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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

モディリアーニ展(国際美術館)

中之島の国立国際美術館に、新国立からの巡回『モディリアーニ展』が来ている。姫路市美術館には名古屋市美術館の同名の展覧会が来ている。
数ヶ月前、東京と名古屋で同時期に開催していた展覧会で、東京のは評価が分かれ、名古屋のはおおむね好評だった。
去年、『モディリアーニと妻ジャンヌの物語』という良い展覧会を見ている。
そのときに見た絵が出ていて、嬉しい気持ちがある。
しかしこの展覧会自体は、先行してご覧になり「イマイチだ」と書かれた方々が多かったのも、納得するようなところがあった。
展示品の取捨選択と言うのは本当に難しいと思う。
安易に批判は出来ないが、見て回って展示構成にも色々と考えさせられた。
今回、友人と一緒に来ている。あまり美術展に行かない人と一緒なので、メモ書きはしなかった。しかしメモを書きたくなるような内容ではなかった、と言うのが正直なところである。

‘94秋に都美で『知られざるモディリアーニ展』という展覧会があった。
主にプリミティヴ・アートに熱を入れていたころの作品がメインで、彫刻も出品されていた。それを思い出す展示が並んでいる。
アフリカン・アートからの影響は、14年経った今の目で見ると、モダニズムさえ感じるくらいなのだが、実際のところあんまり好みではない。
カリアティドの群を見ていると、「力持ちの女の人やな?」と妙な感想が浮かんでくる。
その素描を見ると、身体の線は円を基にしてるのがわかる。
彫刻からの発想ではなく、やはりこれは絵画なのだと思った。

1907年のスケッチブックの内容が展示されている。
スッスッと鉛筆で描かれた身体の一部や影を入れたスケッチが大半を占めているが、やっぱりプロはプロだと感心した。我々のようなシロウトとは違う。
50枚ほど並んでいて、なかなか興味深いものだった。
とはいえ、そうしたところに「展示構成の難しさ」を感じたりするのだが。

1914?15年を「過渡期の時代・カリアティドからの変遷」と題して、実人物の肖像画を集めている。その頃同棲していた恋人の絵もあるが、あまり面白いものもない。
しかしながら、それを抜けて古典的肖像画との統合が果たされた頃からの人物画が、本当に良くなってくる。
つまり、観客の大半が望む作品群の登場である。

特に良かったのは二枚の『若い娘の肖像』と『女の肖像(ローランサン)』だった。
彼女たちはとても魅力的だった。
特に『ルイーズ』を描いた肖像画は、長い睫毛とやや突き出された唇に深い魅力があった。
後で知ったが、これは大阪展のみの展示らしい。嬉しいより惜しい。
この娘が東京展に出ていたら、もう少しこの展覧会の評価も上ったかもしれない。
08080301.jpg


ローランサンは知的で鋭い美人に見えた。色んな画家による(本人を含めて)彼女の肖像画を見たが、この作品は特に美人だと思う。

身近な人々の肖像画でやはり一番目に残るのはジャンヌのそれだが、去年の展覧会ではこれらの作品が出ていたが、今回はこのうちの右端だけなかった。
mir304-1.jpg
どうもラインナップも目新しいものが少なかったのが、不評の一因なのかもしれない。

ピエール・バラノフスキーの肖像画は優美な男性像で、美青年だったのかと眺めていたら、友人が面白い感想を口にした。
モディさんがフランス人ならそれはあるかもしれないが、彼はイタリア男だから、それはないんちゃうかな、とわたしは答えた。
でも、ちょっと連想させるような柔らかな男性像だった。

ズボロフスキーやスーティンら友人の肖像画はその人となりまで巧く捉えていた。
久しくスーティンの展覧会を見ていないから、開催されたら嬉しいなと思った。

珊瑚の首飾りの女 mir306-1.jpg
この絵は去年の展覧会でも特に気に入ったもので、いい感じだった。
この青色に惹かれている。

ところで今回はエスキスやスケッチが多かった。
中でも一枚、凄いようなスケッチがあった。
口を開けた目鼻。輪郭のないのが画面の左上にぽっかり描かれているだけ。
これはあれですよ、地獄図の抜書きですよ、と言いたくなる感じ。
なんだか凄かった。
そして更にもう一枚、これは多分女を描いたらしきスケッチなのだが、影の入り具合がわるくて・・・恐怖新聞に出てくる怨霊のように見えて仕方なかった。
・・・いかんなぁ、そんな妄想は、と思いつつたいへんウケてしまった。

