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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

藝大コレクションを楽しむ

08063002.jpg 高橋節郎『木瓜蒔絵屏風』

藝大コレクションもいつも楽しみにしている。
こうして美術館機能が充実してくれて本当によかった。
昔、まだそんなに一般公開していない頃に出かけたとき、何の用があるのかという視線が痛かったので、こういう状況になり、本当にほっとしている。
とは言え、正直言うと今でもドキドキなのですよ(笑)。

ニュースで『徒然草絵巻』のうち、鳥居清長の肉筆画が含まれているのを発見、と知ったので、それを楽しみに出かけた。
なにしろ清長晩年の絵と言うことで、それだけでも価値がある。
清長は気の毒なことにその頃はオールドタイマーとして、スタレていたそうなのだ。
この絵巻などは誰か数奇者が頼んだものではないか。
他の絵を見るとサインは入っているが読み取れなかった。
全てその当代風俗で描かれている。
1.木に登る人と、それを指差す人。
2.川を前にした牛車
3.道を行く三人の女を二階の窓から品定めする男たち(これが清長の作品)
4.鏡を見る老僧
5.艾に火をつけてるおじさんたち。ところで江戸では灸と言うそうだが、上方では「やいと」である。「仙江」サインあり。

源誓上人絵伝  仏の被り物をしたお練もあり、ボーズダンサーズもおり、狛犬まで揃った、ちょっと賑やかな空間が描かれていた。絵伝だから他のシーンもあるだろうが、これだけを見た。どこの万福寺なのだろう・・・。

横山大観 四季の雨  4幅対、それぞれの趣が床しい。夏の竹林の筍が大きく育ちすぎているのが目につき、秋は野分か・・・と四季の雨を想う。

伊東深水 銀河祭り  去年の今頃も出ていたが、そういえば来週は七夕なのだ。竹や飾り物の支度をしなくては。この絵の女のように盥に浮かべてお針の上達を願う、ということはしないが。

山口蓬春 市場  この絵を最初に見たのは’92年の『生誕百年展』でだった。’32年の朝鮮の風景。白色を愛する朝鮮の人々。服装だけでなく市場のテントも白。ピンクと黄緑の取り合わせなど、カラフルな彩色が好きな一方でこのように白色を愛する。
この絵は戦前の貴重な朝鮮風俗史料でもある。

柴田是真 千種之間天井綴織下図(河骨[コウホネ]・山梔子[サンシシ]) アールヌーヴォーだと言ってもいいと思う。日本の美はアールヌーヴォーの魂の御親なのだ。

洋画では久しぶりに由一のシャケを見た。最近山岡コレクションの方のシャケと縁があるので、こちらとは久しぶり。相変わらずなかなかおいしそうである。

武二 ヨット  これはどう見てもヨーロッパの水に浮かぶヨットだ。絵は不思議な途切れ方をしている。キャンバスの問題ではなく、もしかするとその先を見に行けば、海の上に放られる恐れがあるのかもしれない。

梅原の裸婦も二枚出ていたが、どちらも肉感的で、特に一枚はナマナマしかった。とはいえそれは官能的なのではなく、むしろ「ニクだ」という感じがある。

特集展示として菊池一雄とその周辺が企画されていた。
菊池は日本画家・菊池契月の息子で、彫刻家。’99年秋に京都市美術館で『菊池契月とその系譜』展があり、そこで見た美青年像などが、展示されていた。
菊池は藝大の先生として30年に亙って学生を指導したのだった。

青年像  とてもわたしから見て好ましいスタイルの青年で、これで顔が『ギリシャの男』像なら、もっと好みだと思いながら眺めている。首の挿げ替え。ははは、トーマス・マンにそんな話があった。(関係ないが、急にマンの小説が読みたくなってきた・・・)
ブロンズ像なので、ここにあるのは京都の双子の片割れなのだろう。見たときから色々なことを考えているが、それから十年近く経つとは早いものだ。

基本的に彫刻は具象のものが好きなので、菊池とその弟子たちの彫刻は興味をもって眺めた。わたしは抽象概念が理解できないので、彫刻はやはり見た目がわかりやすいものがいい。

工芸品も素敵なものが多く出ていた。特によかったものを挙げる。
田口善国 ピアノと瑠璃鳥蒔絵盆  08063001.jpg

可愛くて可愛くて仕方ない。この鳥はどんな音楽を奏でてくれるのだろう。

高橋節郎 木瓜蒔絵屏風  蒔絵屏風には特別な偏愛がある。藤井達吉のそれ、心斎橋そごうのそれ・・・どれもこれも深い魅力に満ちているが、この屏風もまたその仲間である。
木瓜の花に群がる蝶たち・・・艶かしく妖しい美しさに満ち満ちている・・・

この展覧会も7/21まで。バウハウスの後に眺めるには、こちらも良品が揃いすぎている・・・
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コメント
徒然草絵巻
『徒然草絵巻』、遊行さんに教えて頂いたので私も見てきました。
まわりの画と違って素直に楽しげな雰囲気で、そういう作風が当時は「古いっ」と言われちゃったのでしょうか。
この後東博でも清長を見て、以前はどこが良いのかよくわからなかったのですが、ずいぶん親しみを感じました。
2008/07/02(水) 00:45 | URL | ogawama #-[ 編集]
☆ogawamaさん こんばんは
絵も文学も映画も音楽も、流行と言うことを考えると、後世の目から見て「ステキ」なものでも、当時は「ふるスギ」だったんでしょうね。
清長の次代には歌麿が出てきましたから、彼は色々不本意だったようです。

でも東博の、わたしも見ましたがよかったですね。
2008/07/02(水) 22:45 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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