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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

(今更ながらの)V&Aの浮世絵

2/7だから随分前の話だが、神戸市立博物館でヴィクトリア&アルバート美術館所蔵の浮世絵展に出かけた。東京では太田記念浮世絵美術館で四期に亙って展示換えがあった、展覧会。この感想文をどうしてかこれまで書き損ねてきた。理由はわからない。
今日はそのことを少しだけ書くことにする。

展覧会は四つのテーマに分けられていて、それぞれ名品が出ていた。お客さんも大勢来ていて、めでたいことだったか、近年の海外からの里帰り浮世絵展の盛況にはただただ恐れ入るばかりだ。いつの間に現代人はこんなに浮世絵が好きになったのだ。
ちょっと聞いてみたい気がする。
そういえば名古屋のボストン美術館では4/6までやはり浮世絵版画名品展をしているし、奈良も来月から巡回のミネアポリス美術館の浮世絵を展示する。

喜多川歌麿 青楼遊君合鏡 玉屋内 春日野 歌浜
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二人の綺麗な太夫。微妙な違いが目鼻にある。しかしこうして並べばわかる違いも、単身ごとに見ればわからないかもしれない。
眼の位置の微妙な差が二人の容貌に違いを生んでいる。
この二人はライバルなのかそうでないのかわからぬが、立兵庫の春日野と手前の歌濱とは、見ていると鏡花の小説『風流蝶花形』とを思い出させるのだった。
作中の二人はそんなに位の高い遊女でもないのだが、この絵の二人は作中同様、距離感のなさを感じるのだった。

魚屋北溪 鬼若丸鯉退治
この画題は多くの絵師がよいのを残している。国芳にも力強いのがある。
北渓にしては珍しいような選択だと思った。

鳥居清峰 遊君六歌撰 深川裏櫓 鶴屋内 大淀
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この絵師は知らないが、名前を見ると納得するような絵でもある。
鼈甲の斑の目立つ櫛笄が面白い。見立絵の本歌の歌人もなんとなく面白い。

歌川広重浅草奥山 貝細工 仙人・鷲
歌川広重浅草奥山 貝細工 鶴・兎
歌川広重浅草奥山 貝細工 猿
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幕末に「上方細工くだり」として浅草奥山に、ツクリモノの言えば展覧会があり、爆発的に繁盛したそうだ。そのビラは15年くらい前から見ているが、とにかく当時の名だたる江戸の浮世絵師らはどんどん描いていった。
わたしもツクリモノ・細工見世物が大好きだ。国立演芸場の資料としてもそれらは多く蔵されている。これは貝で出来たツクリモノだが、今なら菊人形と陶器人形と野菜でこしらえたものくらいしか目にすることはない。幕末の楽しさは実はこんな所にある、とわたしは信じている。

酒井抱一 蚊 
団扇絵に蚊か。金鳥の夏 日本の夏 このキャッチコピーを抱一上人が知っていたとは思えぬが、諧謔もここに来たか、という感じで面白かった。

喜多川歌麿 肩に乗る子供 mir599-3.jpg

楽しい家族写真の趣がある。パパはけっこうイケメンで、ママも(その当時の)イケテルひと。坊やは坊やでコスプレしている。

河鍋曉斎 薄幸物語
新薄雪物語は芝居としては名作で、悲劇の物語だが、薄いという字を嫌って、あんまり上演されることはない。数年前国立あたりで上演したはずだが、見た記憶がない。

河鍋曉斎 写生する美人
口に筆を咥える美人。描いた絵はシルエットでしかわからない。ああ、もうすぐ暁斎展が始まる・・・

歌川貞秀新板早替両面化物 源九郎
こういうのは理屈抜きに面白いし、楽しい。「面白い」に理由を聞くヒトにはこういう感覚、わからないのだろうな・・・

歌川国芳通俗水滸伝豪傑百八人之内 雲裡金剛宋万
国芳も武者絵で大爆発しただけに、水滸伝の好漢を描いた作品はどれを見てもカッコイイ。
わたしが水滸伝を読むようになったのも、このシリーズからの教示だった。
最初は村上知行の訳本(井上洋介の挿絵)、次が平凡社刊の駒田信二の訳本120回本。
期待・・・栄光・・・斜陽、没落。

勝川春亭 深川新地之図
ちょっと変わった色調だと思う。赤に黄色を添わせている。船も家も川中の木々も。
なんとなくシルクスクリーンを思い出した。英語で言うとカッコイイが、型抜きのところへ色を塗るあれ、というのが一番近いかもしれない・・・
今日まで書かなかった理由はわからないものの、改めて思い起こすと楽しい展覧会だった。
うーんやっぱりボストン美術館展に行くのか・・・。
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コメント
こんにちは。
春日野 歌浜を見ていないなぁと思ったら
太田では四期に分けての展覧会だったのですね。
神戸では一気に展示されていたのですか。
私もこの2年くらい浮世絵ブームにしっかり乗って
だいぶ詳しくなりました。
ちょっと前までは北斎、歌麿、広重くらいしか
知らなかったのです。
2008/03/30(日) 04:58 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
一村雨さん こんにちは
>神戸では一気に展示されていたのですか
そうなんです。その点ではとても助かりました。
しかし松涛でのミネアポリスは前後期共に千円なので、300円x2の三倍ですよ。
ちと悲しいです。

浮世絵はええものです。
六大浮世絵師だけでなく、幕末の絵師など特に好きです。
2008/03/30(日) 15:45 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
懐かしい~
こんばんは。
浮世絵は最近好きになりました。このV&Aは太田では見てなくて、去年の11月に名古屋遠征に行った時松坂屋美術館で1回見ました。時間がなくて駆け足だったので、図録を買いました。
遊行さんがこのエントリ書いてくださって良かったです。久しぶりに図録をめくって、そうそう、色々あったなあと思い出しています。私は歌川国安の芸者がお気に入りでした。

2008/03/30(日) 20:35 | URL | ogawama #-[ 編集]
ogawamaさん こんばんは
うまく時期がずれたことが郷愁を呼ぶ・・・?
うふふ。
国安、国直ら普段あまり重要視されない絵師たちの作品も多く出ていましたね。
見ながら「明治初の外国人の目の高さって・・・」と感心したりトホホになったりでした。
でも流出したことで大事にされ、今の世の日本人がそれを愛するようになったことで、こうして再会できるのですから、やっぱりよかったかな~とも・・・
2008/03/30(日) 21:39 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
酒井抱一の団扇絵
こんばんは。酒井抱一ファンのはろるど君に太田の蚊の団扇絵のことを話したら、あわてて飛んでいったことを思い出しています。
2008/03/30(日) 22:02 | URL | とら #8WYMted2[ 編集]
とらさん こんばんは
>あわてて飛んでいったことを
蚊だけに飛んでいったのでしょうね。
(叩かれそうです、わたし・・・)

皆さんが蚊だ蚊だと仰ってたので、楽しみでした。
2008/03/31(月) 21:24 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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