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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

タツノコプロの世界

八王子夢美術館で『タツノコプロの世界展』が開催されている。
タツノコプロとは、アニメ制作会社である。
吉田竜夫氏が設立し、初期から一貫して自社製品を送り出している。
わたしが最初に見たのはなんだったか。
記憶が混ざり合ってこれがどれとは言えなくなっている。
本放送も再放送も幼児に区別はつかない。
とりあえずわたしが見たものの資料が、美術館には飾られていた。
mir786.jpg

科学忍者隊ガッチャマン、新造人間キャシャーン、宇宙の騎士テッカマン、破裏拳ポリマー、みなしごハッチ、けろっこデメタン、タイムボカンシリーズ・・・
この辺りは全てリアルタイムに見ていた。

マッハGOGOGO!は再放送で見たと思う。
あるとき、水戸黄門のうっかり八兵衛の高橋元太郎氏が♪風もふるえるヘアピンカーブ?と歌っているのを見てびっくりしたら、うちの親が彼は元々歌手だと言ったのには、更にびっくりした。
それはいなかっぺ大将の歌が、実は天童よしみさんが歌っていることを知ったのと同じくらいのびっくりだった。
ところが今回驚いたのは、あのいなかっぺ大将もタツノコプロの作品だったことである。
原作つきをしたのは、これが初めてだったそうだ。
♪一つ人より力持ち 二つふるさと後にして・・・
そうなのか、大ちゃん。

タツノコプロの特色は、絵の巧さである。その技巧の高度さはちょっとやそっとではないと思う。
今や世界的巨匠の天野喜孝氏は義務教育終了後にタツノコプロに入り、そこで英才教育を受けた、と雑誌で読んだことがある。

タツノコの初期作品はマンガ家でもある吉田竜夫氏がキャラ設定などをされたが、前述のSF作品類は天野氏のキャラ設定だった。
そしてタイムボカンシリーズなどでのハチャメチャギャグの演出を繰り広げてくれたプロデューサー笹川ひろし氏が、これらSF作品では冷徹なまでにクールな眼差しで重い話を描いてみせた。

前述の四大SF作品のうち、最もシリーズが長く続いたのはガッチャマンだったが、わたしは第一作しかマジメに見なかった。第二作以降は見ていないが、物語の概要はアニメ雑誌で読んでいた。
シリーズが長く続くものは案外好まない体質から、そんなことになったのだと思う。
しかしいまだに溶岩を見るたび、ガッチャマンをイメージすることを考えても、影響は強かったと思う。
作品が長かっただけにポスターも数種あり、どれも皆、出来栄えのよいものばかりだった。
‘70年代のアニメで、男女の筋肉の違いをリアルに描き分けたのはタツノコだけだったと思う。
ところでガッチャマンは本放送のとき途中でOPとEDが入れ替わったのだが、再放送では最初から現行のOPとEDで通されている。
これまで延々と見続けたが、どのときもそうだった。
わたしのカンチガイではないと思う。(今、youtubeを探すと、そのことが出ていた)


以前、笹川氏の連載コラムで、自己紹介のときに「タツノコの笹川です」では相手は「はぁ」といまひとつ反応が鈍いが、「キャシャーンを演出しました」というと、30代後半からの男性は必ず、「たった一つの命を捨てて、生まれ変わった不死身の体、鉄の悪魔を叩いて砕く、キャシャーンがやらねば誰がやる」と口走ってくれる、と書いていた。
わかる、わかるゾ!わたしもわかるぞ!!(30代後半男性ではないが)
カラオケでキャシャーンを選択したとき、マレにこの「たった一つの」が入っていると、思わず嬉しくなる。(あのUG▲にもないのだ)
ささきいさお氏の歌声がまた最高だった。
♪響けキャシャーン 叩けキャシャーン 砕けキャシャーン・・・
泣きたくなってきた。
この話はたいへん重いもので、決してありえない状況ではない、と思っている。

