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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

不易流行

白鶴美術館は春秋二回の展覧会を三ヶ月ずつくらいで開催している。
今年の春季展は三年目の『古美術鑑賞入門』で副題は『不易と流行』



数年前から学芸員の方が変わられたか、チラシだけでなく展示物の解説なども随分違うようになった。その分、残念なことに撮影禁止になったりしたが、それはそれで仕方ないか。
この美術館は中国古代美術を多く蒐集しているので、それを眺める楽しみがある。
今年のチラシ。つまり今年はこの唐三彩鳳首瓶が柱の展覧会。
成形するのに最初からこの鳳をつけているのではなく、別仕立てのものを後から貼り付けて焼成する。そしてそういう手をかけた見事な瓶は高貴な死者の副葬品(明器)として墓所に封じられるのだった。この名品は百年ほど前、鉄道工事の最中に発掘されたそうだ。唐代の美が千二百年後に世に出て、そして今日に至っている。

明代の五彩武人図有蓋壷  これは明代らしい彩色もきれいでキャラも可愛い図柄なのだった。以前からけっこう好きな壷。上役の前で上半身裸で戦いあう武人たち。これは明代なのだが、宋代ならまるで水滸伝のようだ。なんとなく中国の武闘は面白く思う。

染付動物花鳥文六角口壷  6シーンの動物画がある。それぞれめでたい動物たちの集まりで、なかなか可愛く描かれている。中国は吉祥の国だから、なんだかんだ言うてはめでたいものを造るんですね、こうした文化にはいつでも尊崇の念を捧げている。
色も回青が綺麗な発色を見せていた。

陶器の枕が二つ出ていた。わたしは陶枕も籐枕もソバ枕も大好き。全部持ってます。
さて白の掻き落しは唐子がにこやかな顔を見せてくれていて、優しい眠りに連れて行ってくれそうだが、もう一つの三彩枕はどうとも言えない。
金代の三彩詞文枕  縦に並べて焼いたから釉薬が垂れている。
詩歌が書かれている。
少し長いが、自分の心覚えのために書き写す。(ただし旧字はやめた)
月明満院晴如昼巡   池塘四面垂楊柳涙
湿衣襟離情感旧人   人記得同携手
従来早是不廊溜悶   酒児宣得人来痩睡
裏相逢連忙先走只   和夢裏厮馳▲      中呂宮 七娘子
常記共伊初相見対   枕前説了深願到得
而今煩悩無限情人   観看如天遠
当初両意非情浅奈   好事間阻離愁怨似
悄得一口珠珍米飯嚼  了却交別人嚥      中呂宮 七娘子
これは失恋の歌なのだった。

他に奈良絵本『曽我物語』が出ていた。これも以前に見ている。奈良絵本は元々好きだが、こうして眺めると、いよいよ好ましい。結局自分の嗜好と言うのがこういうときにはっきりとわかるのだった。

高野大師行状図画  大師が東寺南大門に佇み、色々あって伏見のお稲荷さんに向かう図が開かれていた。

どうも子どもの頃から絵と物語の一体化したものが好きだと言うのが、今日にまで続いているのを感じる。絵そのものに文学性・物語性が加わっているものほど、好むと言うことを考えればよくわかる。しかしそれにしても去年の展示と重複するものが多いなぁ。

為恭 石清水臨時祭・年中行事騎射図  群青色の美しい屏風。為恭の悲劇を思うと全く気の毒だが、こうした平安時代から続く行事を描いては当代に匹敵する絵師はなく、空前絶後のような存在だったことを思えば、少しは鎮魂にもなるかもしれない。
石清水のそれは承平の将門・天慶の純友の乱を制定後、三月の初午の日に行われるようになったそうだ。左隻は端午の日に行われるそうだ。今も伝わるかどうかは知らない。

なんだかびっくりした展示もあった。
天正から享保あたりまでの大判が並んでいた。大判、つまりおカネですがな。
なんだかこれはびっくりしたなぁ。えらいもん、持ってはるんですねぇ。

綺麗だったのは、蓮華文螺鈿蝶形卓  三本の細い足は鷺足と呼ばれる。螺鈿はとても綺麗。銀杏や細い葉の螺鈿が綺麗。細かく繊細な細工。しかしこれは上から見てもどう蝶形なのかよくわからない。

ところでこちらは去年のチラシmir004-1.jpg

この二点が今回も出ていた。
魚の楽しそうな壷と青磁の鉄鉢、どちらも可愛くて、ぐるぐる見て回るのも楽しい。

新館の絨毯は今回見なかった。少し忙しかったので残念だが、仕方ない。
この展覧会は6/8まで。御影の山の上にあるだけに風は涼しく、とても心地よい。風光明媚な地の美術館。次は錦秋の頃に出掛けよう。
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コメント
今年は、春の関西お出かけは無しになってしまいました。
昨年、初めて白鶴美術館に行った事を思い出しています。

> 為恭 石清水臨時祭・年中行事騎射図
これ、見てみたいような気がします。
2008/05/25(日) 00:25 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
鼎さん こんにちは
真夏の関西もいいもんですよ。
ノーテンファイラーとやらになりそうで。

為恭らしい群青色の綺麗な絵でした。
これはわたしも初見です。
大和文華館の回顧展にも出なかったように思います。
そうそう、大和で今展示中の六道絵、釈迦三尊図かと思われていたのが、実はマニ教のマニとその高弟たちだと発見されたそうです。
2008/05/25(日) 11:45 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。
家の息子、また、大阪に行きたいといっております。夏でしょうね。
ノーテンシャウト!になりそう~

ところで、遊行さんの飼い猫、Maukieちゃま、エライ私と遊んでくれて、感激しました。
上手いこと動くんですねぇ。

この様な展覧を、東京ではどこがしてくれそうか・・・出光か、静嘉か、五島か、根津か。
特別ではなく普段に何気なくやる展覧に魅力を感じます。
五彩の赤い金魚がなんとも可愛らしいです。
2008/05/25(日) 23:30 | URL | あべまつ #-[ 編集]
おこしやす~
あべまつさん こんばんは
大阪にゼヒゼヒおいでください。
わたし、実は一度浅草の花やしきに行きたいのですが、その折にお坊ちゃまをお借りしたいと、ヨカラヌ(?)企みを時々夢想しています。

それはさておき、ねこと遊ぶの楽しいでしょう!色んな動き&ゴロゴロ声もあり、で本当に楽しいです。

白鶴さんは建物も和のすばらしいもので、東洋美術の粋を楽しませてくれて、本当にありがたいです。
清酒白鶴萬歳!
東京の所蔵から考えると、五島が本当はやれそうなんですが、なかなか難しそうですね。
2008/05/26(月) 19:14 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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