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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

源氏物語千年紀

源氏物語千年紀
京都文化博物館で開かれている展覧会だが、開館前から行列していた。
6/5の平日に出かけたが、甘かった。
並びましたよ、わたしも。薬師寺展の大行列に混ざりたくないと思っていたが、やっぱりどこかで人間、並ぶものです。
30分近く並んでから会場に入ると、やはり人人人。
千年前の恋物語、たぶん日本人に一番愛されている小説なのだろう。
あまりに人が多くて、まともに見れたものが少ないから、感想もいつものように延々と書くということはせず、章ごとのまとめになると思う。
1.


上記画像が見たいためにその日に出かけたが、どちらも既に見てはいる。再会したいがため。日記絵巻は五島と藤田の所蔵が有名。
こちらは藤田の所蔵。mir698-2.jpg

舟遊びも大切な仕事。薄紫色に褪色しているが、元の色彩に再現されるよりこちらの方が馴染んでいるし、それが日本人の美意識の根源につながることを思えば、このルマンド色と言うのは大切なのだった。

石山寺は今や源氏物語のテーマパーク化されているそうで、ゆるキャラ・大津光くんというのがいるそうだ。
その石山寺には室町から近代までの紫式部の肖像画が色々と集められている。
以前石山寺に行った時、そんな絵葉書を色々買うたが、その隣でご朱印帖に押印してもろてる人もいた。お寺は三十三ヶ所霊場の一つでもあるのだ。
紫式部のポーズと言うのは決まっている。机にもたれ頬杖をつく女、これは後世の見立てもののお約束となった。
ところで紫式部の上司と言うか、源氏のスポンサー・藤原道長の『栄花物語』は今では九州国立博物館の所蔵なのだと、ここで初めて知った。
それでというわけか、平等院から菩薩像が来ていた。
小さい琴を弾く菩薩。mir699-1.jpg


2.mir697-2.jpg

白描の源氏絵は後世のコミックをも思わせる。文だけではやはり寂しいから、絵が入るとそれだけでも世界が華やかになる。
mir698-1.jpg

上はアド・カード。下は同じシリーズの絵はがき。どちらも久保惣所蔵の土佐光吉『源氏物語手鑑』より。
因みにリーガロイヤルホテルでは6/20にこうした催しがあり、mir701.jpg
それに使用されるのはやはり同じシリーズのもの。

わたしが『源氏絵』だけの展覧会を最初に見たのは、’91年夏に今はなき大阪の出光美術館でだった。懐かしくて泣けてくる。あれから17年経ったが、やっぱり源氏絵はこうして人気がある。千年前からずっと人気が持続している。凄いことだ・・・。

「雀の子、犬君が逃がしつる」mir700.jpg

・・・泣いている紫の上をのぞく光源氏。思えばなんだかなーなのだが、この好奇心・好きココロが無ければ、貴族ではなかったのだ。

わたしが気に入ったのは個人蔵の『玉鬘』図屏風。
朝顔が咲き乱れる垣根。光君の目つき、彼を拒みつつ家の中からそちらを眺める女のまなざし。ナマナマしく、面白い絵だった。これはやはり個人蔵だというのがとても納得できる作品だった。

『帚木図屏風』mir698.jpg

人物のいない留守紋様のような源氏絵というのも、たいへんよいものだった。秋の風情が深く心に残る。

屏風も多く出ていて、展示換えされたので見れなかったが、狩野山楽のもあったようだ。
わたしが見たとき岩佐工房のがあり、それもたいへん良かった。
こちらは宇治十帖の方。福井に残る岩佐又兵衛の絵。
mir700-1jpg.jpg

ここ数年は本編より、この続編と言うか新編というか、宇治十帖の方が面白くて仕方ない。
きっと浮舟の心情や行動がメインの物語として、読んでいるからだろう。
振り回されることから抜け出たところに、わたしなどは関心がある。

展覧会ではこの第2章が一番力が入っていたように思う。

3.mir697-3.jpg

写本というのは面白いもので、必ず内容や文章や意味が異なるものが湧いて出る。
源氏物語は元から読み本系なのでそんな差異もないし、色々研究も古くからあるので、異本はないに等しいが、語り物系になるとこれがもぉ比較研究に気合が入るほど、色々ある。
語り物系は語り手の技量が高ければ高いほど、それを筆記したものにズレが生まれてくるものだ。・・・実はそうしたところが好きなのだが。
今回ここにあるのは定家本、河内本などの丁寧に愛されて作られた本ばかり。
わたしは’01年に日本橋の三越で「大正大学本」を見たことがある。あれは丁度辻村寿三郎師が新作として源氏物語人形を拵えたときの展覧会だった。
定家の筆を見て思い出したが、『更級日記』は彼の手によるものを見ていたが、解読するのが苦しかった。それでか、いまだに定家関係の資料を見るとちょっとムカッとくる。
与謝野晶子の所蔵していた源氏。mir699-2.jpg