『あの名作から知られざる原点まで』というキャッチコピーは確かにその通りだと思うものの、それでこれというのはやはり難しいような気がした。
ハガキも図録も高いのでサヨナラしたが、特別欲しいグッズがない、と言うのもどうなのだろうか。結局そこに今回の展覧会の何かがあるのかもしれない。
展示構成は難しい、と実感しながら見終えて会場を後にした。

因みに併設レストランではモディリアーニランチを出していた。
どこがどうモディリアーニかはよくわからないが、さすがにクィーンアリスだけに、とてもおいしかったのは確かだ。
展覧会は9/15まで。
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コメント
名古屋でやってたヤツは、盛岡(岩手県立美術館)で見る事にしました。
ローランサン、美人でしたよね。
カリアティドは、マティスの切り絵(ブルーヌード)のようでしたよ。

> 展示品の取捨選択と言うのは本当に難しいと思う。
キュレーターにとっては、必ずしも展示したい作品を全部集められるわけではないでしょうが、基本的には、テーマを決めて、テーマに沿って集めていると思います。今回のテーマは、多くの人に取ってお気に召さないテーマだったのかも知れませんね。

> 見て回って展示構成にも色々と考えさせられた。
複数の美術館で開催する場、美術館によって受ける印象が違いますね。構成自体、展示の流れ自体は、メインになる美術館に合わせているのではないかと思います。須田国太郎展、東山魁夷展を見て、そう思いました。そう言う意味で、巡回展は損かもしれません。
2008/08/04(月) 00:23 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
今は大阪と姫路でモディリアニ展が
分散されているのですね。
一緒にまとめればいいのにと思います。
大阪と姫路って近そうなので、簡単に掛け持ちできそうですね
(まったく距離感が分かりません~)
2008/08/04(月) 06:15 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
☆鼎さん こんばんは
渋い展示、と言う感じでしたね。
これはこれでいいようにも思いますが、期待の度合いと言うのを考えると少し難しいなと。
岩手か・・・冷麺が食べたいです。
ローランサン、本当に綺麗でした。

巡回展と言うのは確かに難しいです。
庭園美術館での宮本三郎展を高島屋で見たとき、がっかりしたものです。



☆一村雨さん こんばんは
えっへっへっ大阪と姫路はJR新快速で1時間、私鉄で80分、新幹線で・・・もぉええわいっ。
掛け持ちはちょっとナンギですから別な日に行くのがベストですね。
名古屋展の評価が高かっただけにうーんうーんです。
元々名古屋市美術館には名品がありますしね。
2008/08/05(火) 00:05 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。観点をプリミティブに絞ったのは良かったのかもしれませんが、過去最大級云々など、少々風呂敷を広げ過ぎた感がありましたね。文化村の展示の方がコンパクトにまとまっていて、はるかに愉しく見られたと思います。

>94秋に都美で『知られざるモディリアーニ展』という展覧会があった

それは知りませんでした。
モディとプリミティブの関係は、意外と密接で知られるものなのでしょうか。

>特に『ルイーズ』を描いた肖像画

なるほど魅惑的ですね。メインとなる作品を選びにくかっただけに、これはちょっと拝見したかったです。
2008/08/05(火) 22:06 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
☆はろるどさん こんばんは
>モディとプリミティブの関係は、意外と密接で知られるものなのでしょうか
短い晩年の、完全なスタイルが定着する以前の作風として、わりとこれまでも見てきましたが、どうもやっぱり人気がないようです。
その'94年展以来、出てきたようにも思います。

モディとジャンヌ展は本当に良かったですね、もう一度見たいくらいです。

ルイーズ、魅力的ですよね♪
2008/08/05(火) 23:40 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
うーん...
私はBUNKAMURAのを見なかったので、既視感なく結構楽しく見られました。
「評判悪いよ」と言っておいたら、うちの母に「すごい良かった!」と反論されました(結構見る人なんです)。
でも、名古屋の方が面白かったです。
見事な裸婦像がたくさんあったからかしら。
2008/08/06(水) 09:18 | URL | ogawama #-[ 編集]
☆ogawamaさん こんばんは
評判が悪かったのは地味系だったからかな~と勝手に分析してます。
やっぱり名古屋の方が面白かったですか。

>見事な裸婦像がたくさんあったからかしら
やっぱ派手系(!)なんですね。

大阪市所蔵の裸婦像ご存知ですか。
あれはかなり蠱惑的です。
見る度にドキドキしてます。
2008/08/06(水) 23:42 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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