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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

聖地寧波 日本仏教1300年の源流

奈良国立博物館で「聖地寧波 日本仏教1300年の源流 すべてはここからやって来た 」を見た。
二日目に出かけたのだが、なかなか繁盛している。
前後期入れ替えがあるので、とりあえず前期を楽しもう。
(例によって長々と書き連ねる)
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第1章 聖地を行き交う人・もの

宋船模型   現代 福岡市博物館
帆が二枚あるが、折りたたむと巨大な木簡風な感じがする。
ちょっとこれを見ると「燈台鬼」を思い出して、首筋が寒くなる。

鑑真和上像 1幅 絹本著色 室町時代 奈良・東大寺
つい先般、ここで鑑真展を見て、日本最高の彫刻と言われる鑑真像を見たが、これはその像を描いたもの。
真正面からの描写。三次元のものをこの当時の技術で二次元化するのは、案外難しいものだ。

最澄像 1幅 絹本著色 平安時代  兵庫・一乗寺
白い顔で頭に白布を巻くいつもの肖像だが、伏目なところと言い、やや艶かしく感じる。
どうもいつも最澄にはそんな色っぽさを感じてしまうのだった。
最澄は最初期に寧波に留学した人。


善財童子立像 1躯 木造彩色 中国・南宋時代 岐阜・長瀧寺
請来した仏像で、南宋らしいような面長。ただし摩滅剥落が激しく、どのような表情だったかはわかりにくい。

宋版一切経 甄正論巻下、大般若巻五百六十一 2帖 版本 中国・南宋時代 神奈川・称名寺
三蔵法師の名前があった。こういうのを見ると、天竺までお経を求めて難儀したことがしのばれる。
しっかりした文字だった。だいぶ字体も肉太になっている。

宋風獅子 2躯 石造 鎌倉時代 福岡・飯盛神社
可愛いが、阿吽それぞれほっそりしている。そこらが宋風なのかもしれない。

銅製経筒 伝福岡県出土 1口 銅製 平安時代保延7年(1141) 奈良国立博物館
線刻で十羅刹女らが。なかなか綺麗な線描で、平安時代の絵というものはやはり線が命かも、と思った。


第2章 阿育王寺-仏舎利への崇敬

釈迦如来立像 1躯 木造彩色截金 中国・北宋時代雍熙2年(985) 京都・清凉寺
釈迦如来像納入品 然入宋求法巡礼行瑞像造立記 1通 紙本墨書
金剛般若波羅密経 1枚 版本 中国・北宋時代雍熙2年(985)6月刊記
霊山変相図 1枚 紙本墨摺
水月観音鏡像 1面 銅製線刻
絹製五臓(複製) 1口 絹製 中国・北宋時代雍熙2年(985)8月墨書
釈迦堂縁起 第五巻 1巻 紙本著色 室町時代永正12年(1515)頃 京都・清凉寺

清涼寺と言えば嵯峨釈迦堂で、そのご本尊の首から裾までグルグルのドレープドレスを身にまとうのがお越しでした。
その中身に収められているものでお経などはともかく、布で拵えた五臓六腑があるのが楽しい。
これは複製品らしいが、こういうのがけっこう好きなので、面白い。へんなことを言うが、焼肉屋に行った気分になる。
それで縁起絵巻はなかなか綺麗な絵で、模造を拵えて日本へ贈るということだったのが、手違いから(?)本物が日本へ来た・・・という話だった。

銀阿育王塔 1基 銀製 鍛造 中国・五代(10世紀後半) 中国・杭州市浙江省博物館
酸化もせず、たいへん美麗な銀細工。四方にジャータカが刻まれているが、どんな話なのかはわかりにくい。
しかし銀細工としてはたいへんに見事だと思う。

浙江省台州市黄岩区霊石寺塔文物・四天王鏡像 5面 銅製 線刻 中国・五代(10世紀) 中国台州市・黄岩博物館
この鏡の線刻絵、ビミョ-にファンキーでいい。どれもこれもそう。
なんとなく♪ほんわかほんわほんわかほんわ-とBGMを流したくなる。

浙江省金華市万仏塔文物・七仏像 1件 銅製 鍍金彩色
この形は枠だけ見れば仏教でもキリスト教でも変わりがないように見える。装飾性が強い。
クリスマスの天使をよせ集めたオーナメント風。

藤原道長経筒 1口 銅製 鍛造 平安時代寛弘4年(1007) 奈良・金峯神社 全期間
二年前か、千年目の公開で初めて見たのは京博での展覧会だったが、これは今回の方がいいと思った。
見せ方がいい。そして刻まれた銘文も別に写されているので、とてもサービスがいいと喜んだ。
全文読む・読まないは人の勝手ですな。
この辺りでは大峰山関係の出土品が多い。知人の山伏さんは大峰山の山開きのとき、法螺貝を吹いていたそうだ。
今はどうか知らないが。


