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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

12月の東京ハイカイ

今年最後の東京ハイカイに出た。
飛行機の都合で日曜は早く帰ることになったが、それでもかなりあちこち出かけたと思う。

見た展覧会の感想は後日ソレゾレ。

空港から直行で三井記念館に行く。寒い寒いと聞いていたから色々防寒してきたが、都市の内部や地下にいる限りは寒くもない。
柴田是真はやっぱりいい。工芸の極地を見たなぁ。いい気分で三井を出て、東陽町へ。

竹中工務店のギャラリーに行くが、場所の把握が出来ずにたいへん困ったし、時間もロスした。機動隊の詰め所があって、おまわりさんに教えてもらって助かったけど、ここの地下鉄駅員はアウトですな。
大山崎にある藤井厚二が建てた聴竹居の写真や模型展示を見る。実際の建物は見学しているが、自分の目と言うフィルターで見たものと、プロカメラマンの目による対象物の現像とを比べるのも、楽しかった。
藤井の建てた村山龍平邸写真などもある。こちらも見学しているが、素晴らしい大邸宅だったことを思い出す。
駅そばの焼き鳥系居酒屋のランチを食べた、麦トロとから揚げに味噌汁。おいしかった。

続いて早稲田へ。いつもと違う改札を出ると、鳥居が見えた。それを見つつ曲がると演劇博物館や會津八一記念館に行くのが早いと知る。
駅の案内にはそこまでは書いてへんもんなぁ。
會津八一記念館へ。
むかし山王にあった旧富岡美術館のコレクションがここに寄贈され、それを順次展示するようになったのだ。近代日本画と近代日本洋画とを見る。
特に良かったのが二点ある。
武者小路実篤の「椿」 これは染付の瓶から顔をのぞかせる二輪の椿で、とても可愛い。
好奇心旺盛な椿、という感じ。
満谷国四郎 「読書」 少年がバルコニーにもたれている。秋の風情がいい。

近年、春よりも秋の方が好きになっている。
それも山紅葉より、都市の黄葉に強く惹かれる。

白金台へ出た。わたしの好きな黄金の道が開いている、白金。イチョウの葉っぱが満ち満ちている。ザリザリと踏みながら松岡美術館へ向かう。
近くの建物、マンションになっていた。以前は廃墟で、素敵なステンドグラスが見えていたが。
「大観と院展」を見に来たが、実に久しぶりの松岡だった。あれっと思ったのは消音すれば撮影OKということ。え゛っマジすか。
今回カメラなしで来てるから惜しいことをしたぜ。
日本画もいいが、それよりも期待していなかった清朝の翡翠細工が異常に良かった。
これはもう工芸品が好きな人には特におススメしたい。
いや実に良かった・・・!

そのまま足任せに庭園美術館へ入る。ここは勤務しているご年配の人々がとてもいい感じなので好き。ヨーロッパへ輸出した伊万里焼が並んでいる。
好き嫌いを超越した内容。日本の技術は凄いわ。
ひたすら感心する。唐子を描いた色絵ものに可愛い作品が多かった。
こういう展覧会はやはりこの庭園美術館と言う空間でないとダメだと思った。

美術館を出たときにはだいぶ暗くなってきていた。そのまま一気に目黒区美術館へ向かう。
‘98年の同じ頃、熱に浮かされて潤んだ目で新目黒川を眺め、そのぼやけた風景に感動したこともあったが、正気のせいか、何も感じなかった。

炭鉱展。なぜ東京の目黒でするのかはよくわからない。
炭鉱についてはごく子供の頃から大変なところだと聞かされていた。
それに手塚マンガ「シュマリ」をリアルタイムに読んでいたわたしは、落盤の恐怖が描かれているのを見ていた。こちらは北海道の炭鉱だが、九州の炭鉱は「青春の門」などを思った。それに松谷みよこが「日本の昔ばなし」に明治中期の炭鉱話を採集していたので、瀕死の人のところへ悪い狐たちが押し寄せてくる話なども読んでいた。
大学に入るまでわたしは一人で地下鉄に乗れなかったが、それは落盤の恐怖があったからだった。(尤も北摂育ちだから梅田で十分に間に合い、ミナミへ出る必要がなかったのだが)

実際、その炭鉱の明治時代の様相を描いた作品群には、異様な迫力があった。
プロの画家ではない人の作品を延々と見続けると、うなされそうになってきた。
大方は子供の頃に本で見たり聴いたりした内容だったからビックリしたというのはないが、それにしても凄まじい。
苦痛ばかりを感じる。
夢野久作の作品にも炭鉱が舞台のものは色々あるが、あのわけのわからないエネルギーは北摂のぼーっとしたわたしにはわからないものだった。(でもファンなのだ)
しかしこうしてリアルなものに向き合うと、早く外へ出たい・逃げ出したいという気持ちになってきた。九州がニガテなのはこういうところにも原因があるのだ。

