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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

春の意匠 大和文華館の春

大和文華館に出かけた。
ぽかぽか陽気の日で、花も色々咲いているだろうと予測しながら歩く。
展覧会のタイトルも『花の意匠』春はやっぱりよいですね。
IMGP3803.jpg

椿・梅・桃・桜・蘭 それらの意匠が描かれた絵画と工芸品が並んでいる。
だいたい春のつく言葉や歌は気持ちの良いものが多い。
ひさかたの 光のどけき春の日に しづ心なく 花の散るらむ 紀友則
春の海 ひねもすのたりのたりかな 与謝蕪村
浅野匠頭や西行の翳りも好ましいが、今日はこの気分。

椿 
『蒔絵椿紫陽花文提重』img903-1.jpg

いつ見ても好きな提重。可愛くて仕方ない。
丁度一年ぶりか、再会は。

『仕女図巻 伝仇英筆 文徴明詞書』
大和文華館の至宝の一つ。夏の蓮池もよしブランコもよし、春もまた楽し。奇岩が配された庭園でくつろぎ、おしゃべりを楽しむ女たち。ああ、気持ちいい・・・

『竹製蒔絵椿柳文茶入 酒井抱一図案・原羊遊斎作』
img902.jpg 黒い椿が二輪、竹に埋め込まれている。
実物はあまり大きくないが、隅々まで愛らしい筒型茶入れ。胴と蓋と。そして花の置かれ方は綺麗に逆方向なのだった。


『四君子図 山本梅逸筆』 
梅逸の絵をここで見ると、甲東園の頴川美術館に早く行かねば、と焦る。そのチラシには梅の木が描かれていた。ここには四君子が描かれているとはいえ、実はいちばん意識を惹くのは、その背景の白なのである。際立った白色。その白を際立たせるために細い描線の墨絵を描いたのか、と思われるほどだった。大きな絵。

『梅花牡丹小禽図 孫億筆 康煕49年(1710)』
梅と牡丹はここでは白い花びらを見せている。小禽は青色で嘴のみ赤い。つがいのいる風景。しかしながら二組の鳥のカップルは、隣の相手をじっ とみつめている。

『寒月照梅華図 富岡鉄斎筆』 
墨の濃淡の美しい絵だが、これは次の絵と対になる。夜梅は墨の濃淡の美が第一なのかもしれない。そう思わせる良い絵。
『梅華満開夜図 富岡鉄斎筆』 明治44年(1911) 近藤家旧蔵  
どちらも近藤さんのために描かれたようだが、こちらは満開の梅に彩色が施されている。しかしそれがどうもあまりよくない。爺さんと孫の二人のほのぼのした様子は伝わるのに。

『清水裂』img848.jpg

可愛いので好きな裂。群青色の地に松喰鹿や鳥たちが楽しそうに縫い込まれている。お気に入りの一品。梅に鳥の文様を『清水』と言うそうだ。

『瑠璃釉松竹梅文有蓋壺 呉須手』 清前期
面白いことに、盛り上がる梅は白梅だと言うのに、白い花とは言えないような、瑠璃地をにじませている。少し法花を思い出すような造形。
 
『青花陽刻花鳥文蓋物』朝鮮
この陽刻は既に陽刻を越えて、木彫のそれのように見えた。こんなハキハキしたもの、他では見ていない。

『織部梅文皿』5点  珍しくピンク色が使われた織部。むろん梅の花の色。とても可愛い。そして織部らしく、セットであっても同じ絵柄ではない。こういうのが欲しいような気がする。ベージュ地にピンクの花、茶色の枝・・・甘いセンスもいい。

『色絵金彩柿右衛門写梅竹虎文皿』 マイセン窯1745年頃 
アウグスト二世の頃か、色々な悲話や稗史を思い出す。
虎が吠え掛かっている。日本人にとってライオンが幻獣であったように、欧州の人間にとって虎はいったいどういった存在だったのだろうか。

