FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

アーツ&クラフツ モリスから民藝まで

「生活と芸術 ─ アーツ&クラフツ展」
ウィリアム・モリスから民芸まで
Life and Art: Arts & Crafts from Morris to Mingei

京都に始まり東京、愛知へ続く展覧会。
二日目の朝に出かけたが、既に繁盛していた。
久しぶりに近代工藝の装飾美を堪能した感じ。
鼻煙壷、ジャワ更紗展は専科的なものだが、こちらは総花的展覧会。
mir832.jpg
試みにこれまで見てきたモリス周辺の展覧会を思い出す。
20ほどのタイトルが出てきた。その中でも特に工芸の美を堪能したのが、以下のタイトル。
19970510 ウィリアム・モリス 京都国立近代美術館
20040922 ウィリアム・モリスとアーツ&クラフツ アクティ大丸
20051022 ウィリアム・モリス 壁紙とステンドグラス 汐留ミュージアム
それから今回の展覧会。
20080914 アーツ&クラフト モリスから民藝まで 京都国立近代美術館
今回の出品所蔵先は主にヴィクトリア&アルバート美術館。
今回、どういうわけか展示リストがない。
それはそれで仕方ないのかもしれないが、そうなるとわたしのエーカゲンな記憶がネツゾーを始めるのだ。(ネツゾー工房yugyo)
ところで海外の美術館はwebに画像を多く載せてくれてるので、検索も出来る。ありがとう。そこでリンクをはったので、画像をご覧になる方は文中の色違いのところから飛んでください。

冒頭に挙げたチラシはなかなか素敵だと思う。こんなのがあるのか、と興味を引くつくりになっている。裏はこうなっている。mir833.jpg
けっこう説明文も大きな文字で、字体もタダの明朝体ではない。カラフルさを目立たせる一方で、白と黒の美意識を光らせている。

因みにチケットはこんな感じmir818.jpgクリックしてください。
これは切り取る前のチケットで、マッキントッシュのデザインした小箱がもぎられて、集められてゆく・・・

鉛筆画によるバーン・ジョーンズのアダムとイブが最初に目を惹いた。
なんとなく「ナリナリテ、ナリアワザル」を思い出す。
そして連作シリーズのステンドグラスがある。
‘97年のときに『ルネ王』シリーズを、’05年には教会に飾るためのものたちを多く見たが、今回は聖ゲオルギウスの悪竜退治を、発端から結婚まで描いたものを見た。
わかりやすい英語の文章が書かれているので、物語の流れがよくわかる。
犠牲になった人々のシャレコウベを王と王女の前に持って来て、みんなで困る図がある。
原画はロセッティ。
グルメな竜にはほとほと困らされる。そんなだから首を切り落とされ、挙句に見世物になるのだ。
mir834-1.jpg
この竜はアジアのそれとは違う。二足歩行するのでラダマンティスの部類。

孔雀をモティーフにした燭台がとても綺麗だった。
メタリックにエナメルの煌きが響いて、たいへん魅力的だった。
mir834-2.jpg

他にも置時計の可愛いものもある。
チラシ裏の琥珀色風の一対の燭台は薬師寺の飾りを思い起こせる。
工芸品とはなんと愛しいものなのだろうか。

フォレスト(森)と題されたタピストリーがある。
孔雀、ウサギ、獅子、キツネ、カラスのいる森。不思議な森。
色んな花が規則正しく咲き続けている。
横長のタピストリーは珍しいと思った。

バーン・ジョーンズ 『生命の木』 生命の木信仰は宗派を超えて世界中に広がっている。
諸星大二郎は稗田礼二郎にその思想的探索もさせている。
ここではさまざまなメタファがある。それを考えるのも楽しい。
後のコーナーに民藝部門があり、そこにバーナード・リーチの陶板『生命の木』がある。
普段はこの美術館の常設品なので、時折見ることが出来るが、かなり好きな作品。

