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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

武徳殿とタルトタタン

平安神宮の本殿西側にある旧武徳殿に行くのだが、その前に向かいのラ・ヴァチュールで有名なタルト・タタンをいただくことにする。
なんでもここのリンゴのタルトこそ日本一のおいしさらしい。
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上に掛かるのはヨーグルトソース。りんご、蕩けてます。いや蕩けるのはわたしか。
アールデコ調の食器も素敵。オールドノリタケ風。コーヒーが失礼ながら、意外なくらいおいしかった。
店内にはやはりアールデコのデザイン画などがある。
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平日の昼過ぎなのでお客さんも少なかったが、このタルトタタンは数に限りがあるので、ない時は泣くしかない。
可愛いお店です。IMGP4334.jpg


レトロモダンないい雰囲気を味わった後は、近代和風建築へ。
滋賀の武徳殿には既に何年前かに出掛けているが、ここは全国の武徳殿の総本山。
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平安遷都千百年記念事業の一環として、組織化された大日本武徳会の武道場。
武術専門の教育機関、つまり武専の学校もこの地にあった。
その記念碑。IMGP4371.jpg

村上もとかの名作『龍 RON』の最初と終りに現れる地です。

鬼瓦。IMGP4337.jpg

この建物は松室重光の設計。京都府庁、京都ハリストス教会、武徳殿と三つの全く性格の異なる建造物を設計しているのは、やっぱり凄い。
府庁も教会も素晴らしく素敵なのだが、この武徳殿のよさもまた大きい。

格天井IMGP4356.jpg

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・・・採光は西洋の良さを取り入れている。
日本人建築家の第二世代だけに、師匠の辰野金吾とは違い、和と言うものを再評価している。

範士の方々に武徳会の型をみせていただく。
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迫力があり、緊張しましたなぁ。

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この玉座は松室ではなく、亀岡末吉の手によるもの。彼は仁和寺宸殿、東本願寺勅使門など近代社寺建築の名手。金箔がキラ????ンッッッ 波文様や向かい合う麒麟などが施されている。
釘隠しは七宝焼。なかなか素敵。IMGP4352.jpg


この皇族専用車寄せもそう。IMGP4374.jpg 
素敵な彫刻。
屋根は舟形風。IMGP4375.jpg


建物と向き合うように京都守護職屋敷門が移築されてそこにある。
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松平容保侯を想う・・・

ところで『龍 RON』最終話のことと関連付けて書く。
89歳になり、盲目の身ながらも京舞を伝え続ける小鈴のもとへ、龍の孫に当たるインド系青年シンが現れ、小鈴の案内でこの武徳殿を訪れる。

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この蔀戸の前で小鈴は言う。
「汗の染み込んだこの匂い。昔とちいとも変わりまへんなぁ」
そしてシンの要望で、龍の師・内藤高治先生の碑を詣でる。
そこで二人は手を合わせて拝む。
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盲目の小鈴は龍の死の報をウソと見破り、シンに言う。
「生きている限り、あの人は自由になれない。だから死んだことにしたんやおまへんか?・・・あての思っている通りなら、一度だけ目を閉じておくれやす。」
内藤先生の顕彰碑の前で、シンに手を伸ばす小鈴。その指先には目を閉じたシンがある。
そして昭和初めの武専に入学したばかりの若き龍の姿が浮かぶ。
「ようこそ!道のため来たれ」その言葉が蘇る。
小鈴は龍を想う。
「そやけどその男はんはまだこの国に帰ってきぃしまへん」
その男は自分のもう一人の子供が打ち上げた人工衛星を、遠きブータンで眺めている。
ていが訊く。
「星・・・?まだ空が明るいのに」
「ああ、あれは新しい星。人類が生んだ星や。」

いつ読んでも胸がいっぱいになる。
二年前、15年にわたる連載が終了した後、この武徳殿にわたしも行こうと思いながら延び延びになっていた。なまじ近いことが足を遠のかせていたのか。
ようやくこうしてこの地を訪れ、撮影できたことが本当に嬉しかった。

いい気持ちのまま歩いた先には夷川ダムの水のきらめきがあった。
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初夏の喜びに満ちた一日だった。
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コメント
『龍 RON』
あぁ、好きで毎回楽しみに読んでいたのでした。そして、いつも間にやらビックコミックオリジナルを買わなくなってそのままになっていました。
急に気になりだしたのでコミックスをかって早速読み直すことにしましょう。

一瞬できまる、剣道の試合を見るのが好きです。
毎年、全日本の中継を楽しみにしています。
2008/06/15(日) 16:37 | URL | 紫 #-[ 編集]
紫さん こんばんは
『龍 RON』は名作ですよね~
わたしは個人と歴史の関わり、みたいな話が好きなので、いつもドキドキでした。
ぜひ集めてお読みください。
連載中も、知ってる場所や建物が出てくると、それだけでも嬉しかったもんです。
2008/06/15(日) 18:29 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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