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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ベルギーロイヤルコレクション浮世絵展in京都

昨秋から始まっているベルギーロイヤルコレクションの浮世絵展が、京都高島屋で開催された。これは太田記念浮世絵美術館に始まり、京都高島屋、そして日本橋高島屋で順次開催されるコレクション展だが、3会場とも全て異なる展示内容だと言う。
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トップの太田の展覧会は見損ねたが、京都分は見ることが出来た。
ところがこれが凄い集客で、何を見たのか途中でわからなくなった。
リストがないのと、それから以前に見知った作品がわりに多いのが、その原因かと思う。
つまり脳に予め刻まれた画像と、今の自分の目で見ている画像とが入り交ざって、判別できない状態になったのだ。
ベルギーの浮世絵はマレなものは少ないが、その分すばらしく保存状態のよいものが多いそうで、それがいよいよお客を招んだのだろう。(わたしの混乱も)

このチラシはなかなか面白い。ベルギーからの行列のようにも見える。
こうして見てみると、作家性の違い・時代の違いもあるが、全く別な文化を背景にした絵のように思われる。

かなり多くの作品が来ていることは知っていたし、絵師ごとの作品数もそれぞれ多かったが、特に良かったのは春信だと思う。
春信の作品はよそでも見たものが出ていたが、それにしても発色が良いし、摺りの状態まで見えるようで、これは本当に見事だった。
そこから考えると、春信は江戸中期のヒトだから幕末にリアルタイムに新作が出るわけもないから、外国に流れるまでの経緯として、何度も再版があったために、こんなにも綺麗な状況で流出した・・・そしてそれをベルギーでは大事にされて、百年以上経った今もピカピカで見れる・・・
こういうことなのだろう。
そういえば欧州大陸と日本とでは湿度がまったく違う。向うは乾燥しているので、それが良かったのか?
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春信の性差のない男女の絵を見ていると、上品な描き方ではあっても、たいへん深いエロティシズムを感じたりする。
五常シリーズは仁義礼忠信といった言葉を絵にしたものなのだが、その言葉の意味を描く絵でありながらも、どこか色っぽく見える。
女同士の秘かな愉しみがそこに描かれているような、そんな感じ。


清長、写楽、歌麿、北斎、と海外で特に好まれる絵師の作品を眺める。
思えば我々日本人も長らく浮世絵から離れていたので、現代の人々が浮世絵を眺める心持は、外国人のそれと変わらないかも知れない。

cam057.jpg
歌麿 このほつれ毛がたまらない。なんとも婀娜な女。指先でぐいっと半衿を引くのがまたまた色っぽい。手の細かいこと、後れ毛の描写が素晴らしい。絵師も一流、摺り師も一流でなければ、こうは描けない。

そういえば面白いことに、最近は幕末の浮世絵師の作品もよく表に現れるようになった。
一時ほどの国芳ブームも去ったが、近頃では海外の里帰り展で国貞の浮世絵を見かけるようになった。
国内では多く見かけるが、海外コレクションは里帰り展のとき、国貞を持って来なかったのに。
嬉しいことではある。
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縦三枚続の文覚上人。国貞はお客が喜ぶ勘所をよく衝いている。
これは役者絵なので、それぞれの役者の特徴がよく出ている。七代目団十郎は目玉の大きい人だと言うだけに、大きな目に描かれ、不動明王の五代目幸四郎は『鼻高幸四郎』と呼ばれるもナットクな鼻である。やはこの時代の役者絵、芝居絵が一番面白い。

国芳の戯画もいっぱいあり、嬉しかった。
金魚絵は見立て絵でもあるから、それを勘繰るのも楽しい。
そしてそうはしなくても、一目でわかる猫文字もあって、これがまた嬉しいのだ。
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次は春に日本橋の高島屋で開催と言うから、それを楽しみにしたい。
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コメント
こんばんは。

ちょっとご無沙汰しました。
本当にこのチラシ、いい感じです。
写楽が先頭にいるのも、嬉しい~
文覚上人もかっこよい!

まだ美術館めぐりに本腰が入らない状況ですが、
東京は妙心寺やら、興福寺やら
お寺さんがよく来てくれます。
三井寺も来るし、今年は、そんな年になりそうです~
2009/01/20(火) 22:22 | URL | あべまつ #-[ 編集]
☆あべまつさん こんばんは
先ほど、あべまつさんちにお邪魔してたところです。
不法侵入・・・。

ブツゾー年になりそうですか。
そのブツゾーですが、今日の新聞によると、国宝の6割が関西にあるそうです。やっぱりそれはブツゾーのおかげなんでしょうね。
2009/01/20(火) 23:36 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
こんな素敵な展覧会が高島屋で開かれていたのですね~!!
私、期間中に京都に行ってたのに、見落としてました。。。うう、反省・・・(^^;
でも、遊行さんの記事で楽しめてよかったです♪
春信さんの絵にはいつも癒されています。(^^)
色合いのやわらかさがそう思えるのかも・・・
本当、どうしても女性同士にしか見えません(笑)
猫ちゃんの絵、ネコなのに「たこ」と描かせるのがまたニクイですね(笑)
2009/01/20(火) 23:40 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
☆tanukiさん こんばんは
残念でしたね~そういうのが一番口惜しい。

