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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

京と江戸 名所遊楽の世界

細見美術館で素敵な展覧会が開催されている。
品数は22品だが、満足の行く展示だった。
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遊楽図の魅力は深い。
名所図でも邸内図でも、人間がそれぞれの楽しみを味わっている。
中にはケンカする者もいるが、それすらも自己の楽しみの一つなのだ。
楽しみ、というより娯しみと言う方が正しいだろう。
神仏へのお参りもまた楽しみに他ならない。

洛外図屏風  洛中ではなく洛外を描く。しかしその割には洛中図に多く描かれる場がここに描かれてもいる。遊女屋で遊ぶ人々の中で、一人だけ醒めた眼をする若者がいた。
作者はそんな表情まで捉えている。

東山名所図屏風mir866-1.jpg
三十三間堂は横長なのですぐわかる。隣にあるのは方広寺の大佛。殆ど檻状態ですな。一種の見世物としてのブツゾーのようでもある。
あいにくモノクロ画像しかない。
(‘94年京博『都の形象』に出品されていた。後日確認)

北野社頭図屏風  チラシの右上で宴会しているのがあるが、あれは坊さんが若い衆をつれて遊んでる図なのだった。何故か縦笛を吹いている。縦笛と言えば「ピューと吹く!ジャガー」がすぐにアタマに浮かんでくる・・・「なぜ笛!?」カガーンッ という感じ。
(‘94年京博『都の形象』に出品されていた。後日確認)

奈良名所図屏風  大仏殿が開いていて、首から下の大仏が見える。興福寺も描かれている。もうすぐ正倉院展だが、奈良の名所図には正倉院は描かれていない。開封の儀も思えば近代のことなのだ。

江戸名所図屏風  隅田川をメインに左右の岸辺を描く。木母寺の梅若塚はこんもり盛られ、松らしきものが見える。謡曲『隅田川』そのまま。梅若の説話はかなり好きで、特に謡曲より歌舞伎に好きなものが多い。南北も黙阿弥も都鳥の世界を借りた。
中世から幕末まで、隅田川と言えばこの哀れな説話が人々の意識に浮かび上がってくるのだった。
かどわかされた高貴の美少年がのたれ死に、哀れに思った人々が塚を拵えて弔う。
そこへ子を探して狂った女が訪れ・・・
一方、浅草の賑わいも描かれていて、仁王が妙に可愛い。

江戸名所遊楽図屏風  京のような風物が多いので、一見江戸には見えない。女歌舞伎もあり、見世物もあり、人形芝居もある。三味線ジャカジャカ弾く女の顔立ちが、なかなかわたし好みで、見ていて嬉しかった。確か江戸名所遊楽図を描いたもので最古なのは、出光の所蔵品だが、これはそれより古様に見える。作者は京を出ることなく、江戸を想像で描いたのかもしれない。

年中行事図巻 冷泉為恭  月次のさまざまな行事を描いている。そのうちのいくつかは、現代にも形を変えながらも残っているものもある。しかし大方は廃れている。
抑制の効いた為恭の絵が、抒情を廃していた。

賀茂競馬図屏風  京博にある例のものとは違い、こちらはなんとなく普通の空気がある。
あちらの絵は見ただけでニヤニヤしてしまうが、これはやや健全。

やすらい祭牛祭図屏風 浮田一  前々から好きな作品だが、これと次の蝶々踊り図は、先般東京のサントリー美術館での「KAZARI」にもでかけていたらしい。
やすらえ、花よ。この祭りについては、山本健吉の書いたものが思い出される。
鎮花祭。そして牛祭。・・・正直言うと巨大な頭の被り物はニガテだ。これはまだ絵だからいいが、お練なんぞになるとサヨナラ??だ。
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蝶々踊り図屏風 小沢華嶽  要するに幕末の民衆エネルギーが表に出ると、こうしたコスプレダンスになるわけですね、センセイ。(どこにいてるの)
犬のコスプレーヤー、カエル、その他諸々。「ええぢゃないか」がメジャーだが、各地で本当に色んな踊りが出ていたそうだ。

観馬図屏風 勝田竹翁  若き貴人が邸内にいて、庭には郎党らがいる。馬は中世から幕末まで良馬とされた連銭葦毛の馬などが見える。これはむしろ泰西名画の雰囲気がある。

四条河原図巻mir866.jpg
見世物小屋がたんまり並ぶが、クマの見世物がなかなかいい。
お相撲を取ってる人々もいる。ここのキャラたちはチラシにも越境している。
(‘94年京博『都の形象』に出品されていた。後日確認)

男女遊楽図屏風  彦根屏風に影響を受けた屏風と言われるが、これはこれでいい感じ。横並びなので、他の絵に比べると、奥行きがない。着物の柄の繊細な描き込みがいい。
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誰が袖図屏風  三枚ばかり優雅な小袖が掛けられているが、やや色が重たい。

舞踊図  面長の美少年(というより、青年期に入りかかった年頃)の立姿。着物の柄に水色の菱形が入り、スッキリして見える。しかしそのために彼はもう、色子としては終りなのだろう・・・

高雄太夫図  何代目の高雄かは知らないが、ポーズは柿本人麻呂。古来からポーズやグッズでその人物を特定する決まりがあるが、彼女にそのポーズを取らせたと言うことは、この高雄は和歌が得意と言うことになる。ところでタイトルは高雄だが、大体のタカオは高尾だと思う。

江戸風俗図巻 山東京伝  戯作者としてだけでなく、絵も描いたが、さすがに毒がある。
夜鷹、陰間、深川芸者、普通の芸者などなどの風俗が描かれている。きれいに描かれたのはいないように思った。

他に南蛮キャビネットなどもあり、見ていてわくわくする内容の展示だった。
11/3までだから、もう一度見に行きたいものだ。
やっぱり遊楽図は見るだけでも楽しい・・・




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コメント
静嘉堂では舞台で「ぱふゅーむ」が踊っていた
お世話になっております
このレヴューはうれしかったですな
連休の中日は 
某寺某院の虫干し等目当てに日帰り上洛予定
折角なのでこちらも覗いてみたいです
下旬よりこちらの「たばこと塩」でも
風俗画特集(?)組まれるらしいゆえ
比べてみるのも面白そう
それでは ご自愛ご健筆を
2008/10/08(水) 19:08 | URL | TADDY K. #-[ 編集]
色んな催しがあるもんですね
☆TADDY K.さん こんばんは
やっばり近世風俗画と言うものは、面白すぎます。
浮世絵は距離が近いんですが、風俗画は遠景なんですよね。
そこがまた面白いです。
日帰り上洛にぜひぜひ。

たばこと塩、まだ案内状が来てません。
見捨てられたかな・・・
2008/10/08(水) 23:46 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
しつこにて
お世話になっております
虫干しから雲谷さんの襖絵経由して
行ってまいりました
夕刻の館内はほぼ貸し切りでしたので
蝶々踊りを見よう見まねでやってみたりして
(妖しの群衆のつくる流れの具合は
快作(?)でありました)
記事に改めて御礼 ご自愛ご健筆を
2008/10/16(木) 18:43 | URL | TADDY K. #fjJSDZ0o[ 編集]
逢う魔が刻
☆TADDY K.さん こんばんは
・・・あの歴代樂家の茶碗のある空間で蝶々踊りを踊られたのですか、コスプレもせず?
・・・面妖な(失敬)、それはさぞかし観物でしたろうねぇぇぇぇぇ。
お茶碗もあんぐり口を開け、雲谷さんの襖もふるえたことでしょう。
2008/10/16(木) 21:48 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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