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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

篠山の美術館・資料館

丹波篠山には見るべき資料館や美術館がけっこう多い。
小さい町の中に篠山藩に伝わる美術工芸品などを集めた歴史美術館、丹波古陶館、中世から近世にかけて実際に使われていた能狂言関係の資料を集めた能楽資料館などなど。

近代和風建築の裁判所を美術館に転じた歴史美術館には、藩主・青山侯が城下の絵師に模写させた大和絵などが集められていた。
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狩野派の絵師による源氏物語を模写した屏風絵などは、色も綺麗に残り、見ていて楽しかった。それはつまり、「何百年も前の人々がその絵を見て楽しんだ」ということを踏まえて眺めることによる、二重の面白さなのだ。

水心子秀世の日本刀があった。実物をみるのは初めて。
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幕末の刀鍛冶で、勝海舟の父の勝小吉と懇意だったそうだ。
下母澤寛『おとこ鷹』『父子鷹』では、彼の拵えた一世一代の名刀がダメになるエピソードが綴られている。
また石川淳『天門』にも彼の鍛えた懐剣が、主人公の心の支えとなっており、それらの小説からわたしもまた、ちょっと憧れがあった。

上州あたりから上方までの地図もある。クリックしてください。
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これがなかなか面白い。富士山、寝覚ノ床、諏訪、美濃赤坂、青墓、伊吹山、関が原、比叡、大津あたり。18世紀の地図。
他にナゾな世界地図もあった。蝦夷も琉球も描かれているが、形はビミョ?。フィリピンはあるがシンガポールは見当たらなかった。それも仕方がないか。国は新しい。

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白衣観音と月に桜の図がどちらも繊細で綺麗だと思う。絵師の名前はよくわからない。

香道具もあり、写真で見る限りは謡曲本くらいの大きさに見えるが、実は豆本である。IMGP5927.jpg

他に布袋と子供たちの絵があり、その中で特に可愛い子供を見つけた。
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この美術館とあまり所蔵品に差異がなさそうな気がする青山歴史村へ行く。
ここは長屋門が保存されていた。漢学の版木とかサントリー美術館でおなじみの『ねずみ草紙』があった。
なかなか可愛い絵である。cam064.jpg
ところでこれは共通券のリーフレットなのだが、ここに描かれているのはねずみ草紙のキャラたちである。ちょっとした遊び心で、楽しいキモチになる。
(尤も「ねずみ草紙」自体はけっこう可哀想なところのある話なのだが)
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武士の居住地から今度は町人の町へ向う。
丹波古陶館と能楽資料館は以前来たときは別会計だったが、今は共通券になっていた。
丹波焼は立杭焼同様大きな壷などに魅力がある。
並んでいるのを見ても、大きな水瓶に良さそうなもの(司馬温公の説話に出てくるような)、水草と金魚が泳ぐのに良さそうなもの、バナナの木を植えたくなるようなもの、それらが特にいい感じだった。
これら大瓶は、音響効果を良くする為の装置として、春日神社の能舞台の真下に半ば埋められていもする。
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以前来たときにチケットの半券に使われていた細い首の花瓶を見る。愛らしい瓶だった。
今もここにあるのが嬉しい。

また能楽資料館は、建物の内部構造そのものがすばらしい。
先の古陶館は「明るい民藝館」という趣があり、こちらは多少空間にゆとりがないが、その分そこにときめきが凝縮されているような造りで、いつまでもここにいたい気がした。
ただし展示されているものは出目家の能面などだから、ある種の静かな恐れが潜んでいるかもしれないが。

ここで友人が興味深い話をした。
子供の頃、母親のたんすの引き出しを好奇心から開けてみると、そこに女面があったそうだ。彼女はあまりの恐怖に泣き出したそうだ。
小さい子供には恐ろしい経験だったろう。いや、剥き出しの能面がそんな風に現れれば、誰もが心臓を衝かれるかもしれない。
わたしはその話を聞きながら、土佐に伝わる仮面の話を思い出していた。
旧家で当主が代替わりしたそのとき、一生に一度だけ神主立会いの下で屋根裏に上がり、代々伝わる面と対面する。そして誰かが分家する際にはその面を分けもするが、その家が没落すれば面を川に流さなくてはならない。偶然川に流れる面を見つけても、誰もそれを拾ってはならない・・・

能面を眺めていると、いくらでも妄想が湧き出してくる。
無限に物語が溢れてくる。
しかしそれ以上ここにいることは許されず、わたしたちは外へ出た。

他にも丹波杜氏の記念館などもあるが、そこへは行けなかった。
以前行ったことがあるが、灘五郷の杜氏はここから来ていると知って、その頃ちょうど灘の酒蔵を訪ねていたので、たいへん嬉しく思ったものだった。

そう遠くもない地なのに、なかなか再訪できないまま15年が過ぎていた。
全く変わらないものもいくつかあり、新発見したものもあり、いい探訪になった。

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コメント
歴史館めぐりの絵地図の真ん中は、篠山城でしょうか?
で、その真ん中の建物は、再建された二の丸大書院?
ちょっと行ってみたい気分です。

篠山と言えば、私に取っては「松茸」かな。
むかしむかし、会社で1年先輩が篠山の出で、「なんか、あんまりうまくねェな」とか言いながら、送られてきた、松茸を食べた記憶があります。後にも先にも、あんなに松茸を食べたのは初めて。あまった松茸は、寮の夕食で炊き込みに化けた様な...

2009/02/12(木) 23:44 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
☆鼎さん こんにちは

> 歴史館めぐりの絵地図の真ん中は、篠山城でしょうか?
> で、その真ん中の建物は、再建された二の丸大書院?

その通りです。二の丸書院には時間がなくて行けませんでした、残念。

>後にも先にも、あんなに松茸を食べたのは初めて。
うらやましい・・・ヨダレたれたれですよ!!
わたしはヒトサマがマツタケ、カニ、フグ、春のタケノコ尽くしを食べたとか聞くと、ムショーにネタミます。
ええな~ええな~
2009/02/13(金) 12:34 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは~(^^)
とても充実した美術館ですね♪
昔の地図は見ていて楽しいですね。
自分が今、滋賀に住んでいるので、比叡山とか三井寺とか伊吹山とか、なじみの深い名前を見ると嬉しくなります。

お面のお話、怖~い気持になりますが、神秘的ですね。
「顔」というものは、人形と一緒で、作りものであっても魂が宿っているものなんでしょうね。
2009/02/13(金) 21:00 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
☆tanukiさん こんばんは
自分の知るが出るだけで地図を見るのは楽しいものです♪
グー▲ルアースのリアルな映像はちょっと困りますが。

面と人形は怖いと言う人がある一方で、たまらなく惹かれる人もいて、極端な反応がとても興味深いです。
わたしは能面も人形も大好きなのですが、実際こんな体験があればトラウマになりそうです(笑)。
2009/02/13(金) 23:49 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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