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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

裏千家所蔵絵画展

裏千家所蔵の絵画を見に出かけた。場所は裏千家の茶道資料館、堀川寺ノ内にある。
先月聖トマス学院(山口玄洞旧邸)見学の前に向かったら、作品の撮影をしていたので見るのをやめて退出していた。
その折にチケットをいただいたので、後期だけでも見に行くことにした。
行くと、受付の方が「先日は失礼いたしました」と挨拶されたので、わたしも挨拶したものの、ちょっと驚いた。
覚えられていたのだ。・・・そのことが嬉しいような恥ずかしいような気持ちがある。
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茶道資料館の展覧会で、所蔵絵画展というのは初めてだった。

第一室入ってすぐに、小磯良平の描いた婦人が目に入った。
千 登三子像  今のお家元のお母様の肖像画。小磯らしい気品と凛とした風格と、そして優しさのにじむ婦人像。これは小磯の絵の性質がそうだから、と言うだけでなく、やはりモデルの方にそうした美が具わっているからの、作品なのだった。

浮田一 北野大茶湯図  天正15年秋の日の、北野での大茶会の様子をさらさらと描いている。そこここで人々が自分なりの野点をしている。不思議な静けさがある。この静けさはフレスコ画によく見受けられるものだが、無論これは浮田の絵なので、全く違う線と色なのだが。

英一蝶 琴棋書画図屏風  対のものを分けて展示しているようだ。それはそれで面白い。
右は春の景で、渡り廊下を行く女御は料紙箱に桜の花びらを納めている。その橋の欄干はまるで衣文掛けの端または長刀のようで、それが交差するところなどはなかなか面白い。
琵琶を弾く男、琴を弾く女たち。御簾を上げて外を眺める女もいる。
池には鴨などが泳ぎ、菖蒲も咲いている。
向うの別棟では時代が下がり、廊下の曲がり角ごとにそれぞれ、僧と碁を打ったり、将棋をしたりしている。検校に負けて、すがりつくのもいる。

左は秋の景色である。学ぶ少年たち。稚児輪を結う子もいる。鹿や樋の流れに秋を感じる。社殿には多くの絵馬が掛かるが、それら一つ一つの筆致が違うのがまた面白い。今からお神楽でも始まりそうな様子である。

酒井抱一 雪月花図  三幅それぞれにその事象が描かれている。花は枝垂桜を一枝。観月の貴人、丸い松に降る雪。琳派のよさをしみじみ実感した。

桃山時代の酒飯論絵詞  狩野派の作らしい。イキイキした人々が描かれている。大倉集古館にも同じ内容のものがあるが、それとはまた違う。庖丁は生間流か四条流なのだろう、庭先にはスギナが咲いている。座敷には青磁の壷。こういう細かいところを見るのが、これまた楽しいのだ。
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さて狩野探幽の描いた寒雲亭襖がある。
それは何かと言うと、サイトから写す。(リンクも貼ったので内部写真が見えます)
飲中八仙(唐の杜甫が作った詩に登場する酒豪、李白・賀知章など8人)の酒を飲む様子を描いた際、一仙人の左右の手を描き間違えたため「手違いの襖」といわれている著名な襖です。
 *寒雲亭とは、千 宗旦(千 利休の孫)の好みで造られた茶室で、わび本位の茶室である今日庵と又隠(2階展示室に写しを設けており、茶室内部を見ることができます)の2つの茶室とは対照的に、書院造りが特色です。広さは八畳で一間の本床と一畳の控えと付書院があります。

半券の左にある坂壷のそばで手を後ろにつく男がそれだ。mir696-2.jpg

探幽は千宗旦に揮毫してもらうつもりが来ないので自分が描き、そこへ宗旦が帰ったので慌てて間違って描いた・・・という伝説があるそうだ。

絵画だけでなく工芸品もいくつかあった。
子香合などはネズミと言うより牛ぽいところがあり、なかなか可愛い。
永楽即全の乾山写雲錦水指も綺麗だった。形は阿古陀ぽい。
茶箱もあった。三井家のいいのを見たのを思い出し、嬉しくなる。

二階に上がる。
狩野惟信画・松平不昧賛の寛政六年の福禄寿画賛  崖上に福禄寿がいて、下をのぞきこむ。松が崖の間にある。人も鹿もいない。漢字で一言『』のような字が書かれている。ツル。そして水面から亀が顔を出している。

守一 『四季花鳥図屏風』  日光や芝の修復を手がけた彩色御用絵師で、それだけに華麗な色調の花鳥図だった。滝が左端にあり、それを見上げるツルたちや、近くに巣を営む雀たちがいい。

三木翠山 雪中人物図  『維新の花』の作者だけに、二人の姉妹は目がパッチリして愛らしさの漂う美人画として描かれてもいる。
蹲から水を汲むのが妹で、彼女に丸い菅笠を差し掛けるのが姉。どちらも綺麗な着物。着物の柄を眺めるだけでも楽しい。塩月弥生子さんのお若い頃の姿。『和食のいただき方』の御本は今でも愛読している。(そのわりに上達しないわたしです)

菱川派 邸内遊楽図屏風  豪勢な舟遊びが目に付く。屋形船ではなく、なかなか大きい船で、漕ぎ手は揃いの黒地の着物の若衆たち。元禄頃の風俗か。
陸では野良で野菜を背負った牛たちが角突き合わせている。秋の銀月。紅葉の下では弓で遊び、邸内では相撲までとってる。大きな盆栽もあり、囲碁、双六で遊ぶものもいれば、琵琶と三味線のセッションまでしている。鶯の籠もある。女が少ないが、遊楽気分は大きい。元禄の遊び方。盲人四人で縄内に入り押し合ったりもしている。へんなゲーム。
生簀もあり、大きな魚が掬われている。茶室でも遊ぶ人々。

色々と楽しめて面白い展覧会だった。
その後は立礼式でお茶をいただいた。
今日のお菓子は六月らしく水無月だった。
・・・ちょっと泣けた。わたしはどうしてか水無月がニガテなのだ。
不思議だ、ういろう好きなのに。
お茶碗は変わった形のもので、手に収まる分にはよいが、飲むのに少し迷うような形態だった。訊ねると、今や陶工となった細川護煕氏の作だった。
展覧会で見たことはあるが、実際使ったのはこれが初めてなので、珍しい経験になったと思う。

展覧会は6/8まで。次は6/21から染付磁器の魅力展が始まる。

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