美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 **なお現在コメント欄を閉鎖中です。

楳亭・金谷 近江蕪村と呼ばれた画家

教えてくださる人があり、大津歴史博物館へ久しぶりに出かけた。
自宅から2時間余かかるので眩暈がするが、見たいものは見たい。
楳亭・金谷 近江蕪村と呼ばれた画家』 
紀楳亭(き・ばいてい)と僧侶もした横井金谷(よこい・きんこく)の文人画や俳画の展覧会。
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「一回見て面白さに気がつくとヤミツキになる!」「忙しい人ほど見て欲しい、肩の力を抜いて楽しむ世界」「江戸時代のほっこりキャラがたくさん!」
これらはチラシのキャッチコピー。なるほど納得の展覧会だった。
先に楳亭の作品を色々見た。
彼は蕪村の弟子で九老とも名乗り、呉春とはむろん同門。
言われてみればなんとなく「ああ」である。

寿老人図 白鹿が座る寿老人に懐いてまとわりついてる。こうなるとお使いとかお供とかを越えて、仲良しさんの図である。・・な目が神仙も霊獣も同じで、よく似ている。

白梅図  セピア色の夜梅。褪色してセピアになったのか元がそうなのか判別がつかないくらい、自然なセピア色の背景に白梅が咲きこぼれている。昼の梅もいいが夜の梅のよさは堪えられない。(羊羹でも「夜の梅」は人気だ)匂いまで漂ってくるようである。

秋草双狼図 モノクロだが絵がある。mir572-2.jpg

ちょっとキョトンとしていて、それが愛敬になっている。こっち向きの狼の顔に見覚えがあると思ったら、以前うちにいたやせた猫に似ていた。トボケた顔のこいつら、全滅したのだなぁ・・・

荒巻鮭図 荒巻と書くのか新巻と書くのか知らないが、ここにあるのは巨大な干魚である。
墨に朱を混じらせた薄墨で一気呵成に描き上げたような勢いがある。開いた大きな口からのぞくギサギザ歯並びが怖いくらいで、目も大きい。高橋由一のシャケにはまだ脂を感じたが、このシャケは齧るのに根性と気合が必要だ。だからか、由一のシャケとは上下が逆に釣られている。そんなシャケの絵。

那智山瀑布図 薄墨でさらっと描かれている。しかも水を表すのは上部の (( だけ。このシンプルさが水量を感じさせる。

羅漢乗虎渡海図 これはもうヘンな絵としか。タイトル通りの情景。羅漢が虎に乗って海を渡る。虎の尻尾はニョロニョロと天に向かって立っているけど、顔は水につけたくないからノド上りっぱなし。ノド笛丸見えでいいのか、という感じ。尻尾を立てろ?はガンバの冒険だった。

秋雨飛鷺図 ぐいっと意志の強そうな鷺が雨を劈いて飛ぼうとしている。雨に打たれても負けないぞ、の心意気があるような。

大津三社図 チラシにも顔をのぞかせたウサギがいる。mir571-1.jpg

鳥居にまといつく三者。根元にウサギ、横棒に五位鷺が飛んできて、上にはカラスがいる。これは何かの暗喩か神社のお使いなのかわからない。でもカワイイからイイや。そんな感じ。

蝦蟇仙人図 頭に蝦蟇を乗せるのは鉄拐と決まっているが、これは今まで見た中でも貧相で、ヨォヨォと声をかけたくなる。蝦蟇の重みによけい痩せてゆくのかもしれない。

夏山雨意図 杣人が二人山を行く。雨は靄を呼び、空気そのものに水分が入り込んでいる。そうした図は文人画や南画に多いが、それだけに雰囲気がある。
山家のわらぶき屋根が白く光る。しかしその屋根の連なりだけを見ていると、ラサのポタラ宮殿のようでもある。

滝双鹿図 滝の前で鹿のカップルが仲良く舐めあっている。足の細さ、胴の横長さ。ベロが可愛い。しかしオスはひしゃげて見える。眼だけカエルのように上についている。

大津絵鬼念仏図 大津絵そのものではなく、やっぱり俳画の楽しさが入り込んでいる。
短冊など貼り混ぜて出来ている。mir571.jpg


関羽図 美髯公として財産の神として、中国では古くから慕われている関羽だが、日本人は三国志が大昔から好きなので、やっぱりその画題の作は多い。ここにいるのは関羽だけでなく、後にモンゴル風な帽子をかぶった、びっくり目玉の張飛が後から顔を出している。

