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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

国宝・法隆寺金堂展

奈良国立博物館で『法隆寺金堂展』が開催されていて、招待されているから早く行こうと思いつつ、待った。
先般、東博で薬師寺の日光・月光の菩薩が出開帳して、東都の熱心なお客さんを感嘆させたが、今回は法隆寺からご近所とは言え、お外へお出ましあそばしたのは、四天王だった。
四体揃ってのお出ましを待っていたので、行ったのは7/5。
そう言えば法隆寺のお寺自体に長らく出かけていない。もう20年くらい。
あんまり古寺巡礼に関心がないので、そういうことになる。
mir728.jpg

東新館で金堂が再現されている。実はわたしの目的は四天王像より、その足下に踏みしだかれている邪鬼たちと、壁画の複製を眺めることだった。
とは言え四体を眺めると、やっぱりいいものだなーと思う。
大体が飛鳥・白鳳時代から天平年間が好きなのだから、仏像が怖いとか、畏み畏みとか言うのを一旦停止して、気楽に楽しむことにする。

広目天は元の尊顔が赤外線か何かで再現されたのが後ろの柱に貼られているので、比較する。ぼやけた顔もこれで眺めると、また違った趣がある。
筆と巻子を持っているのは、悪事を記録するためとかどうとか。
他の天王に比べると、ややカシコそうにも見えた。

衣裳などは大体お揃い風で、ドレープがたいへん綺麗。やはり飛鳥の美はドレープにある。
身体のバランス自体はちょっとあれですが。
正面から見たら褪色も激しいが、裏から眺めると、背から腰下まで元の衣裳の配色も残っていたりする。綺麗なものですね。

さて邪鬼。一番可愛いのは持国天の足下の奴。牛風味の顔。目が可愛い。(チラシ右端)
佛の眷属関係より、こういう邪鬼が可愛くて好きなものが多い。
法隆寺の後の世代の、東大寺のあちこちで働く邪鬼たちなんて、もぉ可愛くて可愛くて。
重たいのに我慢して踏まれてる姿がなかなかイジラシイのさ。

それにしても本来なら四方を睥睨する四天王がこうして社外で一堂に会すると、一つ並びになるのが、なかなか面白い眺めだと思う。それでも配置には、博物館側も工夫を凝らしている。

台座が出ていた。mir731.jpg

釈迦三尊像台座、薬師如来像台座、阿弥陀三尊像台座。
これらとその仏像のお写真が遠近法も上手に飾られている。
けっこうこういう工夫が好き。

金堂内陣旧壁画(飛天図) 焼失を免れた飛天図。この飛天のヒレが綺麗な曲線を描いている。

さて当時の日本画家の粋を集めて制作されたのが、再現壁画。
戦前、インド仏教絵画がブームになった時期がある。
これについては後日、京博の記事と絡めて書くけど、この壁画もアジャンター遺跡の絵画に通じるものがある、という見解があり、わたしもなるほど?と納得。
敦煌経由ではなく、いきなり印度天竺。
それで近年、焼け爛れた・・・というか黒くなった元の壁画観覧の機会があったが、残念ながらこぼれた。新聞記事で見ただけだが、やはり何ともいえず恐ろしさを感じた。
申し訳ないことに、わたしが仏像ニガテなのは、まず畏怖心とそこからの恐怖心があるからだと思う。とりあえず、模写を見る。
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金堂外陣再現壁画 これが見たかったので、嬉しい。
特別好きなのは第6号壁 阿弥陀浄土図。安田靫彦、羽石光志、吉田善彦チームの作品。
左右の菩薩の不可思議な美貌に惹かれている。

コロタイプ印刷に彩色をして、ということだが、焼失前によくコロタイプ印刷されていたものだ。もう40年前になるのか。
この菩薩の顔は切手にもなり、数年前に龍谷大学の展覧会に出ていた。
それだけでなく、この日もらった山梨県立博物館のチラシを見ると、この模写に参加した吉岡堅二らの作品が載っていて、嬉しかった。
以前、彩色前のコロタイプ印刷そのものを見たことがある。便利堂さんの。
それも山梨で展示されるそうだ。

木造天蓋(中ノ間・西ノ間所用)mir730.jpg

これが見応えがあった。格天井を見せるために鏡を支度してくれているので、井戸を覗き込むような気分で身を乗り出した。
なにかしら、深い感銘を受けた。
天蓋周辺を飾るのは木彫彩色の管と玉で、それがとても可愛い。
見たことがあるような気がしたのは、40年前くらいの団地の玉暖簾に似ているからか。
それにしてもいい感じ。他に鳳凰の飾りもついていた。

