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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

雨でも奈良ツアー +・・・

今日は朝から雨だが出かけると決めた以上は必ず出かける。
奈良&斑鳩チケットの阪急版2千円なりを購入したのは、奈良からなんば経由で京都へ向かうため。
今週のアタマに奈良へおん祭を見に出かけたが、週末には奈良博で『おん祭と春日信仰』展を見るのさ。
お供に谷崎『聞書抄 第二盲目物語』を携えて近鉄に乗る。菅楯彦の挿絵が入っているのが嬉しい中公文庫版。
奈良につきバスで破石町へ出る。そこから雨の中を延々と歩くと奈良教会のそばに毀たれかかっている洋風建築発見。
P3017.jpg P3018.jpg

勿体無い・・・他にも長屋で煉瓦塀の続く集合住宅も見た。

新薬師寺へ。来るの何年ぶりかわからない。天平19年、丁度1360年前に光明皇后によって建立されたお寺で、ここの十二神将はたいへん有名。
薬師如来が鎮座ましましているので拝む。ちょっと知人の具合がよくないので祈るしかない。人事を尽くして天命を待つ、という状況ではないのだが。
本堂と山茶花の花たち。IMGP3019.jpg

冬の花でも鮮やかなものだ。IMGP3020.jpg


なんとも言えない寂びれ具合の、いかにも奈良らしいお寺。
このお寺の裏側に入江泰吉記念奈良市写真美術館があり、そこでは今『入江泰吉と奈良を愛した文士たち』展が開催されている。
詳細は後日に廻すが、そこに堀辰雄や和辻、亀井らの文章が掲示されていて、この新薬師寺あたりのことを「廃都」と称んでいるのが意識に残っている。
彼らの言うように確かに奈良のこうしたあたりはいかにもその言葉に相応しいような静けさがある。
京都の社寺ではなく奈良の社寺を愛する人の多くは、恐らくその「廃都」の風情に惹かれているのではなかろうか。
大伴家持の頃には新技術であった築土垣の残るような道・・・

話を元に戻し、十二神将をつくづく眺める。
いずれも表情と身体に動きのある活きたような像。わたしは自分の干支の神将を眺め、ちょっと物思いに耽ってはるわ、とひとりごちる。賢そうな眼差しが印象的だった。
しかし激しい剥落褪色のため殆どが白灰色のように見える。
場内では造立当時のフルカラー版をCG作成したものをVTRで流している。
天平時代の美意識は多く唐風に倣っている。
日本人の意識に潜む剥落褪色したものに対する美とは、全く異なるものがそこにあった。
衣裳はその華やかさを求めてもいいが、青や赤の顔の彼らを見るのは拒みたい。
モノクロ写真のような彼らに惹かれても、ハイヴィジョンの復元色にはサラバだった。

ここから入江泰吉にも回り、そしてバス停へ向かって歩いた。
丁度来たところなので走って乗る。国立博物館前へ。
今年のおん祭の風景写真がパネルとして飾られていた。
日の使いはたいへんだったようだ・・・
雨宿りのシカたちの仲良し風景。IMGP3021.jpg


そこから大和文華館へ。こちらも詳細は後日だが、遠目にはあの丘の松たちが雨に靄っていい感じだった。腕の差は話にもならないが等伯の松図を勝手に思い出していた。
IMGP3022.jpg

雨はいつまでも降り止まない。
いつも行く東大阪のケーキ屋さんは諦めて、なんば経由から地下鉄・阪急へと乗り継ぎ、京都へ向かう。このチケットを使うためにはそうしか出来ない。

昨日の夜新聞で見かけた中信御池ギャラリーへ。
寺町通りはすっかりイルミネーションがピカピカで、仏教の町から耶蘇の町へ変わっている。(ちょっと違うか)
『梅花の宴』展。ちと時期がずれている。
17人の近現代日本画家の梅にちなんだ絵を集めている。
その中でも特別目を惹いたのが濱田観の『梅』だった。
濃い水色を地に梅の花がモコモコ咲き乱れている。そのモコモコ感は梅ではなく桃に近いくらいなのだが。それがとても近代的な味わいがあった。

実は京都へ来たのはこの日本画展を見るためだけだった。だから今回のチケットでたいへん助かったのだ。
その後本当は神戸にも出たかったが阪急京都線の事故もあり、真っ直ぐ帰宅した。
今日は冬至なので家で南瓜を炊き、柚子湯に入らなければならないのだった。

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コメント
こんばんは。
このあたりは私が住んでいたエリアで、ともかく懐かしいです。
十輪院のご近所だったのです。
入江先生のところは、
黒川事務所さんとご縁のある人がいたり、
写真のお手伝いしてる方ともご一緒したり、
懐かしいです。
今頃の奈良、落ち着いていて、さぶくて、
1回だけ大晦日に興福寺の鐘付きしました。
「廃都」の響きがとてもしみます。
落ち廃れてこそ美しいのかもしれません。
画像に郷愁感じました。
2007/12/23(日) 23:35 | URL | あべまつ #-[ 編集]
あべまつさん こんばんは
そうですね、以前この界隈にお住まいだったとうかがいました。
今回しみじみとエエところやな~~と思いましたよ。

>「廃都」の響きがとてもしみます。
落ち廃れてこそ美しいのかもしれません。

これは本当に日本の美意識の根源かもしれない、と思います。
このあたりの良さはちょっと堪えられませんね。
これまで知らなかった清清しいような侘しさに満たされました。
いいところでした。
2007/12/23(日) 23:58 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
私も明日、また奈良に出かける予定です。
東大寺の正倉院と戒壇院とこの新薬師寺に
出かける予定です。
なるほど、廃都ですか。特に今の季節だと、ぴったりですね。
廃市となると柳川ですか。上のあべまつさんのおっしゃられるように
滅びの美なんでしょうね。

2007/12/24(月) 15:22 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
一村雨さん こんばんは
>東大寺の正倉院と戒壇院とこの新薬師寺に
そうですか、それはそれは。
京都で降りてJRなのかしら?
もしそうなら京阪&近鉄の「奈良&斑鳩チケット」二千円くらいかな、を使うのもいいかもしれませんよ。
奈良パスもフリーになりますし、写真美術館も割引になります。
あ、美術館休みかな・・・

>滅びの美
平家も太平記も全てそれですよね。
やはり日本人の心の奥底にはそうした美意識があると思います。
なんとも言えずよかったです、本当に。
2007/12/24(月) 23:11 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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