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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

琵琶湖文化館でみたもの

琵琶湖文化館と聞いてもピンと来なかったが、ほとりにたつお城みたいな建物と聞けば「ああ、あれか」と。それが今月末で閉館すると言う。memeさんのブログで知り、大津歴博の別所駅からまっすぐ島ノ関駅へ出た。
IMGP3767.jpg湖岸から。IMGP3768.jpg 正面。
実はここに来るのは22年ぶり二回目。親に連れられて来たとき、水族館だった。絵や仏像など記憶がない。中に入りこれまでの46年間の歴史を読むと、やっぱり水族館もあったそうで、それらは琵琶湖博物館に移行したそうだ。絵画の大方は瀬田の近代美術館に移っている。その近代美術館ではヴォーリズの展覧会が開催中。
近江は寺社系文化財が全国四番目に多い地なので、ここにも国宝や重文がある。
しかし仏像がニガテなわたしはあんまり見ない。仏画だけは辛うじて眺める。

聖衆来迎寺の国宝・六道絵を見る。鎌倉時代の作。畜生道が特に目立つ。嘆く象の表情や色彩が今もよく残っている。
同寺の重文・絹本著色阿弥陀二十五菩薩来迎図 これはやはりきれいだと思う。
特に惹かれたのは三月経曼荼羅図 仏の眷属には美麗な存在が多い。それを眺める。
また如意輪観音像があり、これは鎌倉の作だと言うが、インド美人のような趣があった。
つぐんだ唇になんとも言えない魅力がある。
真っ直ぐこちらをみつめる大きな眼にも蠱惑的な・・・
(仏画に俗な美貌を求めてよいのかどうかは別として、やはり美麗なものが好きだ)

続いて『青の造形』と題された企画を見る。
孔雀の絵が並んでいたり、紺紙に金か銀かの文字で綴られた法華経などがある。
そう、色んな青色の造形。
孔雀は六幅出ていたが、昨日の張月樵や若冲の作も含まれている。

宇野宗甕 青磁桔梗香合IMGP3771.jpg

これは現代の人の手による作品だが、とてもきれいだと思う。

清水卯一 青磁貫入茶碗  元々清水の青磁貫入が好きなので嬉しい。大き目の貫入は薔薇の宇宙のようだった。

わたしの目的は「風俗画」なので三階の会場へいそいそと上がる。25点のなかなか良い絵が並んでいた。

洛外図 どこを描くのかわからない。小島に人々が寄り集まる。金雲は大きい。
近江をも含めての洛外なのか?

山法師強訴図mir574.jpg

比叡山の山法師はしばしば武装して神輿を担いで強訴に来たそうで、迎え撃つ方も陣地を堅く守っている。背には矢が負われ、相手の出方を見守っている。
あの後白河法皇でさえ自由にならぬのは「サイコロの目と賀茂川の流れと叡山の僧兵」だとこぼすくらいだから、よっぽど凄いのだ。そう言えば去年、京都歴史資料館で『八瀬童子展』を見たとき、彼らと比叡山とのトラブルの文書を見もした。
作者不詳だが、勢いのあるはっきりした絵だった。

紀楳亭 俳画人物図 昨日記事にした絵師。こちらもたいへん楽しそうな人物ばかり現れている。酔うて女にもたれる高僧、踊ったり鬼ごっこするような人々、しゃべり声や歌舞音曲の音色まで聞こえてきそうな気がする。

岩佐勝重 若衆図 後に手をついてくつろいだポーズで本を読む若衆。黒地に真桑瓜の数珠繋ぎ文のような柄の振袖を着ている。
その隣には、
菱川師宣 美人図 殆ど同じ体勢の女がいる。こちらは赤い内掛で、文を読んでいるらしい。実は今日のわたし、この女と似たような髪型をしていた。
この二枚の絵を並べて展示しているところに、学芸員さんの遊び心を感じ取る。
芭蕉の句「梅柳さぞ若衆かな女かな」これを思い出す。

大津絵・青面金剛図 これはちょっと不思議な味わいのある作品だった。土俗的な魅力がある。不動と白衣の童子らと三猿、トリたち。大津絵と言うより素人絵師が絵馬に描いたような、ああいう感覚である。こういう作品に出会うとゾワゾワする方だ。

