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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

宋元と高麗 東洋古典美の誕生 2

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昨日の続編。

高麗美術 麗しの楽土

大方広仏華厳経 2冊(巻第35,36) 朝鮮・高麗後期 紺紙金泥著色
各帖31.0×11.0の連なり。表紙絵は仏楽土。釈迦だけ肉身を彩色されている。多くの仏たちは金の線描。文字は肉太で雄渾ながら、まとまっている。なかなか迫力があった。
前田家旧蔵というが、なんとなく納得する。

青磁合子 「尚薬局」銘
小さく可愛い。掌に乗るような愛しさがある。文字もいい感じ。薬箪笥にしまいこみたくなるような可愛さがある。抽斗を開くとそこに隠れているような。

青磁陰刻柳鳥文合子
高麗青磁でいちばん綺麗なパターンのものは、薄青い地に白い水鳥を小さく描いたものだと思う。柳は揺れて、鳥たちは静かに遊ぶ。中世に生まれた観念パラダイス=閉じられた庭園、そのものではないか。優雅な静謐さに惹かれた。

青磁象嵌水禽文細口瓶
こちらもそう。陰刻と象嵌の違いはあっても、精神に差はない。
なぜ高麗青磁はこんなにも優雅なのだろう。そのことを思うと、それだけで心が静かになる。

青磁五葉花形托
花の蕊に当たる部位が低めの筒状になっている。それを囲む花びらは五枚とも大きい。貫入の入り具合の繊細さにも惹かれた。
今ならこれはそれぞれの花びらに小さなオードブルを載せて、真ん中に少し手の込んだ一品を入れても素敵だと思う。

青磁人物形水滴
小さな陶器人形、表情までは読み取れない。身体の中には水が満たされている。
身体を傾ければ水は溢れ、真っ直ぐに立てば水も静まる。

青磁九竜浄瓶 全羅南道康津郡出土
重文らしいが、竜頭の細かい作りに感心する。しかしやや多すぎる。切り落としたくなる。
切り落とせばどうなるか。・・・面白みが薄れてしまうのは確かだった。

羅漢図 五百羅漢のひとつ乙未(1235)七月銘
このシリーズは他に根津美術館が所蔵しているそうだ。わたしはあまり羅漢図には関心が湧かない。へんなおじさんに負けました?という気分になる。

楊柳観音図
足下には童子がいる。童子と言うより嬰児のような。可愛らしい幼子だが、これは善財童子だというから、本当はもう少しトシも上だ。観音は円満具足な顔をそちらに向けている。

阿弥陀八大菩薩図  
一番手前右側の観音菩薩の美貌にみとれた。左の勢至菩薩はややトボケている。
綺麗な顔立ちの男性的な観音。見ていて嬉しくなった。

海舶八稜鏡 「煌丕昌天」銘
珍しい鏡だった。時代が高麗だからか、動物の打ち出されたものではなく、荒波を蹴立てて行く船の図像だった。ちょっと思い出そうにも思い出せないようなパターン。
これまでかなり多くの鏡を見てきたが、こんな文様は初めてだった。

元代美術 大元ウルスの世紀

青白磁貼花牡丹唐草文壺 伝大分県宇佐八幡宮境内出土 中国・元  
これは青白磁とはいえやや濃い色をみせていて、そこがやはり元代の作品だと思った。
宇佐八幡宮は格式高い神社だというが、だからこそ、この作品がそこにあったのだろう。
そんな品格がこの壷にはある。

青磁貼花雲竜文四耳壺 竜泉窯 伝小田原城址出土 中国・元後期  
こちらは小田原城から出土したか。こちらもたっぷりしたいい感じの壷で、日本人がどういった作品を愛したかがわかるようなものだ。

赤絵仙姑文壺 磁州窯系
仙姑つまり仙女の様子を描いている。捧げものを眺める・にっこり笑う・庭園に飛ぶ鳥たち、咲き誇る花々・・・何面かそんな情景が描かれている。

堆黒屈輪大盆   中国・元  
たいへん大きな盆で60cmある。ぐりぐり柄。種類によってはアールデコ風にも見えるが、これは一筆書きのコックさんの顔のようである。

六道図 中国・元
六道図は面白いものが多いが、ここに現れる地獄の官僚たちは、みんなそんなにコワモテ系でもない。現実の官僚のような装いがそう思わせるのか。しかし解説を読むと、この六道図にはマニ教の影響が濃いそうだ。マニ教関係には殆ど知識がないからよくわからないが、そうなのか。
社寺境内図も六道図も名所図も、何故こんなに面白いのだろう・・・

墨蹟 虎丘十詠跋 霊石如芝筆 大徳8年(1304)
高僧の書にも詩にも遺喝にもあまり関心はないが、虎丘には関心がある。(タイガースファンだから、と言うだけでなく)蘇州に行った時、そこへ出かけた。東洋の「ピサの斜塔」だった。傾いでいる。ここは随分昔から人気スポットだったのだ。
トラの丘。呉越同舟の故事にもゆかりのある虎丘。

