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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

読む、見る、遊ぶ 源氏物語の世界

源氏物語千年紀と言うことで各地でさまざまな展覧会や催しが行われている。
本家本元の京都では「読む、見る、遊ぶ 源氏物語の世界 浮世絵から源氏意匠まで」展が開催されている。
10/2から始まり、11/16まで前後期に分かれて展覧会が続く。
今回の展覧会は九曜文庫からの出品が9割を占める。九曜文庫は早稲田大学の中野幸一名誉教授の個人コレクション。
たいへん見応えのある内容だった。
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烏丸光広が書いた源氏系図もある。袖珍巻子本や豆本もある。
特に袖珍はチラシの右下に出ているが、銘菓『博多の女』か、ハーフサイズのロールケーキか、というくらい大きさで、本文も拡大鏡で見ないと読めないほど繊細な造りになっている。
上流階級の子女を喜ばせるだけでなく、江戸時代の庶民が楽しむような源氏もあり、さまざまな形でこの最古の物語が如何に愛されていたかを、実感する。
そして、何十年にも亙って蒐集し続けたコレクターの熱意にも感心するばかりだ。

三つの屏風があった。それぞれ違いがあり、なかなか面白い。(これらは九曜文庫ではない)
貼交屏風はリンゴ型、角型の色紙に源氏絵が描かれたものを貼り付けてあるが、これは土佐派風。金雲で型押しがあるのは、岩佐派風で泉屋博古館蔵、名古屋市博物館のは青海波を舞う図と車争いとを描いたもの。
じっくり眺めた。

先日湯木で見たばかりの山本春正が跋文を書いた絵入源氏もあり、江戸時代当時の現代語に翻訳されて、奥村政信の挿絵が入った源氏本もある。
享保年間に出版されたその本の挿絵には、大入道オバケまで描かれている。
他にも留守紋様の挿絵本もあり、源氏が千年に亙るロングセラーだと思い知る。

九曜文庫では直接ではなく、独立した他の物語でも、少しでも源氏に縁があるなら積極的に集めたようで、伊勢、住吉物語、うつほ物語などの奈良絵本もあった。
(住吉もうつほも『絵合わせ』に出てくる)
ああ、昨秋ふとしたご縁で奈良絵本の数々を直に読ませていただいたときのことが、思い出される・・・

長恨歌絵巻もあり、寝床でねそべって庭を眺める二人の図が出ていた。
江戸時代でも、字の読めるものは白氏文集を読んでいたのだ。

五十四帖の画帖が出ていたが、これは1ページに二枚のシーンが貼られている。
これには親しみがある。実はいただきものの卓上カレンダーが九曜文庫の源氏絵で、ずばりこの作品なのだ。
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『末摘花』 頭中将と光君がばったりのシーン。末摘花の庭に咲く花が紅梅なのは、この他には見たことがない。大抵白梅か松なので、印象深い。

『夕顔』で一枚面白い絵を見た。冠木門にも夕顔が咲きまみれていて、植物にくるみ獲られた住まいの様相を見せている。なんとなく『太十』の尼崎閑居の糸瓜を思い出した。

源氏の二次創作や続編やインスパイアされた作品と言えば、まず思い出されるのは種彦の『偐紫田舎源氏』だが、これは国貞(三世豊国)が大量にいい作品を生んでいる。
展示スペースもかなり多く取られていて、ホクホク楽しめた。
八犬伝の馬琴は「田舎源氏が売れたのは國貞の絵のおかげだ」とやっかみ半分で言ったそうだが、実際國貞のカラーも挿絵もたいへん魅力的なのだ。
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でもこの戸、どことなく封筒風に見えるので、なんとなくそれが面白くもある。

原作と偐紫それぞれ五十四帖を描いたものを並べて展示したりで、一枚一枚見て歩くのが、本当に楽しい。香蝶楼の時代のものが特に名品だと思った。

しかしこうした本歌取りもさることながら、別な作者による続編などが実に多いのにも感心した。本居宣長や建礼門院右京大夫も書いているのか。
まるでフランク・ハーバート亡き後のデューン・シリーズのようだが。

