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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

美の壷を楽しむ 1

なんば高島屋に『美の壺』展がきた。楽しみに待っていた。
10のテーマがある。それぞれ楽しもう。
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まず染付。
吹墨兎文皿  これは馴染みのうさぎ皿で、あちこちで見掛けるが、それだけ人々に愛された皿なのだ。これは栗林コレクション。
続いてうさぎが丸く控える皿がある。ひどく可愛らしい。初見。思わず下手な絵を描いてしまったくらいだ。
吹墨山羊文皿  吹墨が夜の靄のようで、薄い三日月の下に昂然と顔を上げる山羊を静かに写し出す。山羊文は初見。
辰砂鶴形香合  長い首を伸ばして羽繕いする鶴が愛らしく表現されている。仁清にもこんな作品がある。丹頂に辰砂が使われているが目立ちはしない。ここまでが栗林コレクション。ええのをお持ちですなあ。
染付唐草文輪花小皿  これがすばらしい!見込みは濃い藍の唐草で、ぐるりは白地の唐草。実にすばらしい。やはり器というものは自分が使う気で見てしまうところがあるから、この小皿は(むしろ小鉢)自分で使いたい欲望をかきたてるのだ。ああ、本当に欲しい…!戻ってまた見たが、やはり欲しい。手頃な大きさ、濃い発色。唐草自体にそんなに愛着はないが、これは凄いわ。名残惜しく・未練がましく行きつ戻りつを繰り返した。これは九州陶磁文化館の柴田夫妻コレクションだという。

次はアールヌーヴォーガラス。
国内には諏訪の北澤美術館という素敵な美術館がガレやドーム兄弟の名品を蒐集している。
ガレ 蜻蛉文脚付杯 チラシで見る限りではわからぬが、トンボの目玉は緑色なのだ。
♪トンボの眼鏡は水色眼鏡 青いお空を飛んだから 飛んだから
そんな歌もあるが、このトンボの丸い目玉は綺麗な緑色だった。
ガレのガラスの解説としてこんなことが書かれている。
「チェコやヴェネツィアの透明なガラスと違い、不透明なガラスであることが光を閉じ込め・・・」その通り、光が封じられてガラスの内部で出口を求めて増幅している。
屈折率の美は見られないが、多重層の美は味わえる。まるでアラバスターのような。
二種の木蓮水差がある。一つは半透明で、もう一つは不透明。不透明の方が艶かしかった。
花のふくらみ具合、色の折り重なる部分・・・密やかな歓びをそこに見出している。
ケマン草文花器 ウランをガラス生地に混ぜているので、紫外線を当てれば緑色に発色する。これはついこの前、たばこと塩の博物館で坂崎幸之助コレクションの中でも見ている。
あちらはメイド・イン・ジャパンのガラスだが、きれいなのに変わりはない。
ガレからドームへ。
ドーム兄弟の繊細さが行き渡る作品たち。アネモネ花瓶、スミレ文香水瓶。これらの良さは愛らしさにある。
ガレを武井武雄とすればドーム兄弟は初山滋のようなかんじ。

魯山人の器/織部焼
織部の実物を見つめ続けて、その本質を掴んだ・・・このエピソードは凄い。
どんな教本よりも確かな話だ。
銀三彩俎平鉢 こういう発想があるのが凄い。チラシで見れば銀も灰色に見えるが、実物は銀彩である。角皿の誕生は革新的だったそうだ。
志野四方平鉢 まるで雪中に立つ木のようだった。