お掃除ロボットとして開発されたロボットが雷鳴で狂い、意思を持って掃除を始める。
地球を掃除するために、汚す原因たる人類を撲滅すればいいと軍団を結成し、人類掃討作戦を始める。(こんな安易ではないのだが)
それに対抗するために生身の肉体を捨てて、新造人間として不可逆の道を歩む、キャシャーンの孤独な戦い・・・。彼は人類をたった一人で守るが、人類の大半は彼の行為を認めない。
悲惨さと孤独さに胸が痛かった。
個としての強靭さは、タツノコキャラ随一だと思う。
今でも真っ白なボディフィットスーツを見ると、キャシャーンを思い出している。


テッカマンはチームプレイの割には、個々の個性が強く、役割分担が分かれているのが面白かったが、なにより毎回ときめくのは、テッカマンになるシーンだった。
茨で全身を覆われてゆく・・・それにときめき、また装着後にベガスと共に宇宙空間で戦うのが、本当にかっこよかった。
歌もよかった。水木一郎のシャウト系の歌声が今も耳に残っている。
♪砕いて星屑 宇宙の果てに 煌く銀河に・・・


ポリマーは前者たちと違い、コメディタッチの濃い作品で、敵もアホらしい攻撃を仕掛けることが多かった。主人公が正体を二重三重に隠して闘っている設定はよくあることだが、ポリマー実ハ鎧武士実ハ鬼瓦武士・・・という構造の中で、前面に押し出されている鎧武士は「たぁんていチョー(探偵長)」とナサケない声を出しては車探偵事務所でわけのわからない仕事に勤しんでいる。車探偵も自己陶酔しては珍騒動を起こす。働き者は女の子テルだけだが、彼女が毎回ファッションショーを繰り広げるのはいいのだが、これまたヘンなセンスで面白かった。


見て歩くと、タツノコシステムがとても合理的でかつ確かなものだと感じるばかりだった。
本当に素晴らしい。

何シリーズ続いたのかとうとうわからなくなった(わたしだけか?)タイムボカンシリーズだが、これも本当に徹底していた。
偉大なるマンネリズム。全くえらい。
わたしはヤッターマンまでは見たが、ゼンダマンでリタイアした。
あのギャグの連続が苦痛だったのだ。しかし子供はアニメを見るのが義務だ、と思っていたわたしは懸命に見たが、とうとうサヨナラした。
して離れて長らくアニメそのものから遠ざかった。

わたしがアニメを見るのを復活したのは’82年頃からで、それも’84年までくらいだったが、この間の日本のアニメの作品群は本当に素晴らしかった。
タツノコで言えば、天野氏はタツノコから離れたが、なかむらたかし氏がキャラ設定した未来警察ウラシマンや機甲創世記モスピーダの時代だった。
この2本は熱心に見ていた。しかし今回の展覧会ではこれらは展示されていない。
面白い作品であることは間違いないが、段々と昔のタツノコではないなという感もあった。

会場ではこれらSF作品だけでなく、ショートアニメ・カバトットなどの紹介もあり、これもタツノコだと知り、びっくりした。そうなのか、カバとトットでカバトット?♪ 天野氏以外のキャラデザイナーも現れた。下元明子氏である。彼女のキャラは愛らしいキャラだった。ポールのミラクル大作戦などがある。
この作品は放送と同時に毎日小学生新聞で連載されており、どちらもわたしは熱心に見ていた。
聞くところによると、昨年再放送されたことでまた人気が蘇っているらしいが、いい物語だった。
だいたいハッチもデメタンもそうだが、ポールのように不遇を背負わされつつ、不条理と闘い続けるキャラ、と言うのはタツノコにはシリアス・ギャグどちらも多い。

現在はまったくアニメを見なくなったので、状況は知らない。しかし特定の友人とカラオケに行けば、今でもタツノコアニメの歌を熱唱する。
たとえば♪白い翼の ときたら必ずタンバリンでチャチャチャッとすばやく合いの手を入れてガッチャマン?と続けなくては気がすまない。(友人とは必ずデュエットなので、意が通じないと困る)

懐かしい気持ちに浸りながら、嬉しく見て回った。楽しい展覧会は9/15まで。

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