『色絵梅文大壷』img849.jpg

この壷も春を代表するだけでなく、大和文華館を代表する逸品なのだった。

『螺鈿花鳥文筆筒』   朝鮮・朝鮮  
梅に鶯の素敵な柄が入っている。李王家が朝廷を開いていた頃の朝鮮には、眼の覚めるような工芸品が多く生まれている。

『螺鈿梅月文合子』   朝鮮
螺鈿にも色々な技法があるようで、これは朝鮮で多く流行った埋め込み式螺鈿。茶色の玳瑁のような地に満月とふくよかな梅が咲き誇っている。

『象牙象嵌梅文八角香合』  
江戸前期の工芸品には、舶来の匂いが残っている。琥珀色の地に梅の意匠がいくつも。
可愛らしい花のパターニングが続くことに感心する。 

『螺鈿蒔絵梅文合子 尾形光琳・乾山合作 原羊遊斎模造
これは原本はなくなっているそうだが、本当に素晴らしい。
いかにもな白梅がぎっしり満ち満ちて溢れそうになっている。羊遊斎は本当に名品を作る。
酒井侯の弟君は、この品物を見て大満足だったろうな・・・

『彩漆絵梅鶯文盆』 この技法の日本最古のものはといえば、玉虫厨子を以って嚆矢とするらしい。すばらしく綺麗な色目を見せる盆だった。

『梅雀図六角筥』 平福百穂筆

以前からとても好きな箱なので、こうして絵柄をスキャンできて、大変嬉しい。
金箔・銀箔が文様のように置かれ、それを止まり木のようにして雀のデートが続いている。



『古画縮図(花鳥)』 狩野探幽筆
鳥の赤さ、花が目に残る。写生・模写がいかに大事かを実感する。

『春林書屋図 』呉春筆
いかにも呉春。お客さんが来るのをじぃっと待っている主人。
以前は好まなかった画題も最近は段々と馴染んでくる。



『寝覚物語絵巻』img850.jpg

全く珍しいことにカナのロの字の一番上線の位置で展示されていた。
この絵の物語は失われているが、春の訪れを喜ぶ気持ちになる絵なのだった。

『春日曼荼羅図』
室町頃の作画期の作品。仏たちの影向がある。暗い中に仏たちだけは浮かび上がっている。
地上の鹿のいる前に桜が咲いている。二分咲きくらいか。

『忠信次信物語絵巻 2巻のうち
これも以前に見ているから、大和文華館の秘蔵品以外はほぼ見たことになるか。
素朴な筆遣いの巻物で、息子たちの後生を弔う老母の心根が伝わってくる。阿弥陀堂を建て、念仏に勤しむしかないのだった。

『源氏物語図屏風 岩佐又兵衛筆 
若紫・蓬生・澪標・明石・絵合・若菜上・・・これらの名シーンが又兵衛ふうの筆致でイキイキと描かれている。絢爛華麗にして繊細周到な絵で、実に隅々にまで神経が通っていた。

『親鸞上人剃髪図』田能村竹田筆 
おぶわれて山を分け入る姿や、いよいよ剃髪という情景が描かれている。
絵解きに使えそうな作品だった。

『一閑蒔絵枝垂桜文棗 嵯峨棗』『蒔絵枝垂桜柳文棗 嵯峨棗』
枝垂れ文様を描いた棗を嵯峨棗と言うが、どちらもとても愛らしく美しい。

本も色々出ていた。
『都名所図会』天明6年(1786)版
『大和名所図会』寛政3年(1790)版
『江戸名所図会』天保7年(1836)版
丁度花の季節を描いたシーンを出しているが、とても面白い。名所図会というのはどうしてこんなに浮かれ心をあおるのだろう。


『蘭石図屏風』 与謝蕪村筆 
奇岩と蘭のコラボレーション。蕪村は春から初夏にいい作品が多いように思う。

菜の花
『東山第一楼勝会図画帖』 渡辺南岳・余田正胤筆ほか 寛政11年(1799)
寄せ描きというか、興に乗った絵師たちが京都東山の第一楼で描いたようだ。
チラシの菜の花に黒い蝶。それがチラシにも選ばれた絵なのだが、色の対比がとても綺麗だった。

ああ、楽しかった。本当に「春の意匠」を集めていて、それを楽しませてもらえた。
庭園も春の装いに変わっていた。そのことはまた後日書きたいと思う。今月末までの展覧会。

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