく母と連絡が取れたのでこれはもう早く帰るしかないなと。
それで14時台のを取った。これで行けなくなったのが庭園、太田、そんぽ。
残念なり。

時間配分の結果、案外出発が遅くて良くなり、第一試合の履正社をみる。
ご近所なので応援にも力が入るわ。

まずは汐留美術館でマイセン動物園。
楽しいわー。これもほぼ撮影可能。パチパチ。
にゃんこの仕草のリアルなこと…朝倉かー


その足でそのまま三田へ。駅前の焼き魚屋でおいしくカレイの白醤油漬け焼きをいただく。
味噌汁は良くないが魚はさすがに美味しかったよ。

慶應大学図書館一般公開。




それにしても暑い。
暑すぎてか、どういうわけかなかなか駅に戻れない。
そんな大きい町でもないのに迷う。やたらと中華料理店が多いのと、昭和の中国人家庭がそのまま活きてるような光景を見たりしたからか、アタマが回らなくなる。
ようよう乗り場を見つけた。
一体なんなんだろう。

三田からそのまま神保町へ。
これまた暑さのせいか方向性を見失う。コンパスも狂いがちかと思いきや、「えっ、このルート?」でたやすく到着。
どうなっているんだ、前回と違うぞ。
米沢記念図書館、三原順カラー原画展の後期。

受付にいらしたヤマダトモコさんと愛知からお越しの方のお話を横から聴いて、そこへくちばしをつっこむ。
色々と良いお話を伺えてよかった。

さーてタイムアップ、東京へ向かうぞとあの階段を一気に上がるが、上がった途端心臓ばくばく。
真夏に一気に上がる階段じゃないよな…
三楽病院の横を通り御茶ノ水駅へ。

早めの時間帯に変更して乗った新幹線、混んでたなあ。
わたしは今度は三連のCで気楽に帰阪。
あれだ、駅ナカでおかずとか買って帰る。

帰宅したらびっくりしたことに(以下略)
…洗濯物を取り込んで、買ってきたものに自分の拵えたものも足して晩ご飯。
それから綺麗に化粧していた母と共に夜の散歩。
タバコ屋へ行くと店主が喜んで母に挨拶し、立ち話。
ちょっと買い物してから近所の喫茶店で一休み。

パインジュースに紅茶を混ぜるのだ。美味しかったよ。

来月どうなることやら。
とりあえず今月の東京ハイカイはここまで。

奈良を観る なら観光記展

奈良の昔の風景写真、神戸の昔の祭りの様子、丁度いまそれぞれの地でその展示がある。

奈良市美術館とはどこか。
旧奈良そごう美術館がその場にあたる。
2008年にポップアップ絵本展を見て以来の再訪となる。
かつて奈良そごう美術館だった頃はよく出向いた。
そのことは先日ここに挙げている。

明治初期から昭和までの奈良観光の関連資料が一堂に会しているのはとてもよかった。
「奈良を観る なら観光記」展は東博の古写真、奈良市史料保存会、出版社、奈良市写真美術館、個人コレクション、鉄道会社の資料で構成されていた。
あいにくなことに図録はない。あれば買いたかった。
イメージ (2129)

・近代奈良観光の始まり
横山松三郎の明治五年の東大寺、興福寺の写真が並ぶ。
まだそんなころなのでちょんまげの町人が映っている。
大仏殿,南大門、鐘楼、夏の二月堂…
興福寺の金堂、三重塔、春日大社、薬師寺東塔…
廃仏毀釈の脅威が…

同時代の明治初期の猿沢池ばかり集めたものが面白かった。
手彩色がなかなかきれい。
色々な角度からの猿沢池風景。
右手に南円堂、中に三重塔、更に電柱と金波楼もみえる。
ガス灯も出てきた。きぬかけ柳、采女社、そして「五十二段」の様子が二態。
全部ある版と半分くらいで踊り場が来て、それから続くというもの。
明治28年頃のはそんな感じらしい。
人力車もたくさん停まっている。
今も奈良には人力車がよく働いている。

その段とはこれ。わたしが〇をつけているもの。
イメージ (2170)

空海手植えの松を「花の松」といい、それと三重塔のショットもある。
これは大正のもの。
今もこの松あったかなあ。ああ元のは1937年に枯れ、後継も2008年に枯れたのか…
この展示に出ているのとは違うが、こちらのサイトに古写真が年代ごとにたくさん集められている。


芸術的な写真は既に明治中期にある。
春日大社参道に一頭の鹿がいて、どこかを見ている。
こうした構図はやはり芸術写真でしょう。
もうこの時代にこうした意識を持つ写真家が生まれている。
意識的か・無意識かは別としても。

明治後期の大仏殿の屋根をメインにした写真にはシビがなく「鳥衾式」のものがついていた。
こういうのも面白い。

明治35年 奈良名勝独案内図 フルカラー。明治の浮世絵と同じく赤が強く発色している。右は白毫寺まで。既に博物館の近くの陳列館も描かれている。
イメージ (2131)

