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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ドイツポスター1890?1933

チケットをいただいたので喜んで出かけた。
基本的にドイツが好きである。ごく幼い頃からドイツに憧れていた。
今もドイツ語に触れると嬉しくなる。
京都国立近代美術館によると、
グーテンベルク以降の印刷技術とその豊かな歴史を持つドイツでも、フランスとりわけパリの動向さらにはイギリスの影響を受けて、1900年頃から近代的なポスター、つまり画とテキストが融合した新しい視覚媒体としてのグラフィックへの関心が高まり、第一次世界大戦前に最初の黄金期を迎えます。その際に特徴的なのは、19世紀的な「絵画的ポスター」から、いわゆる「即物的ポスター(Sachplakat)」が台頭してきたことです・・・ バウハウスやその他の新たなデザイナーたちによって、ドイツのグラフィックは第二次世界大戦前、第二の黄金期を迎えることになるのです。
好ましいところだけ選ってしまった。
mir579.jpg 各時代のポスターたち。

絵画的ポスターから即物的ポスターへの転換が、実はモダニズム精神そのものだと思う。
会場には四十年余の間に生まれたポスターが170点ばかり展示されている。
会場はアート系の学生らしき人々で、随分賑わっていた。

ポスターの裏面がリストになったものをもらった。それとチラシとを手にしてぐるぐる廻る。
商業芸術ってなんでこんなに刺激的で面白いのだろう。
目から飛び込み意識を刺激するのがシゴトだから、当然ポスターにはその力が期待されている。
それが即物的であればあるほど、意識に残る。
前代から同時代のフランスでは、ロートレック、ミュシャ、シェレらのポスターが活きていた。
あれらは言わば「芸術的ポスター」で、即物性は薄い。
エスプリを大切にする国民性と言うのもある。
それと趣を異にしたのが、ソヴェートになってからのポスター(ロシア構成主義の)、日本では里見宗次ら以降のポスター、そしてこの時代のドイツのポスターなのである。
わたしはどちらかと言えば芸術性というか、日本のポスターでも美人画ものが好きなのだが、しかしこうした即物性にも惹かれるのは確かだ。
何しろわかりやすい。
このわかりやすい、と言うのは大切だ。何を言いたいかわからんポスターでは仕事にならない。
情緒を排除したところに新しいシャープさが生まれる。
因みに日本のポスター史はこちらに詳しい
のぞいてみて、実に多くの資料と画像があるのに感心した。

さてドイツの20世紀前半。19世紀末からの余波が活きている時代。
「ドイツ近代ポスターの先駆者たち」

ハンス・バルシェク 『伯林生活誌』mir578-3.jpg

ペーター・ベーレンス『接吻』mir578-1.jpg

これらを見ると、ユーゲント・シュティールの影響を感じる。

「ドイツ近代ポスターの黄金時代」
ドイツ諸都市に開花したポスター芸術、ということだが、ミュンヘンがポスターアートの最先端の地だったらしい。ドレスデン、ベルリンとの差異はわたしにはわからない。
カンディンスキーの作品も並ぶ。第二回サロンのポスター。

<Mercedes>とあるからベンツか、と気づく。ダイムラー自動車会社。1914年。
こんな時代の車に乗ってみたい。

旧宮邸のポスター。mir578-2.jpg

なぜか魚が上を泳いでいる。これはあれか、ここがホテルか保養地かになり、魚釣りも出来ますよ、的な?

もっとハッキリしているのはこちら。
「お菓子を買うならS―i印だけ」mir578.jpg ・・・けっこうロコツだな。

見ていて面白いものが多い。やっぱり商業芸術は見て・見られてナンボのものです。
目立たないとアカン。言いたいことハッキリしないとね。
テキストより絵で一発でわかるのが本当にいいポスターだと思う。
そしてキャッチコピーは短いほどいい。

とは言え戦時下に入るとこれがまた言葉が増えてくる。
たとえばこんなのがある。
「無政府主義と其の暴行脅迫に対して独逸の各階級は一致して祖国を擁護せよ、今や我国は危急存亡の秋なり、救え」
「独逸の戦闘員、非戦闘員捕虜に対する救済事業、今日は我が捕虜に対する犠牲日なり」
・・・・・・わかるのか、これで?
そしてこのときの絵に面白いものがあった。
虎の顔をした半裸の巨大な男性が民衆を覆いつつ、襲おうとしている。
どうみても、タイガーマスクの悪者バージョン。
う?む・・・独逸も大日本帝國も、ユーモアが消えた時点で没落していったのだなぁ。
ただのプロパガンダというのは面白くないものだ。
「暴力にもユーモアがある」と言う言葉は、通用しない。

最後にカルピスのポスターや杉浦非水のそれもあり、数だけでない充実感があった。
今月末までだが、かなり楽しめる内容だった。
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コメント
Deutsuland Deutsuland uber alles
これは「すべてに冠たるドイツ」という意味か「すべてを超えて統一ドイツを作ろう」という意味か論争があると大学時代に習いましてねー。
さてこの展覧会チケット僕も持っているのですが30日までですよね、日帰り京都行けるかなー。
できれば河鍋暁斎と梯子したいと思っていたのですが暁斎は四月からですね、うむ無念。
京都で今めぼしい展覧会ってやっていますか?
ちなみに今日発売の「美術の窓」は暁斎の大特集ですよ!
明日お彼岸は府中にまいります。
2008/03/19(水) 22:43 | URL | oki #-[ 編集]
okiさん こんばんは
京都では丸太町寺町の歴史資料館で「京の鳥瞰図」高島屋で「辻村寿三郎」、細見美術館で「源氏絵」、京都市美術館「心のふるさと」が開催中です。あと文化博物館は出光からの巡回に色々プラスの「乾山と光琳」です。
それと、この展覧会のサイトが楽しいです。
いっぺんのぞいてみてください。目玉が目印です。瞬きするんですよ。
2008/03/19(水) 23:07 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
あ~、この展覧会行きたいと思ってるんですよ♪
NHKの「新日曜美術館」のアートシーンでも紹介されてましたよね。
こちらで予習できてよかったです(^^)
芸術と宣伝を見事に融合させてますね♪
学生の頃に習ったドイツ語も思い出せればよいのですが(笑)

2008/03/19(水) 23:16 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
tanukiさん こんばんは
これはなかなか面白かったです。
受付でポスター兼リストをもらいまして、場内ぐるぐる。
グラフィックの面白さを実感できますよ。
とにかくタイガーマスクなポスターにはウケました。
オシャレなポスターも多くて、みどころオオアリでした。

ドイツ語は大好きなんですが、だいぶ忘れてきてます~(泣)
2008/03/19(水) 23:39 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんにちは。
TBありがとうございます。

記事まだまとめきれていませんが、
年内にとりあえず「御返し」を。

2008/12/28(日) 16:36 | URL | Tak #-[ 編集]
☆Takさん こんばんは
お疲れ様です!
ようやく回復されたばかりのお体、
のんびりなさってくださいね。
2008/12/28(日) 20:25 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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