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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

瀬戸のやきもの

東大阪市民美術センターで瀬戸のやきもの展を見に行った。
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ここは北摂民のわたしが声を大にして宣伝したいミュージアムで、これまでのところハズレはなし。
えらい、まことにえらい所である。
ブログに挙げたうちでは
貿易扇北原照久コレクションなどがあるが、他にも中右コレクション、鐡斎堂の日本画なども見せてもらい、随分ありがたく嬉しいミュージアムなのだ。

それで機嫌よく出かけると、二階の展示室入り口に可愛いセットが建っていた。
レトロな尾張瀬戸駅の再現。IMGP4302.jpg

こういうのを見るだけでも嬉しくて仕方ない。
基本的に入り口にハリボテがあると喜ぶ体質なので、ついつい撮影してしまった。
ここらはカンニンしてもらえるが、中はアキマセンよ。

入ってすぐにいきなり縄で括られたお茶碗たちがズラズラッと置かれていた。
これはまた懐かしいものを見た、と思った。
大阪には十年ほど前までせともの祭が信濃橋のそばの陶器神社で開催されていて、そこでこんな景色を見ている。あれらは有田焼だからちょっと違うが、それでもこういうのを見ると嬉しくて仕方ない。

展覧会の副題は『一千年の歴史から』とあるだけに、本当に古いのが出ていた。
昔はそう言うのも好きだったが、最近はいろいろ考え込んでしまうので、好まなくなった。
純粋に好ましく思ったものだけあげることにする。
mir692.jpg

青織部菖蒲文向付  抽象的な柄ではなく、菖蒲らしき花が描かれている。色は刷毛をさっとなすりつけたようで、それがまたいい感じ。
これが黄瀬戸でもいいかもしれない。いやむしろ、わたしが欲しいのはそちらだろう。

御深井釉平水指・伝春龍  春龍という作家の作らしいが、これは形はともかく貫入の入り具合に惹かれた。なんとも艶かしい貫入である。名古屋から岐阜にかけての磁器には、こうした魅力的な貫入のあるものが多いように思う。
少し前になくなった塚本快示の作もまた、見事な貫入が多かった。
貫入はただのヒビではなく、宇宙の淵、薔薇の花びらの集積、折り重なる細胞質、そんな風情がある。

鉄絵山水図大皿・横井金谷画  滋賀でみた画僧の絵が焼き物として活きている。
橋を渡る修験者は本人か、と解説プレートにあるが、そうだとするとなにを意味するのだろう。なにしろ右から左へ向かう図なのだし。

面白いのがあった。江戸時代の動物絵のうち、猫や犬や馬は身近な連中だからそうそうズレもブレもないが、ゾウやラクダはどうもビミョ?である。そのラクダ。
竹にラクダの行燈皿。ここに油置いてたのか。ジジッとか音がして蛾が飛んできて、猫が油を舐めて・・・ 思うだけで楽しいが、この絵付けされたラクダはコブありすぎ。

瑠璃釉白盛雲鶴文鉢・三世川本治兵衛  これがなかなか大きなもので、外は瑠璃釉に白盛、見込みは染付で桜川、縁には花唐草と言う手の込んだ作だった。
法花を思い出すようなところもあり、なかなかこれは素敵だった。

他にもまるで螺鈿を思わせるような造りのものもあり、見応えがある。
チラシの作品たちは外国人に喜ばれるような造りのものだが、右下の「やきもの展」の字の下にあるのは、新羅三郎の図柄の陶板である。
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明治になると太平記や前九年・後三年のエピソードが人気になったのが伝わってくる。

近代に入ると、外国に輸出したものやオキュパイド系も出てくる。

加藤唐九郎の作が一つあった。黄瀬戸輪花鉢。これが可愛くて仕方ない。使ってみたい欲望に駆られた。同時代の作家・荒川豊蔵の作の方が私好みのはずだが、これには随分惹かれた。

アメリカに輸出した薄い薄いティーカップセットが不評だった話は面白かった。
なるほど見るからに薄手の作で、これでは確かに熱いのを直に感じるだろう。
小川未明の童話『殿様と茶碗』を思い出すようなエピソードだった。

さてこれらは言えば<使う>瀬戸物だったが、今度は近代の<置いて眺める>ものを見た。
ロココ調絵画を三次元化したような陶器人形たちが並んでいた。
ドレスのドレープもフリルも全て陶器なのが面白い。
昔の温度計のような、ペア猫陶器人形もいい。
ノベルティは楽しいものが多い一方、ちょっとナゾなものもあり、見て回るとどうもフィギュアを見ているような気分になってきた。
こういう認識の錯誤も楽しい。

ガラスの配列に工夫をした見せ方をしたものがあった。
胡蝶蘭の陶器ものだが、鏡を三角にセットしたため、数が増してゆき、眺めるわたしと眺められる花とが増殖していた。
角度が違う写り方をするので、見ていて飽きない。
こうした工夫が楽しいし、必要なことだと思う。

戦時中の代替品がなんとも興味深い。面白くもあり、ナンギでもある。
湯たんぽ、印鑑、釦などはいい。アイロンも見れば可愛い。フォークやナイフもまぁいいことにしよう。
しかし五徳やコンロや蛇口や靴のかかと(!)がそれ、というのを見たとき「なるほど日本は負けるわな」と思ったのも確かだった。

最後の部屋ではまだ若手の作家さんたちの作品が展示されていた。
図柄に感心したのもあれば、ガラスの色合いに惹かれたものもある。
この人たちがどんどん活躍し、さらにいいのを生み出すことに期待しよう。
初夏にいいものを見せてもらい、機嫌よく外へ出た。
展覧会は6/15まで。見応えのある展覧会だった。




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コメント
文化の位置
なかなか充実した展覧会のようですね。お楽しみになった様子、読んでて私も楽しかったです。
橋元さんが大阪府の財政改革をあれこれと考え出されていろんな面で予算が切り詰められていきますが、府の助成金が減らされて、結果こういう文化的な事業にしわ寄せが来ないか最近ちょっと気がかりです。
ところで、私のほんとの名前、気づかれたんですね。
読んだ瞬間、(するどいっ!)とドキッとしました・笑
2008/06/04(水) 23:43 | URL | 紫 #-[ 編集]
文化への罪
紫さん こんばんは
基本的に磁器が好きなんですが、陶磁器と言うのは絵画と違って、どうしてもまず「自分が使う」ことを考えてしまいますね。
紫さんは特にご自分でもよいのを集めてはるから、そういうお気持ちが湧いてきませんか。

ところで大阪のお好み焼き屋さんで「ゆかり」さんはおいしいですよ。
お名前にユカリのある方は素敵なサービスがあるそうですよ♪
2008/06/05(木) 00:28 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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