明治41年 奈良名勝全図  こちらは更に色彩も洗練されてきた。建物名は赤い名札に記されている。16師団53聯隊兵営、女子師範(今の奈良女子大)も。

奈良ホテル開業の絵ハガキもいい。
池から見える奈良ホテルの姿。
今もいい眺めだが、当時は更に素晴らしかったろう。
久しぶりにメインダイニングに行きたい。
大正期の奈良ホテルの様子を写した絵ハガキもある。もうこの時代は楽しめる時代になっている。
イメージ (2130)

今は鷺池と呼ばれる蓬莱池、そこには浮御堂。大正9年の風景。
同年の猿沢湖畔の絵ハガキもいい。鹿に俥に…

観光マップ、いいなあ。
実景図、真景図などが色々。
明治26年 月ヶ瀬梅溪16勝地真景図  躑躅川も描かれている。梅だけではなく躑躅もか。川の名前だけであっても雅なものよ。

奈良名所早見図は大仏殿が中心。日露戦争前くらいはもう観光地として東大寺も興福寺もなんとか生き返りつつあるのだな。
明治33年 奈良実測図は珍しく石版の地図で、周囲にコマ絵のように各地の名所が描かれているが、ちょっとばかり當麻曼荼羅ぽくも見えなくもない。

名所絵ハガキも色々と工夫が凝らされている。浮世絵風美人と名所の写真、カラフルな装飾と名所、色々と楽しい。
博物館、二月堂、猿沢池、奈良公園…

明治42年に東京から汽車で一日かけて志賀直哉・木下利玄・里見弴が奈良へ来た。
最年長の志賀でさえまだ20代半ば、最年少の里見弴も随分若かった。
かれらは楽しく奈良ツアーをしている。
遥か後年の昭和16年、里見弴は当時を振り返り、その時購入した絵ハガキやスタンプなども含めて「若き日の旅」を上梓した。
それからさらに40年余り後に里見弴は没した。
わたしはこの本を1993年頃に入手して、今も折々大事に読み返している。
かれらが購入したと同じような絵ハガキ、地図、ガイドブックなどがここにある。

大正期の絵ハガキの袋絵が鹿をモチーフにしたものが多い。各種あるが、偶然か、みんな鹿だった。
こういうのも面白い。

勧業博覧会ポスター
イメージ (2174)

昭和になり、吉田初三郎の鳥観図の隆盛が奈良観光にも来た。
県庁の近くにメソジスト教会もあり、刑務所は今の形だし、寺もすっかり回復している。
まだ大軌鉄道の頃。

旅行ガイドブックも新書版のが出ている。
江戸時代からこうした本はよく出ていたが、活字印刷が主流となったおかげで読みやすい。
そうそう、大正7年では今の近鉄奈良駅から大阪(鶴橋、上本町、難波のどれとは書いてないが)まで55分らしい。
案外今と変わらないな…

博文館が刊行した「鉄道省 鉄道旅行案内」は挿絵を吉田初三郎が担当しているので、とても魅力的。
この頃の博文館はいい本をよく出していた。
これは横長版。

大軌電車沿線案内図絵 附吉野電車 大正末 いいなあ、これも。吉田初三郎。吉野山だけでなく高野山も描かれ、信貴山、生駒、更には遠く富士山、釜山、上海、樺太までも。
嗚呼、大日本帝国よ。奈良県内ではもう天理が大きく描かれていた。
そういえば大本教やひとのみち教団は大弾圧を食らったが、天理はなんとかしのいでいたな。
…どうでもいいことだが、この三つの本拠地にわたし行ってるな。金光教にはまだ行ったこともないが。

奈良電車沿線案内 昭和3年 この奈良電気鉄道というのがやはり今は統合されてるわけだが、後の昭和6年版もどちらも吉田初三郎の絵。
カラフルで綺麗。橿原、天理、笠置、柳生、伏見桃山まで。
あー、なんか行きたくなってきたよ。
伏見桃山は近鉄・京阪・JRがすごく近い所に集合してて、梅田もびっくりなんだが、誰もこれに言及しないな。
けっこう桃山辺り好きなんよ、わたし。

畝傍線開通時の西大寺駅 大正9年  立派な駅の写真。
国鉄奈良駅の写真は昭和9年。今移動したあれだ。いい建物…

参宮急行名所図会 昭和6年  吉田初三郎 伊勢から松阪、津、名張、上六へ展開してゆく。
来月お伊勢さんに行くことになったのだが、今も上本町がお伊勢さん向かうベースやもんなあ。

信貴生駒電車沿線案内 大正11年  生駒ケーブル、索道な。ほんわかしてる。
生駒のケーブルは可愛いよ。信貴山はわたしの生まれる前に一家でお参りしたそうな。
それ以来わたしは行ってないので、いつか行こうとは思っている。

吉野鉄道名勝案内 大正2年 吉野山の名所と「有名人」と。如意輪寺、いがみの権太などなど。
更に表紙に武士が戸板に歌を記す姿を転用してこの本のタイトルを記させている。
「歌書よりも軍書に悲し吉野山」芭蕉の弟子・支考の句。

写真が色々出てきた。
レトロなボンネットバスの春日奥山周遊バス、大軌奈良駅構内などなど。

そして昭和15年つまり紀元2600年のプレイボール…やなくて、その年だけにやたらと橿原神宮の栞や案内が並ぶ。
やべー時代だわ。
21世紀の今に来年は紀元2680年とかそんなこと言うような議員がいよんねんから、もぉあかんわな。