大津絵・雷図 デンデン太鼓を地に落とした雷が、雲から身を乗り出して、鉤爪で拾おうとしている。
その隣には、
大津絵・鷹図 こちらは谷岡ヤスジ的な鷹で、アサーとか言いそうな口の開け方をしている。もしかするとアサーではなくアホーかもしれない。なんせ隣の雷に向いているのだから。

狩野氏信 源平合戦図mir573-1.jpg

那須与一が矢を放ち、扇が今しも海へ落ちてゆく有り様を描いている。武士たちの表情が一人ひとり違いを見せていて、さすがに狩野派の絵だと思う。
武士だけでなく馬もそれぞれ個性がある。

横井金谷 鬼念仏図 こちらも昨日記事にしたが、大津絵のキャラ設定を借りて創作した絵だった。傘を背たろうた鬼はどことなく破戒僧(というか追い出され者)風で、見返る顔にどことなく淋しさがあった。

駒井源 江口之君図 チラシが入手できず陽の入る写真なのだが。
IMGP3769.jpg

さすがに応挙の弟子で美人画が(特に唐美人が)得意の絵師だけに、なかなか綺麗だった。

円山応挙 楊貴妃図 籐籠に赤い牡丹が差し込まれたものを手にした彼女は、ひどく地味な拵えをしている。これはまだ玄宗のもとへ上る前の、一時的に道観にいた頃の姿を描いたのだろうか。飾り一つない珍しい姿。
しかしながらその隣には、
岡本豊彦 楊貴妃図 鳳凰の飾りのついたティアラをつけた彼女が笛を吹いていた。

月岡雪鼎 業平東下り図mir573.jpg

マメオくん登場。切迫感のない奴め。雪鼎は上品な作品が多いので、どんな絵でもどことなく優美に見える。
伊勢だけでなく源氏絵もあった。しかしそれらの中でもこの月岡の作がいちばんよかった。本当にここのコレクションは立派なのだなぁ。

吉村孝敬 鍋冠祭図 これも陽が入ったが。IMGP3770.jpg

この風習、フェミニズムの観点から言えばセクハラとしか言いようがない。だから今では小学生の幼女たちが行う。(最近の中学生ではシャレにならないかもしれない)
しかし絵そのものはほんわかムードに満ちている。
応挙の弟子の中でもこの絵師の絵にはどことなく妙な味わいのある作品が多い。プライス・コレクションの唐獅子ファミリー図もそうだった。

五階の展望室から琵琶湖を眺める。
IMGP3765.jpg噴水までしている。雪も残る。
IMGP3766.jpg

琵琶湖の風景はtanukiさんが素敵な写真を多く記事にあげている
目を移すと、俵の藤太ゆかりの三上山も見えた。
琵琶湖文化館・・・復活する日があるなら、また来てみたいと思った。



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コメント
あらら~~!!!めちゃ近くまでお越しだったのですね!!
これで観劇の日程が遊行さんのご都合と合っていたなら、ご一緒できたかもしれないですね。残念!!
琵琶湖文化館という名称は時々耳にしていたのですが、あの建物だったとは!しかも今月いっぱいで閉館とは残念です~。これはぜひ機会を作って見に行かねば、と思いました。
最後に私のブログも紹介していただきありがとうございます。
m(_ _)m
2008/03/18(火) 14:08 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
tanukiさん こんばんは
そうなんです、残念。先週、恒例の近代建築探訪ツアーが安土なので、滋賀を楽しもうとばかりに走り回りました。

この建物は子供の頃、あんまり感心しなかったのですが、今になると郷愁まで誘われますよ。

tanukiさんのような水面のきらめきまで写し撮る画像、というのは難しいものでした。うーむ、未熟者なわたし。
2008/03/18(火) 21:43 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
おおっ、確かこの日は鎌倉とんぼさんが琵琶湖の竹生島へ渡られて、
素晴らしいお天気で湖面の煌きがそれは美しかったと伺いました。
上の絵の小島には弁天さまがありましたか? それなら竹生島かも??
2008/03/21(金) 20:05 | URL | 山桜 #-[ 編集]
山桜さん こんばんは
残念ながら比叡山の残雪と西大津のほうの写真なんで、竹生島は見えない~~。
 月海上に浮かんでハ 兎も波を奔るか 面白の島の景色や
謡曲竹生島。
柄の波ウサギはここから取られたようです。
弁天さんのおわすところ・・・
2008/03/21(金) 23:02 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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