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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

朝鮮虎展

高麗美術館で開催中の「朝鮮虎展」に行った。
これは昨年末からとても楽しみにしていた展覧会で、早く始まれ-とわくわくしていたものだ。
なにしろチラシからかなりキている。
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元から虎が好きとか若冲が好きとか、そんな向きを措いても、一目見ただけで「!!」と来るではないか。

スリッパに履き替えてまず一階展示室への短い階段を降りるとそこには虎のコマイヌがいる。
番犬的役割を担うておるわけだが、撫でたくて困った。
壁に沿った展示は虎の絵が並び、ガラスケース台には本や虎の郷土玩具がある。

虎は朝鮮の地にあっては親しくもあり、畏怖もあり、という存在だったのだ。
今回は民画はないものの、庶民の描く民画などでも虎は身近な存在として描かれ、擬人化もされている。
むろん吉祥絵画としても愛されていて、そうした作品が次々と現れていた。

あんまりよく知らなかったのが虎とカササギがペアの「鵲虎図」。
これは吉兆を意味する図柄らしい。
こういうことを知るのも楽しい。
何点か「鵲虎図」があるが、中でも面白いのが豹柄の虎と目つきの良くないカササギ。
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顔つきも楽しいし、稚拙な感じが却って親しみやすくていい。
不条理系ギャグマンガの主役二人、という風にも見える。

マジメなペアもあるが、そちらは新年に床の間に飾られていたものだろうか。

山神様と一緒の虎もいる。羅漢と一緒の虎は中華の虎だが、朝鮮の虎は山神と一緒なのだ。
なんとなくおとなしそうに見える。(でも油断するとガブリ・・・)

前々から大好きな飾り箱が出ていた。華角函という名前。
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カード大の一面一面違う絵を貼り付けた箱で、象や虎や狐がいる。
こうした飾り箱の可愛らしさは見ていて本当に楽しくなる。
それも見るものにこびるような可愛さではなく、どちらかと言えばぬぼーとした風貌なのがいい。
眠たそうなゾウ、オッチャンぽい虎などなど。ヤギも一筋縄で行きそうにない。
いいなーほしいなーと常々思っている。

若冲が墨絵で描いた虎と、その本歌の彩色虎が並ぶのは壮観だった。
本歌取りしたはずの若冲の虎はもう既に『若冲の虎』になりきっているが、本歌の虎は虎で、そんなことを気にする風もなく、一心に分厚い肉球を舐めている。
可愛いな-ああもぉ、噛まれるのはわかっているが、尻尾を掴みたくて仕方ない。

絵として眺めると、本歌の背景は梅の木らしき枯れたものと草が生えている。
若冲は「竹虎図」として竹をザザッと描く。10012001.jpg
ツラツキもこちらの方がファンキーになった。

本歌の伝・李公麟の虎は黄色と黒の縞柄の流れだけを眺めれば、どことなく艶かしくもある。
ツメの黒さが陰影にもなり、そこがたいへん面白い。
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中国の虎の絵もある。子連れ虎。日本には昔「子連れ狼」がいたが。
丸々した仔虎がママ虎にじゃれる。こわカワイイ顔つきのファミリー図。
ここには三匹の子がいて親にじゃれついて遊んでいる。うちには猫の家族が何代もいたからその様子のリアルさがよくわかる。虎も猫もやっぱり同じなのだ。
そしてこの虎家族を見守るカササギたちも、もしかすると友人ではなく家族なのかもしれなかった。

中国と朝鮮では虎への認識が微妙に異なっているように思う。
中国の虎はヒトを喰った後、その喰ったヒトを自分の使役に使う、という伝承がある。
喰われた人々は鬼(キ。亡霊のこと)となって親方の虎のために、他のヒトビトを誘い出そうとする。
とはいえ絵の虎は可愛かったり勇ましかったりするのに変わりもないが。

中国の水飲み虎が可愛い。太い手の手首あたりはヒョウ柄なのが楽しい。真っ赤なべろがいい。

日本からは探幽縮図も出ていて、神仙と虎の図などがある。
他に光琳のユーモラスな虎があった。わりと人気ものの奴です。

岸駒の虎もある。乳虎之図。松の下でママ虎とちび三匹。ママの背中にかじりつくのは豹柄ちゃん。ママの縞模様は松の幹に似ていた。

おもちゃの方は朏(みかづき)コレクションから。みかづきコレクションを見るのは久しぶり。この文字を覚えたのも、展覧会が以前に京都文化博物館で行われたおかげ。
可愛いおもちゃの虎たち。道修町の神農さんや信貴山には張り子の虎がぶらぶら揺れているが、朝鮮の虎は首をゆらしはしなかった。

二階に上がるといつも両班(ヤンバン)の一室が再現されているが、今回はそちらよりもVTRの方に目がいった。
アムール虎の映像が流れていた。野生の虎はもう四千頭くらいしかいないそうだ。そのことを考えると本当に切ない。
「偉大なる王(わん)」もアムール虎だった。

他に虎をモティーフにした朝鮮民話の絵本がたくさんおかれていた。日本語版もあるがハングル文字の原語本もある。字は読めなくても原語版を開いた。絵本は文字が読めずとも楽しく読み進めることが出来る。
いい感じで楽しめた。

展示換えもあるので、少し日をおいてから再訪しようと思う。本当に楽しい展覧会だった。
京都駅からは9系統で堀川通りをずーーーっと直進のバスがある。
私は四条から行くのでまた別系統。
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コメント
No title
お久しぶりです。相変わらず、精力的に廻っておられますね。東アジアでは虎のメスが豹と思われていたんですって。おもしろいですよね
2010/01/23(土) 17:46 | URL | 抹茶 #-[ 編集]
☆抹茶さん こんばんは
>東アジアでは虎のメスが豹と思われていたんですって。おもしろいですよね

もぉその感覚がいかにもアジアでいいですよね~
ぶたといのししの区別がなかったのと一緒ですね。
トラはやっぱり可愛いです。
2010/01/23(土) 21:58 | URL | 遊行 七恵 #-[ 編集]
虎のしましま  顔の威厳
 生きている虎に美を感じておりまして 大好きなのですが これまた しなやかに
 歌い 走っているような 豹も好きな身としては 豹虎さんと 目つきの悪いカササギに 
 おもわず のけぞって 大笑いしてしまいました! 先日のテレビ番組で 
 アフリカに虎が居ないことを 学びました。 日本には いるのにね。
2010/01/25(月) 06:03 | URL | 小紋 #-[ 編集]
虎柄小紋、ありそうな気がします
☆小紋さん こんばんは

以前TVで、隠しトラれていることを知らずに池に身を沈めて一息つく虎を見ました。
オヤジな虎でした、はぁ~なんてため息ついてました。
野生の虎もけっこうしんどいのね、と思ったものです。

ここには出ませんでしたが、朝鮮の虎の絵ではウサギとペアなのもいて、煙管の虎にニヤリなウサギという組み合わせがよかったです。
2010/01/25(月) 12:35 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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