春信は素敵ですよね♪
この絵は女同士なんですが、他のカップル絵が凄い。
上品な味わいの求肥の中に、濃厚な苺ジャムが隠されているような感じですよね。

そう、ねこで蛸なんです(笑)。
2009/01/20(火) 23:59 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
去年、あんなにあった浮世絵展も、最近は
こちらでは、噂も聞かなくなりました。
どうやら、ここで展示された作品は、日本橋には
来ないらしいですね。
それでも、日本橋の展覧会、待ち遠しいです。
2009/01/21(水) 05:30 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
太田記念美術館での展覧会は観ました。3会場とも異なる展示内容だとなると、日本橋高島屋も行った方がいいのかしら?!
遊行さんは行くのでしょうか?
太田記念でも、けっこう混んでいましたねぇ。普段、静かな会場が人で一杯だったので、ビックリしました。
デパートだとさらに、混みますよね~。うーむ、悩むな・・・。
2009/01/21(水) 19:38 | URL | えび #-[ 編集]
こんばんわ、 Baroqueです。
よろしく

江戸時代後期の浮世絵って、ホントにいいですね。
国芳は、うまいし、魅力ありますが、 私は三代目豊国(二代目の説もあるとか)も好きです。歌舞伎の役者などワクワクします。
‘国貞、 二代目国貞、 三代目豊国’ は、同じ人 とおもってます  が~ 。
2009/01/21(水) 21:16 | URL |  Baroque #-[ 編集]
初めまして
初めまして。

美人画は興味が無かったのですが、太田で観た春信の摺りの見事さ、
鮮やかさに目覚めた・・・つもりでいたのですが、
悲しいことに歌麿の後れ毛の記憶がありません。

初日は空いていたのですが、結構お客さんが入ったのですね。
ベルギー好きなので、多くの人がこの浮世絵コレクションに
関心を持って下さったことが嬉しいです。
チラシデザインもさり気なく国旗を取り入れてくれてたのがツボでした。

ところで、プリントアウトには向かない形状ですが、拙ブログに
京都展での作品リストを絵師単位で掲載しています。
ご参考になれば幸いです。
2009/01/22(木) 23:30 | URL | m25 #nJOMC89k[ 編集]
皆様、ただいま帰りました。
☆一村雨さん こんにちは
'08は浮世絵年、'09は仏像年らしいですね。
ベルギーコレクションは、3会場全部違う展示だそうです。
しかし全て見て回るのはちょっとムリですね、残念。
全部見たらスタンプ押すとかあれば、楽しいかも・・・
図書館と美術館のコレクションを一緒に持ってきてること自体が、すごいです。


☆えびさん こんにちは
日本橋展は行きますよ~♪太田は諦めましたが。
デパートはやっぱりよく混みます。
でも高島屋と大丸は展示方法をよく工夫してるので、それを期待しつつ。
あ、そうそう。もしかすると高島屋はトワイライト割引があるかもしれません。
夕方以降半額。京都はどれでもそうです。難波はちょっと思い出せませんが。


☆Baroqueさん こんにちは
わたしも幕末の浮世絵が好きです。化政期以降の浮世絵は楽しいです。
國貞と三代目豊国は同じだと思います。三代目と今日分類されるのは、二代目を名乗った人を國貞が無視したけど、という結果なんでしょうね。
ところでBaroqueさんのブログにコメントが入らないんです~~


☆m25さん こんにちは
はじめまして。しばしばお見かけいたしておりました。
春信の摺りの見事さは、他の絵師のときのそれと一線を画してるな~といつも思います。
どことなく印度細密画と同じ美意識を感じたりします、勝手ながら。
ベルギー、素敵ですよね。中世も近代もいい画家が現れるし、都市としての景観も素晴らしいですし。
歌麿の後れ毛、ぜひ日本橋でも別な作品で現れるはず♪お楽しみに~~
2009/01/25(日) 17:14 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
初めましての言葉が重複してお恥ずかしいです。

>しばしばお見かけいたしておりました。
記事が極端に少ないブログなのですが、ご存知頂いてたとは。
ご訪問頂き有難うございました。

>歌麿の後れ毛、ぜひ日本橋でも別な作品で現れるはず♪お楽しみに~~
図録掲載中、前2会場で未展示の作品が22点ですので、
日本橋での展示作品がどの様なチョイスになるのか、今から楽しみです。
2009/01/25(日) 20:49 | URL | m25 #-[ 編集]
☆m25さん こんばんは
リスト掲載のおかげで、いろんなことが思い出されて助かりました。ありがとうございます。

歌麿はやはり他の絵師と違い、女性美を探究しぬいた人だけに、やっぱり圧倒的な描写力だなーと思います。
一見ステロタイプやん、と思いますが、深まるほどに味わいがあるなぁとしみじみ実感してます。
日本橋、わたしもとても楽しみです~
2009/01/25(日) 22:03 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
内容の濃い展覧会で、満喫しました。
あの作品の量が、なんとも贅沢でしたね。
さすが目の肥えているベルギーには感謝です。
2009/01/26(月) 10:11 | URL | mi #H6hNXAII[ 編集]
☆miさん こんにちは
いかにベルギーの人々が浮世絵を愛し、大事にしてくれたかの証明みたいな展覧会でしたね。
昔々から芸術への愛好がこの国の人々には身についてはるんやわ~と実感です。
いいものを見せてもらえて嬉しいです。
2009/01/26(月) 12:44 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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