エログロナンセンスの時代の楽しい風物画もある。
奈良名所風物画 物産・木辻遊郭 昭和10年  鹿の角、一刀彫、赤膚焼などの工芸品の横に遊女の絵がある。
木辻遊郭といえば小出楢重がそのあたりに下宿したことがあり、キョーフ体験を面白おかしく記していた。
笑って苦しかったわ。

昭和初期の奈良シールが可愛い。
四種とも。
イメージ (2171)
イメージ (2172)

宿屋の栞や引札がある。宣伝文句が面白い。
「梅川忠兵衛、水戸黄門、荒木又右エ門も宿泊」…まあな。
旅館いんばんや、いろは館、小刀屋、月乃家、玉屋本店、吉田屋、佳よ志本店、大仏館、好生館、奈良ホテル…

奈良市観光課のポスターでいいのがあった。昭和20年代
鹿たちが一斉に走る姿を横からとらえたもの。躍動感があった。

昭和40年代にはディスカバリージャパン。
特急あすか号、王寺駅を出るD51、奈良大和路仏像ポスター。

イラストマップ奈良見て歩き いかにもその時代らしい可愛い絵柄のもの。ドリームランドもあった。

・奈良への誘い 文士と奈良
入江泰吉先生のお写真で紹介されている。
学生の頃、少しばかり入江先生に教わったので、今も入江泰吉「先生」。
薬師寺東塔遠望 亀井勝一郎「大和古寺風物詩」  やはりよい。

興福寺阿修羅像 堀辰雄「十月」  朱色の顔、金茶に薄緑がかった髪や肌。塑の美とでもいうのか。

東大寺広目天像 會津八一「南京新唱」 びるばくしゃ まゆねよせたるまなざしを まなこにみつつ あきののをゆく
この眉根を寄せる広目天については折口信夫「死者の書」にもある。

中宮寺菩薩半跏像 和辻哲郎「古寺巡礼」 和辻の呼び掛ける「わが聖女」こそ、この像。

唐招提寺金堂列柱 會津八一「南京新唱」 おほてらのまろきはしらのつきかげを つちにふみつつ ものをこそおもへ.  やはり秋艸道人の短歌の美しさにしびれる。そして木の文様をも写し取る入江泰吉先生の写真の美…

奈良大和路仏像ポスターについてはまたいつか。




三国志展は燃えるぞ その3

いよいよ第三回目、たいていここでフィナーレ、前中後編、序破急、三代目は唐様というやつさ。
全然関係ないな…

終わりの始まりはやはりこの方
20190708_153454.jpg
諸葛亮孔明

川本喜八郎の人形のこの気品…
20190708_153509.jpg


細部をみる。
20190708_153513.jpg


20190708_153519.jpg
白羽扇、素敵だ。
白皙の美貌の方でしたなぁ。


こちら打って変わって赤銅色の孟獲。
この冠の羽根のことなんていうのか知らなかったが、つい先日大和文華館の展示で知った。
「鶡冠」 鶡=山鳥(カツ)や雉の羽根つける冠。
20190708_153533.jpg


こちらは亀の乗っかる金印
20190708_153603.jpg


マキビシも。
20190708_153405.jpg


甘寧の持つ弓が弩です。
20190708_153740.jpg

ところで1993年の正月に大阪の光明ホールと言うところで川本喜八郎の三国志人形展が開催されたことがある。
わたし三度ばかり行ったが、思えばこれだけの三国志人形を見るのはあれ以来ではないかな。


さて三国それぞれ。
20190708_153826.jpg


横山さんのマンガの中で孔明が蜀へ行くと表明するシーン、すごく好きだ。
20190708_153847.jpg

なんだか雄大な心持になるのだよ。
20190708_153905.jpg


いろいろグッズ
20190708_154211.jpg

20190708_154203.jpg

マスチフ犬のような感じの犬
「銀牙」でいえばベン。
20190708_154403.jpg


20190708_154420.jpg

レリーフ、いいね。
20190708_154457.jpg


銅鼓。
これはもう完全に「孔子暗黒伝」。
作品を読んでから数年後に初めて東博に来たとき、改装前の東洋館でこれを見た時「あっ孔子暗黒伝だ」と思ったものな。
20190708_154630.jpg
ハノイの歴史博物館にもとてもたくさん銅鼓があった。
東南アジアの産物。


ついに巨星墜ちる。
曹操の最期。
20190708_154705.jpg


近年になりその墓陵が発見されたそうな。
20190708_154724.jpg

再現されていた。
20190708_154750.jpg

20190708_154828.jpg
案外質素なのは曹操の合理的精神の現れのようで好ましい。


そして曹植。
父や兄と違う温和なヒトだが詩人の血は父からの遺伝。兄嫁への慕情が憐れ…
20190708_154929.jpg


20190708_154935_HDR.jpg
時折このひとに鎌倉三代将軍実朝を想うときがある。


遺物あれこれ
笑う犬
20190708_154954_HDR.jpg


20190708_155033.jpg


20190708_155105.jpg


出師の表
20190708_153943.jpg


秋風五丈原
20190708_155414.jpg


20190708_155435.jpg


20190708_155446.jpg
道半ばにして…
横山さんの素晴らしい原画


最後に生き残ったものが笑う。
20190708_155552.jpg


20190708_155546.jpg


いい展覧会だった。
燃えたなー!
また行くけれど、ほんと、自分が三国志ファンでよかったと思うばかり。
ドキドキするよ。
いいものをみせてもらって本当に良かった。

三国志展は燃えるぞ その2

続き。
展示は最新の学術研究の発表の場でもある。
そしてそれをわかりやすく伝えようとする。
解説板にも丁寧な文と情報とが仕込まれている。
20190708_152137.jpg


