美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

シルクロード 文字を辿って ロシア探検隊収集の文物

京都国立博物館で「シルクロード 文字を辿って ロシア探検隊収集の文物」を見た。
memeさんが金曜の夜間開館に出かけられて、観客の少なさに驚かれていたので、わたしも心配になりましてな。
しかし土曜の開館直後に入ったときにはまぁまぁ繁盛していたので、ほっとしました。

展覧会の概要について。
この展覧会では、その四大コレクションのうちロシアのコレクション、すなわちサンクトペテルブルクにあるロシア科学アカデミー東洋写本研究所所蔵の文献類を、同研究所の全面的な協力を得て、「敦煌学発祥の地」である京都で公開するものです。
これらの文献類は、敦煌と中央アジア周辺、さらにはカラホトのものが有名であり、写本の仏教経典を中心に漢文・西夏語・コータン語・トハラ語・ソグド語のものなど、その総数は断片を含んで2万点以上と報告されています。時代的には、ほぼ4世紀から12世紀にわたり、文字の違いはいうに及ばず、写本のかたちや書写の形式などにもそれぞれの違いが見られ、大変興味深いものがあります。
今回の展示では、コータン・クチャ・カラシャール・トルファン・敦煌・カラホトで発見された文献を中心に、その中から世界的にもよく知られた写本・版本類の優品約150件を展示します。そのほとんどが日本初公開です。


主催新聞社の記事を読んでいたところ、西夏文字が出るとあり、それだけでもドキドキしていた。
むかし、井上靖原作「敦煌」を映画で見て、かなりハマッていたので、西夏文字にはちょっとアコガレがある。
さらにこのブログでしつこく書いていることだが、わたしは中学の教科書で読んだ「龍村平蔵の獅子狩文錦復元」「大谷探検隊」に感動して以来、中央アジアへの深い憧れを抱いている。
とはいえマジメに敦煌学を修めたわけではなく、ファンとして好きなことだけ学んだ程度だ。

中央アジアは民族の坩堝であり、多民族であるということは、異なる文字が氾濫しているということになる。
日本語も大して書けないわたしが、これらの文字を習得することは不可能なので、文字を翻訳し、解読した学者の熱意と誠意とには、本当に頭が下がる。
これらの文字の羅列を見てからロシア語を見ると、ロシア語のほうがまだ読めてしまうのが面白い。
尤もそれは文を読んだのではなく、ロシア人が地図を拵えていて、そこにロシア語、漢字、現地語の3表記があるから読めたのに過ぎない。

地図。大学1年の頃、丁度諸星大二郎「西遊妖猿伝」にハマッていて、「敦煌」にもハマッてで、ついに自分で日本からシルクロードを越えてローマまでの地図を模造紙いっぱいに拵えたことがある。夏休みの自由研究ぽい気持ちで拵えて、たいへん楽しかった。
(作ったのは秋だったが)
漢文の先生が唐詩選の専門家で、わたしが漢詩・唐詩を愛していたのを喜んで、その地図を持って来いと仰るので持って行ったが、縮尺が悪いのと方向音痴が作る地図だということがネックになって、先生の苦笑を誘った。

ここにある地図は立派な地図で、ロシア探検隊が正確に測量した地図だった。
他にも敦煌千仏洞全景図があり、これはS.M.ドゥーディンが1914-1915に描いたもので測量技師たちの技能も加わった立派なものだった。模造紙6枚続きの一大パノラマだった。
窓の装飾、柱頭飾りなど、リアルだった。

それにしても文字の氾濫である。中には梵字に似たものもあるが、これは現代の表記が適うのか。言語とその地方の字体とが異なっていたりするし、メモを取っても取っても追いつかない。
またその文字をどこに記したか、と言うことも重大になる。
白樺の幹を鞣したものに書いたものもある。貝葉紙というものに書くことも多い。
本当に興味深い。読めない文字の羅列にしか見えなくとも、その文字を使っていた民族がいた、と言うこと自体が面白いのだ。
文字や言語へ強迫観念が生まれてきそうな内容である。

ジャータカがあった。これらは物語としてみた場合、ひどく面白い。
毒の話がある。ある家に後妻に入った女が継子を毒殺しようとするが、継子はそれに気づき、皿を取り替える。継母が戻ったときには、彼女の子供ら7人が全滅している。
家の中の敵を屠る手段としては、救いのない話であるが、その話も読めない文字で書かれていると、残酷味が薄れる。

西夏文字で綴られた論語や文海(西夏語辞書)を見る。壮観な眺めだと思う。
漢字に似つつ、遠く隔たっている。交わることもない。
これだけ画数の多い文字は珍しい。ある意味、ハングルの対極にある。

最後に国宝や重文の写本類が並んでいたが、見ているわたしの目の前で紙食い虫が這っていた。あわてて係員を呼んだが、ちゃんと駆除できたろうか。
それだけが心配である。

展覧会は9/6まで。結局2時間以上見学していた。


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