広重と國貞が合作した雪遊びの図があったが、それは清盛が髑髏の幻影を見る構図とよく似ていた。幕末の浮世絵師は、雅な源氏絵系統だけでなく、平家物語も多く描いているからか。

國貞から国周あたりまでの絵師による源氏浮世絵をこんなに沢山眺められるとは、思いもしなかった。嬉しくて仕方ない。
参考までに、こちらのサイトには色々他の画像がある。
他にもカルタや伊達家の姫君の駕籠など展示され、見どころの多い展覧会だった。

また、常設室では復元模写の名人・田中親美と、徳川家の源氏絵巻を木版画にした川面義雄の残した作品が展示されていたり、その木版画を再現したものも展示されている。
本当に素晴らしいし、手の込んだ作品だと思った。剥落は剥落のまま再現する、というのが何よりも一番凄いことだと思った。

別館ホールでは宝塚歌劇でこれまで演じられてきた源氏物語の数々の舞台写真と衣装などが展示されていた。撮影可能だったので、嬉しくてぱちぱち撮った。
近々『夢の浮橋』も上演するそうだが、成功を祈っている。
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昨日は難波の高島屋で、『艶○源氏物語』を再び見たが、そのとき作者・内海さんのご好意で、一部の人形を触らせてもらえた。そんなことを思い出しながら、楽しい気分でこの展覧会を見て回った。後期は10/21から。紅葉のシーズンにあわせて出かけるつもり。

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コメント
あ~、いいないいな~♪私も早く見に行きたいです☆
様々な時代の人たちが色々な表現をしているのを見て、本当に源氏物語はいつの時代でも愛されてるんだな~と思いますね。
右京大夫も源氏に傾倒されていたのですか~。
彼女の歌集が岩波文庫にあったのに、買おう買おうと思ってて結局手に入れなかったのが悔やまれます。(^^ゞ

先日、思文閣行くのに京都まで出て行ったのに、その日はこの展覧会が始まる一日前だったのでハシゴというわけにいかず、惜しいことをしました。(泣笑)もっと計画的に京都に出なければ、と反省しました(^^ゞ


2008/10/04(土) 23:12 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
☆tanukiさん こんにちは
江戸時代の人々が浮世絵を通じ、二次創作を通じ、源氏を愛好したのが、結局今でも愛好者を増やしている土台になったようです。
>右京大夫の歌集
学生の頃、図書館で古典シリーズの一冊として並んでいるのを見ましたが、岩波からも出ているのですか。わたしは筑摩のをみたのかなぁ・・・
2008/10/05(日) 12:00 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
Iphoneをかいました、テスト書き込みです。
源氏の催し、あちこちでやってますね。
立川の北の大学でも400円とってやってますね。
遊行さん、埼玉県立近代と西洋美術館と目黒のチケットいりますかな。
庭園美術館の建物公開よかったですよ。
資料室なんてあったのですね。
遊行さんばりに写真ばんばんとりました。
2008/10/05(日) 22:41 | URL | oki #-[ 編集]
☆okiさん こんばんは
まだPCあかんようですが、Iphonはいけてるのですね。
西洋はあります♪目黒は不要です。
埼玉は行きたいけれど、時間がないのであきらめてます。
ありがとうございます。
2008/10/06(月) 00:00 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
立川の北の大学ではなく、国文学研究資料館でした。遊行さんご存知かな?
さて西洋美術館行ってきました。
面白いですよ、ハンマースホイ。
現実感をまったく欠いた作品は、この人が
統合失調症を患っていたことを想像させます。

2008/10/13(月) 22:17 | URL | oki #-[ 編集]
☆okiさん こんばんは
>国文学研究資料館
そこの教授だったのが、わたしの偏愛する松田修です。松田の著作集8巻はわたしの眼の前にありますが、彼は異端文学がメインでしたので、源氏についての評論などはなかったようです。彼が生きてる間にファンレターを出したかった・・・
2008/10/14(火) 00:26 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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