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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

さよなら雅俗山荘

三月の初め、ついに逸翁美術館(雅俗山荘)が閉館してしまった。
五十年の歳月、このうるわしい別荘美術館で数多の名品が展示されていたのだが、来年以降はここではなく、新しく造成される建物に移るのだった。


池田文庫の隣と言うから、その点では気楽なのだが、美術館の建物そのものが美の対象でもあったため、ひどく淋しい。
今後は小林一三記念館になるそうな。
最後の展覧会は『蕪村と呉春』前期は1/27に見学し、後期は閉館直前に出かけた。
以下、ノスタルジィにまみれた感想文が続く。
IMGP3339.jpg


既に前期の感想は書いている。

入ってすぐに師弟二人の義経と弁慶の絵があり、それを眺める。
これらは今回の通期展示なのだが、それでもみつめる。

呉春 陶淵明画賛 蕪村句貼紙  蕪村の死後、弟子たる呉春が蕪村の短冊を見つけ、それを台紙に貼り、自分が陶淵明の肖像を添えた。これらは蕪村の娘の嫁入り資金になったので、「嫁入手」と言うそうだ。この画の陶淵明の鼻に覚えがあるなと思ったら『天牌』の元帝王のそれとそっくりなのだった。

蕪村 闇夜漁舟図  この絵は以前にも見ているが、光と闇の効果が巧い作品で、とても和やかでよい感じの絵なのだった。
働く父子と、彼らを待つ母親のいる家からは灯りが。

蕪村 帰去来辞図  縦長の画面右上半分にこの名詩が連ねられている。
この詩の全容についてはこちらに掲載されている。
わたしは高校生の頃、授業でこの詩を知り、感銘を受けた。今では到底そのときの感情を再現することも追想することも出来ないが、当時確かに感動したのだ。
これが元で漢詩にのめりこんだのだから、ちょっとした感傷がある。

蕪村 晩秋遊鹿図屏風  右隻の鹿はつがいなのか仲良くしている。前足をがぶっと噛む牡鹿に、クールな雌鹿。そんな彼らを羨ましそうに眺める若い鹿・・・
どことなくとぼけた味わいのある絵だった。

軽く見てからお庭に出た。
ああ、裏から眺める建物の美しさよ。
IMGP3345.jpg


この手水は、わたしがいちばん最初に来たとき、メジロか何か小禽が水浴びをしていた場所。
そのとき11月で、雨の日だった。しかしほぼ20秒間、小禽はそこで水浴びをした。
IMGP3342.jpg


お庭の燈篭でお気に入りの、月下に杜鵑(と思う)のもの。IMGP3347.jpg


いくつかある茶室の一つ人我亭。IMGP3346.jpg


こういう空間構成が好きなのですよ。
IMGP3348.jpg


こちらは逸翁美術館の旗。神戸市在住の画家・戸田勝久氏のデザイン。
IMGP3338.jpg

古美術にこの素敵な色調の旗はとても合う。

「財団法人 雅俗山荘 逸翁美術館」というのが正式名称らしいが、来秋にはどんな名乗りを挙げるのか・・・。
門からこの表札も外されるのだ。IMGP3336.jpg


ともあれ、長らくありがとう逸翁美術館、雅俗山荘・・・

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コメント
ゆくものはかくのごときか
お世話になっております 
結局 呉春さんの梅 観ることかないませんでした
新装開館(?)の際も ようございましょうが
ううむ 水月図でしたか 酒井抱一 なども
この建物で 観てみたかったところですな
しばわんこも再放送おわってしまったし
この春も 去っていく存在は多くございますな
ご自愛ご健筆を
(追伸)
日経関西版の週末夕刊連載を編集した
「上方文化を愉しむ」という本に
小林一三さんほか 美術館を設立した方々の
お話がいくつか掲載されています
既知のところとは存じつつ おせっかいにて
2008/04/01(火) 19:47 | URL | TADDY K. #1xXJNkSU[ 編集]
TADDY K.さん こんばんは
本当に残念です。
呉春の梅は新館展示が多かったので、その点ではまだ口惜しさは軽減しますよ。
抱一や呉春、乾山、是真などをここで見るのが喜びなんですが・・・はなはだ残念です。

しばわんこ。わたしはぐーたらでお手伝いがお邪魔にしかならないみけにゃんこのタイプです(笑)。

>「上方文化を愉しむ」という本に
こういう情報を教わるのがネットの良いところですね。わたし、日経新聞好きな割りに読む時間がないんです。会社が取ってるばかりに、却って読めないと言うへんな状況です
2008/04/01(火) 22:03 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
(念のため)訂正の一信
お世話になっております 
桜下美人立姿図に幻惑されたらしい・・・
こちらです(「もっと知りたい上方文化」)
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/32013983
第4章が個人的には面白かったです
※当然ながらご返信不要にて ご自愛ご健筆を
2008/04/02(水) 13:05 | URL | TADDY K. #1xXJNkSU[ 編集]
まぁまぁ、そない言わんと
TADDY K. さん こんばんは
ありがとうございます。
あたし的には2章と4章とが好ましそうです。

予告: 来週、この雅俗山荘の撮影に出かけます。
2008/04/02(水) 21:17 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。とうとう閉館になってしまいましたか。結局、おすすめの際の一度しか行けませんでしたが、本当にあの雰囲気を堪能しておいて良かったなと思います。お庭から眺める建物の味わい、そして木立とその先に見えた青空とのコントラストがまだ目に焼き付いています。

また後日撮影なさるのですね。素敵なお写真、楽しみに待ってます!
2008/04/02(水) 22:24 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
はろるどさん こんばんは
>お庭から眺める建物の味わい、そして木立とその先に見えた青空とのコントラスト
本当に、それがこの場所の魅力なんだと思います。
ポカッと青い空。それだけで胸が明るいです。

ここではないですが、今回湯木美術館でたいへん多くの抱一の短冊を見ました。
はろるどさんにもぜひ味わってほしいです。
2008/04/02(水) 22:53 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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