「対称の美」をみる
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近代日本画と洋画に見る対称の美。
技法や道具だけでない<なにか>がそこにあるのか。
なにがあるのか。
泉屋分館は好きな美術館で、都内ハイカイには必ず向かう場所だ。
何を展示しようとも必ず見ている。
リストを見ると、それぞれ風景や静物画、歴史画、美人画などがその<対象>となっている。トーナメント方式のようなものかもしれない。
風景を描く(洋画)
鹿子木孟郎 ノルマンディーの浜 どちらかと言えば怖い顔立ちの奥さんとちび姉妹らがいて、その向うに象さんのようなカタチの岩が見える。モネがよく描いていたあの岩。
エトルアだったか、そんな名前のような気がする。
梅原龍三郎 北京長安街 赤い屋根がいちめんに広がる街には、緑も深く濃い。今の季節に描かれたのだろうか。梅原の色彩は常に華麗だ。いやなひとにはいやなものかもしれないが。
モネ モンソー公園 これは泉屋のちょっと自慢の絵なのだが、案外世評はよくないようだ。しかしわたしは好き。元々「公園の絵」そのものが好きなので、わたしの評価は甘い。いい感じの公園だとか、木花が可愛いとか、モネだからと言うことを忘れて、そんなことを思う。
故事・歴史を描く(洋画)
ジャン=ポール・ローランス 年代記 百年前のアカデミックな絵。爺さんが室内で孫のように若い女に年代記を。この絵を見ていると、明治初の洋画のようで、なんとなく油絵という言葉の本来の意味を感じる。
小杉放庵 金太郎遊行図 放庵の金太郎シリーズは色々見ているが、この金太郎も可愛い。クマに乗りアケビやブドウを土産にしている。ウサギもついてくる。みんなニコニコ。
見るこちらもニコニコ。
故事・歴史を描く(日本画)
原田西湖 乾坤再明 アメノウズメのダンスです。アメノウズメのダンスは日本画では他に梶田半古や富岡鉄斎の絵がある。右端には他に常世長鳴鳥もいるが、こやつらはわたしの目からサヨナラするにして、アメノウズメの表情が何とも言えず良いな、と思う。
こういう表情は日本画のほかには見ない。洋画ではありえない表情だと思う。
恍惚。それを画家は描く。
堂本印象 北条時宗 厳しい顔立ちの若き執権。未曾有の国難に対する意志力の強さが見る者にも伝わる。’43年と言う時代の中で生まれた作品なのだ。
菊池容斎 鼠狐言帰 鼠の嫁入り譚を描いたシーンが開かれていた。丁度お嫁入りのところ。陸尺も餅運びも皆とてもリアル。狐のそれは見れなかった。
これを見ているとき丁度、列品解説があったが、この絵は戯画ですかと問うひとがあった。
学芸員さんは言下に違う、と答えていたがそれでは菊池容斎は何を目的にこの絵を描いたのだろうか。鼠婚だけなら身分相応と言うことの誡め、とも受け取れるが。
そこのところを聞いたみたかった。残念。
美人画と肖像画
上島鳳山 十二ヶ月美人のうち 青簾、七夕、姮娥・・・と夏の絵が出ていた。団扇を持って佇む和美人に、子どもの手を止める女や、侍女の少女にウサギをダッコさせる中国の女神、となかなか楽しい。これらがカレンダーだと思えばまた別種の興趣が湧いて来る。
岡田三郎助 五葉蔦 この絵も分館自慢の一枚。百年前のある夏の日、丸髷の女が浴衣を着てこちらをみつめている。洋画による美人画。
岸田劉生 二人麗子図 泉屋分館が出来て初めて世に出たのではなかろうか。京都の本館では見たことがなく、東京でしか知らない。ドッペルゲンガー的な絵画だという評も見たが、それは西洋的解釈のように思う。日本と言うより、東洋的な視線で見ればこの二人麗子にはなんら不思議はないのではないか。
小磯良平 踊り子二人 白いチュチュをつけた二人のバレリーナが中央に立つ。周囲はやや抽象的な描き方をされている。華やかさよりも、力強さを二人から感じる。
花鳥画対静物画
梅原 餅花手瓶薔薇 薄い青の目立つ薄い綺麗な絵。餅花手とは明代末期の互須手の一種。瑠璃釉あるいは茶褐釉をかけて素地を覆い、 その表面に白濁釉で文様を描いたもの。白で表した点の部分が、餅花のように見えるところからいう。ということだが、その翻訳がswatowなのにときめいた。好みではないがスワトウ刺繍を思い出したのだった。
木島桜谷 秋野孤鹿 見返りの鹿がいる。桜谷の描く動物たちはいつも静かだ。こうした絵が泉屋にあることを思うと、やはり住友は大阪京都の文化を愛したのだ、と実感する。
鹿ケ谷の泉屋博古館から桜谷文庫までの道のりを、なんとなく考えた。
熊谷守一 野草 埼玉で回顧展を楽しんでから、熊谷に対してなにやら親しみを感じるようになった。だからこの野草にも「コンニチハ」と声をかけた。
