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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

宋元と高麗 東洋古典美の誕生 1

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宋、元と高麗の名品をたずねて大和文華館に出かけた。
長い中国の歴史の中でも唐代、宋代、明代、清の乾隆帝の時代が、文化面で突出して面白い時代だと思う。
文化の爛熟。それを愛する人ならば多分うなずかれるだろう。
わたしが到着したとき、学芸員の解説ツアーが終わったところなので、ちょっと惜しいことをした。
テーマは四つに分かれている。

宋代美術-古典主義の誕生-

青磁雕花蓮華文瓶 耀州窯中国・北宋
この瓶の美については曰く言い難いものがある。
雕花はチョウカと読み、蓮華文を彫った瓶と言うわけだが、まるで全身に花を刻み込まれた身体のように、見えた。
官能的な美に吸い寄せられるように、そのガラスの前に立ち尽くした。
北方青磁と呼ばれるオリーブグリーンの磁器。
釉薬は均一化せず、ところどころに薄さを見せているが、それが酷薄な美にさえ思われる。
なんという美なのか。
丁度時代も北宋ということなので、ある連想が生まれる。
徽宗皇帝の御世なら随分刺青が流行したと聞く。水滸伝に現れる好漢たちの多くは刺青を負うているが、中でも九文龍の史進はその名の通り九匹の竜を負い、浪子燕青は美しい花を負った。二人はどちらもその父や主人から膚の美を愛でられて刺青を刻まれている。
己には刻まず後進の雪の膚に酷烈な美を刻む。
松田修はそのことを著書『刺青・性・死』において過激なまでに「告発」している。
この瓶を見ながらわたしは自分の妄想の中で、その膚を思う存分撫で回す。
その時わたしの眼は、史太公や盧俊義が息子や家来の膚に、刻み込まれてゆく刺青を眺めるそれと、変わりがないのかもしれなかった。

紅斑文盤 鈞窯 中国・北宋?金
20cmほどの盤上に微妙な赤みを見せる紫の斑が広がっていた。
瓶でならデヴィッド・コレクションの優品を見ている。
わたしはこんな青磁に赤斑の広がる磁器に惹かれる。
艶かしい、と思うその感情自体が好ましい。

柿磁金彩碗
鉄が変化を起こして柿色になる。この柿は木守り柿のような沈んだ色合いを見せている。
ちょっとなめし革にも似ている。微妙な角度の円錐の側面に、金色の花鳥らしきものが見える。それが可愛い。

青白磁輪花盃 景徳鎮窯 
色の薄さが青白磁の特色だが、輪花だけに通った筋目は色目を変える。
まるでハクサイの葉脈のようだ。茎から葉広に向かうあの白と青の違い。
シャリシャリしているような気がする。

三彩印花魚文長盤 中国・遼 缸瓦窯 
これは縦長変形盤で、見込みに魚たちが泳いでいる。回遊魚。そんな感じの魚。
唐代のような派手な三彩ではなく、少しの釉薬が使われて三彩になったような。

青磁鯱耳瓶 竜泉窯 中国・南宋  
日本人が一番好む砧青磁。耳に鯱。単品で見るのと茶室で見るのとでは値打ちが違うような気がする。長年茶人に愛されてきたからか、どうしても軸の前に置いてみたくなる、そんな瓶。

秋塘図 伝趙令穣筆 中国・北宋
静かな池畔。柳と飛ぶ鳥たち。静かな世界。静かだが淋しくはない空間。
もの侘しさのない平坦な気持ちが生まれるような図だった。

雪中帰牧図 李迪筆 双幅 中国・南宋
これは国宝なのでご存知の方も多いと思う。今回二枚ともが出ていた。
牛に乗る図、牛を引く図。牛を引く図はあまり見ないので新しい発見があった。この牛、目を見開いている。
ドナドナではなくこの牛は飼い主共々家へ帰るというのに、目を見開いている。
この模本を狩野守道が描いているのも展示されていた。

蜀葵遊猫図 伝毛益筆 中国・南宋
麝香猫の家族がくつろいでいる。仔猫たちはころころ転がり、今にも消えそうな茶色い猫は花に近づく蝶の動きをみつめている。わたしはこの猫たちを手本にボストン美術館の『松下麝香猫屏風』が描かれたのでは、と思うことがしばしばある。
 
萱草遊狗図 伝毛益筆
上の絵の兄弟、ただしこちらはわんこ。カヤクサかと思えばカンソウと言う植物らしい。しかし画面のどの植物がそれなのか区別はつかない。くるんとしたシッポ、賢そうな目つき。可愛らしいわんこたち。バッタを追うわんころもいる。ママ犬は花を見ている。ユリのような小さな植物を。


少し各品への感情が多くなりすぎた。ここらで一旦置くことにする。
続きは後日また新たに。

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