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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

さよなら青山ユニマット美術館

青山ユニマット美術館の閉館が今月末だと知って、ちょっとジクジたる思いにかまれた。
何しろいつでもあるだろうと思っていたから、これまで行かなかったのだ。
それで始まりの終わりというか、終わりの初めで外苑前に出た。
シャガールのいいコレクションがあることを知っていたが、確かにその通りなかなか素敵な作品が掛かっていた。
こう言う状況は好きだ。
若い頃の長渕の歌「time goes around」が頭に流れ出す。
・・・壁に掛かったシャガールにもたれながら 見下ろすハーバーライトの数を・・・
なんとなく明るい気持ちになる。
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赤と青を隣同士で使う絵でイヤではないのはシャガールだけだ。
チケットにも使われている。
いつもシャガールの絵は色彩ばかりに目が行くが、たまに「凄い美人」を見ることもある。
このひとがそう。
綺麗な女のひとの絵を見るのは楽しい。

20世紀半ばまで活躍した画家の作品には、都会的なセンスがある。
パリで名を挙げたからか。むろんそれだけではないのだが。


いつか大掛かりな回顧展を開いてほしいキース・ヴァン・ドンゲン。
皮膚に独特の緑色が使われているが、それは生気を失わせるためのものではない。
上流階級の婦人たちは彼に描かれることで、その彩りをより明らかにしたのだろう。

ソフトな優しさに満ちたマリー・ローランサン。灰色を暗い色だと感じさせないのは彼女の作品だけだ。灰色の隣にはいつも優しく少しの艶を含んだピンクが寄り添う。
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色覚と聴覚が入れ替わるとサイケデリックな情景が生まれると言うが、ラウル・デュフィの作品には、形がある。
オーケストラの絵を見るだけで、音楽が聴こえて来る様だ。

ピエール・ボナールの1910年代から20年代に描かれた女たちは、誰もが着心地の良さそうな衣服を身につけている。わたしたちはその布の触感を眼で確かめる。

フジタの絵が数枚掛かっていた。一番好きな時代のものが並ぶ。
白い膚、バラ、猫。
争う猫たちの何と言う可愛さ。群猫図を描かせれば、国芳とフジタが世界一だと信じている。
声まで聞こえてきそうだ。

二人の裸婦  クールベ、ロートレックの次に女たちの秘めやかな愉しみを描いたのはフジタだった。
原題は“brune et blonde”。二人の女は髪を短くしているから縺れあうこともないだろう。
縺れ合うのは肩に廻された指先だったのかもしれない。


シャガールやエコール・ド・パリの後にはミレーとバルビゾン派の絵が待っていた。

ミレー 犬を抱いた少女  裕福そうな家の女の子がこちらを見ている。
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今回チラシに選ばれたのは、この愛らしい少女だった。
おしゃまな目をした女の子。
数ある「少女画」の中でも上位に入る可愛らしさだった。

クールベ シヨン城  クールベは他にも同一モティーフの絵を残しているので、以前見たものかそうでないのか、ちょっと判別がつかなくなった。
バイロンの詩が蘇る。そしてアンデルセン「氷姫」もまたバイロンの詩を想い、この城を遠望する人々が現れる。
詩と絵のイメージが完全に合致して、離れ難く結びついている。
現実にこの城を見たとしても、たぶんわたしの意識には実景ではなく、クールベの絵が見え、バイロンの詩が浮かんでくるだろう。
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ナルシス・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ キューピッドと戯れるヴィーナス  艶かしいヴィーナス。キューピッドも狎れすぎている。くちづけの痕が残らないようにしないとね。
ド・ラ・ペーニャの描く女たちの姿には、いつもいつも魅惑される。きっと、アルマ=タデマの女たちとは魂の姉妹に違いない、そんな気がする。

いい絵を眺めてから階下へ降りると、ミュージアムショップの商品がすべて20%offになっていた。
しかし本当に欲しいものに限って「ない」ので、少し残念だった。
青山ユニマット美術館は今月末で終わる。その後はどうなるのか、知らない。


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コメント
No title
こんばんは。
ブルーコンサートは絵も美しいし、女性もとても綺麗ですね。大好きな作品です。隣同士の赤と青がシャガール以外ではどういう印象を受けるのか、今度どこかの絵をじっくりみてみたいと思います。
今月いっぱいで閉館というのがいまだに信じられない気持ちです。
2009/03/26(木) 23:19 | URL | キリル #ZgLpcwNk[ 編集]
No title
☆キリルさん こんにちは
まったく残念なことをしました。
いつでもいけるだろう、というのが仇になりました。
シャガールだけで構成された室内にいると、自分も宙に浮かんでいるようでした。
2009/03/27(金) 12:46 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
No title
こんにちは。シヨン城に行ったことがありますが、クールベの画とバイロンの詩から離れることはできませんでした。
2009/03/29(日) 18:53 | URL | とら #8WYMted2[ 編集]
No title
こんばんは。寂しく佇むシヨン城の景色がバイロンと重なり、さらに物悲しい雰囲気を醸し出していましたね。その作品が最後を飾ると言うのもまた余計に寂しいものでした。

それにしてもコレクション、どこへ行ってしまうのでしょう。あれだけ立派な建物の行方とともに強く気になるところでした。
2009/03/29(日) 19:33 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
No title
☆とらさん こんばんは
やはりご自分の眼でご覧になっても、絵と詩が浮かぶものなのですね。
「自然が人工を模倣する」のヴァリエーションのようですね。
わたしはジュネーヴからのレマン湖を見て「中之島周辺にそっくりやわ~」と言って、ツアーの皆さんにボカボカボカ・・・


☆はろるどさん こんばんは
なんでこの美術館が突然閉めるのかを皆さんのブログで知り、がっかりでした。
ユニマット飲まないぞ~とヘンな宣言したりしてます。

建物の構造も所蔵品に相応しいものでしたから、本当に残念です。
散逸するのでしょうね、きっと・・・・・・
2009/03/29(日) 21:40 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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