FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

日本画満開

日本画満開-牡丹・菖蒲・紫陽花・芥子-

今の時期の植物は色鮮やかなものが多く、古から画題として描かれ続けている。
チラシを見たとき、洋画かと思った。
mir715.jpg

田能村直入 百花   1869(明治2)年の作だから洋画からの影響を受けてというわけでもなさそうだが、ちょっとびっくりした。ありがたいことにリストの裏に花の名前が書かれている。漢字と読み方とが。それを見るだけでも面白い。
実物はガラスケースの中で広がっていた。
絵として愉しむより、博学的な楽しさがそこにあった。

23人の作家による花の嬌演。誰の花がよいとか、匂い立つようだとか、そんなことよりも展覧会場にいる間、こちらが蝶になった気分で、あちこちの花を楽しんだ。
ふらふら眺めて廻る心地よさに満ちた展覧会だったと思う。
それでも特に気に入ったものを挙げてゆく。

小林 古径 白華小禽  マグノリアと青い小鳥のいる静かな絵。実は木蓮も泰山木もあまりその差異を知らない。しかしどちらも白く豊かに美しいことはわかる。
花の白さと小鳥の青さの比較にときめいた。

鉢花  わたし好みのねじり祥瑞の鉢に、チューリップがその前に身を横たえている。
染付の清澄な美しさと、チューリップの愛らしさに惹かれた。構図も面白いと思う。

川端 龍子 華曲   『石橋』をモティーフにしていると思う。獅子と蝶と牡丹と。
獅子がゴロニャンしているのが変に可愛い。

花の袖  白菖蒲がまとまって立っている。心が真っ直ぐになるような絵。

福田平八郎 牡丹mir035-1.jpg

これは去年の回顧展でも眼を惹いたもので、なんとも幻想的な美しさに満ちている。宋元絵画のようなところがある。裏彩色がこんなにも幻想的な味わいを生み出させているのか。

花菖蒲  背景は薄い青色、花は藍色。この二つの青色の美に惹かれた。菖蒲だからこそ許される色の取り合わせだった。

山口 蓬春 なでしこ   赤絵のポットになでしこ。ここにはないが小倉遊亀の花の絵には、素敵な陶磁器がよく現れる。野に在るときはそのままで美しいが、一旦切花になると、花をいける花器によって微妙に花が左右される。

梅雨晴 mir716.jpg

これぞ近代日本画とでも言うべき紫陽花の絵。この紫陽花を見ているとペーパークラフトのそれのようで、自分でも作ってみたくなるのだった。

速水 御舟 豆花  紫の花。スィートピーなのか。豆の花は愛らしい。
この絵には御舟の死の影は見えなかった。

杉山 寧 朝顔  この朝顔を見ると、武二の朝顔を思い出す。戦前の絵だが、後年の杉山らしさのあるような造形だった。洋画風の朝顔・・・

高山 辰雄 緑の影  今の山種の近くに小川美術館と言う、ごくシックな空間があり、そこで’93年の六月に『高山辰雄 聖家族』展を見た。あれから15年が経っている。
‘89年に茅場町の山種で高山の『坐す人』に衝撃を受けてから四年後に、その展覧会に逢えたことがうれしく、今でも六月はわたしにとって<高山 辰雄の月>なのだった。
紫陽花も背景も何もかもが緑の影に埋められている。
その紫陽花を前にして、切花ではあるが、一種不思議な生命力を感じた。

松尾 敏男 彩苑  紫と白の菖蒲の群がある。この画家らしい温厚ないい絵だった。

初夏の魅惑的な花々に囲まれて、うっとりしながら蝶のわたしは外へ出ていった。

関連記事
スポンサーサイト



最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア