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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

ふたつの竹久夢二展を見る

2/1まで日本橋三越で竹久夢二展が開かれている。丁度期間中に都内にいたので見てきた。
見る前に弥生美術館の併設・夢二美術館にも出かけているから、都内で二つの夢二展を見たことになる。
その少し前に京都高島屋でも夢二展が開催されていたが、そちらは岡山の夢二郷土美術館の作品などが出ていたらしく、三越のは弥生所蔵のものが出ていた。

三越展は「憧れの欧米への旅」と副題がついている。
夢二は日本での人気に陰りが入り、私生活も暗くなってきたので、心機一転巻き返しを狙って、欧米へ機嫌よく出かけたのだった。
その滞米・滞欧中のスケッチなどが最初に並んでいる。

外国のスケッチは以前から弥生で見ているから馴染みのある作品も多いのだが、改めて「憧れの欧米への旅」という視点で眺めると、その外遊が成功しなかったことを知るだけに、なんとなく切なさが先に立ってしまう。

夢二は元々「絵を描くこと」そのものが好きな人なので、売れようが売れまいが関係なしにスケッチを描き続けた。
そして本絵を描いて個展を開いた。が、個人ではどうしようもない世界的不況などの影響もあり、一向に売れなかったそうだ。しかし売れないと旅は続かない。
プロとして生きている限り、作品が売れてなんぼなのだから。

会場は最初に夢二の欧米でのスケッチを展示している。客層は若い人だけでなく、かねてより夢二を代表する大正ロマンにときめくご年配の人が多い。
しかし彼らはたぶん、このスケッチでは物足りないようで、妙な違和感を抱いているようだった。
「夢二の美人画」または「夢二の童画」を楽しみに訪れたのは確かなようだった。

そんなことを思いながら見るのは傲慢かもしれないが、やはり観客の多くはデパート展には「ときめき」を求めに来るのだ。
だからだろう、会場の半ば過ぎ以降からは美人画が多く並びだした。

外遊中に描いた作品の中に「着物の女」と言う一枚がある。
顔立ちは欧州の女のそれである。その女がガウンのように着物を着ている。
外国にいながら日本の絵を描くと、どうしてもジャポニズム化するのかもしれない。
10012902.jpg

セノオ楽譜が随分多く並んでいた。
いつ見ても楽しいシリーズである。こういうものを見ているとついつい歌いたくなる。

終わりのほうに夢二が表紙絵を描いたPR誌「三越」が幾冊かあった。
橋口五葉や杉浦非水だけでなく夢二も表紙絵を描いていたのだ。
センスのいい意匠。10012903.jpg
夢二の美人画もいいが、わたしは夢二は童画と工芸の意匠により深く惹かれる。

そして今回日本初公開となるのが「最後の油彩画」たる「扇を持つ女」がこちら。
髪を垂らしたまま着物を着ているからか、やはりどこの国の女かわからない風があった。
無国籍、そんな女。10012901.jpg


弥生美術館併設夢二美術館では「竹久夢二と大正ロマンの世界 展?女性・流行・文化生活にみる新しい波?」が開催中(?3/28)
モガたちが闊歩する写真があった。現代からは想像もつかないほど、彼女たちは勇気凛々の女たちだったのだ。
モガのいる室内写真は手彩色のもので、それは六甲にあった大谷光瑞の別荘「二樂荘」に似ていた。時代の最先端のステキな室内だった。

夢二の絵では大正三年の「湖上の月」がよかった。誰もいない湖面にボートが一艘浮いている。そのボートに坐して女が一人泣いている。それを見るのは上空の月だけだった。

弥生美術館でこれまであまり展示されていない井伊梅子、小林かいち風なシリーズ絵を描く橋爪ゆたからの作品があった。
飯澤天羊という画家はサロメに扮する松井須磨子を描いている。「悪魔と須磨子」など、なにやらオリエンタリズムあふれる作品である。
そしてその松井須磨子がサロメに扮した写真があった。
なかなか魅力的なものである。当時の日本人が夢中になったのもよくわかる。
しかし杉本苑子の説によれば、サロメは松井須磨子より奇術師の松旭斎 天勝の方が魅力的だったらしい。
他に浅草オペラのシュトラウス「サロメ」もあった。

珍しいのが婦人誌の表紙絵を武井武雄が描いているもので、三人の女が並んで座るものだが、どことなくコケシ風なかんじもあり、面白い。

三越は2/1まで。竹久夢二美術館は3/28まで。
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2010/01/31(日) 00:34 | | #[ 編集]
Re: 天勝
☆――さん こんにちは

> http://blogs.yahoo.co.jp/honeymoon_stardust2006/25844771.html

ここに掲載されてる天勝のサロメ、わたしも好きな一枚です。
肉感的でいいものですよね~

むかし岸田今日子のサロメの写真を見ました。
それはそれで不思議な魅力がありました。
2010/01/31(日) 12:08 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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