同時代の馬車の青銅フィギュア
戞々(かつかつ)たる馬蹄の響きが聞えて、というやつさ。
20190708_152238.jpg


ほぼ妖怪城
20190708_152344.jpg
ちょっとウェディングケーキにも似ているな。
この時代の塔というかお城のようなこれは他にも東洋陶磁美術館でもみている。


20190708_152357.jpg


20190708_152445.jpg
妙に可愛い。


川本喜八郎
献帝と曹丕
20190708_152516.jpg


衣裳がまた素晴らしい。
20190708_152538.jpg


20190708_152557.jpg


明器 これも面白い建物
20190708_152619.jpg
空中通路があるものね。この当時で凄い構造よ。


建物の前でねそべる犬
20190708_152635.jpg


外を見る人がこわい…
20190708_152642.jpg


こういう建物もある。
20190708_152725.jpg


20190708_152752.jpg


20190708_152809.jpg

色んな建物とフィギュアとが面白い。


次はいよいよ矢矢矢!!!
20190708_152832.jpg
かなり壮大な眺めでしたわー

20190708_152930.jpg


20190708_153049.jpg


十万本だったかな、物語の中では。ここに何本の矢があるのかは知らないけど、しかし生半可な数ではないよね。
すごい。

横山マンガではここはこういう表現でした。
20190708_152905.jpg


20190708_152913.jpg
タダで手に入ったも同然の矢でしたな。
しかし実際にどれだけの数の矢がリサイクル出来たかは、昔から甚だ疑問だったよ…

なお弓矢の構造はこちらに。弩ね。
20190708_152959.jpg
これで必ず思い出すのが「不射之射」即ち中島敦「名人伝」
因みに「不射之射」は川本喜八郎も人形で映像化している。


ショップでは面白いものがいろいろ。
20190708_153221.jpg
赤兎馬ちゃんのぬいぐるみ

20190708_153252.jpg
だまれシャツ

楽しいぞ。
続く。

三国志展は燃えるぞ その1

東京国立博物館で開催中の「三国志」展はまさかの全作品撮影可能と言う大盤振る舞いなのだ。
びっくりした。
出かけてイヤホンガイド聴きながら中に入った途端、パチパチ皆さん撮ってはるがな。
わたしも速攻で仲間入り。

20190708_151345.jpg
やっぱりかっこいいよね。

この展示には中国からの一級文物、川本喜八郎の人形、横山光輝の原画などのほか、同時代の遺物や「三国志」の名場面の再現などがあって、とても気合が入る。
ファンにはとても嬉しい構成なのだ。

以下、わたしの撮ったのをあげてゆくけれど、今回嬉しすぎて画像大きいのばかり。
なので何べんかにわけていきます。

20190708_151315.jpg
壁画もこのように。


横山三国志の原画。桃園の誓いシーン
20190708_151029.jpg
修整の痕もはっきりわかって嬉しい。


こちらは本国での造型
20190708_151432.jpg


名場面を描いたものも並ぶ。
董卓、貂蝉、呂布の三角関係。
そう、貂蝉は二人を仲たがいさせるための…
20190708_151506.jpg


20190708_151522.jpg
表情がなかなか。


こちらは美周郎と謳われた周瑜が寝込んでいるところへ孔明から朗報
20190708_151606.jpg

この寝姿なぞ見ると「私説三国志」を思い出して、ときめきますわ…
20190708_151625.jpg

20190708_151630.jpg

今回の展示ではマンガは横山さん一筋だったが、白井恵美子さんの三国志シリーズをナビキャラにしてもよかったろうなと夢想する。


横山三国志 母の涙
20190708_151721.jpg


さぁ川本喜八郎人形の登場。
20190708_151758.jpg

20190708_151801.jpg

20190708_151809.jpg

細部までよく出来てる…

魏呉蜀三人の王。
20190708_151815.jpg

わたしが本当に「三国志」にのめりこんだのはやっぱり川本さんの人形劇から。
だからやはり嬉しくなる。


三国志と同時代の遺物。
20190708_151935.jpg


こんな細工もありました。
20190708_152040.jpg


20190708_152021.jpg

20190708_152028.jpg

何かよくわからんけど、゜寝てた虎

こちらはゾウさん。かわええ。。。
20190708_152117.jpg

続く。

「いのりの世界のどうぶつえん」で遊ぶ その2

続き。
イメージ (2123)