七星剣 北斗七星や雲形などが繊細な線で描かれている。眺めながら色々と物思った。

法隆寺関係の年表を眺める。
例の刺繍がどのように発見されたかを初めて知った。
実物を見るのも初めて。
天寿国繍帳 上側の盛り上がり刺繍は飛鳥のもの、下部は後年の補綴。
mir732.jpg

このチラシは先年の展覧会のもの、残していてよかった・・・
こういうものを見ると、聖徳太子の実在性を素直に信じる。

半券についた三角の券で法隆寺の見物が割引になるらしいが、今回は見送った。
ところでつい先日、東博の常設を色々見て廻る中で、法隆寺宝物館にも足を運んだ。
わたしは現行以前の、晴れた木曜日以外は見学できなかった時代にしか行かなかった。
だから殆ど初めての訪問だと言ってもよさそう。
なにしろ’89年以来。

法隆寺も廃仏毀釈でえらいメに遭い、存続するために皇室献上か何かして、ご下賜金をいただいた。それがこのコレクションかなぁ。そのあたりのことはあまり知らない。
こちらも少し撮影したのを挙げてみる。

鳳凰をモティーフにした絵柄をあちこちに鏤めた長持。
IMGP4518.jpg

螺鈿が綺麗。IMGP4519.jpg

実は驚いたのが、広い会場いっぱいに並ぶ小さい佛たち。
「え゛っこんなにたくさん!」とびっくりしたのだった。
幡も繊細な作りで、綺麗だった。
流出したことで、あちこちに法隆寺の宝物が伝わった。
藤田美術館にはここの華籠が伝わっている。荘厳するときの籠。
初期仏教の在り方と、新しい信仰への期待とが見えるようだった。

今年はそれにしてもどうして聖徳太子関係の展覧会が続いたのだろう。
春には『聖徳太子と所縁の名宝展』もあったが、あれもすばらしかった・・・

展覧会は7/21まで。
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コメント
こんばんは。TBありがとうございました。私が行ったときは4体揃われていなかったので少し物足りない面もありましたが、天蓋などの工夫された展示は見事だと思いました。仰るように、井戸を覗き込みながら楽しめますよね。飾りも艶やかでした。

常設は如何でしたか。さりげなく天寿国繍帳などが出ているところが奈良博の強みですよね。
ここの常設は大好きです。
2008/07/08(火) 22:24 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
☆はろるどさん こんばんは
天蓋の展示方法はたいへんよかったですね。
ああいうのをこれからもしてほしいです。

常設は明日あたり記事にしますが、ええものを見せて貰えたな~
そんなキモチでホクホクです。
2008/07/08(火) 23:40 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
行きたい気分・・・・

でも、明日から長野です。
2008/07/09(水) 20:24 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
☆鼎さん こんばんは
長野には善光寺がありますよ。
びんづる尊者のオツムを撫でてきてください。
地下の胎内めぐりも好きです。
てか、お仕事がんばってください。
2008/07/09(水) 21:26 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんにちは
こんにちは。金堂展は圧巻でしたね。少ない出品数でしたが、見せ方に工夫していましたね。四天王特に邪鬼に愛着がわきました(笑)
2008/07/11(金) 13:53 | URL | kazupon #-[ 編集]
☆kazuponさん こんばんは
金堂を再現する、と言う発想自体がえらいですよね。
見世物ではなく、やはり荘厳な雰囲気を保とうとした・・・
けれど、見やすく。
いい感じでした。

邪鬼たち、めっちゃかわいいですよね♪
思えば1400年、あのままです。
撫でてやりたいくらいですよね。
2008/07/11(金) 22:56 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
邪鬼に注目
 邪鬼に対する愛情にほのぼのしました。意匠化され大陸文化の影響を感じます。邪鬼は踏まれないと生き永らえる事が出来ないので嬉しいのかも。
 奈良国博所蔵(本館に展示中 元は興福寺)の邪鬼は本当に痛そう... 目が飛び出ていましたから。
2008/07/11(金) 23:04 | URL | panda #62/4nzbo[ 編集]
☆pandaさん こんばんは
>邪鬼は踏まれないと生き永らえる事が出来ないので嬉しいのかも。
なるほど!そのままだと駆逐されますね。
働き者としてセッセッと踏まれている。
あの元は興福寺の邪鬼たち、明治44年の志賀直哉・木下利玄・里見の奈良ツアーでも大人気で、三人は絵はがきを購入したそうです。
飛び出た目も舌も、チャームポイントになってるようです・・・
2008/07/11(金) 23:46 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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