華やかな場所へ。そこがわたしのアジールになる。
・・・というわけで松屋銀座に入る。
ローズ・オニールのキューピーちゃんが生誕百年とかで、原画やグッズなどがたくさん集まっていた。可愛くて可愛くて仕方ない!
難儀な後輩Rはキューピー好きなので、今度の誕生日プレゼントにと、会場限定グッズを色々買い集めた。自分も欲しいが、ものを買えばまたどうしようもない状況になる。
それなら人にプレゼントするために買えば、心も楽しくなる。
ウキウキと買い物し、鴨蒸篭を食べてから本屋へ行った。
映画になる「彼岸島」を数時間かけて通読する。うわ?わたしはダメだ?怖いし、無限に続くのが耐えられない?(実際には進行しているから無限ではないのだが)
結局12時前にホテルへ帰った。

二日目、予定通り上野から高崎線に乗る。浦和で乗り換え北浦和へ行くのだが、京浜東北線に比べてがら透きなのと、睡眠不足と(だって「彼岸島」怖すぎ・・・)ポカポカ陽気で眠りこけ、危うく降り損ねそうになる。
開館前まで公園の噴水を見てから、小村雪岱展へ。
これについては後日多く書く予定。よかった。でも本が重いので肩に堪える・・・

王子経由で弥生美術館へ行くと、お客さん大繁盛!かつての「少女の友」がわんさといてはりました。中原淳一展は九月に神戸でも見て、そこでもかつての少女たちを大勢見かけたが、ここもそう。みなさん喜んでいる。いいことだ。
安野モヨコの「おチビさん」の版画技法は手がかかるなぁと感心する。この人の作品は読まないが、それでも感心した。
夢二の展示のほうに色々好むものがあった。
来年度の会員手続きもする。荷物が少し増える。

東大だけにイチョウに埋もれそうな道が続く。
東大前からニューオータニ美術館へ向かう。
野口久光の古きよき時代のヨーロッパ映画ポスターを眺める。実に素晴らしい。
川喜多かしこが輸入した古い映画のガラ・シーン上映があって、じーっと眺める。
わたしは1930年代のヨーロッパ映画が大好きなのだ。
大学の頃よく上映会に出かけた。
ここでも本を購入した。
わたしは歩くのは苦にならないが、荷物を持つのはダメなひとで、すぐに肩が抜けてくる。
もぉアカン・・・と言いながら渋谷へ。

松涛美術館で村山槐多展を見る。槐多を最初に知ったのはホラー小説「悪魔の舌」からで、画家でもあると知ったのはその後。かなり繁盛していた。後期も見れるかどうか。

たばこと塩の博物館で平木財団の浮世絵を見る。前期のほうがよさそうだが仕方ない。
思えば本格的に浮世絵の展覧会を見るようになったのは、京都文化博物館での「リッカー美術館展」からか。泰明小学校そばにリッカーがあった頃にもでかけ、横浜そごうにあった頃にも・・・

時間配分の妙でここでいきなりサントリーへ。わたし、ミッドタウン好きです。
イルミネーションきらきらしてる。
清方を見る。是真、雪岱と観て、清方と言うのは我ながら凄く素敵な取り合わせだ。
初見作品は新潟などの分があり、嬉しく眺めた。

再び渋谷へ。ブンカムラでロートレックを見る。

連日ホテルに帰るのが11時過ぎで寝るのが1時過ぎでは電車で転寝するのも当然で、三日目も朝からふらふら。
ホテルのレストランに行くと、やたら逞しい学生が多いなと思ったら、某大ラグビー部。
バイキングは彼らにはええでしょうなー。見惚れるぐらいよく食べてた。
アスリートは身体が資本です。

冷泉家の最終日。初日と最終日に出かけたことになる。定家ちゃん人形はもういなくなっていた。
そのかわり、本の表紙で面白い白描を見た。
表では女の人が腕枕しながら何かと色々考えている様子、裏には坊さんとお稚児さんの仲良しな様子。
こういうの見るの好きだな。
はっっっもしかして、表の女の人、わたし同様「フジョシ」で(平安?鎌倉だけど)、こういうのが好きな人かもしれない。

てくてくと東博へ行く。土偶。いや???っこれまで埴輪のハニーちゃんばかりヒイキにしてたけど、土偶の可愛さにびっくりした!!
ニャーーッとか言いそうな土偶や、サザエさんみたいな土偶、それに「土偶の仲間たち」というのが、なんだかNHKアニメぽくて可愛いっっ!!
もぉホント土偶の可愛さに開眼!!