11年ぶりに見て、やっぱり素敵だと思ったサイドボードがある。
貴婦人と動物と言うタイトルがついているが、バーン・ジョーンズが手書きしたもの。
表が特にいい。こぶたちゃんたちを世話する貴婦人、白い鸚鵡たちと一緒の貴婦人・・・
貰っても保管が苦しいので、見るだけでいい・・・ことにしよう。

ルイス・F・デイの星座をモティーフにした絵タイルつき棚は面白かった。
アクエリアスから始まるのだが、坊やが大きな水瓶を抱える姿、羊の角を持ってたり、獅子の毛皮を腰に巻いたり、ラストの山羊スタイルに至るまで、全てがこの坊やのコスプレショーのようで、なかなか面白かった。

クリストファー・ウォール『聖アグネス』 そのステンドグラスも綺麗だった。
聖アグネスは聖公会系のミッションスクールなどで崇められている。
烏丸丸太町上ルあたりの聖アグネス教会が入りやすい。

ウォルター・クレインの大人の天使と女は大きい作品だった。
そこからすぐに部屋の再現があり、それも見応えがあった。
mir834.jpg
窓はチラシの構成であけられたもの。

モリス商会の一番売れ筋はなんだろう、とその再現ルームを眺めて考えた。
やっぱり壁紙などのような気がする。
『いちご泥棒』mir835.jpg
世界中で愛されているデザインだが、実に手が込んでいると思う。
これはやはり欧州でなければ生まれ得ないセンスなのだった。

イギリスだけでなく、各国の作品もあった。セゼッションの第一回ポスターやココシュカのイラスト、ジョルナイ工房の煌く花瓶たち、北欧の美・・・
特に良かったのは革命前のロシアで活躍したイワン・ビリービンの絵本挿絵『麗しのワシリーサ』があったこと。とても好きなので嬉しかった。
ロシアに関しては、革命前の芸術の装飾性が、途轍もなく好ましい。

そしてジョルナイ工房の作品にも久しぶりに会えた。
ブダペストの工房に行きたいと念願しているが、どうも目処が立ちそうにない分、ますますブダペストに憧れは募るばかりなのだった。
エオシン釉の煌きは永遠に耀きを失うことはない・・・


いよいよ民藝に来た。
大阪の三国にあった三国荘の再現。mir835-1.jpg
これは数年前に大山崎山荘美術館でも開催されたことがある。あのとき、カメラを忘れた己をひどくノノシッタが、こうして再現に再会できて、やっぱり嬉しい。わたしはモリス商会の部屋よりこちらの方が好きだ。
ところで三国は近い割りにあまり行かないので、こんな素敵な建物がかつて存在していたことを、前回の展覧会まで知らなかった。戦災から生き残っていたら、さぞや・・・

東洋陶磁美術館から大きな白磁の壷も出ていたが、この豊かさが何とも言えずよかった。
芹沢の染織、河井の陶器、黒田の螺鈿手箱、志功の釈迦十大弟子板画・・・
とても満足した展覧会だった。
本当にいいものを見せてもらった。

年明けから巡回が始まるが、埼玉近代美術館でも11/3まで「アーツ&クラフツ イギリス→アメリカ モリスからロイド・ライトまで」という展覧会が開催中。
併せて見る機会のある人は、ぜひとも楽しむべきだと思う。
京都では11/3まで。また再訪することに決めている。