大威徳明王騎牛像 1軀 木造 彩色 平安時代(10世紀) 奈良国立博物館  今回初めて知ったのだが、水牛に乗る理由と言うのが「水陸どちらでも稼働可能」なのが水牛だかららしい。
けっこう神仏も効率ええのを考えてるのね。
水牛の乳から作れるのが…なにチーズだっけ?モッツアレラか。実はニガテなの、わたし…

天川弁才天曼荼羅 伝宅磨法眼筆 1幅 絹本著色 室町時代(16世紀) 奈良 能満院  カラフル仏画。弁才天の白い手に16少年たちが印象的。キツネ、孔雀、馬もいるが、少年の中にはウサギをかわいがる子もいた。

摩利支天坐像 1軀 木造 彩色 江戸時代(17~18世紀) 大阪 高槻市立しろあと歴史館  和やかな女性的な三面の神様が白猪に乗る。猪は七頭。
この神様は戦の神様だが、お顔はやさしい。
高槻のここにはいってないので、いつか行こう。

牛頭天王坐像 1軀 木造 彩色 平安時代(12世紀) 京都 松尾神社  なにやら茫然とした面持ち。四面で頭上に牛がいる。

春日鹿曼荼羅 1幅 絹本著色 鎌倉時代(14世紀) 奈良国立博物館  もやぁとした中に。そして下方に鳥居がある。中空にいることがわかる。

色々動物が描かれているのを見ると、人間、そして神仏との関係の深さをしのばせる。
四方殿舎利厨子 1基 木製 漆塗 彩絵 室町時代 明応元年(1492) 奈良 能満院  四面に春日鹿、龍、宝塔などが。案外おしゃれである。

山王垂迹神曼荼羅 1幅 絹本著色 南北朝時代(14世紀) 京都 曼殊院  山王だから猿。日吉大社の神々。牛は北野の天神さん。狐は伏見のお稲荷さん。

絵馬が二枚。
絵馬 琳賢観重筆 1面 板地著色 室町時代 天文22年(1553) 奈良 春日大社  立派な神馬が。
絵馬 1面 板地著色 室町時代 大永元年(1521) 奈良 興福寺  緑の獅子がガオーっ
室町の頃にはもうすっかり絵馬も一般化されている…

アルコーブには星座と十二支と。雰囲気的には聖闘士星矢とか。

十二神将立像 12軀 木造 彩色・截金 平安時代(12世紀) 奈良 東大寺  内訳を少しばかり。
子年 頭上の兜に両手載せる鼠が可愛い
丑年 弓矢をなくしているが、手はその形。
寅年 可愛いぞ、このトラやん。
卯年 案外耳小さいな。
辰年 のしっと。けっこう困り顔の神将、バックルもお揃い。
巳年 交差する両手、ちょっと歌舞伎の見得ぽい。
午年 剣を持つ。両手を載せてべぇぇな馬。
未年 弓はあるが矢なし。馬に続きバックルもお揃い。髭が長いぞ。
申年 ちょこんと座る。バックルも猿。しかし神将の肩の鬼面がけっこうコワモテ。
酉年 こちらもバックルが。
戍年 乗りながらもどこかにプイ。
亥年 斧を持つ。ブヒッ。
イメージ (2126)
たのしいぞ。

星曼荼羅 1幅 絹本著色 鎌倉時代(13世紀) 京都 眞輪院  中国の星座の様式なんだけど、獅子を頂点にした星座円で、双子座が夫婦座になってたり女宮という名称があったりとなかなか面白い。12宮の周囲に仏たちが配されているのもいいな。帝釈天もいるし。わたしの知っているのと少し呼び名が違うので、それも調べたい。北斗七星らしき星座が描かれているが、どうも星マークが8つあるように見えますぞ…

胎蔵図像 下巻 1巻 紙本白描 鎌倉時代 建久5年(1194) 奈良国立博物館  こちらもまた仏と星座。密教の仏図像と星座なんだが、こうなると「暗黒神話」がどうしても思い出されるよ。
磨羯魚とか出ない字も書かれてるな、色々とときめくぞ。
どうでもいいことだが、山上たつひこ「金瓶梅」の連作タイトルは28宿から採ってたな。

牛玉像 1軀 木造 彩色 鎌倉~南北朝時代(14世紀) 京都 海住山寺  これは牛黄も入れれるそうです。牛型の牛黄入れ。
牛型牛乳瓶はないなあ。

鳥獣戯画巻残闕 1幅 紙本墨画 江戸時代(17~18世紀) 大阪 藤田美術館  狐を馬に乗るウサギ。麒麟に乗る猿もいる。

仏涅槃図 1幅 絹本著色 鎌倉時代(14世紀) 個人  この涅槃図は猫もいた。しかし猫はみんなと違う方向を向いている。何故か猫だけこっち向いてる。
涅槃図に猫がいるのは珍しいのだ。あれかな、出不精の奴とか放浪癖の奴とか、照れ屋の奴とか、ストレートに悲しむのが嫌な奴とか、そういうめんどうなところが猫にあるからかなあ。
他に虎や痩せ犬に蝶もいた。