宋元の美の継承者たち

青花牡丹文大鉢   ヴェトナム・15世紀  
ヴェトナムの青花はコバルトの発色も濃く、しかしどこかに粗さがあるが、却ってそれが遊びにもなる。この鉢は意外と図柄もきれいに収まっているので、本国のそれのようにも見える。

文姫帰漢図巻 18場面 中国・明
真ん中から終わりの11.12.13.14が開かれている。
三国志の時代の哀話が描かれている。蔡文姫は攫われ匈奴の王の妻となる。優しくされ子どもらに恵まれても、中華の文化が言葉が忘れられない。
・月を仰ぎ見る。子供が膝で甘えるのを撫でながら、空に一つの月を見る。お付の侍女は琴を抱えている。文姫は琴の名手であった。
・文姫の父の友人・曹操が彼女の身代金を払い、匈奴の国から中華の国へ帰る手筈を整えてやる。大きなパオもあり、駱駝もいる一族の居住地に現れる使者達と、話を聞き胸躍らせる文姫。
・別れ。母に泣きすがる二人の子供ら。匈奴の王は侍女らに支えられながら天をあおぐ。
国へ帰る喜びと、子らを置き去りにする悲しみと。
・去り行く中華の一行と、残された人々・・・
せつない物語を見てしまった・・・。かつて谷文晁旧蔵品だったという。

営造法式 李明仲著 民国14年(1925)版 中国・民国
1100年版の再版。建物や工芸品の装飾のパターニング教本。細かい色指定と色彩設計が書き込まれている。方勝合羅という名称の装飾様式を眺めると、その細かさには本当に驚かされる。
間違えたら取り返しがつかないのがすごかった。

随分深く楽しませてもらった。初日に出かけたが、展覧会は2/11まで続いている。
もう一度来ようかという気持ちにさせてくれる展覧会だった。
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コメント
こんばんは。
充実したレポート有難うございます。
これを拝見したら、もう行かざるを得ないと思いました。
万難を排し、今週行きます。

伊丹の外骨は別途、逸翁とセットで行くことにしました。
ご紹介いただいた伊丹のホテルアフタヌーティかヒロかで悩んでます。
2008/01/08(火) 22:08 | URL | meme #z8Ev11P6[ 編集]
この展覧会、絶対いかなくちゃ!と思ってるんです。
七恵 さんの記事よんでますます気持ちがはやってきました。
あぁ、楽しみだぁ!
うっかりすると2月11日はすぐに来てしまうのでちゃんと計画たてておかないと。
2008/01/09(水) 01:32 | URL | 紫 #-[ 編集]
☆memeさん こんばんは
行って下さい~これはもう本当に見る価値ありの展覧会です。
ほぼ千年前から数百年前とは言え、歴史が古いだけに大変文化が成熟しているのを感じます。
近世から近代の大茶人たちが夢中になったのがわかるような気がしました。

伊丹と逸翁とは阪急の十三で乗換えがやはり一番わかりやすいと思います。
JRやバスを使うとややこしいです。
今なら伊丹の昆陽池(こやいけ)に渡り鳥がいっぱい来てます。


☆紫さん こんばんは
京都からなら西大寺で乗り換えですね。
以前、奈良そごうミュージアムに出かけてから京都文化博物館へ行くというコースをよく採りました。
中野美術館、松伯美術館もご近所ですから三つとも楽しめますよ。今なら三つとも開館中。
残念なのは大和文華館と学園前駅辺りに素敵なお茶タイムを楽しめるお店がないことですね。
やっぱり展覧会の後にはそんな時間がほしいです。
ぜひぜひお出かけください。
2008/01/09(水) 21:59 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。
前回の青磁雕花蓮華文瓶から、刺青の発想に
おぉ~と唸りましたが、
この展覧会、重厚克つ美しい雰囲気が漂ってきます。
年初にどすんと素敵な展覧ですね。
ふらっと行けるところなら、とんでいく所ですが、残念。
遊行さんのレポで、堪能します。

お茶できるところ、欲しいですね。
自販でペットボトルじゃ寂しい~~
2008/01/09(水) 22:30 | URL | あべまつ #-[ 編集]
あべまつさん こんばんは
もぉホントに刺青への偏愛で(照れ)。
大和文華館ってやっぱり凄いと思います。どの展覧会もこたえますね。
都内では大倉集古館がそうですね。
春には梅桜の競演がありますので、そちらも楽しみです。

ちなみに大和文華館ではロビーのところにちとわびしい自販機があります。ネスレ系かな。
長~~いソファに座って飲んでる方もお見受けしますが、わたしはちょっと泣ける。(でもこのソファで1時間寝てしまったことあり)
2008/01/09(水) 23:07 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。

やっといっていました。
平日なのに案外人が入っていて、
展示物をカメラでカシャカシャやってたおじいちゃんが警備の人に叱られながら外へ連れていかれてました。

お庭の花もきれいでとても楽しい一日でした。
TBさせて下さいまし。
2008/02/06(水) 23:41 | URL | 紫 #-[ 編集]
紫さん こんばんは
ははは、じいちゃんも・・・

ここは古美術だけでなく植物の宝庫でもありますもんね。
わたしも好きなお花の多いところです。
2008/02/07(木) 21:09 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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