会場には谷啓さんのお座敷が再現されている。建具がいい。床の間の建具、麻柄も入り、本当に素敵だ。蓄音機からはジャズの他にクレイジーキャッツの曲も流れてくるそうだ。

根付・櫛
根付や櫛の良いのはこれまでにも数多く見ていている。
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大阪市立美術館のカザール・コレクション、京博や東博のコレクション・・・いいものを多く見た。それでもまだ足りない。ここにあるのを見ると初見もあるので、やっぱり嬉しい。
特に気に入ったのは黒柿製のわんこと黒檀に象牙を使った白蔵主。昔のと今出来のウサギとの対比が面白かった。ほかにも芳藤の『東海道五十三次猫之怪』の岡崎から取った、寄った猫が面白い、。彼の師匠・国芳は『猫飼好五十三匹』を描いたが、弟子はそれでいい。
そういえば南北の芝居『獨道中五十三次』ではおかざき(国芳に描かせると<をがさけ>になる)は化け猫の国だそうだ。
黄楊で出来たイノシシなども可愛かったし、よくもまぁここまでと思うほど細かい細工が施されていた。
櫛は是真と羊遊斎のがそれぞれ並ぶ。
表・背・裏の続き絵が楽しい。こういう技法を返し文というのか。
以前から見ているくせに、名前を覚えていないのだ。
月雁秋草文 この蒔絵が本当にシャープできれいだった。満月の下での萩ススキ・・・
秋の良さはこうしたものに示されている。

続きは明日。
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コメント
こんにちは。

白蔵主の根付け、いいですねー。でも現在これがどこの
何者かわかる人は少ないかも。昔、伏見人形で白蔵主を
見て、京都の人は教養あるなーと感心した覚えがあります。

彼岸の天王寺、曇りで夕日は見られませんでした。
でも導師についてお経を読んできました。見えない夕日を
心に想うというのはまさに弱法師のようですが、また機会が
あればリベンジします。
大阪くらしの今昔館は面白かったです。江戸時代の町屋が
楽しかったです。屋根に猫も乗っていて。

翌日は結局、民博に行きました。企画展の中国少数民族の
文化、ウサギやテントウムシの形をした灯籠などが展示
されていて、珍しくも面白かったです。

教えていただいた、HOOPの中華料理のお店もおいしかった
です。とくに杏仁豆腐が。

来月は大和文華館に二十年ぶりくらいに行けたらと思って
います。
2008/03/23(日) 02:31 | URL | ひろすけ #-[ 編集]
こんにちは。
やっと復活の兆しです。お見舞いありがとうございました。
この美の壺シリーズは、NHKが団塊狙いしたのかと思っていましたが、大好きなものばかりで、「銀花」のテレビ版のように
うっとり見ています。東京の高島屋には行かれませんでしたが。
ガレはサントリーで始まり、これもまた楽しみです。
洋は、光を取り込み、サンシャイン。和は月明かりで雪洞。
この続き、楽しみに致します。
大丸の、「写真とは何か」もうすぐ東京入り、
写真はあまり見てないのですが、瞬間にくらっと来ます。
2008/03/23(日) 10:37 | URL | あべまつ #-[ 編集]
ひろすけさん こんにちは
>伏見人形で白蔵主
素朴で可愛いでしょうね。この話も北斎の絵がありますし(旧萬野コレクション)、『釣狐』でなんとか命脈を保・・・ってほしいなぁ、と思います。

>見えない夕日を心に想うというのはまさに弱法師のようですが
20日、雨の後のミナミをうろつきながら、くるくる舞いの夕日が見えぬのは残念ではあるけれど、それもまた一興になるかも・・・
などと考えておりました。でも、リベンジなさってくださいね。

>モスリンの着物を楽しまれましたか。大坂の再現は楽しいです。
屋根の猫、路地のわんこなどの他、季節により町家の装いが変わったりするんです。夏なら天神祭と言う風に。
民博、大好きです。チラシがまたキッチュな感じで楽しくて。
ああ、あの中華を楽しまれてよかったです。わたしもあそこの杏仁豆腐すきです、とろとろな感じがよくて・・・

来月の大和文華館は4/4から松浦屏風などのほか、桃山・江戸の人物画とか風俗画が出そうです。
時期によれば三春の滝桜の子孫櫻が満開のときに会えるかもしれません。外しても、ほかの花々が迎えてくれますよ。
4/5からは奈良国博で『天馬』、奈良県美はミネアポリスの浮世絵が松涛美術館からの巡回です。
2008/03/23(日) 12:47 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
あべまつさん こんにちは
ゆっくりなさってくださいね、暖かくなるにつれ良くなることと思います。