外法と大黒の相撲図 この二人の組み合わせはよく見かけるが、大抵は髪剃りなどで、相撲と言うのは初めてだ。相撲すると言うより肩を組んでのフォークダンスに見えて仕方ない。

本もあり、ページが開かれているが、壁には全頁のコピーが展示されている。
在原買山『春の絵會』 俳画集か、可愛い絵が多い。股のぞきするシカや、布袋に話しかけられる稲荷山の狐さんたち。耳はピンとしつつ背中は丸く、愛らしい。目は^^なのだ。

大津絵見立て忠臣蔵七段目 これは楽しい。上からお軽、大石、斧九太夫というところを、大津絵キャラが演じている。床下の鬼が可愛くて仕方ない。
mir572-3.jpg クリックしてください。

楳亭に比べ、金谷の方が絵の滑稽味は薄い。しかしご当人はトンデモ系らしい。
坂本で庵を結んだそうだが、比叡山でなにやら大変な行が始まると、これ幸いとそのツアーに入り込む。誰もやりたがらない役目を我から受けるのも、そのツアーに参加したさのためとやら。こういうキャラは晩年まで楽しく生きて行ける。
正式な門弟ではないが蕪村に私淑していた、というのがよくわかるような。

鍾馗大臣 チラシにもなったが、大きな目が印象的で、衣服の線の太さが力強くていい。
細かいところは細い線を使っている。巧さがある。いい感じ。
これなら魔も寄ってこれないだろう。

美人図 鳥居帽子をつけた美人、もしかすると女ではないかもしれないが、いずれにしても「美人」は美人だ。この展覧会では珍しい美人画でもある。1797年城崎温泉で描く、とある。
mir572-1.jpg クリックしてください。

孔明奇策図 三井寺にある扁額風絵馬というか、板絵。船上の楽団みたいな鉦太鼓を持つ連中。どの戦のときの奇策なのか。

春開帳庚申青面金剛 境内で青面金剛の大きな面をつけた人がいて、信者や野次馬らで賑わっている。青面金剛は大津絵の画題にもあったと思う。

法然絵伝 これはさすがに畫僧を名乗るだけによく描けている。多分、実際に絵解きとして使われもしたと思う。法然上人の子供時代からの始まりで、二幅出ていた。比叡山での学習、負ぶわれての山中行路、家族との別れ、襲撃、剃髪など。ただし「法然頭」と呼ばれる頭の描き様ではなかった。色紙大の絵が何面も貼り付けられている。

月下清助居士草庵図mir572.jpg クリックしてください。
薄い月の光の下に小さな庵がある。こういう暮らしは出来ないが、出来ないからこそ、古来より画題として愛されるのかもしれない。
白澤庵所蔵と言うのを見て、6年ほど前のシアトル白澤庵コレクション展をここで見たことを思い出した。あれはなかなか素敵な内容だった。
そして去年京都・東京の近代美術館で巡回された都路華香展だが、彼の絵の名品もこのコレクションで多く見ていたのだった。

他に彼らの師匠・蕪村らの作品が少しずつ出ていた。
紫陽花に猫 寝る斑猫。黒の方が多い。よく寝ている。右手が口許に上っている。
指先はきれいに分かれているのが珍しい。

張月樵 玉后弾琴図 扇面図で美女が窓辺に身を見せながら琴を弾く。彼は呉春の弟子。
このあと見に行った琵琶湖文化館にも作品があった。

たいへん楽しめた。十年以前ならニガテだった分野だが、今はこんなにも面白く思える。
俳画の妙味に楽しみを覚えるようになったわけか。
展覧会は4/20まで。途中で入れ替えがあるそうだ。
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コメント
時間を経て興味を持つようになることって多いですね。
私は若い頃面白い、と思えなかったようなことで興味がわいてきたものがたくさんあります。
見たいもの、知りたいこと、たくさんあって、生きてることが楽しくて仕方ないなぁ、と考えるようになりました。
2008/03/16(日) 21:53 | URL | 紫 #-[ 編集]
紫さん こんばんは
>時間を経て興味を持つようになることって多いですね。
実感ありますよね。
わたし今日天ぷらあげてたのですが、子供の頃ニガテだったナス・レンコン・タケノコがおいしくて仕方なくて。
他にもセロリなんて大好きです。
しんどいことも多い一方、いくらでも楽しみが拡大化してゆくのを感じます。
2008/03/16(日) 23:06 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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