子どもの頃読んだ、里中満智子の描いた与謝野晶子のマンガが、今でも不意にアタマの中に蘇る。和菓子屋の少女・晶子(アキコではなくショウと呼ばれていた)が嬉しそうに源氏などを読む姿が描かれていて、それがとても印象深かった。
だから今この本を見て、そのシーンが再び蘇っている。

4.mir697.jpg


やつしも見立ても源氏に関わるものが多い。古美術を楽しむためには、最低でも源氏物語と伊勢だけは絶対に頭に入れていないと、ものを見ても意味がつかめなくなる。
現時にインスパイアされて生まれたものも実に多い。
江戸時代の大ベストセラー柳亭種彦『偐紫田舎源氏』がその代表。
國貞ゑがく(鏡花だわ?)光氏の絵があった。派手でいいものだった。

小袖も感心したが、こちらの手箱もよかった。mir699.jpg

工芸品には源氏か伊勢が必ず関係する、と思ったほうが間違いはないかもしれない。見る側も油断できないものだ。

大和和紀『あさきゆめみし』カラー原画も並んでいた。
この業績はとても大きいと思う。「古典なんて」と敬遠していた少女たちにその面白さを深く深く教えてくれた作品なのだ。
改めて眺めて、その美麗さにときめいた。

これらは企画特別展なのだが、常設展のほうで小さい企画があり、堂本印象による国宝の源氏物語絵巻の模写と、畠中光享の源氏の絵本原画が展示されていて、こちらも見応えがあった。

ところで文化博物館には映像ホールがあるので、市川雷蔵の『新源氏物語』などが上映されていて、オールドファンのみならず、若い人も喜んで見ていたそうだ。
わたしはタイミングがずれたので見なかったが。

今年は源氏物語千年紀ということで、先に細見美術館でも源氏絵展があったが、この先は横浜でもそんな催しがあるらしい。みなさん、大いに楽しみましょう。
京都文化博物館の展覧会は6/8で終了した。


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コメント
ああ、そんな混雑しているのですか、歯医者だなんだで行けなかったけど、まともに見られないようでは交通費の損、行かなくてよかったかも。
どちらにせよこの夏横浜美術館で展覧会ありますしー。

さてチケット明日届くと思います。
上野散策されるとのこと西洋美術館の「コロー」も入れておきました、八月末までですから今回行かなくてもいいですよ。
バウハウス・デッサウのカタログは変形で買うかどうかずいぶん悩みましたね。
あとは手紙に書いておきました。
2008/06/08(日) 22:46 | URL | oki #-[ 編集]
私もこの展覧会、行きました♪
5月に行ったのですが、その時は混雑こそしていましたが、行列、というほどではなかったです。。。
だんだんと評判になって、次第に入場者数が増えていったのでしょうか?
私の友人も、先週ぐらいに行ったそうですが、やはりすごい人出だたようです。
おつかれさまでした!
この人気ぶりを、紫式部本人が知ったらどんな顔をするでしょうか・・・(笑)
今、高校生の時に買った円地文子さんの現代語訳を読み直していますが、瀬戸内寂聴さん訳のも読んでみたいな~と思っています。(^^ゞ

2008/06/09(月) 16:04 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
千年前も千年後も人気です
☆okiさん こんばんは
チケットありがとうございます。
この展覧会は本当に繁盛してました。
全国の主だった源氏絵をよく集めたなと感心しましたよ。
コローは8月に行こうと思います。
源氏絵はやはり楽しいです。
それにしても疲れました。


☆tanukiさん こんばんは
やっぱりNHKの威力でしょうかね。
紫式部さん、清少納言さんに「フフン」なんて言いながら、この賑わい振りをメール打ってたりして(笑)。←しかも写メつき。
円地さんの訳文がいちばん好ましいです。
わたしは友人に勧めるときは必ずそれです。いいですね~
2008/06/09(月) 21:41 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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