法華経が並んでいる。その装飾は華やかで、文様や見返しに蝶や小鳥が描かれている。法華経、奇麗なのよな。

どうぶつあれこれ。
鳳凰文塼 1枚 土製 型押 素焼き 飛鳥時代(7世紀) 奈良 南法華寺  「火の鳥」ポーズで極めてる
孔雀文磬 1面 銅製 鋳造 平安時代(12世紀) 奈良国立博物館  ギャオーと吠えてる感じもするな。
迦陵頻伽文透彫華鬘 1面 銅製 鍛造 鍍金 平安時代(12世紀) 岩手 中尊寺金色院  「対馬國」とかある。
龍頭 2頭 木造 彩色 鎌倉時代(13~14世紀) 奈良国立博物館  幡を吊り下げるためのもの。
梵鐘 1口 銅製 鋳造 室町時代 文亀元年(1501) 奈良国立博物館  9つの乳があるのは朝鮮製だったかな。上に蟠龍。レリーフは波乗りしながら演奏する天人たち。
火焔宝珠形舎利容器 1基 銅製 鋳造 鍛造 鍍金 鎌倉時代 正応3年(1290) 奈良 海龍王寺  獅子が隠れている。
金亀舎利塔 1基 銅製 鋳造 鍍金 江戸時代 天保13年(1842) 奈良 長谷寺  透かしが綺麗。亀の目はエナメルかな。
造形美ですな。

イメージ (2124)

高野四所明神像 1幅 絹本著色 室町時代(15世紀) 個人  獅子の目が白く光る。これで思い出すのが「ウルトラマンレオのうた」だな。
獅子の瞳が輝いて…というフレーズ。
なおここには高野山らしく白犬と黒犬もいる。

獅子・狛犬 2軀 木造 彩色 鎌倉時代(14世紀) 奈良 薬師寺  どちらも目が大きく、義眼が入っているかのようだった。

お面特集。
伎楽面 迦楼羅 1面 木造 彩色 奈良時代(8世紀) 奈良 東大寺  迦楼羅はガルーダ、インドネシア航空だな。
昔「勇者ライディーン」で敵方美形キャラ・ガルーダというのがいてだな…
舞楽面 崑崙八仙 1面 木造 彩色 平安時代(12世紀) 奈良国立博物館  「ころばせ」と読むのですよ。上の所だけとったね。
舞楽面 納曾利 1面 木造 彩色 室町時代(15~16世紀) 奈良 春日大社  12月に使われるのだなあ…
舞楽面 陵王 1面 木造 彩色 漆箔 江戸時代(17世紀) 奈良 春日大社  頭上の龍が「デスノート」のリュークに似ている。
獅子頭 1面 木造 漆塗 鎌倉時代(12~13世紀) 奈良 手向山八幡宮  中は空で朱塗り。


最後に国宝の怖い絵が登場。
辟邪絵 栴檀乾闥婆・神虫・毘沙門天 3幅 紙本著色 平安~鎌倉時代(12世紀) 奈良国立博物館  栴檀乾闥婆は刺す叉を持ち、毘沙門天は矢を。虫は一見悪者側にみえるが正義の虫でした。

沙門地獄草紙 沸屎地獄 1幅 紙本著色 平安~鎌倉時代(12世紀) 奈良国立博物館  順番待ちの坊さんの群れがまた…

たくさんどうぶつがいて、楽しい展覧会だった。
今回はキャラが出来ていた。
イメージ (2121)
ほんわかしててよろしい。

なおこんな企画展がある。
イメージ (2125)
送迎バスもあるようでなにより。

だいぶ前の8月7日

だいぶ前の8/7.
ある姉妹。
子どもを産んだばかりの姉と見舞いに来た妹、そして産まれてきたばかりの赤ん坊。
イメージ (2146)


こうしてみると母とその妹の中間くらいの顔をしている。
外見上は完全に母方の遺伝子が強いらしい。
ただ、内面は父にそっくりだとよく言われるし、自分でも母とは性質・考え方・価値観が全く異なるのを日々感じている。


よく寝る子だったらしい。
今と大違いだ。
イメージ (2147)

随分遠い時間になった。
しんどいことも多いけれど、毎日何かしら楽しいことがある。
これからもそうでありたい。

奈良そごう美術館で見たもの

随分前に閉館した奈良そごうの話で金春智子さん、近藤ようこさんと盛り上った。
この話題は実は二度目で、懐かしく想いながらまたなんやかんやと奈良そごうと長屋王の邸宅跡地の話が出たのだ。

あの「宇宙戦艦そごう」とよばれた建物、そごうの後にイトーヨーカドーが入ったもののやはり出て行き、今はミ・ナーラという商業施設になったらしい。
わたしも2008年以来ご無沙汰だ。
その2008年にはそこに入った奈良市美術館で「世界の飛び出す絵本」展を見たのだ。
当時の感想はこちら
仕掛け絵本ふたたび