関連記事
スポンサーサイト



コメント
この展覧会も最高でしたね(^^)♪
チラシのデザインからして、鑑賞欲をそそると申しましょうか・・・
チケットのレイアウトなんか、民芸品屋さんの看板にできそうですね。
「いちご泥棒」のポストカードは速攻買いました(笑)永遠に愛される図案でしょうね♪
聖アグネスのステンドグラス、私も心に残っています。
三国荘の再現も興味深かったです。
熱心に部屋の中を身を乗り出してのぞく人が多いため、しょっちゅう警報機が鳴ってて笑えました(笑)
和洋織り交ぜての「生活の中の美」を堪能できる展覧会でしたね。(^^)
2008/09/20(土) 11:45 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
☆tanukiさん こんばんは
まさに「生活の中の美」を堪能する展覧会でしたね。
色んなものから時代ごとの流行・都市ごと嗜好が見えて面白かったです。
三国荘は素敵でしたね~~
ああいうのに住みたいなーと贅沢な妄想してました。
2008/09/20(土) 23:37 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
ついでに
同じ展覧会かと チラシを見て思っていましたが やはり
http://www.braintrust-art.com/ja/exh/2006/index.html
ですね。
http://www.kure-bi.jp/special/2006/2.htm
京都へ行ったときパスしてよかった!
京都市美も ひろしま美術館と同じでしたが、でも細見がお目当てだったので満足でした。
2008/11/08(土) 20:00 | URL | 抹茶 #-[ 編集]
☆抹茶さん こんばんは
ここの会社はなかなかいいセンスだと思います。いつもいい切り口からの展覧会が多いですよね。

モリス展は来年早々都美にゆくそうです。
別口のアーツ&クラフツは汐留にきました。
細見からの数点がタバコと塩に行ってます。
2008/11/09(日) 22:17 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。
今、この展覧は上野に来ています。
本当に三國荘の再現コーナーは垂涎ものでした。
工芸好きにとっては、たまらない展覧です。
また、友人と行くことになりそうです。
欲しいものだらけでした。
2009/01/27(火) 22:10 | URL | あべまつ #-[ 編集]
☆あべまつさん こんばんは
わたしは京都で三度見ましたが、上野でも見る予定です。
工芸が好きな人には本当にナイスな展覧会でしたね。
凄くうれしかったです。
欲しいものだらけ。
やっぱり年に一度は工芸の名品に出逢えるものですね!
2009/01/27(火) 23:32 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
こんばんは。

孔雀をモティーフにした燭台は迫力満点でしたね。
サイズ的に日本の家屋には無理無理。

21日楽しみにしてます。
またおって連絡いたします。
2009/02/05(木) 20:18 | URL | Tak #JalddpaA[ 編集]
☆Takさん こんばんは
なんだか欲しいものが多い展覧会です。
にしても、やっぱりサイズ的に・・・
バンザイウサギ小屋!

お待ちしてます~~楽しみです♪
2009/02/06(金) 00:22 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
こんばんは。
期待通りの内容で大満足でした。
京都展と比べていつもしょぼくなるチラシも今回は同じ。でも、珍しくチケットがきれいでしたよ(色はシルバー、工芸品違い)。
ビリービンの挿絵は美しかったですね。イギリス以外ではこれが一番よかったので、もっとたくさんみたいと思いました。
東京展もご覧になる予定なんですね。できれば感想をきかせてください。
2009/02/08(日) 22:57 | URL | キリル #ZgLpcwNk[ 編集]
☆キリルさん こんにちは
東京のチケットの方が賢いんです、
京都のはモギリ部分に工芸品を載せてた~(涙)
でもそのかわり何種か入れ替わりしてましたが。
ビリービン、「美しいワシリーサ」いいですよね。
さすが「リュス」さま。わたしももっと見ていたいです。
東京展は多分来月になりそうです。
2009/02/09(月) 09:00 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
No title
こんばんは。京都でご覧になられたのですね。チラシは今の東京と同じだと思いますが、前は違ったのでしょうか。なかなか素敵ですよね。

三国荘には驚きました。願わくば中へ入られればとは思いましたが、
それでも多様な調度品を見るのは愉しいですね。器など触りたくなります。
2009/03/09(月) 21:37 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
☆はろるどさん こんばんは
つくづく工芸品の良さを実感しました!
来週頭、都美に行くのですが、また楽しみになってきましたよ。

三国荘は京都では近づきすぎると警告音が…
でもわたしも入ってみたいです。
完全なる再現を見たいですね、本当に。
2009/03/09(月) 23:28 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア