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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

河鍋暁斎展感想 3

これで感想文もおしまいです。
6. 笑いの絵画 
明治の作品だが、描いたのは江戸の諧謔精神を身につけた絵師なのだ。
明治は笑わないことが主流になったが、それでもこうした作品が活きていたことの意味は大きい。

89  書画会図  1幅  明治九年(1876)
メチャクチャな一場。ドタバタ喜劇のような書画会。会はやっぱりこうでなくっちゃ。
 
91  地獄太夫と一休  1幅  明治四年(1871)以降  イスラエル・ゴールドマンコレクション
121とはまたビミョ?に違う。
     
93  蛙の車引き  1幅  明治四年(1871)以降  河鍋暁斎記念美術館 
かえる好きな暁斎の嬉しそうな顔が見えるようだ。
最初の師匠国芳は猫狂いで猫の狂画を描きまくり、弟子はカエルまみれ。・・・そういえば川端龍子や小川芋銭は河童を愛していたなぁ。
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94  蟹の綱渡り  1幅  明治四年(1871)以降  河鍋暁斎記念美術館 
蟹の曲芸。しかし綱から落ちかけてる蟹、ハサミで綱を握ってるのってヤバくないか?
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以下の鳥獣戯画はアンダーソン氏が所蔵し、後に大英博物館に寄贈された作品群。
95  鳥獣戯画 鼠曳く瓜に乗る猫  1枚  明治十二年(1879)頃 
96  鳥獣戯画 蛙の蛇踊り  1枚  明治十二年(1879)頃 
97  鳥獣戯画 蛙と猿の的射ち  1枚  明治十二年(1879)頃 
98  鳥獣戯画 動物と昆虫の踊り  1枚  明治十二年(1879)頃 
99  鳥獣戯画 蛙の盆踊り  1枚  明治十二年(1879)頃 

以前の江戸東博での暁斎展のとき、他の絵を見た。カエルの道中や、他の動物たちの日の丸行列など。とにかくどれを観ても楽しいし、面白い。風刺とかより、まず可愛い?面白い?という気持ちが先に立つのだった。

100  大仏と助六  1幅  明治四年(1871)以降  イスラエル・ゴールドマンコレクション
これは構図が面白い。近すぎるとわからないので少し離れて眺めると、「うぉっ」だ。
助六は大佛の唇の上の人中でミエを切っていた。かっこいいぜ、さすが助六だ。
   
103  五聖奏楽図  1幅  明治四年(1871)以降  イスラエル・ゴールドマンコレクション
釈迦、キリスト、孔子らが仲良く合奏している。ちなみに釈迦は三味線を弾いている。
これをみて大観『迷児』を思い起こすこともあるが、それ以上にコミック『聖☆おにいさん』のブッダとイエスののんきな日々を想起させられる。
   
105  浮世絵大津之連中図屏風  2曲1隻  明治四年(1871)以降
彦根屏風のキャラたちと綯い交ぜになっていて、シリアスとギャグキャラが越境でコラボしてる?という感じである。
     
106  狂斎興画帖(「とう」尽くし)  1冊  明治三年(1870)以前  河鍋暁斎記念美術館 
外道・魔道などとにかくトウ(またはドウ)の字がつくものをより集めている。地口の楽しさがある。
 
107  吉原遊宴図  1幅  明治十二年(1879)以降  河鍋暁斎記念美術館 
これは以前にも見ているが、何の展覧会で見たのか、ちょっと忘れた。宴会で主人客だけが醒めている。宴席にナゼか出演させられた屏風の達磨はムッとしている。
 
7. 物語、年中行事 
当然のことながら、旧幕の人間は年中行事を大事にした。
それらが十二カ月図屏風などになって、ここに展示されている。
絵としても面白いが、風俗として眺めるのも興味深い。
そして彼らの教養は深いので、伝承物語をよく知っていた。
 
111  ロンドン大宴会(『西洋道中膝栗毛』より)  1面  明治九年(1876)以降  河鍋暁斎記念美術館 
笑ったのは、この宴会に出ている連中が、揃いの猫柄浴衣をのんびり着ていることだった。
小学三年の頃、膝栗毛にハマッたわたしだが、いまだに西洋道中の方のは読んでいない。
 
112  桃太郎絵巻  1巻    河鍋暁斎記念美術館   
桃太郎出生には2パターンあるが、こちらは回春型ではなくメジャーな果生型。
しかし暁斎がもしこの笑い話を知っていたら果たして描くだろうか。
・・・おばあさんの庖丁が桃太郎を脳天唐竹割りしてしまい、桃太郎は血塗れになりました・・・うーむうーむ。

どこの所蔵かは知らないが、日本神話を描いたものも出ていた。
国生みから海幸山幸まで。中でもスサノオがよかった。
113  日本神話 島々の誕生  1面  明治十一年(1878)     
114  日本神話 神々の形成  1面  明治十一年(1878)     
115  日本神話 須佐男命の追放  1面  明治十一年(1878)     
116  日本神話 天孫降臨  1面  明治十一年(1878)     
117  日本神話 海幸と山幸  1面  明治十一年(1878)     

8. 暁斎の真骨頂 
晩年の作品もある。暁斎の到達した地平。

121  地獄太夫と一休  1幅  明治四年(1871)以降  福富太郎コレクション資料室 
にやけるな、オヤジ。 色んな地獄太夫と一休の図を見てきたが、ここまで「コラコラ」な一休は知らない。チラシで踊っているのが一休だが、あの右手の爪は何なんだろう。
 
126  河竹黙阿弥作『漂流奇譚西洋劇』パリス劇場表掛りの場  1面  明治十二年(1879)  GAS MUSEUM がす資料館 
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実はこの絵は所蔵先のがす資料館で見ている。なかなか面白い絵で、建物そのものに関心のあるわたしはアーカンサス装飾柱や、街燈などを楽しく眺めていた。
 
128  河竹黙阿弥作『漂流奇譚西洋劇』パリス公園地の場下絵  1面  明治十二年(1879)  河鍋暁斎記念美術館 
どうやら父子再会物語らしい。思えば何十年か昔のドラマやマンガにはそういうジャンルがあった。
父親を探して旅する話が。
 
131  北海道人樹下午睡図  1幅  明治十九年(1886)  松浦武四郎記念館   
132  大森彦七鬼女と争う図  1面  明治十三年(1880)  成田山霊光館   
134  大和美人図屏風  2曲1隻  明治十七?十八年(1884?85)  〈コンドル旧蔵〉   
どうも131は涅槃図のパロディ、132は明治になってから人気になった芝居絵、と言うことも出来そうな気がする。そして大和美人の描写の濃やかさに改めて感心した。
この美女は、江戸東博の’94の回顧展ではチラシの一枚美人に選ばれていた。
先週だったか、NHKで熱心にこの絵の美人のことが話題になっていたが、その解説を聞いてから改めて眺めると、当時気づかなかったような楽しみまで見出されてくる。
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長々と感想文を書いたが、本当に面白い展覧会だった。
存分に楽しませてもらい、ありがとうと礼を述べたくなっている。
企画した京博と、貸し出ししてくれた諸家と、そして誰よりも、没後百二十年を経た河鍋暁斎そのひとに、感謝・・・
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コメント
東京の宿題もいっぱい残っているんだけど、GW明けの週末に行ってみますか。(本当に行けるか?)
ほかに、お勧めは何でしょう?
2008/04/30(水) 00:39 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
楽しかったです
若冲や蕭白に続いて、埋もれた絵師、
暁斎の再発見とはいいながらも、
暁斎の展覧会はもうずいぶん前から、
あちこちで開催されているのですね。

それでも、今回の展覧会は文句なしに
楽しかったです。
遊行さんの感想を拝見し、そうだそうだと
うなづくことばかりでした。

2008/04/30(水) 04:53 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
はじめての暁斎でしたがはまってしまいました(笑)福富コレクションの『地獄太夫と一休』が好きですね。
2008/04/30(水) 16:46 | URL | kazupon #-[ 編集]
☆鼎さん こんばんは
そりゃやっぱり文化博物館の源氏物語千年紀、細見の若冲、近美の不矩さん、天王寺の聖徳太子ですよ。
奈良の天馬もすばらしかったですし。
あとは甲子園に行って阪神の応援です。あ、チケット完売でした。


☆一村雨さん こんばんは
暁斎はわりと人気がありますね。
なんだかうまい間で展覧会があります。
でもこんなに大規模なのは空前かも・・・。うまい分類でしたから、見て歩くのが楽しかったですね。

☆kazuponさん こんばんは
福富コレクションはいいのが多くて、リストにその名を見るとホクホクします。今回もよかったですね~
それにしてもいいラインナップでした。大英博物館からもいいのが来てくれて嬉しかったです。
2008/04/30(水) 21:18 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんにちは!
すごいボリュームのレポ、展示を思い出すように拝読いたしました☆
ああ、夢中でみたなあ…って思いながら。
私もこの魅力溢れる作品を大事に受け継いできてくれたたくさんの人に感謝です。
願わくば、もっといろんな絵が出てきますように!
2008/05/08(木) 18:35 | URL | はな #-[ 編集]
はなさん こんばんは
これは凄く面白い展覧会でした。
京都で暁斎ぃぃ?と思っていたのですが、さすが京博。やってくれました。
所蔵家の方々がいかに暁斎の作品を愛しているかを実感できましたね。
楽しかったです。
2008/05/08(木) 21:07 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
とりあえず美人画だけは見落とさず
お世話になっております
先週末上洛 午前に文化博物館 午後に本展 などと画策も 
どちらも(大)混雑 まして本展は 夕刻になっても 人が残りまくり 背後から攻めるも・・・
楽日前日では推して知るべきでした
なぐさめ(?)の図録と共に 本稿を味読させていただきまする
それではご自愛ご健筆を
2008/05/15(木) 19:55 | URL | TADDY K. #fjJSDZ0o[ 編集]
TADDY K.さん こんばんは
いいなー図録買われましたか。
いい内容でしたよね、色調も。
わたしは重さに負けました(涙)買えば財布は軽く、荷物は重く、心は軽く、だったのに。
どちらも大混雑・・・そうでしょうねぇ。特に源氏はオバサマ方で溢れてたのでは?
わたしも源氏に行かなあきませんが、作戦を練ってるところです。
2008/05/15(木) 23:24 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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