第3章 延慶寺-天台浄土教の隆盛

観経序分義変相図 1幅 絹本著色 中国・元時代皇慶元年(1312) 愛知・大恩寺
シャカ伝にある、王子に幽閉される王様の説話が描かれている。塔の上部には祈る后のもとへ来る釈迦の姿がある。
このエピソードは手塚の「ブッダ」で読んだが、 せつない物語だった。

仏涅槃図 1幅 絹本著色 中国・南宋時代 奈良国立博物館
沙羅双樹が宝珠の木になっていた。千夜一夜物語のような情景。横寝する釈迦の周囲の人々が大きく描かれ、動物たちの姿は見えない。

仏涅槃図 1幅 絹本著色 中国・南宋-元時代 愛知・中之坊
こちらも天からお迎えが来るのと、弟子たちの姿ばかりで、動物はひっくり返る獅子のみ。

十王図がいくつか来ていた。
中国台州市黄岩博物館、メトロポリタン美術館、奈良国立博物館など。
どれもこれも綺麗で精緻な絵。罪人がしょっ引かれてゆくが、その裾を子供が引く。哀れな感じ。
あとどう見てもSM風なのもある。中には突然和風美女もいる。


第4章 普陀山―観音の住む島

補陀落山聖境図 1幅 絹本著色 中国・元時代 長野・定勝寺
実際にそういう名の山があるとは、ついぞ知らなかった。蓬莱などと同じような存在かと思っていた。
しかし日本の渡海者たちは、別にこの山を目指したわけではない。

観音菩薩坐像 1躯 木造 彩色 中国・南宋時代 京都・泉涌寺
こちらが俗に言う楊貴妃観音。前期のみというので、会いに来たが、本当に美麗だった。
というより、この第4章からは会場を移動するので、「楊貴妃さんどこかな」程度の気持ちで入った途端、まぁなんと間近におわすことか!
びっくりした。1Mも離れてへん。このお寺には二年ほど前の夏に出かけたが、そのときは薄暗がりの中に立ち現れる神秘さがあったが、こんなに明るいところで拝見できるとは思わなかった。
非常な美貌。明るいところで見てもこんなにも美人。正面、斜め、横から眺めても、やはり美人だった。

観音菩薩坐像 1躯 木造 彩色 中国・南宋時代 神奈川・清雲寺
こちらは「滝見観音」と言い、横須賀のこのお寺のご本尊だそうだ。なんとなく涼しいような感じもある。
膝と髪とがいい。

菩薩坐像 1幅 木造 彩色 中国・南宋時代 京都・仁和寺
白衣観音風らしい。あんまり仏像には縁を持たないのでよく知らないが。しかし仁和寺にましましているなら見ているはずだが、記憶がない。

水月観音図 1幅 絹本著色 中国・元時代 奈良・円生院
水中に竜、そばには善財童子、韋駄天もいて、布袋も。ところがこの布袋が二重写しで僧の姿が見える。
宝誌和尚みたいな感じかと思ったらそうではなく、絵師の製作過程の名残らしい。

白衣観音図 雲外雲岫賛 1幅 絹本墨画 中国・元時代 京都国立博物館
濃いグレーの一幅。元代の観音図は妙に存在感がある。


第5章 天台山の五百羅漢図
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これがとにかく凄かった。個別になんて書けない。
羅漢たちの日常の姿とか色々な情景が描かれている。
ゾウやトラやナゾの動物とも仲良くする羅漢たち。
うーんうーん、とうなりながら見て歩くと、左になにやら見覚えのある方が。
memeさんでした。「なんでここに」「地元だから」
そうは答えたものの、ホント、なんでバッタリ会うかなぁ。
それにしたかて、この羅漢たちの図画はこれまで見てきた中でも特に面白く思えた。
あんまり多すぎるので、三期に分けて展示するらしい。
働く鬼たちが可愛かったり、美童もいたり、花喰鹿たち、枇杷をプレゼントするサル親子とか、こんにちはと来る天人に、ハス釣りする連中もいる。
今回奈良博では二種類チラシを作っていて、一枚目は例の楊貴妃観音だが、二枚目は羅漢たちの姿をあちこちにはっつけたもの。
それ、わかるぜ。これは本当に見ものだった。


第6章 東銭湖―神仏が降臨する聖地

法界聖凡水陸勝会修斎儀軌 1帖 版本 朝鮮時代(成化6年・1470) 韓国・東国大学校中央図書館
今回の展示物で唯一の朝鮮の文物。なかなか面白い。こういう面白さというものは実見しないとわからない。

六道絵 6幅 絹本著色 中国・南宋時代 滋賀・新知恩院
修羅道も畜生道も色鮮やかだった。しかし中国の場合、死後の世界は現世とそう大差がないはずなので、仏教の六道絵をどこまで民衆が受容していたか。それを知りたい。

伝星宿図 2福 絹本著色 中国・南宋時代 愛知・瑞泉寺
わりと好きなのは星宿図。読めない漢字のついた星も色々ある。星の祭りもそれぞれ異なる。

釈迦如来立像旧厨子扉絵 4面 絹本著色 鎌倉時代(14世紀) 京都・清凉寺
先ほどのお釈迦様の昔の厨子でしたか。あれも一体いつから開帳していたのだろう。絵伝はリアルに似ていたし・・・


第7章 海を渡る禅律文化

喫茶養生記 1冊 紙本墨書 南北朝時代(14世紀) 神奈川・寿福寺
この書があるおかげで、今に至るまでお茶を飲んでるわけですね。尤も我が家は貧血家庭(金欠含む)なので、夏冬通じて麦茶ですが。
「おーい!お茶」も「伊右衛門」も感謝しなはれよ?

