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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ブリヂストン美術館が好きだ

いったい年何回ブリヂストン美術館に行くのかよくわからない。
いい展覧会があれば必ず行くし、何もなくても訪ねることも多い。
わたしの「洋画」鑑賞修行地は倉敷の大原美術館、上野の西洋美術館、そしてこのブリヂストンだった。
むかしむかし、山種美術館が茅場町の駅の上にあったころ、山種とブリヂストンは必須ルートだった。
その頃にメトロリンクバスが運行していたら、さぞヘビーユーザーになっていたろうが、当時は地下鉄なので、勿体無くてよく歩いた。
この美術館はデートスポットでもあるのか、人気があっていいことだと思う。

先月、企画展「印象派から抽象画まで」を見た。次は「マティスの時代」。
特別展もいいが、所蔵品の中からピックアップする企画展もとても楽しい。
そしてそんなこと関係なしに、好きな絵だけを見て回ることを許してくれるのが、ブリヂストン美術館のいい所だ。
好きな絵をいくつか挙げてみる。

ラウル・デュフィ ポワレの服を着たモデルたち、1923年の競馬場 (1943)
丁度庭園美術館で「ポワレとフォルチュニィ」展を見たばかりだったから、印象が深かった。六人の女たち。意外なくらい肉付きの良い女たち。素敵な女たち。
ポワレの服を見たとき、ちょっと不思議な感覚があった。
身重の妻のためにデザインした、と言う割にはとてもスキニーなスタイルだと思ったのだ。
それでどうやって?と思っていたし、現に展示されている服も、着れば身体の線が露わになるな・・・と視ていた。しかしここに描かれた女たちはふくよかではあるが、「ポワレの服を着ている」意識の強さがあった。・・・実物を見たときよりも、むしろこの絵を見て、わたしは初めてポワレの服を着てみたい、と思った。
描かれた時代は’23年だったが、描かれたのは'43年だった。20年の歳月と、1943年と言う「時代」とを改めて考えた。

キース・ヴァン・ドンゲン シャンゼリゼ大通り (1924?1925)
それこそポワレの服をリアルタイムに着ていた女たちが、そこにいるような気がした。
ドンゲンの時代の最先端を行く女たちがとても好きだ。二人のほっそりした美人。犬を連れている。パリのイメージがここに集約されているような気がする。
ジュリアン・デュヴィヴィエ「望郷」ではペペル・モコはアルジェのカスバに隠れている。
パリへの望郷の念もだしがたく、生きている。その彼の前に現れるギャビー。「パリ」そのもののような女。ペペル・モコの知る「パリ」はこの時代だったろう。

アンドレ・ドラン 聖母子 (1913)
窓の向こうの空が、まるで宇宙にそのままつながっているかのように見える。
アジアの一地方に生まれた母子が、世界に広がる信仰の源となる過程はともかく、この絵の聖母子は地球という枠から飛び出し、宇宙へ拡がってゆきそうなイメージがあった。

アンリ・マティス 青い胴着の女 (1935)
次の展覧会の主役として、この絵はチラシの図像に選ばれている。
マティスの良さが「わかった」気がしたのは、25を越えてからだった。ドンゲンは見た瞬間から好きな作風だと思ったが、マティスの良さは理解できなかった。
‘97年の「コーン・コレクション」展あたりからマティスの良さが染み渡り、今ではとても好きな画家の一人になった。一枚の絵を生み出すまでの、気の遠くなるような試行には、ただただ感嘆するばかりだった。この線に・この色に・この構図に至るまでの遠い道のり。そしてその過程を感じさせない完成作品。
マティスは途轍もなくステキだ。

次は「マティスの時代」。またフラフラとブリヂストンに行くだろう、わたしは。
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コメント
No title
私が絵に興味を持つようになったのは、高1の時、
中学時代の担任に連れられてこの美術館にやってきた
ことからです。
「黄昏のベニス」にやられてしまいました。
色ってこんなに美しいのかとはじめて気づきました。
最近は、年に一回行けばいい方です。
あまりにも身近すぎて。
2009/04/15(水) 04:31 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
No title
私もブリジストン美術館は、美術勉強の思い出の地です。
学生時代、この美術館へ行って、好きな作品3点を上げて、レポートせよという宿題があって、行ったのが初めてでした。
閉館間近に行ったので、誰もいなくて、ちょっと怖かった思い出があります。
監視員のおぢさんが親切に、ぎりぎりまで見せてくれて、ありがたかったのをよく覚えています。
2009/04/15(水) 13:40 | URL | えび #-[ 編集]
☆一村雨さん こんばんは
「黄昏のベニス」 あの色彩の美しさにはクラクラしますね。
中学のときの先生は、高校生になった教え子に「人生の宝」を示してくださったんですね。
とてもいいお話やなぁと思いました。
>あまりにも身近すぎて。
ときには「目的」を持たずに行かれることもお勧めですね。
不意に新しい何かに気づくことがあるかも知れませんよ♪


☆えびさん こんばんは
ここは本当にいいところです。
わたしがモネを初めて「!!!」となったのもここでした。
絵そのものもさることながら、床に映る睡蓮の影に衝撃を受けました。
本当に素晴らしいです。
ブリヂストンではいやな目に遭うことも全くなく、本当にいいなぁと感じています。
2009/04/15(水) 21:43 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
No title
ブリヂストン美術館は美術館の形が好きです。
真ん中に廊下、廊下を囲んでコの字形に配置された展示室。
観たいものをショートカットで観るには、理想的な構造です。

規模もちょうどいいくらいか?
立地はベスト。
コレクションも、かなりいい...
2009/04/16(木) 21:34 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
No title
☆鼎さん こんばんは
閉館時間もいいですよ。場所もいい。
本当の意味でのオアシスですね。
見たいものだけを見て、見たくないものはパス。
贅沢な気持ちになります。
規模もあれがベストですよ。
2009/04/17(金) 00:26 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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