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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

鳥の歳時記を楽しむ

先日伊丹市立美術館で三沢厚彦 アニマルズ+ を見たが、この美術館には柿衛文庫と言う俳句専門の文芸館が併設されている。
元々大坂・伊丹あたりは俳人の多くいた地で、現代までその血脈は続いている。
今回は現代アートでアニマルズを取り上げたからそれに併せてか、タイトルもステキな「鳥の歳時記」を集めている。

江戸時代の俳諧には摺物としてきれいな浮世絵版画が添えられている。
浮世絵師だけでなく色々な絵師がそれに手を染めている。
句に沿うものを描くのが絵師の仕事だった時代なので、摺物などは句と絵とを共に楽しめる。

美術館のねらいはこうある。
四季を表現する言葉、いわゆる季語は、我が国の詩歌文芸の歴史のなかで育まれ整理されてきました。季語のなかで、さまざまな鳥たちは、四季の訪れを知らせてくれるものとして、大いに愛され、詩歌に詠まれてきました。それぞれの季語には本意があり、その本意がおおきな役割をもっています。本意とは、対象の季語がもつ最もそれらしい在り方、共通の認識をいいます。例えば、「ほととぎす」の本意は、その一声を待ちわびることにあります。たとえ盛んに鳴いていても、句の上では、待ちわびる心を詠みます。また、雁の声は、にぎやかであっても、哀感のあるものとして詠まれています。
 春のうぐいす、夏をつげるほととぎす、うずらの鳴く秋の暮れ、雪の寒鳥、鳥と四季の風情をお楽しみください。


春・・・鴬、燕、雉、雲雀、(漢字で書くと雅なイメージが湧く)、雀の子 行く雁、鶴帰る 囀(さえずり)・・・最後の囀りで思い出したが、谷崎の『春琴抄』のヒロイン春琴が作曲した筝曲の題は「春鶯囀」しゅんおうてん だった。

鬼貫筆「それハまた」句短冊 (囀り) それハまたそれハ囀る鳥の声

暁台筆「うぐひすや」句短冊 (鴬) うぐひすやもののまぎれに夕啼きす

夏・・・時鳥、かんこ鳥 水鶏、川蝉、鵜
蕪村画かんこ鳥図一枚摺 (かんこ鳥) かんこ鳥とはカッコウのこと。蕪村による彩色刷物。なかなかいい感じだった。

田畑比古筆「郭公」句短冊 (かっこう) 郭公の杜もそのうちトラピスト

秋・・・雁、月夜烏、四十雀、鵙、啄木鳥
沾徳筆「初雁や」句短冊  初雁やおもふ田へ唯一文字

木導賛「しら菊や」毛紈画菊図 (四十雀)  しら菊やはれたる空に四十雀

冬・・・鶴、鴛鴦、千鳥、鴨、浮き寝鳥、みみずく
一晶筆「幾廻る」自画賛鴨図  (鴨) 幾廻る渦にも酔ハで池の鴨

大江丸筆「をし鳥や」句一行物(をし鳥) をし鳥よひと夜別て恋をしれ
この句を大江丸は85才で読んだとサインを入れている。85才でこんな色っぽい句をひねっていることにも感心した。85と言うても数え年で、どうやらその年が没年らしいが。

鳥の歳時記と言うだけに鳥を詠んだ句を集めているが、かつての日本には<自然>とそこに住まう生物全般の命とを慈しみあう心があったことを知る。
わたしは現実の鳥はニガテだが、観念としての鳥は好ましい。
場内では何種かの鳥の鳴き声を流しており、それを当てるクイズがあった。
わたしは鶯とカワセミだけわかったが、あとは全滅だった。
たまにはこんな風に俳句を楽しむこともいい。
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