しかし<対象の美>とは言え、熊谷の特異性は全ての絵画の中でも際立っているので、対象しいようがないのではないか。・・・まぁあんまり難しく考えず、楽しめばいいか。
岡鹿之助 三色スミレ これは最晩年の作で遺作に近いそうだ。うっとりするほど静謐な絵。
今ブリヂストンで回顧展があるから来月みに行くが、岡のこの静けさは得難いものがある、といつも思う。背景の色も静かなブルー。何年か前、京都の近代美術館で見た回顧展でも静けさを感じていたから、多分ずっと岡の絵を見れば静謐さを感じるのだろう。
意図された<対称の美>はみつけられなかったが、それでも楽しく見て回れた。
いい気持ちで美術館を出て行った。
- [2008/05/13 23:01]
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コメント
こちらにも失礼します。私も率直なところどこが対照なのか今ひとつ分からなかったのですが、名画展を見るつもりで楽しんできました。相変らず良品を多く持っていますよね。
>泉屋のちょっと自慢の絵なのだが、案外世評はよくないようだ。
そうだったのですか。モネらしからぬ渋さがあって私は好きです。これを泉屋で見るとほっとします。
岡のスミレもとても印象に残りました。あの画肌が素敵ですよね。ブリヂストンも楽しみです。
七恵さんでもピンと来なかったとは、一体何を対象させて見せたかったのでしょうね…
ああ、泉屋と聞くと、どうもホームメイドクッキーの浮き輪マーク缶が思い浮かんで…。
あれが家にあると嬉しかったなぁ
☆はろるどさん こんばんは
わざわざタイトルにそういうのをつけなくても、十分楽しめましたよね。
わたしもモネのあの絵、好きなんです。はろるどさんも同志でしたか♪
数年前、回顧展を京都で見たとき、岡の良さに感銘を受けました。
点描も苛立つものではなく、優しくてきもちいいです。
ほんとうに静謐で、心が和やかになります。ぜひブリヂストンへ!!
☆山桜さん こんばんは
>ホームメイドクッキーの浮き輪マーク缶
わたしも大好きです。
実はハードクッキーで好きなのは、この泉屋を措いて他にない!というくらいファンです。
どれもこれもいいですよね〜
でも、ラスク風のが最愛なんですが、あるときあれと河道屋のそばボウロとが、ほぼ同じ味だと気づいて、ショックでした。
河道屋のそばぼうろ!
只今、脳内で味比べ中。。。
う〜ん、なるほどね〜鼻を抓まんで蕎麦の香りを消すと、ほぼ同じかも!
花形と真中を抜いた○とだったら、迷わず○を拾って食べる私です♪
そしてその時、「ドーナツの穴を食べた話」?だったかな〜を思い出す〜
昔、鼻を抓まんで目を瞑って食べると、スイカと梨(柔ら目になったやつ)
が判別出来ないということにショックを受けましたよ(笑)
山桜さん〜〜
わたしはそばぼうろの穴に指を突っ込んでグリグリしてから食べる女です。
ちくわもそう。ドーナツではしません。
スイカとナシはショックですね。
でもナシは種類によって味ちゃいませんか〜〜20世紀と幸水とラフランスと・・・うーん、わたしも間違いそう。
どうでもよろしいが「対象」というより「対照」といったほうがよろしいのではと。
泉屋、結構いいもの持っていますね。
昨年の「大回顧展モネ」でここからいきなり出品されていて驚きました!
たばこと塩からダイレクトメールきましたか?
次回はダイレクトメール持っていくと無料になるとかー。
まあ百円の話ですが/笑。
「ぐるっとパス」では僕はあと、山種とミュゼ浜口陽三行かないとー。
okiさん、こんばんは
ああ、そうでしたね、ありがとうございます。
泉屋はそりゃ住友ですし、15世さんが文化に金を惜しむな、と行動を示してくださったのですから、今日に至るまで見事なコレクションを続けてはりますわ。
京都と東京の美術館、大阪での寄贈品・寄託品・・・まだまだ凄いものを持っていると思います。
こんにちは、こちらにも。
泉屋には、いつも品の良さを感じます。今回も落ち着いて、上質な絵を鑑賞でき、ホッとしました。
日本の洋画と日本画が対照し合っていたのでしょうか?
知らない画家の作品とも遭遇できて、良かったです。
あべまつさん こんばんは
泉屋分館は洋画を、本館は中世から近代の日本画とに分けて集めていたので、それからしても対照的で面白く思いました。
タイトルの言わんとするところより、単純に楽しめましたね。
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