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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ウィリアム・ド・モーガン 艶と色彩-19世紀タイルアートの巨匠-

ウィリアム・ド・モーガンの装飾タイル展が汐留ミュージアムで12/20まで開催されている。見に行ったのは初日なのに、ほぼ二ヵ月後の終焉間近に感想を挙げることになるとは、思いもしなかった。

ヴィクトリア朝に生まれて、モリスらのアーツ&クラフツ運動に共鳴して、素敵なタイルやお皿などを焼き続けた。
ラスター彩の研究をして、自分の作品にもその輝きを映しだすようになった。
作品自体、静けさはないが、いかにもその活きた時代を思わせるような装飾性を見せている。
ロンドンには彼のミュージアムがあるようだが、そこのサイトには奥さんの作品などもあり、展覧会で見たものとはまた異なる世界にも触れることができ、楽しい。
(奥さんは画家のイヴリン・ド・モーガンである。)

アーツ&クラフツに影響を受けるだけに、作品にはある種の物語性もあり、優美さが全体に行き渡っている。ガレー船を描いたものも、花を描いたものも、悪竜を描いたものであっても、どことなく綺麗な世界を見せている。

この日観客は私だけだったので、展示品を心ゆくまで眺めたが、そうなると不思議な感覚が生まれてきていた。
つまりわたしはヴィクトリア朝ロンドンのどこかの屋敷にいて、そこのキッチンを眺めている、そんな気分になっていたのだ。
妄想と言うものは恐ろしいもので、私はすっかりその気になってしまって、「この瓶には何を入れよう、この花瓶にはどんな花がいいか、このタイルはもっと天井まで繋いでみよう」
などと本気で考えていた。

眺めるうちに改めて面白く思ったことがある。
東洋にとって龍はドラゴンでもワイバーンでもなく、王者の象徴、霊獣である。
しかしキリスト教圏の国々では龍は「悪竜毒蛇」と繋いで忌避される存在である。
(キリスト教に折伏される以前は、そうでもなかった民族はいくつもある)
ここに描かれているドラゴンは顔つきは不逞の輩風だが、どことなく威風堂々としている。
王者としての龍、そんな風に描かれ、タイルに焼成されている。

花々をモティーフにしたものも随分多かったが、繊細さよりも植物の生命力を感じた。
イキイキしたわけでもないが、永遠に咲き続けるために、その姿をタイルに封じ込めてもらった・・・そんなイメージがある。
09121401.jpg

ところでわたしはタイルには以前からたいへん興味を持っているが、この展覧会を見て愛知県のINAXタイルミュージアム、京都の船岡温泉、そのそばのカフェ更紗(元・藤森湯)に行きたくなってどうにもならない。
たぶん、日本でベスト3に入る絢爛豪華なタイルを見ることの出来る場所だからだ。

欲しいかと訊かれれば欲しいと素直に言えないが、それでも素敵なセラミック群だった。

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コメント
No title
こんばんは。場所のせいか、あまり話題にもならなかったようですが、なかなか楽しめる展示でしたよね。小さなタイルの中にあれほど多様な世界が開けているとは知りませんでした。ガレオン船やドラゴンなどが私としては好みです。わくわくします。

>愛知県のINAXタイルミュージアム

これまたディープなところがあるのですね…。
2009/12/21(月) 22:30 | URL | はろるど #GCA3nAmE[ 編集]
☆はろるどさん こんばんは

>ガレオン船やドラゴンなどが私としては好みです。わくわくします。

ロマンティックでいいですよね♪もぉ本当にヴィクトリア朝の良さを感じましたよ。

タイルは奥が深いですよ~
わたしはinaxギャラリーには展覧会を見るだけでなく、非売品のタイルを見に行くこともします。あと中近東のタイルも面白いですよ~~
2009/12/22(火) 00:09 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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