FC2ブログ

美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大阪市立美術館の常設展示

大阪市立美術館の常設展示は、大半がその昔の市民からの寄贈によるもので、その意気やヨシというところだが、そのせいでかどうか、なぜか展示のリストはないし、宣伝も全くしないし、画像公開も殆どないし、絵葉書も変わり映えしないし、と言う四重苦を抱えている。
だから今回、竹喬展という特別展の陰に隠れた常設展を見て回って、その内訳のよさにクラクラした。なー、もっとしようよ宣伝。もったいなさすぎ。
というわけで、見たうち特に良いものを挙げてみる。

中国絵画の名品が三点ほど眼を惹いた。

明妃出塞 宮素然 09112801.jpg
王昭君の物語。彼女が国を出て匈奴の王のもとへ連れられて行くシーン。
琵琶を持つ女が馬上から振り返るのが哀れ。
しかし匈奴の使者たちはニコニコしている。彼女を乗せた馬までニコニコ。
匈奴の人々は王妃として彼女を遇するのだが、みんなニコニコ喜んでいる。
しかし王昭君だけは悲しい。
古来より悲話として名高い物語。ただ、陳舜臣は「小説十八史略」の中で、いつ召されるかどうかもわからないような、息詰まる、そのくせ退屈な後宮より、王妃として大事にされる匈奴の暮らしの方が本人は実は満足だった、という物語を書いていた。
わたしもそう思う方がいい。

九成宮 仇英  官女図などにいい作品の多い仇英の王宮図。ロングなので人々の細かな表情はわからない。以前台湾の故宮で仇英の官女たちの楽しむ絵巻のはがきを購入したが、いつか彼の楽しそうな女たちばかりを集めた展覧会が見てみたいと思う。

聚猿図 易三吉  さるさるさる。丸顔の中国の猿たち。猿の集まりだから「聚猿図」ということ。可愛い。日本のエテも可愛いものが多いが、中国の丸顔で手長のエテたちはオモチャみたいだ。♪ア?イアイおさるさんだよ?なエテたち。

工芸も少し。

狻猊双鸞唐草文八稜鏡  踊る虎が二頭もいました。可愛いな?。

螺鈿人物盒や螺鈿人物食籠もどちらも手が込んでいて面白い。元から明代の作品にはそういう細かさがあって楽しい。

大阪市立美術館にはカザール・コレクションという装飾品などの一大コレクションがある。
今回はそのうちから、わんことウサギの形をした香合が欲しくなった。
丸々していてとても愛らしい。

一つ素敵なお皿があった。
「武蔵野」という銘らしく、満月に草原である。それが○とその下に―と―の二重線の色分けが。つまり、特別展の小野竹喬の絵にそっくりな「武蔵野」皿なのだった。

大和絵に行く。

伏見常盤絵巻  人物より背景などのほうが繊細で豊かな描写だった。
邸宅の塀や木々などがまず目立って綺麗。
牛若丸の生母・常盤御前の幸せだった日々から三人の子らを連れての流離と、捕まった後までの絵巻。広げられていたのは、捕まる前に身を寄せたさる邸宅での小さな安堵の日々まで。清水の舞台と音羽の滝が描かれているのを見て、ここが平安時代以降「流行」の地となったことを思う。神仏への信仰も流行り廃りがあるのだ。
梅見の楽しそうな様子、山中への逃亡、子らの泣き・・・たどりついた邸宅での一瞬の落ち着きが憐れ。

犬寺縁起  これは以前にも見ているが、不倫した女房とその情夫により殺されかけた男が、飼い犬の猟犬らに助けられる物語。犬たちの死により、寺が建立される。
黒白の犬たち。これに赤が加われば、芥川の「髪長彦」を思い出す。

小袖屏風虫干し図  誰ケ袖図でもあり、虫干し図でもある長い作品。綺麗だった。
画中画として描かれる屏風絵も多岐に亘っていて、一つ一つ見るのも楽しかった。

大阪市立美術館の常設展示、いいものが多いのだからもっと積極的に宣伝したり、効果的な見せ方をすればええのに、とツネヅネ思うのであった。
関連記事
スポンサーサイト
コメント
No title
熊本のお城が 綺麗になって 王昭君の間ができました。
 足立美術館で 王昭君の絵を見るまで 人の名前とは 知らなかったのです。
 はるか 奥地まで 馬に乗って 行ったのでしょうね。
 大事にしてもらったのでしょうね。
2009/12/06(日) 12:56 | URL | 小紋 #-[ 編集]
お城
☆小紋さん こんばんは
熊本城はぐるりを散歩したのに中に入りませんでした。
今となっては理由がわからないのですが。
(太平燕が食べたくなってきました)

>大事にしてもらったのでしょうね。
そうだと思います。
中国側からすれば悲話にせずにいられなかったでしょうが、
かの地では出来る限りの親切を受けたりしたと思います。
今度はお城に行って、「王昭君の間」を見学します。

2009/12/06(日) 17:19 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

フリーエリア