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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

板谷波山をめぐる近代陶磁

「板谷波山をめぐる近代陶磁」を六本木の泉屋分館に見に行った。
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板谷波山と言えば出光コレクションをすぐに思い出すが、さすが住友、所蔵していたのだった。(尤も展示物全てがここのものではないのだが)
京都の本館ではついぞ近代ものは見ないので、六本木に分館が出来て、そこでこうした展覧会が開かれるのはまことに喜ばしい。
展覧会のねらい。
「板谷波山は「葆光釉」と呼ばれる光を包み込むようなやわらかな質感の釉薬に特徴があり、「葆光彩磁珍果文花瓶」でも大型の器面全体をむらなく覆い、その柔らかな光の表現は独自の世界を創り出しています。波山は、葆光釉の他にも「彩磁」「白磁」「青磁」など様々な技法、また中国の吉祥模様やインドネシアの更紗の模様を典拠とするなど、デザインにおいても学習の成果を遺憾なく発揮しました。そこで「葆光彩磁珍果文花瓶」が制作された大正期を中心に波山の作品をご覧いただきたいと思います。」
数年前の「日本のアールヌーヴォー」展でも波山の葆光釉が選ばれて展示されていた。
大正期に生まれたこの独特の陶磁器を、リアルタイムに見た人々の衝撃はどれほどだったろう。
そのことを想像するだけでわくわくする。

板谷波山「彩磁菊花図額皿」 筑西市立下館小学校 明治44年
画像がなくて残念だが、この地の色は今流行の明るい緑紺色で、偶然にもその日わたしが着ていた服と同じ色だった。妙に嬉しかった。
そして清い白菊が浮かび上がっている。これは昭憲皇后の御前で制作したそうだ。

板谷波山「彩磁印甸亜文花瓶」 茨城県陶芸美術館 大正5年
サイジ・インディア・モン・カビン。インディアン風な図柄と言う意味らしいが、アールヌーヴォーの匂いが濃い。

板谷波山「葆光彩磁葡萄唐草文花瓶」 大正4年
薬師寺の三尊の台座の唐草文様をモティーフにしたそうだ。
この辺りを見ていると、「温故知新」という言葉を思い出す。

板谷波山「葆光彩磁紫陽花文鉢」 大正前期
これは欲しい!大体わたしは乾山や道八などが得意とした、器の内外に花が描かれ・刻まれた鉢が大好きなのだ。
これも紫陽花が可愛くて仕方ない。
やっぱり花は椿か紫陽花かのこんな鉢がいい。蝶のモティーフは鉢でなく皿が好きだが。

板谷波山「褐釉八つ手葉彫刻花瓶」 大正8年
浮き上がる八つ手は色に塗り込められている。自由に葉を広げることは許されない八つ手。
なんとも艶かしい花瓶だった。

板谷波山「葆光彩磁珍果文花瓶」 大正6年
チラシ左側の青い花瓶。これぞ<板谷波山>という逸品。重文なのも納得。
しかしわたしはあまり好みくないので、ただきれいやなーと感心するばかり。

板谷波山「彩磁花鳥更紗文花瓶」 大正8年
ト、トリが蝶を噛んでる??(涙)。cam218-1.jpg
トンボは花の影に隠れている。更紗については色んな手があることを知っている。これは花鳥文なのだが、トリめw
彦根更紗をモデルにしたそうな。

板谷波山「氷華磁仙桃文花瓶」 茨城県陶芸美術館 大正15年頃
チラシ右上。白に見えるが実物は綺麗な薄い青白磁。図象の刻まれた道筋に少しばかり色が濃く残る。それがなんとも言えず艶かしい。

玉蘭銘「マジョリカ写銀杏文皿」 明治-大正時代・1910年代
波山の妻で、この人もよくしたという。息子さんは寡作の人だったが、奥さんは夫唱婦随なのか、いいものを残している。
その同時期に息子さんの拵えた花瓶もあるが、可愛い感じの作風だった。

驚いたことに、制作途上の欠片や破片も展示されていた。こうしたものを見る機会は少ないので、たいへん興味深かった。

他に同時代人・明治初の先達たちの作品が並んでいた。
三代清風与平「錦彩磁牡丹之画壷」 明治時代
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緋牡丹は色だけで表現され、白牡丹は陽刻で示される。地にそのまま描かれた蝶が、花々の上を飛ぶ。 綺麗な作品だった。

初代宮川香山 「倣洋紅意花瓶」 明治時代
チラシ右下。綺麗な焔の色。首から胴への波状の文様が、炎上する様相を描くようで、ひどく美麗だと思った。

初代宮川香山  「青華鳳凰形花入」 明治後期
長い背中が空いている。これは津田信夫の孔雀像とも共通する造形。

初代宮川香山  「乾山写し百合型向付」 明治-大正時代
遠目からでも写しだとわかるが、しかしやはり「ああ、近代の作だ」と感じた。
どこがどうかと言われると説明に困るが、実際目の当たりにすると、この感覚は伝わると思う。

初代宮川香山 「色絵金彩犬張子香合」 明治43年
可愛い!ちゃんと犬張子。紙張りのそれのような。可愛い。
こういう掌サイズの可愛いものをわたしも集めてみたい・・・

なかなか楽しめる展覧会だった。ただし好きな人にしかお勧めできないかもしれない。

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コメント
No title
これは僕も明日みにいきます。
何か読売新聞が絡んでいるようで、そのため立派な図録もできているようですね。
遊行さんーだけでなく女子一般ーを理解するキーワードは、かわいい、ですね!
ところで、京都のイタリア美術とナポレオンのチケットが一枚あるのですが、もう行かれましたか?まだなら迅速におおくりします。
2009/05/16(土) 22:50 | URL | oki #-[ 編集]
☆okiさん こんばんは
「かわいい」はいまや世界語です~
わかりやすくていい言葉だ。
世界の人々も発音しやすいし。
イタリアはもう見てきました。
ありがとうございます。
2009/05/17(日) 00:37 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
No title
板谷波山で検索してお邪魔しました。
「ほしい~」という感覚はとてもよく分かり、共感して思わず笑ってしまいました!
住友のコレクションも観に行ってみたいです!
2009/07/17(金) 01:13 | URL | ひな #-[ 編集]
☆ひなさん こんにちは
「ほしい~」でしょ(笑)。
波山はたくさん持ってるところと、チョコッと持ってるところがあって、こうしていきなり大量に現れると「うわ♪」です。
野間にも少しあるようですが、やっぱり波山はきれいですね。
2009/07/17(金) 12:29 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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