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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

鑑真和上展

鑑真和上展に行った。奈良国立博物館で5/24まで開催中。
唐招提寺の展覧会は'87年夏にナンバの高島屋で開催されたことがある。
2005年の東博展には行かなかった。
デパートでの展覧会には国宝級の文物は出品してはいけないという法律があるはずだが、どうも鑑真和上の像を観た記憶があるのだ。
22年前のことだし、チラシもちょっと出てこないのだが、どうもそんな・・・複製品だったのかもしれないが。
一番良く覚えているのは東山魁夷の襖絵だった。
今回も展示の終わり頃に大きくその見せ場が作られている。

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斜めからの撮影。光が当たる顔。カメラマンはこの像を<彫刻>として捉えるのではなく、苦難多き道を生きた聖者の風貌として、映し出している。
目を閉ざしているのは12年、6度に亙る渡航失敗のため失明したからだ。
栄誉を捨て、強い意思の下で、日本へ来てくれた偉人。

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金堂に安置されている四天王たちがここに来ていた。
奈良時代の作だが、裳裾表現がそれまでの日本にないもので、これは鑑真和上の来日によって齎された新風ではないか、と解説にある。
苦虫を噛み潰したようなその顔立ちを見て、板垣恵介の「刃牙」シリーズに出てきそうな面構えだと思った。

唐招提寺の勅額の文字はシンプルで、しかし印象深く、すぐに頭に浮かんでくる。
それを久しぶりに間近で見た。

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わたしが楽しみにしていたのは、東征絵巻。二巻と五巻が展示されている。
紅葉が描かれているから秋に出立しようとするのがわかる。しかし左にはもう早や失敗。難船難破。水吐いてる描写などがリアル。
五巻では、やっと沖縄経由で到着した鑑真一行が、奈良の都に入る描写がある。
紅梅が咲き、山盛りの白米が饗される。羅城門外での饗応。
そして桜の頃に東大寺へ。キャラはなかなかよく描けていて、優美な顔立ちの貴公子などが見えた。
詳しくは昭和女子大のこのサイトをご覧に。

しかしいつも鑑真和上のことを思うたびに痛感するのは、失明し、弟子も多く失いながらも、日本へ向おうとする気力と情熱のこと。
いったい、どうしてそこまで・・・
そのことを思うたびに、何かしら不思議な感動が湧き起こるのだ。

首や腕が失われた如来立像を見る。芸術家や文士たちに愛されてきた像。
サモトラケのニケ同様、首がないことで恒久の美を手に入れた像。
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釈迦像にも感銘を受けた。
本来正面から眺めるべきところが、どうしてか背後に回り、そこから正面へ廻る道すがら、釈迦の不可思議な微笑を浮かべた口許にひどく惹かれた。
艶かしいほどにうつくしい唇だった。しかし正面から唇を眺めても何も感じない。
そこにはただのGoldmundがあるばかりだった。
しかし斜めから眺めると、忽ちのうちに、厚みのある花片のように魅惑的だった。

御影堂の障壁画が即ち東山魁夷の青い絵の世界だった。
墨絵に近い「桂林月宵」などは、墨の薄さがまるで透き通るように見えた。
そして’87年のとき、心に残った「山雲」は、岐阜の天生峠の様子から思いついた、と知った。まるで「高野聖」のような目ではないか。
そんなことを思いながら、海のない奈良の寺に描かれた「濤声」を見た。
この波濤は鑑真和上の越えてきた海なのである。絵には静かに優しく見えても、この波がその渡航を阻んできたのだ。
しかしながら日本につき、人々に受戒させたあと、唐招提寺に在った鑑真和上の心は、この絵のように凪いでいたろう。

シビがあった。なかなか大きい。これを見ていると、シビサブレが食べたくなってきた。
(こういう考えが湧くのが我ながら不思議だ)

他に十六羅漢像図、五大尊像、法華経などがあった。いずれも綺麗な作品だった。
特に羅漢のところの童子が居眠って、机に突っ伏している図は可愛かった。
降三世が男女を踏み拉こうとする図にも惹かれた。

会期中’80年の映画「天平の甍」が上映される日がある。詳しくはサイトへ。


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コメント
No title
2003年に松山で開催された「国宝 鑑真和上展」へ行きました。
和上がはるばる松山まで来てくださったことに感動したのはもちろんですが、一番の思い出は美術館のレストランで限定メニュー「和上膳」を食べたことです。ミニガイドブックとともにお品書きを今も大事に保管しております。
2009/04/21(火) 22:11 | URL | 千露 #GyvMcuCk[ 編集]
☆千露さん こんばんは

なんとなく奈良時代までの仏教系には深い感銘を受けたりします。

>美術館のレストランで限定メニュー「和上膳」を食べたことです。

文字を見ただけでヨダレが湧いてくるんですが、どんなメニューだったのでしょう。
だいたい展覧会にあわせた限定メニューってけっこう記憶に残りますよね♪
私は随分前、ブルーノ・タウト展で、「宇宙建築師」のイメージなのか、カラフルなゼリー寄せをいただいたことがあります。
2009/04/21(火) 23:14 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
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