書は他にも大変多かったが、中身より字体を見て歩いた。それはそれで面白かった。

新安沈没船海底遺物
これは実に魅力的なものが多かった。随分前、大阪の出光美術館でも南海沈没船の遺宝という展覧会が開かれ、色んな陶磁器などが展示されたが、実に魅力的だった。

青磁鎬文壺 1口 陶製 中国・元時代 韓国国立中央博物館
これは以前にも見たように思う。形といい、瓜(鎬シノギなんですけどね)のような筋に青味がかった釉薬といい、大変可愛らしい。

青白磁梅瓶 1口 陶製
素晴らしい!!青白磁の美しさが発揮されているだけでなく、絵柄の、一見簡素なバラのような文様が連続しているのがとても素敵。
可愛い、すごく可愛い。梅瓶独特の外観の美もさることながら、ひどく魅力的だった。

青磁合子 1口 陶製
こちらは貫入の入り具合が綺麗で綺麗で。こういうのを見ると、東洋陶磁美術館へ行きたくなるのだ。


第8章 遣明使が訪れた町

渡唐天神像 方蘭坡賛 1幅 紙本墨画淡彩 中国・明時代(16世紀) 京都・清浄華院
あっさりと真ん中に描かれている。これはしかしなんで菅公の絵があるのか。
明に発注したのか。それが日本へ?それともやっぱり天神様はパッと一夜にして中国へ飛んだのか。

破墨山水図 雪舟筆 1点 紙本墨画 室町時代明応4年(1495) 東京国立博物館
これは東博の国宝室にお出まししたのかしら?
こっちは前期のみ。後期には例の腕斬り事件図「恵可断臂図」が出る。

長々と書いたが、本当にたくさんあった。しかもこれが前期だから後期はまたもや・・・
来た甲斐のある展覧会。夏休みなのだし、関西の人だけでなく、他の地の人も見にきはるのをお勧めする。
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コメント
No title
あ~♪この展覧会、ニュースで放送されているのを見て知ったんですよ~(^^)
これはぜひ見に行きたいと思っています。
仏教がどういうふうにして日本に入ってきたのか勉強できますね♪
楊貴妃観音さん、泉涌寺で拝見したことがありますが、博物館でお会いするとまた違った印象を受けそうですね(^^)

2009/07/22(水) 09:14 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
☆tanukiさん こんにちは
楊貴妃観音、とても綺麗でしたよ~
こういう展覧会は楽しいですよね。
ぜひご覧になってください。

それにしても週末楽しみです。晴れたらいいのに。
2009/07/22(水) 12:29 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
No title
こんばんは。
あの後、私は奈良県美までダッシュして4時半入館に
間に合いました。
詳細な記事、さすが七恵様です。
鏡の絵は私もこれぞ素朴絵と好ましかったです。

ところで夏のMIHOは諦めました。秋にかけます!
2009/07/22(水) 20:26 | URL | meme #z8Ev11P6[ 編集]
No title
こんばんは。
東博でこのチラシをみて、唸りました。
今年は関西ツアーが北海道になりましたので、
何度も唸ります。
五百羅漢が何故か大好きで、これだけでも
単発で東博に出張してくれないかと。
ぐぐぐ~足かせが重い。
日帰り、
という技をmemeさんがささやいてくれましたが。
お二人の身の軽さを真似ることができたらいいのに。
2009/07/22(水) 23:42 | URL | あべまつ #-[ 編集]
☆memeさん こんばんは
わたしはハスを諦めましてね。よく考えたらハス、寝てますわ。
ついうっかりしてました。

> 鏡の絵は私もこれぞ素朴絵と好ましかったです。
あれは面白かったですね、表情が特に。ああいうのを見るのも楽しいです。

> ところで夏のMIHOは諦めました。秋にかけます!
そのときはぜひお声をかけてください。
わたしはMIHOさんに行く根性が足りないのですよ。
2009/07/22(水) 23:56 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
しかし北海道はやっぱりうらやましいのだと思うわたし。
☆あべまつさん こんばんは。
> 東博でこのチラシをみて、唸りました。
どっちのチラシでした?楊貴妃?羅漢たち?

羅漢たち、こんなに愛嬌モンなオヤジたちとは、これまで思いもしませんでした。
いや、本当に面白かったですよ。

日帰りはお勧めしたくないなぁ・・・だって他にもアレヤコレヤがありますもん。
到底一日では・・・memeさんはまたこっちへ走ってこられるそうです、フフフ。
2009/07/23(木) 00:02 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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