それで奈良そごう美術館があった頃、なにを見たかをここに挙げることにした。
19900318 近代日本の美人画・目黒雅叙園
19900805 近代の美人画・福富コレクション
19900908 日本芸術院展
19901110 サンパウロ美術館
19910120 上村松篁回顧
19911027 中村貞以
19920103 榊原紫峰
19920419 橋本明治
19920517 ムルロー工房の版画
19920627 寺嶋紫明
19921010 平家物語・美への旅
19921101 福田平八郎
19930130 スーチン
19930313 森田曠平
19930404 孔子の原郷-中国四千年
19930619 フランス絵画の400年
19930814 北海道立近代美術館
19930918 伊東深水
19931023 平木浮世絵名品
19931211 絵はがき芸術の愉しみ
19940205 北大路魯山人
19940702 ルネ・ラリック
19941022 京都画壇250年の系譜
19941203 フランス近代絵画モネ・ルノワール-マネ・シャガール
19941223 梶田半古の世界
19950304 モンマルトルとモンパルナスの画家
19950405 マイセンの美
19950429 創画会
19950520 トラキア黄金
19950729 ブカレスク美術館
19950909 堂本印象
19951021 ボストン美術館
19951223 ホノルル美術館
19960120 梅原龍三郎
19960316 琳派
19960504 創画会
19960706 谷中安規
19960907 田辺三重松
19960928 京洛の四季
19961026 竹久夢二 岡山郷土美術館
19961114 アントニオ・ロペス
19970228 平福百穂
19980314 ビアズリーと世紀末
19990403 ドイツロマン派
19990429 ホイッスラーからウォーホールまで
19990609 清方と深水・紫明
19991106 西洋名画への招待・東京富士美術館
20000109 「椿」名品  高崎タワー美術館所蔵

1990年から2000年までにわたしがみたものである。
今思い出してもときめく内容の展覧会がいくつもある。
図録もよかった。
巡回展で京都や東京の東武で見たものもある。
もう、随分昔になったのだ。
二度と見れそうにない内容のものもある。
貴重な展覧会が多く、わざわざ北摂から奈良そごうまでよく出かけたと思う。

近々久しぶりに出向くので、またノスタルジーに噛まれようと思う。

「いのりの世界のどうぶつえん」で遊ぶ その1

奈良博の「いのりの世界のどうぶつえん」を楽しんだ。
夏になると自分ところの所蔵品からピックアップしてオバケ屋敷や動物園などを演出してくれるのが嬉しい。

イメージ (2122)

奈良なので埴輪がザクザク。
どうでもいいが、未来考古学ではいつかザクも出土されることがあるのだろうか。

サークルの中に鳥、馬、シカ、犬、イノシシなどの埴輪が並ぶ。
鹿は浜松から、犬は東海村からイノシシは藤井寺から出土。
産地色々。

埴輪と土馬は違うのか、サイズ大小ある馬たちが並ぶ。これは平城京から出たので、なにか呪的な意味合いを持つのかもしれない。奈良時代のだしね。
それで解説を読むと「疫神の乗り物に見立てて流したものらしい」とある。
そうか、それでか、やはり。出土先も平城宮の水路の跡からなのも納得。

釈迦三尊像 3幅 絹本著色 鎌倉時代(14世紀) 奈良国立博物館  左右の普賢、文殊それぞれがゾウや獅子に乗るわけだが、それがまた可愛いのだよな。
青獅子には赤服の手綱とりがいる。釈迦も赤衣。台座の中にも獅子がいる。獅子率高し。

文殊菩薩騎獅像 1軀 木造 彩色 平安時代(10~11世紀) 文化庁  剣を持つやや頭が大きい文殊。阿な口元の犬風な獅子。
かっこええのです。

獅子 鎌倉時代 力強い造形。ぐっと足を踏ん張りつつ、やや俯き加減。

普賢菩薩騎象像 1軀 木造 彩色 普賢菩薩:江戸時代(17~18世紀) 象:鎌倉時代(12~13世紀)京都 海住山寺  京博に引き続き、ここにもこのお寺の名宝が。
古いのはゾウだけど、江戸時代の人々も再建に力を入れたのだなあ。
奈良の大仏さんかて台、銅、頭と全部時代が違うしね。最初に平重衡に焼かれてえらい迷惑な話よ。
先の文殊とは対ではないのだが、一緒に見ると対のようにも思えるのが面白くもある。

普賢十羅刹女像 1幅 絹本著色 鎌倉時代(13世紀) 奈良国立博物館  美人さんがずらり。基本和装だが、たまに唐装のヒトもいる。美人に囲まれてニヤリな白ゾウ。

時々思うのが「羅刹」と言えば怖い存在なのだが、仏に帰依したからか、羅刹女たちはみんなえらく美人さんばかり。
「平家納経」の見返しで羅刹女の一人が抜身の剣をじっとみつめるのがあるが、どの時点でこのように画像に取り込まれるようになったのだろう。
やはり院政期からか。

両頭愛染明王像 1幅 絹本著色 南北朝時代(14世紀) 奈良国立博物館  愛染さんと不動さんの両頭。赤と黒。別々の方向を見ている。金目の獅子が
異形でいる必要性とは何なんだろう。
身体は赤いので愛染さんが主体らしいが、傍らにセイタカ・コンガラのふたりがいる。
二人はそれぞれ赤獅子、白ゾウにのる。そして二人の視線は別々な方向へ向かう。
コンガラは鳶をセイタカは地を見る。
そういえば二人のこの様子は親方の不動の天地眼ぼくあるな。

