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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

京劇の花 梅蘭芳

後楽園の端に日中友好会館があった。
わたしはそこへ梅蘭芳の展覧会を見に行った。
10/26までの開催「京劇の花 梅蘭芳 美しき伝説のスター、華やかな軌跡」展を。

随分以前からわたしは梅蘭芳のことを知っていた。
京劇を見たこともない時代から「めい・らんふぁん」の名を知り、その美麗な姿を見ていた。
無論わたしが見たのは雑誌か何かの写真からのもので、本物を見ることはついに叶わなかった。
それも一体いつ頃から梅蘭芳を知っていたか、ちょっと思い出せない昔だから、もしかするとまだ十代に入る前か入ってすぐ頃かもしれない。
子供の頃、信じられないほど多くの本を読んだ。勉強する間を惜しんで本を読みふけった。
その中で見たものかもしれないし、そうでないのかもしれない。
小さい頃わたしは京劇を基にした東映動画の一代傑作「白蛇傳」を熱愛した。
それについてはここに詳しく書いている。
その内容を調べる過程で梅蘭芳を知ったのだとしたら、やはりごく小さい頃からうるわしいものが好きで仕方なかった、という証左になる。

わたしの持つ資料の中での梅蘭芳は大人の風格を具えた、円満具足な風貌の人だった。
今回二十歳前の世にも美しい少年の姿を見ることがかない、本当に嬉しい。

おお あなた故に、梅蘭芳
あなたの美しき楊貴妃ゆゑに、梅蘭芳
愛に焦がれた女ごころが
この不思議な芳しい酒となり、
世界を浸して流れます           与謝野晶子「梅蘭芳に贈る歌」より

歌人・与謝野晶子による賛歌・頌歌がここにある。
ほかにも鏑木清方の描いた「天女の舞」を見ているが、なんとも美しい姿だった。
むろん外観だけの美を以って論ずる、ということは出来ない。
役者として世にかれを凌ぐ者が生まれえぬほどの力を持っていた、それが見事なのだ。

今回の展示では、梅蘭芳の数多の舞台写真や資料などが多く並べられており、眺め歩くのが惜しいくらいな心持がした。
眺めることは嬉しいが、進めば終わりが近づいてくる。
そのことを惜しんで、わたしの歩みは遅くなる。

それにしても何と言う美貌か。化粧をした美しさもさることながら、素顔に近い写真を見ると、その愛らしさに蕩けそうになる。

太真外伝、牡丹亭、天女散花、貴妃酔酒、覇王別姫、黛玉葬花、木蘭従軍・・・
何もかも、どれも全てにときめいて苦しいくらいだった。

衣裳がそこに飾られていた。貴妃酔酒、覇王別姫のものである。
それぞれの特徴・違いを眺めながら、かつてこの衣裳をまとって、金属性の響きを持った声で歌う美しい人を、幻視する。
特徴のあるリズム、昆曲の流れが耳に入る。

会場では「貴妃酔酒」のDVDが流されていた。


なんとも美しい姿だった。声もまた天上の声である。
深いときめきと揺らぎを心に受けて、展覧会を後にした。


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