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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展

北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展を東洋陶磁美術館で見た。
サイトに興味ある一文が書かれている。
「北宋汝窯の伝世品は北京・台北の両故宮博物院をはじめ世界でも数少ないもので、日本では当館所蔵の「青磁水仙盆」が知られています。北宋末期、北宋宮廷の命により宮廷用の青磁製品を製作した汝窯は、「天青色(てんせいしょく)」とも呼ばれる青みがかった独特の釉色と精緻なつくりで知られ、中国の青磁を代表するものの一つとして評価が高いものです。本展は宝豊県清凉寺汝窯窯址の出土資料約80点により、北宋汝窯青磁の謎と魅力に迫ります。」わたしは11世紀の高麗青磁を偏愛しているが、美しいものはやはり愛でたいと思う。

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青磁刻花龍文瓶  チラシやサイトに画像があるが、実物の色を再現してはいない。
「汝窯で文様のある例は伝世品では知られていませんでしたが、清凉寺窯址からは各種文様のある例が少なからず出土し、汝窯は文様がほとんどないという従来の汝窯の認識を改めることになりました。」という解説を読み、そうなのかと思う反面、その図柄にあまり関心が向かなかった。
わたしがみつめていたのは龍の頭部にあたる部位の貫入だった。異様に美しい貫入だと思う。
貫入を罅と訳するわけにはいかない。
実際に「破」があるからこそ生じた現象だが、それは破綻した状況ではない。
より深い美貌を与えられたのだ。美しい壊れ方だと言うべきかどうか。貫入の生じた部位の深い美しさは、永遠の神秘にも似ている。

青磁印花牡丹文蓋   蓋に描かれた牡丹文には陰影がつけられていた。美しい花の影。
しかしそれは東洋的な美しさを表出するための作為だったろうが、実際にはひどくモダンに見えた。ただそのモダンさは現代のそれではなく、マヴォやロシア構成主義的なモダンさなのだった。

龍型香炉蓋片   龍の口先割れ、ふっくら手の甲が可愛い。
唐獅子を象った陶片にはぶた鼻、巻き毛などが見えた。
こうした欠片にも楽しみがある。

金代の青磁碗の貫入は雪か塩の結晶のように見えた。折り重なる様子は、まるでここではないどこかの銀河を思わせる。
天青色の爽やかな色合いに、味わい深い貫入が入り込んだ状況を見ると、それだけで強く惹かれる。
そして緑がかった淡青色の貫入は、わたしにとっては薔薇の花束だった。


わたしは南宋の青磁のうち「砧青磁」と呼ばれ、古来よりわが国の茶人粋人たちに愛されてきた青磁にはあまり関心が向かないが、この北宋の青磁にはときめくものを多く感じた。
南宋のそれには手をさしのべる余地がないが、北宋の青磁には愛玩する隙がある。
深水の美人と清方美人の違いのようなものを、感じているのだった。

いい心持で常設室へ向かうと、安宅コレクション、李コレクションが待ってくれていた。
高麗青磁の青磁象嵌の陶板がある。小さな鷺の遊ぶ世界。
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この世で最も美しい高麗青磁だとわたしは信ずる。その確信はもう二十年も変わらない。

李コレクションには今年の干支の虎がいる。白磁に近いものに浮き彫りされた虎が。

本当にいい心持ちで東洋陶磁の美に遊んだ。
この展覧会は3/28まで。
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