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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

川瀬巴水展

近年、川瀬巴水の人気は高まるばかりだ。
やはりニューオータニでの大掛かりな回顧展が良かったからだろう、みんな喜んで彼のファンになった。
それ以後は土井コレクションの巴水作品が礫川で見れたりもしたし、大阪でも守口京阪百貨店での展覧会があった。
今回はそれらとはまた別な企画の、巴水回顧展。前後期に分かれているが、とりあえず前期展に行った。
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21世紀になってからだと、東京国立近代美術館での小企画、千葉市美術館でのシリーズ「日本の版画」、東博での展示くらいでしか見ることが出来なかった。
版画はちょっと気の毒な状況に置かれていたのかもしれない。
ただ幸いなことに江戸東博は、失われた江戸から明治大正昭和初期の風景版画を、まとめて絵葉書にしてくれていたので、実物を見ずとも絵葉書などでこれらの版画を見る機会が以前からあった。
『大阪高津』 mir890.jpg
これは江戸東博にはないシリーズ。
大大阪だった時代、大正末期、仁徳天皇ゆかりの高津の宮から大阪を一望する。

わたしが巴水の作品を知るようになったのも、失われた都市風景を捜し求めての結果だった。
ただ、名前だけは以前から知っていた。それはわたしが巴水の師匠・鏑木清方のファンだからだ。清方は絵画だけでなく、随筆や回想記にも名品が多い。
大勢の弟子も大事に育てたので、「こしかたの記」には彼らの思い出が集まっている。
美人画の巨匠の下で版画に勤しんだのは、大正新版画運動に関わった深水、江戸以来の絵師・摺師との協働の巴水、それと笠松紫浪だったと思う。
その中でもやはり巴水の風景版画には深い魅力がある。
大正の広重と呼ばれただけに叙情的な風景版画が美しい。
『天王寺』mir889.jpg
 聖徳太子の建てた四天王寺の伽藍の配置にはいつもいつもときめくが、ここでは南からの景色が見える。
こんな雪の日に玉手御前は屋敷を抜け出して、合邦辻の実家へ駆けたのだろうか・・・

わたしも広重以来の伝統的な風景版画に惹かれているので、巴水の版画を徒然に眺める喜びを味わえて、幸せだと思っている。
みんなの喜ぶ風景版画。見ていると楽しくなる。色調も美しいし、構図も素敵。
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巴水の青色の美は殊に眼を惹くが、強い赤の使い方、白の優しさにも印象が残る。
『芝大門の雪』 レトロなクラシックカーも赤い門も白い雪に浸食されている。
何とも言えず美しい白雪。mir890-2.jpg


今回、自分の持たない絵葉書をいくつか買った。前々から欲しかった作品がそこにあった。
『こいのぼり』 戦後の作品。田舎町のある家に、緋鯉が一匹だけ空に舞っていた。
mir890-1.jpg

後期に行けるなら行きたいが、いまのところ目処は立たないのだった。
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コメント
遊行七恵さん、こんにちは。
川瀬巴水はよく知らなかったのですけど、強い赤を使った作品は見たことがあり、記憶に残っていました。
今回の記事拝見して、青の使い方も仰るように素晴らしいですね。
俄然興味がわきました。少し勉強してみます。
2008/10/20(月) 00:12 | URL | sekisindho #-[ 編集]
☆sekisindhoさん こんにちは
ぜひぜひ画家の生涯と作品のご紹介記事をお願いします。
熱烈リクエストしますよ。
清方のお弟子さんはやっぱりいい作品を生み出しますね。

本当に繊細な綺麗さがありました。
日本の美がそこにあるなぁとしみじみ味わいました。

2008/10/20(月) 12:42 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
去年は没後50年ということで岡山で、今年は5月に広島市郷土資料館でありましたので、見に行きました。昔の風景で心が和みます。水 特に雨の表現にはうっとり。鏑木清方のお弟子さんだったんですね。この間鎌倉で見てきました。
2008/10/20(月) 20:13 | URL | 抹茶 #-[ 編集]
☆抹茶さん こんばんは
岡山も美術館の多い県ですね。
しかもハイレベルなのが多いです。

巴水は戦後も、変わらぬ日本の美しさを追い求めていたようですね。
時々JRのポスターなどに巴水の作品が使われているを見て、「行きたいな~」と話す声を聞くこともあります。
鎌倉の清方記念館、ここも大好きです。
2008/10/20(月) 23:02 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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