仏画を見ると色んな素朴な疑問がわいてくる。

一字金輪曼荼羅 1幅 絹本著色 平安時代(12世紀) 奈良国立博物館 炎の中の仏。蓮に七頭の獅子。三鈷杵咥えたのが馬具の銜のよう。
頭上にゾウもいて、左上には馬もいるが、下にどう見てもスイカらしきものが…
暑いので食べたくなった。

  
つづく

京博のコレクション展でみたもの 絵画編

京博所蔵の絵を見る。
これまた自分の好きなものしか挙げない。

まずは絵巻から。
鶴の草紙 伝土佐光信  綺麗な絵で土佐派の繊細さもある。「鶴女房」譚。ただし羽毛で織物はしない。
助けた鶴の化身の美女を嫁にしたところ、男に次々と難題が降りかかる。
地元の地頭が女を横取りしようと画策してくるのだ。
しかし賢い女房の導きにより男はそれらをクリアーする。
そうするうち地頭は「ワザワイなる怪獣を連れてこい」と言い出す。
男が女房にその話をすると、「ワザワイなら実家にいる。連れに行きましょう」ということになる。
そこで秋の野山を夫婦は行く。どこまで行くのかと思う間に山奥の豪邸にたどり着く。
足洗いの盥は蒔絵の上等なもの。出迎えた若者は弟なのか、座敷にも同座し、歓迎の為に琴も弾く。
やがて連れられてくる白金の毛並みのワザワイ。大きな毛深い奴で、首に金の鈴をつけたブサカワな奴である。
ちょっとばかり藤子不二雄のキャラに似ている。
名前を教えて貰った。「獅子丸」。ハットリくんに出ているらしい。
さてその獅子丸に似たワザワイ、早速地頭の家に連れてゆくと玄関先でまず大暴れ。
地頭の家の白犬に噛みついたり、座敷で大暴れして家をぶち壊したり。
とうとう地頭も参った。夫婦は邪魔されなくなる。
だが、痛快で楽しい日々も終わる。
鶴の女房は元の姿に戻り空高く飛んでゆく…

なお、この草紙について往時、狩野博幸さんが京博にいらした頃に発表された論文の一部がこちらにある。

・密教図像の美 ─暑苦しくない絵─
凄いタイトルである。まあ暑いからな。
白描のようにも見えるが、これは写しものだからか。
ぬりえのようなところもあるし、色指定が記されてるのもあるし、いろいろと興味深く見たよ。
すっきりしててよかった。

・描かれた動物たち
やっぱりどうぶつ好きって人多いよね。わたしも好き。

龍虎図屏風 単庵智伝  龍の腹とかそのあたりの表現がタコのようで…
巌樹遊猿図屏風 式部輝忠  丸顔モンキーズ。「猿猴月を取る」なのもある。
龍虎豹図  狩野松栄  にらむ龍虎はほっといて豹はお水ぺろぺろ。
麝香猫・花鳥図 長吉  麝香猫の上にカンムリトリが。

けっこう面白い。「なぜこの取り合わせ??」というのに意味があるかないかを調べるのも楽しい。
ところで今回は画像ないので、今年の「どうぶつ」展覧会のチラシを挙げる。
イメージ (2114) イメージ (2115)
まだ開催中、ぜひ。

イメージ (2116) イメージ (2117)
行き損ねたのおしい。

イメージ (2118)
ツイッターには挙げたがまだまとめてない…

・芦雪特集
人物鳥獣画巻  水辺の情景。亀、アユ、が泳ぐ。土坡にはれんげ、つくしが咲くので春。そしてその流れをずーっとゆくと、魚の動きをいたちがみてるのに気づく。可愛いような、なんというか・・・
立場変わればですかな。

楚蓮香図  蝶々をそっと指に。美人。この楚蓮香は他にも佳いのが多い。円山派は彼女のファンなのかも。

鍾馗・蝦蟇図  荒々しい鍾馗と対のでかい蝦蟇。こういうの、ほんまに芦雪好きやよなあ。

虎図  いいなあ、虎。実際これしか言えない。

楓鹿図屏風  笑う鹿、くつろぐ鹿、秋のある日、林の中で。

牧童吹笛図  指頭画の変な牛に坊や。芦雪はこの「十牛図」の1場面のような牛に乗る坊やが好きで多く描いている。
こちらは指先で書いたものだが、変なところが逆に楽しい。

蓬莱山図  鶴の群れ、仙人が乗ってるのもある。地を行く亀たち。みんな集合場所へ向かう向かう。

・続・須磨コレクションにみる斉白石の名品
須磨コレクションは以前からたびたび見てきた。
旧館の頃から良いのが出ていたが、やはりこうした作品があるのが京博の凄いところだと思う。

花下八哥図  紅梅の下でなにやら地をつつく叭叭鳥たち。

翎毛雑画冊  八大山人に倣って、という連作物。蟹、鳥、青虫、ウズラなど。
こういうのを見たら泉屋博古館の八大山人の絵が見たくなる。

枇杷図  カラフル。けっこういいな。

花卉図冊  様々な植物が描かれている。墨のにじみに朱が混じったりするのがニガテなんだが、それはそれでいいかもしれない。白椿、雀などがいい。

いいものをたくさん見ました。
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア