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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

『 映画の中の日本文学』を見る

東京国立フィルムセンターが好きで、時々通う。
昔の映画を観ることもあるし、展示室で昔の映画関係の資料を愉しんだり。
今回は『映画資料でみる 映画の中の日本文学』ということで、このタイトルだけでもわたしにはときめきがあるなぁ。

今も昔も、映画オリジナル作品だけではやってゆけそうにないらしく、文学作品を原作にして作品が生まれている。
映画化された作品たちの数を数えたらどんなことになるか。

展覧会の主眼点。
「世界の映画史をひもとけば、その百年以上にわたる歴史を通じて、さまざまな文学者たちの残したテクストが脚本家や監督たちを絶えず刺激してきました。
この展示では、古代・中世から近世を経由して、明治期・大正期までに主に活躍した作家たちの原作による映画作品に焦点を当てます。」

まぁけっこう期待しているわけですよ、わたしも。
(とはいえ、アニメーションに関しては、わたしは完全オリジナル主義で、マンガのアニメ化は基本的に嫌いです)
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なにしろ膨大な上に、かつての日本映画黄金期の作品たちがたくさん並ぶから、見て回るのに時間がかかるかかる。
現代の日本映画にはあんまり関心が向かない分、古い映画に好きなものが多いのでマジメに眺めるし、説明もきっちり読み、更に色々な追想にふけったり妄想に奔るから仕方ない。
映像が流れるのもあり、それもきっちり見る。面白い。ポスターも時代の流れ・嗜好の変遷が見えるし、そこらが楽しい。

チラシは漱石の『猫』 ポスターには1936年らしいオシャレさがある。
漱石の猫が白猫なのはこれくらいしか見てない。役者も前三人しか知らない。
その上のスナップは溝口監督の『お遊さま』(谷崎原作『蘆刈』)。商業的にはコケたらしいが、こういう作品を映画化しようとする試みは好き。


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しかしポスターの好みだけを言えば、チラシ裏面の内から、右端の『真珠夫人』ですね。
いかにも1927年のセンスが光っている。この大正時代の字体からしてステキ。
栗島すみ子が主演なのでした。そういえば、TVで大ヒットした『真珠夫人』も『牡丹と薔薇』も見たことがない。今放映中の『花衣夢衣』は原作コミックの大ファンですが。

真ん中は1938年『阿部一族』・・・ロシア・アバンギャルド風と言うか・・・これには前進座が総出演。『人情紙風船』と同じ。
わたし、中村翫右衛門けっこう好きでした。息子の中村梅之助さんの『遠山の金さん』は金さんのベストだなぁ。その息子の梅雀さんは『信濃のコロンボ』が可愛い。
代を重ねるごとに、鋭い匕首からケーキナイフのように変わっていったが。

左は1953年『夜明け前』 この映画が大コケにコケて、近代映画協会はたいへんな苦労をしたそうだ。新藤兼人監督のエッセイが好きで、かなり沢山読んできたので、このポスターを見ると「おお、これが吉村カントクの・・・」と感慨深く思ったりする。

源氏物語も今年が千年紀と言うだけでなく、いつでもどこでも人気が高い。
映画も何本撮られたか。これと谷崎の『細雪』は舞台の方がいいと思う。
どちらも和の美の極限を描いているだけでなく、女優が張り切る作品。

近松の原作の映画化作品でマジメに見たのは
溝口健二『西鶴一代女』 これはVTRソフトを持っている。かなり好きな作品。
篠田正浩『心中天網島』 心中した二人の死骸のスチールが最高だと思う。
まぁ要するに、自分が耽美派だということを再確認したわけですが。

上田秋成も溝口は映画化している。
『雨月物語』 これも本当によかった。わたしは森雅之ファンだから、ドキドキした。京マチ子の深い官能性にもまた。ああ、甲斐庄楠音の絵が動いているような妖しさがあった。

さて実は近松にあんまり関心がないわたしだけど、江戸の鶴屋南北(大南北)はもぉめちやくちゃ好きで好きで、夏になると南北の芝居が見たくて仕方なくなる。
中でも四谷怪談は最高ですな。
中川信夫のそれがわたしはベスト。天知茂の伊右衛門が言葉にならないくらい、いい。
中川信夫監督作品には好きなものが多い。
『生きてゐる小平次』なんか、わたしの中では邦画ベスト3に必ず入る。

藤村『破戒』 これは授業で見たが、わたしが見たのは’62年版の市川雷蔵の丑松に、藤村志保のお志保さん、長門裕之(桑田佳祐そっくり)、三國連太郎、岸田今日子・・・
雷さんもステキだが、わたしはやっぱり三國さんがいちばん好き・・・
しかし’48年に木下恵介監督で池部良と桂木洋子でも撮影されていたのは初見だった。
池部良がとても綺麗な青年なのにドキッ。

泉鏡花 大好きなだけに、映像作品はあまり見たくない。ただし芸道ものや芸者ものは別。
幻想系作品の映画化はいやだと言うことさ。

古すぎてみていないが、『路上の霊魂』はいつか機会があれば見たいので、ここで少しだけVTRが見れて嬉しかった。これもいつか『狂つた一頁』のように全シーンを見たいものだ。

実は谷崎作品の映画化でいちばん面白かったのは、市川崑監督『鍵』だと思う。
わたしはこの映画の端々で、狂ったように笑ってしまった。
今思い出しても笑い出しそうになる。

里見 好きな作家で、とにかくハタチの頃ケンメーに本を探し回った。
小津安二郎監督作品の大半は、里見と所縁がある。別に原案とかそういうのでなくとも、「あれっこのシーン」と言うことで、小津監督と里見の交友もまた魅力的なのだった。
・・・とは言うものの、実はわたしは小津監督よりも、同時代ならミゾケンとか成瀬巳喜男の方がずっと好きなのだ。これは嗜好の問題。

かなり面白かった。展示換え後は昭和の文学かな。
わたしは水上勉『飢餓海峡』内田吐夢監督作品がとても好きなのだ。少し期待している。
それから久しぶりにポスターコレクションの泰斗・御園コレクションが見たくなった。

それとニュアンスは少し違うが、日本橋三越で『赤毛のアン』展を見た。
アンは人気があるから大繁盛していた。翻訳者村岡花子さんの紹介も多く、見ていてとても価値のある展覧会だった。ただし内容については、これまでのアン展とそう大差はなく、目新しいものではないが、その分だけ安心感があった。
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