>美の壺シリーズは、NHKが団塊狙いしたのかと思っていましたが、大好きなものばかりで、「銀花」のテレビ版のように
わたしは時々「サライ」を思います。
広い世代の方にウケてるようで、会場はそれこそ老若男女にまみれてましたよ。
谷啓さんのキャラがいいですよね。時々ガチョ~~ンも出るし(笑)。

高島屋と大丸とは良い展覧会を送り続けてくれてます。
本当にありがたいです。
世界で唯一、デパートで展覧会が行われる国だというのを考えると、まだまだ捨てたものではないなと思ったり。

ガレも大概見たように思いますが、こうして名品に出会うと「うわぁ♪」です。やっぱり良いものはよいですね~。
サントリーは和洋の蒐集がたくみですね、見て裏切られることは少ないですし。

>大丸の、「写真とは何か」もうすぐ東京入り
これはやはりよかったです。わたしは社会性が高くないので報道写真がニガテなのですが、色々と考えたりしました。
やはり写真はゼラチン・シルバープリントのものが好きだな、と実感しました。
大丸向かいのチケットショップには時々掘り出し物がありますよ。
2008/03/23(日) 13:09 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
「美の壺」、東京の高島屋では最終日に行き、客の多さでじっくり見られず、横浜の高島屋でリベンジを果たしました。先に大阪でやってくれれば、遊行さんの記事を見て、それこそ「壺」を心得た見方が出来たのに!残念!もう一度東京で開催しないかなぁー。
小生、フットワークが悪く、大倉のガラス展も、資生堂のバルビエも最終日に転がり込む始末です。
ガラス展は鼻煙壺に目が向きっぱなし、ラスター彩にガラスの油滴か?と妙な思いに駆られ、あとの作品をじっくり味わえなかった。
バルビエで、これはテレビドラマ「ポアロ」の舞台だなと勝手に想像し、香妃のケースの前で、確か山田耕作がオペラ「香妃」を作曲してなかったかしらん?と別の事を考えたりで、ラリックの香水瓶を十分には見ず、それでも無名作家の象の香水瓶に惹かれました。
本当、展覧会って慌てて行くもんじゃあーりませんね。(反省)
2008/03/23(日) 14:51 | URL | 悲歌・哀歌 #-[ 編集]
悲歌・哀歌さん こんにちは
全国の高島屋を巡回していたようですね、先月は京都と名古屋だったようです。

鼻煙壷はたばこと塩の博物館にも一大コレクションがあり、これがまたすばらしいのです。一度現代作家の制作シーンをVTRで見ましたが、細い細い筆で内部に描いてゆく様は、神業でした。
>ラスター彩にガラスの油滴か
素敵ですね、そういうのも。
わたしは時々陶器に磁器のような輝き・ガラスの輝きを見出してみたい、と妄想に駆られます。

ポアロは丁度そのアールデコの時代の人なので、バルビエ描く情景の中にそっと佇んでいても、おかしくなさそうですね。
(綺麗な女の人を見ながらも、灰色の脳細胞を回転させるのはこわいもんですが)

昔の作曲家は色々な歌曲や組曲を制作してますが、貴志康一『仏陀』、伊福部昭『鬢多々羅』などを実際に聴く機会があればなーと思いもします。
象の香水瓶は可愛かったですね。象の造形はいいものが多いです。
展覧会はやはりゆとりを持つのがいいだろうな、と思います。
わたしもこれまで何度オノレをノノシッたことか・・・
2008/03/23(日) 15:48 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
この展覧会
ごった煮でたいしたことないと
高く括っていましたが、豈はからんや。
予想はたいてい外れるものです。。。

大満足でした。
2008/03/25(火) 11:36 | URL | Tak #JalddpaA[ 編集]
Takさん こんばんは
本当に、この展覧会は大満足でした。
ASA友の会のおかげで無料招待を何度でも受けれるので、
既に二度見ましたが、もう一度最終日までに行こうと思います。
総花的な内容ですが、ええのが揃ってましたね~~

欲しいものが何点もありましたよ。
2008/03/25(火) 20:57 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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