常設では坊さん肖像画にいいのがあった。若い頃の中村梅之助に似た坊さんの後ろに立つ美童。ときめくなぁ。
切れ長のクールな眼に、艶かしい口元。みづらの髪も可愛い・・・
他に月次図や洛中洛外図で楽しいのがあった。三十三間堂、巨大な耳塚、大仏殿に始まる屏風。
佐竹本の興風サンもいた。後ろ向き。佐竹本の36人もだいぶ見て来たなぁ・・・

色々あり予定を変えて東京駅へ。やっと三菱一号館へ行く。
三菱と丸の内の歴史というやつよ。なかなか楽しい。しかし建物の空間把握がしにくい。L字型だからわかりやすいはずが、一方通行だったりで、指示がうるさくもある。デジタルギャラリーではNFC制作の映像を見た。
来月のフィルムセンターの企画展は戦後フランス映画ポスター展なので、絶対に行かねばならぬ。

銀座を歩く。ノエビア化粧品のギャラリーで、藤城清治の「暮らしの手帳」表紙絵の「現代美人画」を眺める。
‘82~’84の美人たち。ああ、わたしが学校の制服を着ていた頃。ちょっと泣ける。
09122304.jpg
ここでタイムアップで、空港へ向かう。

面白いハイカイだった。展覧会を見に行くのも、今月はこれで終わりになるかな・・・
また来年もあちこち出かける予定。
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コメント
ハイカイお疲れさまでした。
私も最終日に冷泉家を見に行きました。
五島の典籍もそうでしたが、あれだけいろんな本がそろっているとそれだけで嬉しくなってしまいます。
その後、奏楽堂でチェンバロを聴いてから土偶展に行ってきました。
東博にぎりぎりまでいた後、萩尾望都原画展に行きました。
♂なので萩尾望都は読まなかったのですが(名前は知っていた)、SFの書き手として素晴らしい人に出会えたかも。感化されやすい私は4冊ものSF漫画を買ってしまいました。
その気なら23(祝)まで開催中です。
http://www.hagiomoto-gengaten.com/
それと、野口久光のポスター展を見た後ではフィルムセンターのフランス映画ポスター展の本家のポスターはどうなのか興味深いところですね。
2009/12/21(月) 22:27 | URL | ともみすと #mQop/nM.[ 編集]
どうもどうもです
☆ともみすとさん こんばんは

> 五島の典籍もそうでしたが、あれだけいろんな本がそろっているとそれだけで嬉しくなってしまいます。
ページをめくることは出来ずとも、そこに本がある、と言うことだけでも嬉しいですよね。

>SFの書き手として素晴らしい人に出会えたかも。
ああ、どれを購入されたのでしょう。わくわくします。
わたしは萩尾さんのSFについては
百億の夜と千億の夜
スター・レッド
A―A’
ラーギニー
マージナル
これらがベストなのです。


>フィルムセンターのフランス映画ポスター展の本家のポスターはどうなのか興味深いところですね。
そちらも楽しみです。
学生の頃に戦前の映画にのめりこんでまして、本国のものと野口の作品と両方を眺めたこともあります。どちらも非常によかったです。
2009/12/22(火) 00:06 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
買った4冊は
「11人いる!」「スター・レッド」「A-A'」「ウは宇宙船のウ」(ブラッドベリ原作)です<すべて小学館文庫>。
この「11人いる!」=萩尾望都は結びついていて、アニメかドラマで見ていたと思っていたのですが、本を読むと見ていなかったと思います。まだ同じ収録されている続編は読んでいませんが、正編は非常に面白かったです。

学生のころは名画座に通われたのでしょうか?
野口久光のポスターにすでに出会っていたのは羨ましいです。
私は学生の頃はテレビの深夜枠(CINEMAだいすき等)でしか見ていないのでポスターには無縁でした。
2009/12/22(火) 22:15 | URL | ともみすと #mQop/nM.[ 編集]
Re: 買った4冊は
☆ともみすとさん こんばんは
「11人いる!」も好きです。続編の「東の地平 西の永遠」もいいですよ。
少し悲しいけれど。
わたしはSF少女マンガの濫觴は「11人いる!」と竹宮恵子「地球へ」だと思います。

> 学生のころは名画座に通われたのでしょうか?
今はなき梅田シルバーやサンケイホール、三越劇場、スペースベンゲット(今はたしかプラネット1だったかしら)などにイソイソと通っておりました。
封切品を見るようになったのは、スターウォーズは別として、'96年以降からです。
それ以前は二本立て・三本立ての古い映画を好んで観ておりました。

> 私は学生の頃はテレビの深夜枠(CINEMAだいすき等)でしか見ていないのでポスターには無縁でした。

その当時録画したVTRは今も手元にあります。何度も観て擦り切れてしまいましたが。
2009/12/22(火) 23:36 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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